わが心のかもめ

ミュージカル わが心のかもめ
ジャンル テレビドラマ
原作 曽野綾子『我が恋の墓標』より
脚本 寺山修司
演出 岡崎栄
出演者 吉永小百合
加藤剛
浜田寅彦
山本學
芦田伸介
オープニング 作曲:山本直純
製作
制作 NHK
放送
音声形式モノラル
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1966年3月22日
放送時間20:00 - 21:00
放送分60分
回数1
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わが心のかもめ』(わがこころのかもめ)は、1966年3月22日の20時00分 - 21時00分にNHK総合テレビで放送されたミュージカルドラマである。

概要[編集]

曽野綾子の『わが恋の墓標』を原作にとり、寺山修司がミュージカルとして脚本したテレビドラマである。1964年フランス映画シェルブールの雨傘』に触発されて制作された。

主演は吉永小百合加藤剛が務めた(両者はミュージカル初経験)。音楽は山本直純が手掛けた。演出は、後に『天と地と』や『大地の子』(脚本)を務める岡崎栄が担当した。

2004年2月1日に『NHKアーカイブススペシャル』で再放送された。NHK番組公開ライブラリーに所蔵されており、視聴が可能である。また2008年には、「NHKアーカイブス特選ドラマ名作集」として、DVDでビデオソフト化された。

あらすじ[編集]

物語は、締切に追われていた劇作家・石橋が、思いつきで担当者に語った戯曲という形式をとる。

ある雨の日、旅行会社に勤める東千江は、人形劇団の演出家・北原潔と出会い、恋に落ちる。しかし、千江には借金を抱えた父・力衛がおり、結婚を阻む不安要素として、千江を悩ませていた。

ある日、力衛が事故に遭ってしまう。このことがきっかけで、千江をめぐる環境が変わっていく…。

キャスト[編集]

ほか

スタッフ[編集]

現存する映像について[編集]

このドラマは当初、2インチVTRに収録された。しかし、当時のVTRは非常に高額だったため、テープを使いまわすために映像を消去することが一般的であった。このため、VTRをフィルムに転写して散逸を防いだ。現存するVTRは、そのフィルムを再びコピーしたものである。

長年、この番組の映像を収録したテープ等が行方不明であり、すでに消失したものと認識されていた。しかし、2003年に、NHK番組の所蔵施設「NHKアーカイブス」を埼玉県川口市に設立するため、東京都渋谷区NHK放送センターから川口市へ、過去のNHK番組テープなどを移行させた際に、偶然発見された[1]。ただし、その映像は放送当時に比べて大きく劣化した部分があり、そのままでの再放送およびライブラリー公開は困難とされた。

そこで、2004年にテレビ番組の『NHKアーカイブス』で再放送するにあたり、画像および音声の修復作業が行われた。中でも、後半のある場面では、吉永と加藤のセリフのうち、聞き取りづらいほど音声が劣化していた箇所(約3分間)を、吉永と加藤が新たにアフレコした[1]。2人にとって、38年ぶりに千江と潔を演じたことになる。その後、声質・音質を加工・調整した上で、放送当時の音声を再現した。これらの経過についても同番組でとりあげられ、DVDビデオソフトにも特典として収録された。

現在[いつ?]、NHKアーカイブスをはじめとした各地のNHK関連施設に設置されている「番組公開ライブラリー」にて所蔵・公開されている映像[2]、およびDVDでビデオソフト化された映像は、以上の修復作業を経たものである。

その他[編集]

番組『NHKアーカイブス』の中で、寺山修司のかつての妻で、活動をともにした九條今日子がインタビューを受けた。九條は、寺山が劇団・天井桟敷の結成(1967年)以前に手掛けた演劇作品の中で、映像が現存するという点で驚いたという。また、九條は内容について「寺山の、特に詩人としてのエッセンスが詰まった作品」と評した。

同番組の中で、新録音にあたって吉永は「この作品の歌を今でも口ずさむことがある」とその思い入れについてコメントし、加藤も「38年前の自分がライバルのようだ」と語った。

脚注[編集]

  1. ^ a b “小百合さん、幻の映像発見 38年前のNHKドラマ”. 共同通信社. 47NEWS. (2004年1月21日). オリジナルの2014年4月9日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140409210457/http://www.47news.jp/CN/200401/CN2004012101003773.html 2013年3月17日閲覧。 
  2. ^ 番組公開ライブラリーには、修復等のインタビューを含めた再放送時の映像と、本編だけの2種類が所蔵されている。

外部リンク[編集]