ジョシュ・ヘイダー

ジョシュ・ヘイダー
Josh Hader
ヒューストン・アストロズ #71
サンディエゴ・パドレス時代
(2023年6月18日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 メリーランド州アナランデル郡ミラーズビル英語版
生年月日 (1994-04-07) 1994年4月7日(30歳)
身長
体重
6' 3" =約190.5 cm
185 lb =約83.9 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 2012年 MLBドラフト19巡目
初出場 2017年6月10日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
獲得メダル
男子 野球
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
パンアメリカン競技大会
2015

ジョシュア・ロナルド・ヘイダーJoshua Ronald Hader, 1994年4月7日 - )は、アメリカ合衆国メリーランド州アナランデル郡ミラーズビル英語版出身のプロ野球選手投手)。左投左打。MLBヒューストン・アストロズ所属。愛称はヘイダーレードHaderade)(後述)。

経歴[編集]

プロ入りとオリオールズ傘下時代[編集]

2012年MLBドラフト19巡目(全体582位)で地元メリーランド州ボルチモア・オリオールズから指名され、プロ入り。契約後、傘下のルーキー級ガルフ・コーストリーグ・オリオールズでプロデビュー。A-級アバディーン・アイアンバーズ英語版でもプレーし、2球団合計で17試合に登板して2勝0敗2セーブ、防御率1.88、48奪三振を記録した。

2013年はA級デルマーバ・ショアバーズ英語版でプレーし、17試合に先発登板して3勝6敗、防御率2.65、79奪三振を記録した。

アストロズ傘下時代[編集]

2013年7月31日にバド・ノリスとのトレードで、L.J.ホーズと共にヒューストン・アストロズへ移籍した[1]。移籍後は傘下のA級クァッドシティーズ・リバーバンディッツ英語版へ配属され、5試合に先発登板して2勝0敗、防御率3.22、16奪三振を記録した。移籍前を含めた2球団合計では22試合に先発登板して5勝6敗、防御率2.77、95奪三振を記録した。

2014年はA+級ランカスター・ジェットホークスとAA級コーパスクリスティ・フックスでプレーし、27試合(先発19試合)に登板して10勝3敗2セーブ、防御率3.29、136奪三振を記録した。

2015年は開幕からAA級コーパスクリスティでプレーし、17試合(先発10試合)に登板して3勝3敗1セーブ、防御率3.17、69奪三振を記録した。6月30日にカナダエイジャックスで行われた第17回パンアメリカン競技大会野球アメリカ合衆国代表に選出されている[2]

ブルワーズ時代[編集]

ミルウォーキー・ブルワーズ時代
(2019年3月25日)

2015年7月30日にカルロス・ゴメスマイク・ファイヤーズとのトレードで、ドミンゴ・サンタナブレット・フィリップスエイドリアン・ハウザーと共にミルウォーキー・ブルワーズへ移籍した[3]。移籍後は傘下のAA級ビロクシ・シャッカーズへ配属され、7試合に先発登板して1勝4敗、防御率2.79、50奪三振を記録した。移籍前を含めた2球団合計では24試合(先発10試合)に登板して4勝7敗1セーブ、防御率3.03、119奪三振を記録した。オフにはアリゾナ・フォールリーグに参加し、サプライズ・サグアロス英語版に所属した。

2016年はAA級ビロクシとAAA級コロラドスプリングス・スカイソックスでプレーし、2球団合計で25試合に先発登板して3勝8敗、防御率3.29、161奪三振(奪三振率は11.5)を記録した。この年はオールスター・フューチャーズゲームにも選出された。オフの11月18日にはルール・ファイブ・ドラフトでの流出を防ぐために40人枠入りした[4]

2017年は開幕からAAA級コロラドスプリングスでプレー。6月9日にメジャー初昇格を果たし[5]、翌10日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦でメジャーデビュー(1回を無失点)[6]。7月7日のニューヨーク・ヤンキース戦でMLB初勝利を挙げた[7]。最終成績は35試合に登板して2勝3敗、防御率2.08、68奪三振(奪三振率は12.8)を記録した。

