歌志内線

歌志内線
歌志内駅に停車中のキハ40 184(1986年)
歌志内駅に停車中のキハ40 184(1986年)
基本情報
現況 廃止
日本の旗 日本
所在地 北海道
種類 普通鉄道在来線地方交通線
起点 砂川駅
終点 歌志内駅
駅数 7駅
電報略号 ウタセ[1]
開業 1891年7月5日
廃止 1988年4月25日
所有者 北海道旅客鉄道
運営者 北海道旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者)
路線諸元
路線距離 14.5 km
軌間 1,067 mm狭軌
線路数 全線単線
電化区間 全線非電化
閉塞方式 タブレット閉塞式
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
函館本線
eABZq+l BHFq eABZq+r
0.0 砂川
exSTR
上砂川支線
exLSTR exhKRZWae
第二号川橋梁 北光一の沢川
北海灌漑溝
exLSTR exBHF
3.9 焼山
exKHSTe exSTR
上砂川
exBHF
8.3 文珠
exBHF
9.6 西歌
exABZgl exKBSTeq
住友歌志内砿専用線
exKBSTaq exABZg+r
北炭神威砿専用線
exBHF
11.8 神威
exBHF
13.4 歌神
exBHF
14.5 歌志内
exABZgl exKBSTeq
住友上歌志内砿専用線
exKBSTe
空知炭礦(北炭空知砿)専用線

歌志内線(うたしないせん)は、日本国有鉄道(国鉄)、および北海道旅客鉄道(JR北海道)が運営していた鉄道路線地方交通線)。北海道砂川市空知支庁管内)の砂川駅函館本線から分岐し、歌志内市の歌志内駅までを結んでいた。国鉄再建法の施行により第2次特定地方交通線に指定され、1988年昭和63年)4月25日をもって全線廃止となった[2]

路線データ(廃止時)[編集]

歴史[編集]

沿線の炭鉱から産出される石炭の積み出しのため、1891年明治24年)に北海道炭礦鉄道の手で開業した。1906年(明治39年)には鉄道国有法により買収・国有化され、官設鉄道となる。以来運炭輸送を中心に盛況を見せ、1963年昭和38年)には営業係数64と日本で4番目の黒字路線となる実績を挙げてきたが、炭鉱の衰退に伴って客貨とも輸送量が減少した。

1980年(昭和55年)の国鉄再建法施行により、1984年(昭和59年)6月に第2次特定地方交通線に指定された。一時は第三セクター化も検討された[3]が、鉄道の存続意義であった北海道炭礦汽船空知炭礦の閉山が確定的となり[5]1987年(昭和62年)に日本国有鉄道(国鉄)から北海道旅客鉄道に承継された後、1988年(昭和63年)4月に廃止、バス路線へ転換された。なお、同じように砂川駅から分岐していた運炭路線の函館本線上砂川支線は、「函館本線の一部」とされていたためこの時には廃止対象にならず、1994年(平成6年)に廃止された。

なお、1982年度の営業係数は394だった。

また、終点の歌志内駅から根室本線茂尻駅もしくは平岸駅まで延伸する構想もあった。

  • 1891年明治24年)7月5日 北海道炭礦鉄道が砂川 - 歌志内間 (8M64C) を空知線の一部として開業。歌志内駅を新設。
  • 1896年(明治29年)10月21日 神威駅を新設。
  • 1901年(明治34年)9月 空知線から分離し、空知線の歌志内支線となる。
  • 1906年(明治39年)10月1日 砂川 - 歌志内 (8.9M) を買収、国有化。
  • 1909年(明治42年)10月12日 国有鉄道線路名称制定により、砂川 - 歌志内間が歌志内線となる。
  • 1946年昭和21年)11月1日 文珠仮乗降場を新設。
  • 1947年(昭和22年)2月20日 文珠仮乗降場を駅に昇格させ、貨物の取扱いを開始。
  • 1960年(昭和35年)
    • 2月 文珠駅を民間に委託。
    • 3月 ディーゼルカー運行開始。これにより客貨分離が図られ、砂川 - 歌志内間の旅客運輸所要時間が従来の半分程度、20分余りに短縮された。
    • 12月26日 歌神駅(旅客のみ取扱い)を新設。
  • 1961年(昭和36年)
    • 2月10日 西歌駅を新設。文珠駅の貨物取扱いを廃止。
    • 12月25日 焼山駅(旅客のみ取扱い)を新設。
  • 1972年(昭和47年)3月15日 西歌駅・神威駅の貨物取扱いを廃止。
  • 1984年(昭和59年)6月22日 第2次特定地方交通線として廃止承認。
  • 1986年(昭和61年)11月 砂川駅・歌志内駅を除き、乗車券の販売を廃止。
  • 1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割民営化に伴い、北海道旅客鉄道(第1種)と日本貨物鉄道(第2種)へ移管。
  • 1988年(昭和63年)4月25日 全線 (14.5km) を廃止し[2]北海道中央バスの焼山線に転換。
  • 2019年(平成31年)3月31日 転換後の北海道中央バスの焼山線が廃止。

