東京都立墨東病院

東京都立墨東病院
東京都立墨東病院外観
情報
正式名称 東京都立墨東病院[注釈 1]
英語名称 Tokyo Metropolitan Bokutoh Hospital
標榜診療科 内科、消化器内科、呼吸器内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科 、神経内科、血液内科、循環器内科、精神科、小児科、リウマチ科、放射線科、感染症内科、病理診断科 、外科、肝臓・胆のう・膵臓外科、乳腺外科、内視鏡外科、心臓血管外科、呼吸器外科、整形外科、リハビリテーション科、脳神経外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、麻酔科、救急科、産婦人科、新生児内科
許可病床数 765床
一般病床:719床
精神病床:36床
感染症病床:10床
機能評価 一般病院2 3rdG:Ver.1.1
開設者 東京都立病院機構
管理者 足立 健介(院長)
開設年月日 1961年4月1日
所在地
130-8575 
東京都墨田区江東橋4丁目23番15号
位置 北緯35度41分41秒 東経139度49分6秒 / 北緯35.69472度 東経139.81833度 / 35.69472; 139.81833
二次医療圏 区東部
PJ 医療機関
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東京都立墨東病院(とうきょうとりつぼくとうびょういん)は、東京都墨田区江東橋にある医療機関。地方独立行政法人東京都立病院機構が運営している病院である。1978年日本で初めて精神科救急医療事業(ER)を開始した[2]

沿革[編集]

  • 1961年4月 - 墨田区江東橋に墨田病院と本所病院を統合して設立
  • 1972年4月 - 救急病棟100床増築
  • 1978年11月 - 精神科病棟(28床)を開設。精神科救急事業を開始[2]
  • 1985年11月 - 救命救急センター(20床)開設
  • 2016年2月 - 高度救命救急センターに指定
  • 2017年4月 - 地域がん診療連携拠点病院に指定
  • 2022年7月1日 - 東京都(病院本部)から地方独立行政法人東京都立病院機構に移行[3]

診療科目[編集]

内科系
  • 消化器内科
  • 呼吸器内科
  • 内分泌代謝科
  • 腎臓内科
  • 神経内科
  • 血液内科
  • 総合診療科
  • 循環器科
  • 神経科(精神科)
  • 小児科
  • リウマチ膠原病科(内科系)
  • 診療放射線科
  • 感染症科
  • 輸血科
  • 内視鏡センター
  • 病理診断科
外科系
  • 上部消化管外科
  • 下部消化管外科
  • 肝胆膵外科
  • 乳腺外科
  • 内視鏡外科
  • 心臓血管外科
  • 呼吸器外科
  • 整形外科
  • リハビリテーション科
  • 脳神経外科
  • 形成外科
  • 皮膚科
  • 泌尿器科
  • 眼科
  • 耳鼻咽喉科
  • リウマチ膠原病科(外科系)
  • 歯科口腔外科
  • 麻酔科
救急
周産期
  • 産婦人科
  • 新生児科

問題となった事件・不祥事[編集]

2005年[編集]

医師による準強制わいせつ事件[編集]

胸部心臓血管外科部長(当時)が、検査を装い、女性患者5人の全裸写真を撮影したとして、準強制わいせつ罪に問われたもの。2005年7月26日に公判が東京地裁であり、検察側は「医師の立場を利用した卑劣な犯行」などと指摘し、懲役6年を求刑した。9月13日、東京地裁は、懲役3年10カ月の実刑判決を言い渡した[4]

2008年[編集]

妊婦たらい回し死亡事件[編集]

東京都内の妊婦(36歳・当時)は2008年10月4日の夜、脳内出血による激しい嘔吐と頭痛を訴えて、かかりつけの産婦人科に救急車で運ばれた。担当した女性医師は緊急手術が必要との判断から、都立墨東病院に受け入れを要請する。同院はリスクの高い妊娠に24時間対応する「総合周産期母子医療センター」に指定されていた。ところが返ってきた答えは、「当直医が1人で、受け入れられない」というものだった。都立墨東病院は、2004年から医師の退職が相次いでおり、産科の場合は常勤1人と研修医1人が辞めていた。人手が足りず、2008年7月から土日祝日の当直医を2人から1人に減らしていた。妊婦が運ばれた日は、不運にも土曜日だった。かかりつけの産婦人科の担当医は、さらに6病院にも受け入れを求めたがすべて断られる。結局、墨東病院は2回目の要請で妊婦を受け入れたが、最初の要請から1時間以上が経過。帝王切開で子供は無事に生まれたが、女性は3日後に亡くなった[5][6]

