フリオ・ウリアス

フリオ・ウリアス
Julio Urías
ロサンゼルス・ドジャース時代
(2016年10月19日)
基本情報
国籍 メキシコの旗 メキシコ
出身地 シナロア州クリアカン
生年月日 (1996-08-12) 1996年8月12日(27歳)
身長
体重
6' 0" =約182.9 cm
225 lb =約102.1 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 2012年 アマチュアFA
初出場 2016年5月27日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム メキシコの旗 メキシコ
WBC 2023年

フリオ・セサル・ウリアス・アコスタJulio César Urías Acosta, 1996年8月12日 - )は、メキシコ合衆国シナロア州クリアカン出身のプロ野球選手投手)。フリーエージェント(FA)。

経歴[編集]

ドジャース時代[編集]

2012年6月にヤシエル・プイグの視察のためメキシコに訪れていたロサンゼルス・ドジャーススカウトの目に留まり[1]8月17日に契約を結び[2]、プロ入りを果たした。この年はプレーしなかった。

2013年1月31日にルーキー級ドミニカン・サマーリーグ・ドジャースへ配属され、5月23日に最年少投手としてプロデビューを果たした[3]。5月26日にA級グレートレイクス・ルーンズへ配属された[4]。8月31日にテンポラリリー・インアクティブ・リストに登録された[5]。9月26日に復帰した[6]。A級グレートレイクスでは18試合に先発登板し、2勝0敗、防御率2.48、67奪三振を記録した[7]

2014年スプリングトレーニングに招待選手として参加。3月31日にA+級ランチョクカモンガ・クエークスへ配属された[8]。6月にオールスターフューチャーズゲームの世界選抜に選出された[9]。7月12日にテンポラリリー・インアクティブ・リストに登録され、15日に復帰した[10]。25試合(20試合で先発)登板し、2勝2敗、防御率2.36、109奪三振を記録した[7]。オフにドジャースのマイナーリーグ最優秀投手賞を受賞した[11]

2015年もスプリングトレーニングに招待選手として参加。4月8日にAA級タルサ・ドリラーズへ配属された[12]。5月18日に目の手術のため故障者リストに登録され[13]、7月10日にリハビリのためルーキー級アリゾナリーグ・ドジャースへ配属された[14]。7月21日にA+級ランチョクカモンガへ昇格し[15]、7月24日にAA級タルサへ昇格した[16]。8月31日にAAA級オクラホマシティ・ドジャースへ昇格した[17]。同年は4チーム合計で18試合に先発登板し、3勝5敗、防御率3.81、88奪三振を記録した[7]

2016年も3年連続でスプリングトレーニングに招待選手として参加し、開幕はAAA級オクラホマシティで迎えた[18]。5月27日にメジャー契約を結び[19]、同日のニューヨーク・メッツ戦で先発起用されメジャーデビューを果たした[20]。デビューから7試合目となる6月28日のミルウォーキー・ブルワーズ戦で初勝利を挙げた。10代での初勝利はMLBでは2005年のフェリックス・ヘルナンデス以来11年ぶりのことだった。メジャー1年目は18試合に登板(うち先発15試合)で5勝2敗、防御率3.39の成績を残した[21]。チームが4年連続のナ・リーグ西地区優勝を果たして迎えたポストシーズンにもロースター入りし[22]、10月13日のワシントン・ナショナルズとのディビジョンシリーズ第5戦の5回に3番手として初登板、2.0イニングを無失点で抑え勝利投手となった[23]。20歳62日でのポストシーズン登板は1956年のワールドシリーズ第4戦におけるドン・ドライスデールの20歳76日を更新するドジャースの最年少記録となった。MLB全体でも1967年のワールドシリーズ第4戦におけるケン・ブレット(19歳20日)、1970年のアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ第3戦におけるバート・ブライレブン(19歳182日)、1970年のナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ第2戦におけるドン・ガレット英語版(19歳271日)に次ぐ史上4位の記録である[24]。チームはリーグチャンピオンシップシリーズへの進出を果たし、シカゴ・カブスとのリーグチャンピオンシップシリーズ第4戦に先発したが、3.2イニングを4失点で敗戦投手となった[21][25]。チームは2勝4敗で敗退した。

