空沼岳

空沼岳
硬石山から見た空沼岳
硬石山から見た空沼岳
標高 1,250.8 m
所在地 日本の旗 日本
北海道札幌市南区簾舞
位置 北緯42度51分54秒 東経141度15分13秒 / 北緯42.86500度 東経141.25361度 / 42.86500; 141.25361座標: 北緯42度51分54秒 東経141度15分13秒 / 北緯42.86500度 東経141.25361度 / 42.86500; 141.25361
空沼岳の位置(北海道南部内)
空沼岳
空沼岳
空沼岳 (北海道南部)
空沼岳の位置(北海道内)
空沼岳
空沼岳
空沼岳 (北海道)
空沼岳の位置(日本内)
空沼岳
空沼岳
空沼岳 (日本)
プロジェクト 山
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空沼岳(そらぬまだけ)は、北海道石狩管内札幌市にある標高約1,251mのである。山頂付近は支笏洞爺国立公園の第1種特別地域に指定されている。

札幌市中心部から車で40分程とアクセスが良いため、夏場のハイキング・秋の紅葉・冬のスキー登山など、市民に親しまれている山のひとつである。

名称について[編集]

山頂の近く、すなわち高いところに大小の沼があるため「空沼」と呼ばれたという説があるが、確証はない[1]

別の説では、アイヌ語が起源ではないかと考えられている[1]漁川支流のラルマナイ川は空沼岳を源流としているが、古名をソラルマナイ(滝の潜る所)というため、関連づける見方がある[2]

地形と地質[編集]

空沼岳は、第四紀更新世に活動したと考えられる火山のひとつである[3]。空沼岳溶岩の上に漁岳溶岩流があるため、漁岳よりは形成が古いということがわかっている[3]

山頂から北西に延びる稜線に沿って、幅500メートル・長さ2キロメートルのグラーベン(地溝)があり、その東側には地すべり地形が万計沢に向かって広がっている[4]。グラーベンの北西端では二次・三次の地すべりが下流に向かって並び、南東端では山頂直下からまた別の地すべりが東に延びている[5]

登山ルート湯の沢コースの出だしがなだらかなのは、この地すべり地形のためである[5]。また簾舞コースの「迷い平」と呼ばれる複雑な地形も、地すべり地形の一種である[5]

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地すべり運動でできた窪地に水が溜まったため、空沼岳の東麓には多くの沼が形成されている[2][5]

万計沼(ばんけいぬま)
真駒内川の支流である万計沢の水源[6]。直径約100メートル[6]
名称は、アイヌ語で「下の沼」を意味するパンケ・トに由来する[6]
真簾沼(まみすぬま)
空沼岳最大の沼[7]。周囲が開けているためキャンプの適地ともいわれるが[7]、環境汚染のことを考慮すると実行すべきではない[8]
名称は、真駒内川と簾舞川の水源近くに位置することから[7]
長沼(ながぬま)
湯の沢の源流部に位置する、長径60メートル・短径20メートルの東西に細長い沼[9]
アイヌ語名は「長い沼」を意味するタンネ・トであった[7]

登山ルート[編集]

湯の沢コース[編集]

夏季の土・日・祝日のみ、札幌市営地下鉄南北線真駒内駅から北海道中央バス「空沼登山口」行きが運行される。それ以外の日程の場合、自家用車を使うか、同バス路線の通常終点「空沼二股」から30分かけて歩くしかない[10]。バス停は日鉄鉱業北海道支店常盤採石所のただ中にある。

真駒内川を渡り、その支流の万計沢に沿って登山道を進んでいくと、やや道から外れた地点に青沼がある[11]。沢の源である万計沼のほとりには2軒の山小屋が建っている[12]

万計沼を過ぎると、やがてより広い真簾沼が見え[12]、その脇には龍神地蔵が建つ。ここから軽く下り[12]、さらに急な登りを越えると、札幌岳への縦走路との分岐点を過ぎ、安山岩の露出した山頂にたどり着く[13]

なお、山頂からさらに進むと空沼(からぬま)を見ることができるが、相応の藪漕ぎを要する[13]

また、札幌岳縦走路は荒廃しているが[14]、札幌市近隣で1000メートル級の山々を縦走できるのはこのルートしかない[15]。道中はヒョウタン沼を望むことができる[15]

簾舞コース[編集]

湯の沢コースにバスが乗り入れる以前は、定山渓鉄道線東簾舞停留所から延びる簾舞コースが利用されていた[16]

簾舞口より約6キロメートル進むと、広々とした真簾峠にたどり着く[17]。峠の西に簾舞川、東に真駒内川が流れているため、両河川の頭文字をとって名づけられたものである[17]。なお、峠の東にそびえる標高651.6メートル峰を「真簾山」と呼ぶ人もいる[18]

真簾峠の南方約3キロメートルには、2つの丘の間をS字に抜ける鞍馬越(くらまごえ)がある[19]。鞍馬(くらうま)の背のような地形にちなんで名づけられた[20]

さらに進んで尾根を出はずれると、迷い平と呼ばれる平坦な場所に出る[1]。読んで字のごとく、迷いやすい地点であったために名づけられた[1]。かつては登山道と交差して、湯の沢の源流である長沼に至る山道があったが、すでに消失している[1]

迷い平の先、道は万計沼に続いている[1]

山小屋[編集]

空沼小屋
1928年(昭和3年)、秩父宮雍仁親王の下賜金によって万計沼のほとりに建てられ、「宮様ヒュッテ」の通称で親しまれた[21]
収容人数30名[22]。管理は北海道大学が行っている[21]
老朽化により2006年(平成18年)から使用禁止となっていたが、2017年(平成29年)に修復を終えた[23]
なお、かつての空沼小屋は青い屋根だったが[24]、修復により赤く塗り直された。
万計山荘
札幌営林署定山渓営林事務所によって建設された[25]
収容人数50名[22]。ベランダが広くとられた建物で、設備が優れていることから利用者が多い[25]
ボランティアの手により活動している[26]
万計小屋
倉庫の扉のような窓を備えた、バラック式の粗末な小屋で、空沼小屋のすぐ下の川べりにあった[27]
現在は跡形もない。

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • さっぽろ文庫』北海道新聞社
    • 『札幌地名考』〈さっぽろ文庫1〉1977年9月26日。 
    • 『札幌の山々』〈さっぽろ文庫48〉1989年3月27日。ISBN 4-89363-047-4 
    • 『地形と地質』〈さっぽろ文庫77〉1996年6月27日。ISBN 4-89363-076-8 
  • 梅沢俊、菅原靖彦『北海道夏山ガイド』 (1) 道央の山々(最新第4版)、北海道新聞社、2015年9月10日。ISBN 978-4-89453-795-8 
  • 関秀志 編『札幌の地名がわかる本』亜璃西社、2018年11月16日。ISBN 978-4-906740-34-5 

外部リンク[編集]