2018年4月30日のシンシナティ・レッズ戦で史上初となる8奪三振でのセーブを記録した[8]。前半戦を31試合で防御率1.50の好成績で折り返し、オールスターゲームに選出された。9月21日のピッツバーグ・パイレーツ戦で、それまでの試合とあわせて連続する16アウトをすべて奪三振で記録し、シーズン通算で136奪三振となり左の救援投手として歴代最多となった[9]。後半戦はやや調子が落ちたものの、最終的に55試合(81.1イニング)に登板して6勝1敗、防御率2.43、143奪三振(奪三振率は15.8)の好成績を記録した。自身初のポストシーズンでは7試合(10イニング)を無失点に抑えたものの、チームはナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ(NLCS)ロサンゼルス・ドジャースに7試合の末、敗れてシーズン終了となった。オフにケンリー・ジャンセンウェイド・デービスらを抑えて最優秀救援投手賞を受賞した。サイ・ヤング賞の投票では7位だった[10]

2019年ジェレミー・ジェフレスコーリー・クネーベルといった抑えが怪我で離脱した状態で開幕を迎えたため、抑えとして起用された。3月30日のセントルイス・カーディナルス戦で三者連続三球三振を記録した。奪三振率は16.4%と高く、WHIPも低かったが、被本塁打率は1.8に上昇した。最終成績は61試合に登板(75.2イニング)で3勝5敗、防御率2.62、138奪三振(奪三振率は16.4)だった。ワシントン・ナショナルズとのナショナルリーグワイルドカードゲーム英語版では7回から登板するも、8回裏に二死満塁のピンチを招くとフアン・ソトに決勝打を許し、敗戦投手になった。オフにカービー・イエーツウィル・スミスらを抑えて2年連続で最優秀救援投手賞を受賞した[11]。また、同年から新設されたオールMLBチームのファーストチーム中継ぎ投手の1人に選出された。

2021年5月8日のマーリンズ戦でMLB史上最速で通算400奪三振を記録した[12]。7月4日に選手間投票で通算3度目となるオールスターゲームに選出された[13]。後半戦では9月11日のインディアンス戦でコービン・バーンズと共に継投でのノーヒットノーランを達成した[14]。MLB全体では9度目、球団としては1987年以来2度目の快挙だった[14]。 オフの11月23日に2年ぶり2度目となるオールMLBチームのファーストチーム中継ぎ投手の1人に選出された[15]

パドレス時代[編集]

2022年8月1日にテイラー・ロジャースディネルソン・ラメットエステウリー・ルイーズロバート・ガセル英語版とのトレードで、サンディエゴ・パドレスへ移籍した[16]

2023年7月2日に選手間投票で通算5度目となるオールスターゲームに選出された[17]。オフの11月3日にFAとなった[18]。パドレスからはクオリファイング・オファーを受けていたが、同月14日の期日までに契約は行わなかった[19]

アストロズ時代[編集]

2024年1月22日にヒューストン・アストロズと5年総額9,500万ドルの契約を結んだ[20][21]

選手としての特徴[編集]

2021年の投球データ[注 1]
球種 配分 平均球速 運動量(in
% mph km/h 水平 鉛直
速球 55 96 155 06 09
スライダー 28 84 135 -2 -0
チェンジアップ 07 88 140 08 01

マディソン・バンガーナーに似た変則スリークォーターから投げ込む最速100mph・平均90mph中盤の速球とスライダーを武器とする本格派左腕[22][23]速球の握りはツーシーム[24]。2018年から2020年はチェンジアップをほとんど使用していなかったが、2021年は投球の1割弱使用した[25]

マックス・マンシーは彼のストレートについて「(高回転で高速なので)まるで地面から浮かび上がってくるように見える。」と表現しているが、速球のスピンレートは2100rpm程度とリーグ平均以下[26]で、速球の平均球速は96mphとリリーバーとしては突出したものではない。であるにもかかわらず、速球に対して打者がスイングしたときに空振りかファールとなる確率は80%以上と極めて高い。全投球の8割程度と高頻度で使用されているにもかかわらず、打者がこれほど速球を捉えられない要因として、リリースポイントの高さが5.3フィート(約161cm)であるのに対し、速球の垂直運動量が9.8インチ(約29cm)と、リリースポイントが低い割には垂直運動量が大きいことなどが挙げられている[27]

リリーフながら複数回登板する、いわゆる回股ぎをすることも少なくないので、登板数に対して投球回が多い[28]