沿線概況[編集]

砂川で北へ向かう函館本線から分かれて東へ向かい、ペンケウタシナイ川に沿って歌志内市の中心部まで走る。砂川から文珠駅付近までは北海道道627号文珠砂川線、以東は北海道道114号赤平奈井江線と並行する。

廃線後の状況[編集]

焼山 - 歌志内では、廃線跡がサイクリングロードとして整備されている。

代替交通[編集]

廃線後は代替バスとして、上述の北海道道627号文珠砂川線を経由して砂川と歌志内を結ぶ北海道中央バス「焼山線」が設定された。ただしそれ以前より、砂川と歌志内を北海道道115号芦別砂川線上砂川町経由で結ぶ(砂川-上砂川間は上述の上砂川支線の経路に近い)バス路線「歌志内線」も設定されている。

「焼山線」は1997年度に、年間で約8万4千人の利用客があったが、2006年の砂川北高等学校の廃校などにより、2016年度には約3万5千人にまで減少。国・北海道・砂川市・歌志内市による2018年度の赤字補填は2589万円に上る見通しとなり、中央バスとの協議の結果、2019年3月31日限りで廃止された[6][7][8]。利用者数が国の基準を割ったことを理由に、2018年10月以降は国の補助金打ち切りが決まったことも、廃止の決め手となった[9][10]。なお、バス「歌志内線」は引き続き運行されている。

「焼山線」の廃止直前の状況(2018年12月1日ダイヤ改正時点)
  • 砂川市立病院 - 晴見団地 - 焼山 - 歌志内市街 - 上歌新栄町 上下8往復(休日7往復)[11]

駅名標[編集]

2021年から2022年にかけて旧歌志内線のうち歌志内市にあった5駅に駅名標レプリカを駅跡地に設置する事業が行われた[12]

駅一覧[編集]

全駅北海道内に所在。所属路線の事業者名は、歌志内線廃止時。

駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地
砂川駅 - 0.0 北海道旅客鉄道:函館本線(本線・上砂川支線 砂川市
焼山駅 3.9 3.9  
文珠駅 4.4 8.3   歌志内市
西歌駅 1.3 9.6  
神威駅 2.2 11.8  
歌神駅 1.6 13.4  
歌志内駅 1.1 14.5  

脚注[編集]

  1. ^ 日本国有鉄道電気局『鉄道電報略号』1937年2月15日、24頁。 
  2. ^ a b “歌志内線 96年の歴史閉じる”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1988年4月25日)
  3. ^ 交友社鉄道ファン』1986年9月号53ページに「今後第三セクター化されて生まれ変わる路線」として掲載されている。
  4. ^ 当社のあゆみ - 北海道炭礦汽船
  5. ^ 空知炭礦は1995年に閉山した[4]
  6. ^ 『プレス空知』 2018年12月5日号「中央バス焼山線廃止へ」
  7. ^ 2019年4月1日夏ダイヤ改正に伴う 路線廃止のおしらせ - 北海道中央バス
  8. ^ 中央バス「焼山線」の廃止について - 歌志内市
  9. ^ 路線バス「焼山線」の地域説明会 投稿日:2018年07月06日 活動日誌 - 小黒弘(砂川市議)
  10. ^ 平成30年度 自動車局関係予算概要 - 国土交通省自動車局 「複数市町村にまたがる系統」バスへの補助基準は、「輸送量が15人~150人/日と見込まれること」。
  11. ^ 中央バス30年冬ダイヤ時刻表 砂川管内 - 北海道中央バス
  12. ^ 歌志内線の駅名標 5駅跡地に再現 市「来訪のきっかけに」”. 北海道新聞 (2022年8月19日). 2022年8月19日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]