豊後水道地震

豊後水道地震
震度分布
豊後水道地震の位置(日本内)
豊後水道地震
豊後水道地震の位置(愛媛県内)
豊後水道地震
震央の位置(気象庁)
本震
発生日 2024年令和6年)4月17日
発生時刻 23時14分48.7秒(JST)
震央 日本の旗 日本 豊後水道
震源の深さ 39 km
規模    Mj6.6
最大震度    震度6弱:愛媛県南宇和郡愛南町高知県宿毛市
津波 なし
地震の種類 スラブ内地震正断層型)
被害
死傷者数 負傷者16人[1]
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
テンプレートを表示

豊後水道地震(ぶんごすいどうじしん)とは、2024年令和6年)4月17日23時14分ごろに豊後水道で発生した気象庁マグニチュード (Mj) 6.6の地震である。愛媛県高知県で最大震度6弱を観測した。

四国地方および愛媛・高知の2県で震度6弱以上の揺れを観測した地震の発生は、いずれも気象庁が現在の震度階級を導入した1996年(平成8年)以降では初である[2][3][注 1]

震度[編集]

震度5弱以上の揺れを観測した地域は以下の通り。

震度5弱以上を観測した気象庁の発表地点
震度 都道府県 観測地点
6弱 愛媛県 愛南町
高知県 宿毛市桜町
5強 愛媛県 宇和島市丸穂・吉田町
5弱 愛媛県 宇和島市住吉町・津島町・三間町、八幡浜市五反田、大洲市肱川町、西予市野村町・城川町・宇和町・三瓶町・明浜町、内子町内子、鬼北町北町近永、愛南町船越・一本松・城辺
高知県 宿毛市片島
大分県 佐伯市蒲江蒲江浦・上浦・米水津、津久見市宮本町

このほか東海地方から九州地方にかけての広範囲で震度1以上の揺れを観測した。また韓国気象庁は、釜山慶南慶北蔚山改正メルカリ震度階級II程度の揺れを観測したと発表した[4]

高知県西部では、長周期地震動階級2を観測した。

長周期地震動に関する観測情報[5]
階級 都道府県 観測点名
2 高知県 宿毛市片島、土佐清水市有永

メカニズム[編集]

この地震の発震機構は東西方向に張力軸を持つ正断層型の地震であり[6]フィリピン海プレートの中で起きた「スラブ内地震」である[7]

南海トラフ地震との関連[編集]

この地震は南海トラフ巨大地震の想定震源域内で発生したが、想定される南海トラフ地震とはメカニズムが異なることなどから、巨大地震が発生する可能性が急激に高まったわけではないと気象庁は発表した[2][3]

被害[編集]

被害の状況 (総務省消防庁)[1]
都道府県 人的被害 (人) 住家被害 (棟)
死者 重傷 軽傷 全壊 半壊 一部破損
広島県 2 1
愛媛県 9
高知県 2 1 1
大分県 2 8
合計 0 2 14 0 0 10

この地震で16人の負傷者が確認されており、うち2人は顔の骨を折るなどの重傷を負った[1][8]。揺れが強かった四国では、各地で土砂崩れ水道管の破裂などの被害が多発している[8]

過去の主な地震[編集]

豊後水道では過去にもフィリピン海プレートのスラブ内地震と推定されている地震の記録がある[9]

1749年[編集]

寛延2年4月10日(1749年5月25日)に、宇和島城が破損し、大分では千石橋が破損した。大洲城では櫓の石垣が痛んだ[10]。M6 3/4と推定され、1968年の地震に似る[11]

1841年[編集]

天保12年9月20日(1841年11月3日)に発生し、宇和島城で塀や壁に破損があった。M6程度と推定されている[12]

1854年[編集]

安政南海地震の2日後の嘉永7年11月7日(1854年12月26日)に発生し、伊予国西部や豊後国豊前国などでは本震より強く感じられ、被害もあった[13]

1968年[編集]

昭和43年(1968年)8月6日に発生した。宇和島や大洲で震度5を観測し、M6.6と推定される。負傷者22,建物破損7、道路の損壊、山崩れがあった[14]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 愛媛県では2001年芸予地震において、防災科学技術研究所のK-NET東予で震度6弱を観測している(地震選択&ダウンロード)。当時は気象庁の発表地点ではなかったが、2004年以降は「西条市周布」観測点として気象庁発表地点に追加された。

出典[編集]

  1. ^ a b c “[https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/20240417bungosuidouwoshingentosurujishin10.pdf 豊後水道を震源とする地震による被害及び 消防機関等の対応状況(第10報)]” (PDF). 消防庁災害対策本部 (2024年4月25日). 2024年4月27日閲覧。
  2. ^ a b “気象庁、南海トラフ地震への直接的影響は否定 愛媛・高知の震度6弱”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. (2024年4月18日). https://www.asahi.com/articles/ASS4K5TNGS4KUTIL02QM.html 2024年4月18日閲覧。 
  3. ^ a b 【地震速報】愛媛県と高知県で震度6弱 津波の心配なし”. web.archive.org. NHK (2024年4月17日). 2024年4月18日閲覧。
  4. ^ “「ベッドごと揺れた」夜の釜山も飛び起きる…日本のM6.6地震に韓国でも届出140件”. 中央日報日本語版. (2024年4月18日). https://japanese.joins.com/JArticle/317583 2024年4月18日閲覧。 
  5. ^ 長周期地震動の観測結果”. 気象庁. 2024年4月18日閲覧。
  6. ^ 令和6年4月17日23時14分頃の豊後水道の地震について”. www.jma.go.jp. 気象庁. 2024年4月18日閲覧。
  7. ^ 【専門家解説】震度6弱「南海トラフのプレート境界とは別」”. NHK (2024年4月18日). 2024年4月18日閲覧。
  8. ^ a b 愛媛・高知などで負傷者12人 震度6弱地震 南海トラフ巨大地震との関連は薄い?”. NHK (2024年4月18日). 2024年4月18日閲覧。
  9. ^ 愛媛県の地震活動の特徴, 地震本部
  10. ^ 寛延2年の地震, 四国災害アーカイブス
  11. ^ 宇佐美(2003), p100.
  12. ^ 宇佐美(2003), p136.
  13. ^ 宇佐美(2003), p168.
  14. ^ 理科年表2017年版、日本付近の主な被害地震の年代表、p756

参考文献[編集]

  • 宇佐美龍夫『最新版 日本被害地震総覧 416‐2001』東京大学出版会、2003年4月。ISBN 978-4-1306-0742-1 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]