人物[編集]

愛称のヘイダーレードHaderade)はゲータレードヘイダーをもじったものである[29][30]

背番号「71」はブルワーズの選手としてスコット・ラインブリンク以来2人目であり、確かな記憶がないが「17」を気に入っているものの、「17」は球団殿堂のジム・ガントナーの番号のため、選択できなかった[31]

2018年7月18日、2011年と2012年に人種差別、反同性愛的かつ女性蔑視的な内容をSNSに投稿していたことが発覚し、謝罪した。MLB機構からの要請により更正プログラムを受けた[32][33]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2017 MIL 35 0 0 0 0 2 3 0 12 .400 188 47.2 25 4 22 1 4 68 0 0 11 11 2.08 0.99
2018 55 0 0 0 0 6 1 12 21 .857 306 81.1 36 9 30 0 1 143 0 1 23 22 2.43 0.81
2019 61 0 0 0 0 3 5 37 6 .375 289 75.2 41 15 20 2 4 138 0 0 24 22 2.62 0.81
2020 21 0 0 0 0 1 2 13 0 .333 78 19.0 8 3 10 0 3 31 2 0 8 8 3.79 0.95
2021 60 0 0 0 0 4 2 34 0 .667 224 58.2 25 3 24 0 2 102 3 2 8 8 1.23 0.84
2022 37 0 0 0 0 1 4 29 0 .200 141 34.0 26 7 12 0 1 59 2 0 16 16 4.24 1.12
SD 19 0 0 0 0 1 1 7 0 .500 78 16.0 17 1 9 0 3 22 3 0 14 13 7.31 1.63
'22計 56 0 0 0 0 2 5 36 0 .286 219 50.0 43 8 21 0 4 81 5 0 30 29 5.22 1.28
2023 61 0 0 0 0 2 3 33 0 .400 231 56.1 32 3 30 2 3 85 3 0 11 8 1.28 1.10
MLB:7年 349 0 0 0 0 20 21 165 39 .488 1535 388.2 210 45 157 5 21 648 13 3 115 108 2.50 0.94
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績[編集]



投手(P)












2017 MIL 35 2 3 0 1 1.000
2018 55 4 2 0 0 1.000
2019 61 2 5 0 0 1.000
2020 21 2 1 0 0 1.000
2021 60 1 3 0 0 1.000
2022 37 1 3 0 0 1.000
SD 19 0 1 1 0 .500
'22計 56 1 4 1 0 .833
2023 61 2 8 0 1 1.000
MLB 349 14 26 1 2 .976
  • 2023年度シーズン終了時

タイトル[編集]

表彰[編集]

記録[編集]

MLB
MiLB

諸記録[編集]

背番号[編集]

  • 71(2017年 - 2023年)

代表歴[編集]

脚注[編集]

脚注[編集]

  1. ^ FanGraphsによる

出典[編集]

