W型8気筒

W型8気筒(ダブリュがたはちきとう)はピストン内燃機関レシプロエンジン)のシリンダー配列形式の一つで、W8と略されることもある。

解説[編集]

旧来のW型エンジン直列エンジンを3つのバンクに組み合わせたもので、気筒数も3の倍数となる。ここで解説するフォルクスワーゲンが開発・製造したものはそれらとは異なり、同社が得意とする15度のバンク角を持つ狭角V型エンジンであるVR6が元になっており、その2気筒を落とした狭角V型4気筒エンジンを、72度の角度で2基配置することでW型8気筒を実現している[1]W8という略称で呼ばれるとおり気筒数は4の倍数となり、市販エンジンでは唯一のW型8気筒となる。

W8エンジンの最大の特徴は、強力な出力・トルク性能を持ちながらも、非常にコンパクトで、V型6気筒サイズのエンジンルームにも搭載が可能ということである。他の利点としては、VR6シリーズと共通の部品やコンポーネントが利用出来るということであった。

W8エンジンの開発は、フォルクスワーゲンの総帥であったフェルディナント・ピエヒ博士のリーダーシップによって推進され、2001年から2005年までフォルクスワーゲン・パサートの最上級モデルに搭載された。W8エンジンの製造工程は複雑だったため、またW8エンジンを搭載したパサートはフェートンが販売されない地域ではフォルクスワーゲンのフラッグシップモデルという位置付けだったため、年間生産台数は1万台程度に留まった。

パサートは2006年にモデルチェンジを行い、W8エンジン搭載モデルは廃止され、VR6エンジンに変更された。このため、市販された唯一のW8エンジン搭載車は、2001年から2005年までに製造されたパサートの最上級モデルのみである。

排気量4.0 L、最大出力202 kW (275 PS)/6,000 rpm、最大トルク370 N m (273 ft·lbf) /2,750 rpmという高い性能を誇り、さらに他の高級車メーカーが使用するV型8気筒エンジンよりも低燃費となるよう設計が行われた。 各シリンダーバンクのインテークマニホールドは共鳴効果を利用して吸気効率を高めた2ステージ可変長インテークマニホールドが採用され、エンジンの固有振動を打ち消すために2本のバランサスシャフトを有したDOHCシリンダーヘッドが組み合わされた。

脚注[編集]

  1. ^ W型8気筒という奇策:狭角VをさらにV型に(フォルクスワーゲンのW型エンジン)”. モーターファン・テック (2019年4月28日). 2019年6月10日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]