2009年[編集]

患者個人情報271人分など流出[編集]

2009年1月29日、東京都病院経営本部は、都立墨東病院の患者情報などを含むデータがWinnyで流出したことを公表した。患者の氏名、年齢、性別、疾患名など271人分をはじめ、職員の氏名、住所、電話番号が64人分、委託職員の会社名と氏名が291人分、その他14人分の氏名とメールアドレスが含まれる。1月25日に外部から指摘があり、調査した結果、同病院の看護職員がUSBメモリに保存していた業務資料や、別の事務職員が作成した資料などが流出していることが判明した。2008年7月、この看護職員のUSBメモリ内のデータを修復するため、事務職員が自宅PCで作業を行ったが、その後、Antinnyウイルスに感染。事務職員のPC内から2008年12月30日にデータが流出したという。墨東病院では、個人情報の職場外への持ち出し禁止などを再度周知徹底するほか、自宅などのPCについてもWinnyなどのファイル交換ソフトの使用を禁止するとしている[7]

2013年[編集]

医療用麻薬紛失事件[編集]

2013年8月28日、東京都病院経営本部は、都立墨東病院で、医療用麻薬の紛失があったことを発表した。発表によると、23日の夕方、墨東病院薬剤科の職員が処方せんと施用票をチェックしたところ、同病院病棟で保管していた医療用麻酔の麻酔用鎮痛剤フェンタニル0.5mg/10ml」の未使用2本、および使用済2本のアンプルが返却されておらず、所在が不明となっていることが判明したという。ただちに関係する職員の聴取や、院内捜索を実施したものの、発見にいたらなかったため、26日に東京都福祉保健局健康安全部に報告するとともに、本所警察署に紛失届を提出した[8]

2017年[編集]

院長天下り問題[編集]

2017年3月まで都立墨東病院の院長だった人物が、同年9月に一般社団法人が新設した病院(江東区北砂)の院長に就任した問題。同病院が、都立墨東病院から2~3キロという至近距離にあるため、「公務員が利害関係先へ天下っていいのか」と、江東区医師会より異論が呈されたとされるもの。なお、本件について、東京都の病院経営本部は「利害関係とは許認可や補助金、行政権限に関わることをいう。医療機関同士の就職活動は利害関係という位置づけにはならない」旨の説明をしている[9]

2019年[編集]

薬剤師違法労働・パワハラ事件[編集]

都立墨東病院の薬剤科で働いた薬剤師(20代女性)が、違法長時間労働や給料の未払いに遭い、また上司からパワハラを受けたという事件。具体的には、夜勤練習、勉強会への強制参加、前超勤(勤務時間以前から出勤させること)、超過勤務申請の揉み消し、タイムカード打刻後の残業の強要といった無給の残業の強要、「上の人たちはできていた仕事ができていない。能力がない。」といった言葉が毎日のように投げかけられる、有給休暇取得を妨害するといったパワー・ハラスメントが行われていた、といった被害が元薬剤師側から申告された。元薬剤師側は、2019年9月3日、超過勤務手当の支払いとパワー・ハラスメントの慰謝料の支払い等を求めて、東京地裁に提訴した。2021年3月18日、東京都が、11項目にわたる職場改善の約束を行うこと、80万円の解決金の支払いを行うことで和解が成立している[10][11]

準強制性交未遂等わいせつ事件[編集]