  1. ^ Brittany Ghiroli (2013年7月31日). “Norris heads to Orioles in Deadline deal” (英語). MLB.com. 2017年8月8日閲覧。
  2. ^ 2015 U.S. Pan Am Men's Baseball roster announced[リンク切れ] Official web site of USA baseball (英語) (2015年6月30日) 2017年8月8日閲覧
  3. ^ Brian McTaggart (2015年7月30日). “Astros add Gomez, Fiers from Brewers” (英語). MLB.com. 2017年8月8日閲覧。
  4. ^ Adam McCalvy (2016年11月18日). “Brinson, Hader added to 40-man roster” (英語). MLB.com. 2017年8月8日閲覧。
  5. ^ Brewers summon lefty Josh Hader, place Travis Shaw on family leave”. Milwaukee Journal Sentinel (2017年6月9日). 2017年8月8日閲覧。
  6. ^ Todd Rosiak (2017年6月15日). “Brewers taking it slowly with Josh Hader”. Milwaukee Journal Sentinel. 2017年8月8日閲覧。
  7. ^ Aguilar's slam, 7 RBIs send Brewers past skidding Yanks, 9-4
  8. ^ a b ブルワーズのヘイダーが8三振を奪ってセーブ 大リーグ初の珍記録”. スポーツニッポン (2018年5月1日). 2018年9月24日閲覧。
  9. ^ a b c Hader sets two MLB K's records vs. Pirates”. MLB.com (2018年9月22日). 2020年5月30日閲覧。
  10. ^ 2018 Awards Voting”. Baseball-Reference.com. 2020年5月30日閲覧。
  11. ^ MLB最優秀救援投手賞にチャップマンとヘイダーの両左腕 ヘイダーはメジャー3年目で2年連続選出”. ベースボールチャンネル (2019年10月27日). 2020年4月18日閲覧。
  12. ^ Anthony Castrovince (2021年5月9日). “Hader becomes fastest to 400 career K's” (英語). MLB.com. 2021年5月15日閲覧。
  13. ^ Sarah Langs, Thomas Harrigan (2021年7月11日). “Your 2021 MLB All-Stars by position” (英語). MLB.com. July 13, 2021閲覧。
  14. ^ a b c Anthony Castrovince (2021年9月12日). “Crew combines on record-breaking no-hitter” (英語). MLB.com. 2021年9月14日閲覧。
  15. ^ Anthony Castrovince (2021年11月24日). “The '21 All-MLB Team is here. And it's stacked” (英語). MLB.com. 2021年11月24日閲覧。
  16. ^ Brewers Trade Josh Hader To Padres” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年8月1日閲覧。
  17. ^ Thomas Harrigan (2023年7月2日). “Breaking down the full 2023 All-Star Game rosters” (英語). MLB.com. 2023年7月3日閲覧。
  18. ^ 130 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). Home (2023年11月3日). 2023年11月10日閲覧。
  19. ^ Seven Players Decline Qualifying Offer” (英語). Home (2023年11月14日). 2023年11月16日閲覧。
  20. ^ Astros sign free agent LHP Josh Hader” (英語). MLB.com. 2024年1月23日閲覧。
  21. ^ Astros Sign Josh Hader To Five-Year Contract” (英語). MLB Trade Rumors (2024年1月19日). 2024年1月23日閲覧。
  22. ^ 「ミルウォーキー・ブルワーズ」『2017MLB選手名鑑全30球団コンプリートガイド』 日本スポーツ企画出版社 100頁
  23. ^ 「2017プロスペクト・ランキングTOP100」『月刊スラッガー』2017年5月号 日本スポーツ企画出版社 35頁
  24. ^ Hader on his fastball grip”. MLB.com (2018年5月1日). 2021年10月9日閲覧。
  25. ^ Adam McCalvy (2021年3月23日). “Hader adds 'consistent' changeup to arsenal”. MLB.com. 2021年10月9日閲覧。
  26. ^ 来るとわかっていても打てない。驚異的な奪三振率を誇るジョシュ・ヘイダーのストレートの謎”. ベースボールチャンネル. 2019年10月2日閲覧。
  27. ^ Sawchik, Travis (2019年7月23日). “Josh Hader’s Fastball Is Baseball’s Most Mysterious Pitch” (英語). FiveThirtyEight.com. 2019年12月21日閲覧。
  28. ^ 驚異の奪三振率を誇るジョシュ・ヘイダーの特徴的な起用法”. SPAIA. 2019年10月2日閲覧。
  29. ^ On The Field x Off The Field: Featuring All World Reliever, Josh Hader”. en:Routine Field (2019年2月8日). 2020年5月31日閲覧。
  30. ^ Explaining Crew Players Weekend nicknames MLB.com (英語) (2017年8月25日) 2017年9月17日閲覧
  31. ^ Get to Know: Q&A with Brewers reliever Josh Hader”. en:Milwaukee Journal Sentinel (2017年7月31日). 2020年5月31日閲覧。
  32. ^ 差別ツイートが発覚したジョシュ・ヘイダー、更生プログラムの内容は”. スポーティングニュース (2018年7月21日). 2018年9月24日閲覧。
  33. ^ ジョシュ・ヘイダー、差別ツイートをチームメイトに謝罪し涙”. スポーティングニュース (2018年7月22日). 2018年9月24日閲覧。
  34. ^ All-MLB Team” (英語). MLB.com. 2021年11月27日閲覧。
  35. ^ Brewers' Hader fans 8 of 9 faced, gets save” (英語). ESPN.com (2018年5月1日). 2022年12月18日閲覧。

注釈[編集]

  1. ^ コービン・バーンズとの継投ノーヒットノーラン[14]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]