2019年5月13日夜、ビバリーヒルズにあるショッピングモールen:Beverly Center)の駐車場で、女性を暴行した容疑でロサンゼルス市警察逮捕された。保釈金2万ドルを支払い、翌5月14日に釈放された[26]。8月17日にMLBはウリアスに20試合の出場停止処分を科した[27]

2020年COVID-19の影響で80試合の短縮シーズンとなる中、11試合に登板し3勝を記録した。

2021年は開幕から先発ローテーションに定着。安定して白星を積み重ね、10月2日のミルウォーキー・ブルワーズ戦にてメキシコ人選手としては史上4人目となるシーズン20勝を記録し[28]最多勝のタイトルを獲得した。オフの11月23日に自身初めてオールMLBチームのセカンドチーム先発投手の1人に選出された[29]

2022年は17勝7敗、防御率2.16の成績を挙げ、最優秀防御率のタイトルを獲得した。オフの11月16日に全米野球記者協会(BBWAA)によって行われたサイ・ヤング賞投票では、2位票が7、3位票が9、4位票が5、5位票が1の計66ポイントで3位となった[30]。12月5日には2年連続2度目となるセカンドチームの先発投手の1人としてオールMLBチームに選出された[31]

2023年はシーズン開幕前の3月に開催された第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のメキシコ代表に選出された。開幕後は21試合に先発出場し、11勝8敗、防御率4.60の成績を残していたが、9月6日に通算2度目のDVで出場停止となり[32]、そのままシーズンを終えた。オフの11月3日にフリーエージェント(FA)となった[33]

選手としての特徴[編集]

投球データ(2021年レギュラーシーズン)[34]
球種 割合 平均球速 最高球速
% mph km/h mph km/h
フォーシーム 47.8 94.1 151.4 97.2 156.4
カーブ 34.2 81.4 131 86.4 139
チェンジアップ 17.3 86.8 139.7 90.2 145.2
シンカー 0.6 94.3 151.8 96.2 154.8
スライダー 0 83.5 134.4 83.5 134.4

オーバーハンドから、最速98.1mph[35](約157.9km/h)・平均93~94mph(約150~151km/h)のフォーシームと、平均81.4mph(約131km/h)のカーブ、平均86.8mph(約139.7km/h)のチェンジアップを使用する[36]。平均85mph(約137km/h)のスライダーもあるが、2021年は1球しか投げていない。

牽制がうまく、2016年は77イニングを投げて一塁走者を6回刺している[37]

人物[編集]

幼少期に左目を3回手術しており、ほとんど見えていないが、盲目ではない[1][38]。ただ、本人は「"これは神の仕業。彼は悪い左目をよこしたが、よい左腕をくれた"」[1]と気にしていない様子である。2015年5月19日に手術を行い改善された[39]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2016 LAD 18 15 0 0 0 5 2 0 0 .714 336 77.0 81 5 31 0 4 84 3 0 32 29 3.39 1.45
2017 5 5 0 0 0 0 2 0 0 .000 102 23.1 23 1 14 1 1 11 1 1 15 14 5.40 1.59
2018 3 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 13 4.0 1 0 0 0 0 7 0 0 0 0 0.00 0.25
2019 37 8 0 0 0 4 3 4 7 .571 326 79.2 59 7 27 1 5 85 2 1 28 22 2.49 1.08
2020 11 10 0 0 0 3 0 0 0 1.000 224 55.0 45 5 18 0 0 45 2 0 20 20 3.27 1.15
2021 32 32 0 0 0 20 3 0 0 .870 745 185.2 151 19 38 3 7 195 2 1 67 61 2.96 1.02
2022 31 31 0 0 0 17 7 0 0 .708 689 175.0 127 23 41 0 5 166 0 1 51 42 2.16 0.96
2023 21 21 0 0 0 11 8 0 0 .579 482 117.1 112 24 24 0 6 117 2 1 61 60 4.60 1.16
MLB:8年 158 122 0 0 0 60 25 4 7 .706 2917 717.0 599 84 193 5 28 710 12 5 274 248 3.11 1.10
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