2019年11月8日、東京都は、飲み会後の二次会で女性3人にそれぞれわいせつな行為をしたとして、都立墨東病院の神経科所属の医師3人を懲戒免職処分とした。うち1人は準強制性交未遂の罪で逮捕起訴され東京地裁で公判中とのこと。起訴されたのは非常勤の臨床医(31歳)で、東京地裁での公判では認否を留保したという。ほかに、常勤医の医師1名(38歳)と非常勤の医師1名(30歳)はいずれも書類送検後に不起訴となった。都によると、3人は2019年7月、うち1人の自宅で被害女性らとともに飲み会の二次会をしていた際、それぞれ女性1人ずつに対し、馬乗りになって自分の下着を下ろしたり、を触ったりするわいせつな行為をした。女性らにけがはなく、薬物などの使用も確認されていないという[12]

2020年[編集]

患者個人情報記載書類紛失[編集]

2020年1月8日、東京都は、都立墨東病院にて患者の個人情報を記載した書類の紛失が発生したと発表した。同院の非常勤医師により、鞄ごと紛失されたと推測される診療情報提供書には、都立墨東病院患者1名の患者氏名、患者ID、生年月日、性別、年齢、傷病名が記載されていた。当該医師は1月7日、都内の警察に遺失物届を提出、その後複数の職員で捜索したが発見には至っていない。同院では1月8日に、当該患者に対し謝罪と説明を行い、再発防止のため職員全員に本件周知と個人情報の漏えい防止について注意喚起を実施し、情報管理の徹底を図るよう指示を行った[13]

メール誤送信で患者個人情報流出[編集]

2020年4月3日、都立墨東病院が「IAレポートシステム保守点検委託」を委託している株式会社セノーが、同システムの導入を検討している他病院において、説明のため同システムの画面のスクリーンショット画像をメールで送信する際、宛先のメールアドレスを誤り、画像に記載された都立墨東病院患者の個人情報が流出した。マスキング暗号化の処置はされていなかった。誤送信先にメール削除の依頼を送信したが連絡はないという。また、同社は、患者情報を含む画像を第三者に提供する旨の許可を都立墨東病院に取っていなかった。同社は流出の関係者に電話または訪問にて説明と謝罪を行っている[14]

2021年[編集]

緊急事態宣言中に長時間会食でコロナ感染[編集]

2021年3月13日、東京都は、新型コロナウイルス患者を受け入れる都立墨東病院で、医師や看護師など男女5人が感染したと発表した。緊急事態宣言中の3月4日に、マスクを外して、深夜まで長時間会食をしていたもの。5人は、同日勤務後、病院近くの居酒屋で午後6時~8時ごろに飲み会を開き、その後、研修医の自宅に場所を移し、最長午前零時ごろまで二次会を続けた。5人は飲酒し、マスクは着用していなかった。その後、5人全員の感染が確認された。病院は、コロナ禍にあっては、宣言期間に限らず、不特定多数での会食を自粛するよう呼び掛けてきており、5人を厳重注意とした[15][16][17]

新型コロナウイルス感染[編集]

  • 2020年(令和2年)
    • 4月14日、都と東京都立墨東病院は、入院患者ら4人が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。他の患者や看護師ら4人にも発熱がある。病院は、集団感染が起きた可能性もあるとみている[18]
    • 4月15日、東京都立墨東病院は、20名の検査を実施、15日現在14名の結果が判明し、陽性2名、陰性12名を確認した[19]
    • 4月18日、都と東京都立墨東病院は、入院患者ら11人の感染が新たに確認されたと発表した。累計の感染者は23人になった。院内感染が拡大した恐れが高いという[20]
    • 4月22日、東京都立墨東病院は、新たに患者3名と職員9名計12名の感染者が判明し、累計の感染者が39人となった。これに伴い、診療体制について運用の見直しを行う[21]
    • 4月27日、新たに委託職員1人の感染が判明し、累計の感染者が42人となった。また、同日までに病院関係者740人余りのPCR検査が終了し、約700人の陰性が確認された[22]
    • 5月15日、都立墨東病院は、院内感染が複数例判明し診療体制を4月20日より縮小していたが、感染防止体制が整ったため通常診療を再開した[23]

交通アクセス[編集]

