告訴せず

告訴せず
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 長編小説
シリーズ 「黒の挨拶」第1話
発表形態 雑誌連載
初出情報
初出週刊朝日1973年1月12日 - 11月30日
出版元 朝日新聞社
挿絵 田代光
刊本情報
刊行 『告訴せず』
出版元 光文社
出版年月日 1974年2月15日
装幀 伊藤憲治
口絵 堀文子
挿絵 田代光
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
テンプレートを表示

告訴せず』(こくそせず)は、松本清張の長編小説。「黒の挨拶」第1話として『週刊朝日』に連載され(1973年1月12日号 - 11月30日号)、加筆の上、1974年2月に光文社カッパ・ノベルス)から刊行された。「告訴できない」犯罪を利用し、拐帯金と共に蒸発した男の転生計画を描く、長編クライム・サスペンス。

1975年東宝系で映画化されている。

あらすじ

[編集]

総選挙の行われている最中、木谷省吾は、義弟の代議士・大井芳太が非公式に得ていた、違法な出所の選挙資金を抱え、逃走した。木谷を告訴しても、それは大井芳太の選挙違反の暴露を意味するため、警察立件することができない。勝利を感じた木谷だったが、逃避行を続ける間に、温泉旅館の女中・お篠から、高崎市近くに在する比礼神社の、穀物の出来高に関する神託が、よく的中するという話を耳にする。神主から「今年の小豆は凶作」という託宣を受けた木谷は、資金拡張のため、「福山誠造」の偽名を使い、小豆相場への投資を始めた。

追跡者の影に怯え、また相場動向への一喜一憂が続いたが、託宣通り、勝ち逃げに成功し、新しい商売も無事始められるように思われた。だが…。

主な登場人物

[編集]
商品先物取引の関連会社が集積する
日本橋蛎殻町周辺

原作における設定を記述。

木谷省吾
岡山県美作地方のA市で、駅前に大衆食堂を開いていたが、義弟の大井芳太にこき使われ、妻の春子からも馬鹿にされる鬱屈した日々を送っていた。保守党派閥の裏金の受取のため東京に派遣されていたが、その帰路、金とともに逐電する。46歳。
お篠
群馬県水上温泉の旅館で、面白味皆無の女中人生を送っていたが、木谷の誘いを受け同棲、福島県白河でのモーテル運営を夢見る。本名は浜島シノ。
小柳一男
日本橋蛎殻町で穀物仲買を行っている平仙物産の外務課副課長。小豆相場に関する申し出を受け木谷担当の係となり、相場の動向を随時報告する。
大場平太郎
平仙物産に出入りし、相場に手を出している老人。今ではすっかり零落したように見えるが、戦前は、立憲政友会院外団として活動していたとされる。某一流会社の課長をしている息子から小遣いをもらい、細々と相場をやっていると自称していたが、その裏では……。
大井芳太
岡山県・K郡を地盤とする保守党系代議士。妻は木谷の妻・春子の妹。うだつが上がらない義兄を小馬鹿にし、派閥の裏金受取の使者にするなど便利に使っていたが、選挙資金として受け取らせた3000万円を持ち逃げされる。当の選挙は、苦戦が予想されるも、何とか当選する。一時木谷が警察に確保され、照会を受けるも、資金のことは否定せざるを得なくなる。
光岡寅太郎
大井の側近で選挙参謀。地元の暴力団と関係を持つ。本業はハムとソーセージの製造会社の社長。
山脇盛太郎
平仙物産の営業部主任。平仙物産に入ってきた木谷に最初に対応する。小豆先物取引をよく知らない木谷に、初歩的知識を教える。
森山寛之
白河の不動産屋・真砂商事の社長。50過ぎの血色のよい、禿頭の男で、人当たりがよい。営業が出払っていたため、モーテル用地を物色していた木谷らを連れ、自ら周辺を案内する。

関連項目

[編集]

映画

[編集]
告訴せず
監督 堀川弘通
脚本 山田信夫
製作 市川喜一
森岡道夫
出演者 青島幸男
江波杏子
音楽 佐藤勝
撮影 福沢康道
編集 黒岩義民
配給 東宝
公開 日本の旗 1975年2月1日
上映時間 90分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
テンプレートを表示

1975年2月1日公開。製作は、芸苑社東宝映画。配給は東宝。現在はDVD化されている。

キャスト

[編集]

スタッフ

[編集]

同時上映

[編集]

どてらい男

外部リンク

[編集]