WBCでの投手成績[編集]








































2023[40] メキシコ 2 2 1 0 0 35 9.0 8 3 1 0 10 0 0 7 7 7.00

年度別守備成績[編集]



投手(P)












2016 LAD 18 1 16 1 0 .944
2017 5 1 0 3 0 .250
2018 3 0 0 0 0 ----
2019 37 4 6 4 0 .714
2020 11 2 3 0 0 1.000
2021 32 3 18 0 0 1.000
2022 31 3 11 1 0 .933
2023 21 5 13 0 1 1.000
MLB 158 19 67 9 1 .905
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

タイトル[編集]

表彰[編集]

MiLB
MLB

記録[編集]

MiLB
MLB

背番号[編集]

  • 78(2016年 - 同年途中)
  • 7(2016年途中 - 2023年)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 通称「新人ベストナイン」。選出対象となる新人扱い選手を両リーグ統一した中で、各守備位置ごとに各球団監督の投票により選出される(例えばシルバースラッガー賞のように各リーグごとに選出されるのではない)。投手部門には2009年まで「右投手」「左投手」の2部門があり、2010年以降は「リリーフ投手」が追加されて基本3部門がある。

出典[編集]

  1. ^ a b c Hernandez, Dylan (2015年2月23日). “Despite eye condition, prospect Julio Urias dazzles on the mound”. Los Angeles Times. 2015年3月12日閲覧。
  2. ^ Badler, Ben (2012年8月23日). “Dodgers Sign Mexican Lefty Julio Urias”. Baseball America. 2012年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年8月31日閲覧。
  3. ^ Marshall, Ashley (2013年5月26日). “Teenager Urias shines in pro debut”. Milb.com. 2013年8月31日閲覧。
  4. ^ Midwest League Transactions May 2013 MiLB.com (英語) (2013年5月26日) 2016年5月20日閲覧
  5. ^ Midwest League Transactions 2013 August MiLB.com (英語) (2013年8月31日) 2016年5月20日閲覧
  6. ^ Midwest League Transactions 2013 September MiLB.com (英語) (2013年9月26日) 2016年5月20日閲覧
  7. ^ a b c Julio Urias stats MiLB.com (英語)
  8. ^ California League Transactions 2014 March MiLB.com (英語) (2014年3月31日) 2016年5月20日閲覧
  9. ^ Gurnick, Ken (2014年6月24日). “Seager, Urias named to Futures Game roster”. MLB.com. 2016年6月1日閲覧。
  10. ^ California League Transactions July 2014 MiLB.com (英語) 2016年5月20日閲覧
  11. ^ Stephen, Eric (2014年9月26日). “Joc Pederson, Corey Seager, Julio Urias named Dodgers minor league players of the year”. True Blue LA. 2016年6月1日閲覧。
  12. ^ Texas League Transactions 2015 April MiLB.com (英語) (2015年4月8日) 2016年5月20日閲覧
  13. ^ Texas League Transactions 2015 May MiLB.com (英語) (2015年5月18日) 2016年5月20日閲覧
  14. ^ League Transactions May 2016 MiLB.com (英語) (2015年7月10日) 2016年5月20日閲覧
  15. ^ California League Transactions 2015 July MiLB.com (英語) (2015年7月21日) 2016年5月20日閲覧
  16. ^ Texas League Transactions 2015 July MiLB.com (英語) (2015年7月24日) 2016年5月20日閲覧
  17. ^ Pacific Coast League Transactions 2015 August MiLB.com (英語) (2015年8月31日) 2016年5月20日閲覧
  18. ^ OKC Dodgers Release 2016 Opening Day Roster MiLB.com (英語) (2016年4月6日) 2016年5月20日閲覧
  19. ^ Dodgers select contract of Julio Urias MLB.com Los Angels Dodgers Press Release (英語) (2016年5月27日) 2016年5月28日閲覧
  20. ^ Mets 86 Dodgers after fast start, Urias finish MLB.com (英語) (2016年5月27日) 2016年5月28日閲覧