病院公式サイトを基に記載

関連人物[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 地方独立行政法人東京都立病院機構定款第17条[1]に定める、東京都立病院機構が設置する施設としての記載によると法人名は、名称に含まれていない。

出典[編集]

  1. ^ 地方独立行政法人東京都立病院機構定款
  2. ^ a b 窪田彰. “みんなのメンタルヘルス - 第7回:こころの病気と就労”. 厚生労働省. 2013年8月11日閲覧。
  3. ^ 東京都立墨東病院(「地方独立行政法人」移行のご挨拶)
  4. ^ 都立墨東病院、元医師による準強制わいせつ事件で特別調査委員会の報告書を公表”. 日経メディカル (2005年7月28日). 2023年1月18日閲覧。
  5. ^ 「首都東京を「たらい回し」にされ「36歳妊婦」は死んだ」『週刊文春』(2008年10月30日号)p.35-37
  6. ^ 「産科医不足」はここまで来た 東京でも土日祝日は「無医村状態」”. J-CASTニュース (2008年10月25日). 2023年1月18日閲覧。
  7. ^ 東京都立墨東病院、患者の個人情報271人分などWinny流出”. INTERNET Watch ホームページ (2009年1月30日). 2023年1月18日閲覧。
  8. ^ 都立墨東病院で医療用麻薬紛失”. QLifePro 医療ニュース (2013年8月31日). 2023年1月18日閲覧。
  9. ^ 地元医師会が猛反発 都立病院長が同エリアに露骨な天下り”. 日刊ゲンダイDIGITAL (2017年4月25日). 2023年1月18日閲覧。
  10. ^ 初日に上司が「残業代・有休なし」宣言 都立墨東病院の元薬剤師が明かす“壮絶パワハラ””. 文春オンライン (2020年1月30日). 2023年1月18日閲覧。
  11. ^ 都立墨東病院 薬剤師パワハラ・残業代未払い事件 勝利和解”. 東京法律事務所ブログ (2021年3月20日). 2023年1月18日閲覧。
  12. ^ 「医師3人が女性にわいせつ 都立墨東病院、懲戒免職」産経新聞(2019年11月8日)
  13. ^ 都立墨東病院における患者個人情報を記載した書類の紛失について”. 東京都 病院経営本部 (2020年1月18日). 2023年1月18日閲覧。
  14. ^ 都立墨東病院の受託会社による患者情報の誤送信について”. 東京都 病院経営本部 (2020年4月6日). 2023年1月18日閲覧。
  15. ^ 都立墨東病院職員の新型コロナウイルス感染について(第1767報)”. 東京都 新型コロナウイルス感染症対策本部 (2021年3月13日). 2023年1月19日閲覧。
  16. ^ 都立墨東病院の医師ら5人、コロナ感染 長時間会食”. 日本経済新聞 (2021年3月13日). 2023年1月19日閲覧。
  17. ^ <新型コロナ>都立墨東病院の医師ら5人が長時間会食で感染 マスク着用せず飲酒”. 東京新聞 (2021年3月13日). 2023年1月19日閲覧。
  18. ^ 墨東病院で入院患者ら4人感染 感染症の指定医療機関、院内感染か”. 読売新聞 (2020年4月14日). 2020年4月14日閲覧。
  19. ^ 都立墨東病院における新型コロナウイルス感染者の発生について(第二報)”. 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部 (2020年4月15日). 2020年4月15日閲覧。
  20. ^ 感染症の指定機関、都立墨東病院で新たに11人の感染確認 新規受け入れ原則中止へ”. 朝日新聞 (2020年4月18日). 2020年4月18日閲覧。
  21. ^ 都立墨東病院における新型コロナウイルス感染者の発生について(第七報)(第232報)”. 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部 (2020年4月22日). 2020年4月22日閲覧。
  22. ^ 都立墨東病院 新たに委託職員1人感染確認で計42人に”. NHK (2020年4月27日). 2020年4月27日閲覧。
  23. ^ 都立墨東病院の通常診療再開について(第348報)”. 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部 (2020年5月15日). 2020年5月16日閲覧。

外部リンク[編集]