溺れ谷 (松本清張)

溺れ谷
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 長編小説
発表形態 雑誌連載
初出情報
初出小説新潮1964年1月号 - 1965年2月号
出版元 新潮社
挿絵 田代光
刊本情報
刊行 『溺れ谷』
出版元 新潮社
出版年月日 1966年5月31日
装幀 沢田重隆
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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溺れ谷』(おぼれだに)は、松本清張長編小説。『小説新潮』に連載され(1964年1月号 - 1965年2月号)、1966年5月に新潮社から単行本が刊行された。

1983年にテレビドラマ化されている。

あらすじ[編集]

三流経済雑誌記者の大屋圭造は、忘れられつつある往年の名女優・竜田香具子に、新興企業である亜細亜製糖の社長・古川恭太との誌上対談を持ち掛ける。首尾よく成功すると、大屋は精糖業界の動向を探るためのパイプを作る意図で、両者に再会を提案する。ビューティーサロンの開業を夢見る香具子は古川からの資金援助を期待し提案に乗り、有馬温泉に向かうが、香具子を見送った後で、同業の藤岡真佐子に見付けられた大屋は、砂糖業界に通じた鶴田甚三郎という男を京都で紹介される。

古川が同日に農林大臣是枝平之輔と秘密裡に遇っていることを察知し、その行動に探りを入れる大屋は、古川が鶴田とも繋がりを持っていることを知る。他方、古川は是枝に香具子を斡旋していたことがわかり、大屋の目論見は外れる。続いて大屋は、香具子との関係を仄めかすことで是枝との接触を図るが、逆に脅しをかけられてこれも失敗に終わる。しかし探索を続けるうちに、是枝の汚職事実および鶴田の正体を探り当てた大屋は、精糖業界の汚職の摘発に協力しようと考え、真佐子と再会、やがて大屋は真佐子の真意を知ることになる。

主な登場人物[編集]

  • 原作における設定を記述。
大屋圭造
経済雑誌「政経路線」編集部次長。会社や経営者の提灯記事を書く泡沫的な生活を送る。
藤岡真佐子
以前大屋と同じ雑誌社に居たことのある、腕利きの同業者。
古川恭太
精糖業界の新興勢力である亜細亜製糖の社長。
竜田香具子
世田谷区に住む往年のスター女優。
鶴田甚三郎
京都で真佐子が大屋に紹介したアルコール中毒の男。
是枝平之輔
農林大臣。与党実力者の前農林相・山名市郎の子飼い。
矢口
東京地検特捜部の検事。

エピソード[編集]

推理小説研究家の山前譲は、本作から約1年遅れて発表された『中央流沙』が、本作と表裏一体をなす作品と指摘している[1]

関連項目[編集]

テレビドラマ[編集]

松本清張の溺れ谷
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『溺れ谷』
企画 野村芳太郎
脚本 吉田剛
監督 池広一夫
出演者 近藤正臣
梶芽衣子ほか
音楽 鏑木創
国・地域 日本の旗 日本
言語 日本語
製作
プロデューサー 落合謙武(テレビ朝日)
佐々木孟(松竹)
制作 テレビ朝日
松竹
霧プロダクション
放送
放送チャンネルテレビ朝日系列
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1983年4月9日
放送時間21:02-23:51
放送枠土曜ワイド劇場
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松本清張の溺れ谷」のタイトル(サブタイトル「蜂は一度刺して死ぬ!」)で、1983年4月9日(21:02-23:51)に、「土曜ワイド劇場」枠の3時間スペシャルとして放映。1部「贈られた女優」2部「心中した女記者」の2部構成となっている。

キャスト [編集]

スタッフ[編集]

  • 企画 - 野村芳太郎
  • 脚本 - 吉田剛
  • 監督 - 池広一夫
  • 撮影 - 加藤正幸
  • プロデューサー - 落合謙武(テレビ朝日)、佐々木孟(松竹)
  • 音楽 - 鏑木創
  • 美術 - 森田郷平
  • 制作 - テレビ朝日、松竹、霧プロダクション
テレビ朝日系列 土曜ワイド劇場
前番組 番組名 次番組
松本清張の溺れ谷
(1983年4月9日)

脚注[編集]

  1. ^ 光文社文庫版『溺れ谷』(2014年5月)巻末の山前による解説参照。
  2. ^ 小説第4節参照。