  21. ^ a b Julio Urias Stats Baseball-Reference.com” (英語). Baseball Reference. 2016年11月7日閲覧。
  22. ^ Dodgers Division Series roster” (英語). MLB.com Dodgers News (2016年10月7日). 2016年11月7日閲覧。
  23. ^ Los Angeles Dodgers vs. Washington Nationals - Box Score - October 13, 2016 - ESPN” (英語). ESPN MLB (2016年10月13日). 2016年11月7日閲覧。
  24. ^ Stephen, Eric (2016年10月13日). “Julio Urias is youngest Dodgers posteason pitcher ever” (英語). SB Nation. 2016年11月7日閲覧。
  25. ^ Gurnick, Ken and Carrie Muskat (2016年10月20日). “Chicag 'o' is back, ties LA in NLCS!” (英語). mlb.com. 2016年11月7日閲覧。
  26. ^ Valenzuera, Beatriz (2019年5月14日). “Dodger pitcher Julio Urías arrested on suspicion of domestic violence at Beverly Center” (英語). Daily Breeze. https://www.dailybreeze.com/2019/05/14/dodger-pitcher-julio-urias-arrested-on-suspicion-of-domestic-violence-at-beverly-center/?utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=socialflow&utm_content=tw-DailyBreezeNews 2019年5月14日閲覧。 
  27. ^ https://www.sanspo.com/baseball/news/20190819/mlb19081905000001-n1.html
  28. ^ Urias' 20th win keeps Dodgers alive in West race” (英語). ESPN.com (2021年10月3日). 2021年10月3日閲覧。
  29. ^ Anthony Castrovince (2021年11月24日). “The '21 All-MLB Team is here. And it's stacked” (英語). MLB.com. 2021年11月24日閲覧。
  30. ^ Marlins’ Sandy Alcantara rolls to unanimous victory in Cy Young race” (英語). BBWAA – Baseball Writers' Association of America (2022年11月16日). 2022年11月17日閲覧。
  31. ^ Paul Casella (2022年12月5日). “Here is the star-studded 2022 All-MLB Team” (英語). MLB.com. 2022年12月6日閲覧。
  32. ^ Jeff Passan (2023年9月6日). “MLB places Dodgers' Julio Urías on administrative leave”. ESPN.com. 2024年3月21日閲覧。
  33. ^ 130 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). Home (2023年11月3日). 2023年11月8日閲覧。
  34. ^ player” (英語). baseballsavant.com. 2021年11月17日閲覧。
  35. ^ https://www.latimes.com/sports/dodgers/la-sp-julio-urias-dodgers-domestic-battery-decisions-column-20190514-story.html
  36. ^ https://www.fangraphs.com/statss.aspx?playerid=14765&position=P#pitchtype
  37. ^ MLB Playoffs: Breaking down Julio Urias' filthy pickoff move before NLCS Game 4CBS SPORTS, 2017年1月3日閲覧
  38. ^ Passan, Jeff (2014年7月13日). “Is 18 too soon for Dodgers phenom Julio Urias to debut in big leagues?”. Yahoo! Sports. 2015年3月12日閲覧。
  39. ^ Stephen, Eric (2015年5月19日). “Julio Urias to miss a month after eye surgery, which could pay off for Dodgers down the stretch”. SB Nation. 2015年6月17日閲覧。
  40. ^ 2023 WBC Player Pitching StatsMLB.com 2023年4月7日閲覧
  41. ^ All-MLB Team” (英語). MLB.com. 2021年12月6日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]