賢島宝生苑

賢島宝生苑
Kashikojima Hojoen
玄関周辺(2019年撮影)
玄関周辺(2019年撮影) 地図
ホテル概要
正式名称 賢島宝生苑
設計 竹中工務店[1]
施工 竹中・大日本土木清水共同企業体[1]
運営 賢島宝生苑
所有者 近鉄レジャーサービス
前身 新賢島荘、第三賢島荘
階数 1 - 10階
レストラン数 2軒
部屋数 169室
シングル数 0室
敷地面積 73,421[1]
建築面積 15,694[1]
延床面積 39,419[1]
駐車場 200台
開業 1995年7月7日
最寄駅 近鉄志摩線賢島駅[1]
最寄IC 伊勢自動車道伊勢西インターチェンジ
第二伊勢道路鳥羽南・白木インターチェンジ
所在地 〒517-0502
三重県志摩市阿児町神明718番地3
位置 北緯34度18分19.4秒 東経136度49分18.1秒 / 北緯34.305389度 東経136.821694度 / 34.305389; 136.821694座標: 北緯34度18分19.4秒 東経136度49分18.1秒 / 北緯34.305389度 東経136.821694度 / 34.305389; 136.821694
公式サイト 公式サイト
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株式会社賢島宝生苑
Kashikojima Hojoen
種類 株式会社
市場情報 非上場
略称 宝生苑
本社所在地 日本の旗 日本
517-0502
三重県志摩市阿児町神明718番地3
設立 1949年10月5日
業種 サービス業
法人番号 1190001008139 ウィキデータを編集
事業内容 旅館・飲食店経営
代表者 代表取締役社長 斉藤悦啓
資本金 1000万円
従業員数 252人
支店舗数 1
主要株主 近鉄レジャーサービス
外部リンク http://www.hojoen.com/
特記事項:※志摩観光ホテル株式会社として設立。
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賢島宝生苑(かしこじまほうじょうえん[2])は、三重県志摩市賢島にある旅館。近鉄レジャーサービスが経営権を持ち、同社の子会社である株式会社賢島宝生苑が運営する[3]

2016年(平成28年)5月26日27日の両日に開かれた第42回先進国首脳会議では、議長の安倍晋三の宿泊[4] および議長国記者会見の会場として利用された[5]

概要[編集]

志摩観光ホテル株式会社が経営していた2軒の旅館の間に「パブリック施設」と渡り廊下を増築して1軒の旅館として開業した[1]。旅館名の「宝生」は立地場所の地名「宝生の鼻」に由来し、昭和天皇植物観察に訪れた地である[2]

設計監理竹中工務店施工は竹中・大日本土木清水共同企業体[1]。建物は数寄屋造りを基本とした鉄骨鉄筋コンクリート構造鉄筋コンクリート構造で、人と環境に優しい純和風旅館を目指したものである[1]。パブリック施設は、3階分の吹き抜けになったアトリウム和風庭園が核となっており、天井照明により朝・夕・夜の景色を演出し[1]、水音を立てる人工もある[6]。3階分の吹き抜けの大浴場、600畳(≒1,094.43m2)の大宴会場、コンベンションホール結婚式場も設置されている[1]。娯楽設備としてカラオケルームボウリング場がある[7][8]

客室棟は「華陽」(かよう)・「燦陽」(さんよう)・「雅」(みやび)の3棟あり[7]、全室から英虞湾が望める[6][9]。「華陽」は賢島宝生苑開業時に新設した棟で賢島宝生苑の中核を成し、「燦陽」は旧・第三賢島荘を全面改装、「雅」は旧・新賢島荘を改装したものである[9]2000年代の年間宿泊者数は約15万人であった[10]

たびたび囲碁将棋大会の会場となり、棋聖戦(2009年2月、山下敬吾依田紀基[11]天元戦(2001年11月:柳時熏羽根直樹[12]名人戦(2015年10月:井山裕太高尾紳路[13]王位戦(2011年7月:広瀬章人羽生善治、2004年8月:谷川浩司対羽生善治)[14]、第33回全国高等学校総合文化祭将棋大会(2009年7月)[15] が行われている。このほか、毎年10月22日の真珠祭(円山公園)が雨天の場合に代替会場となり[16][17]2005年(平成17年)11月12日13日には第18回日本トレーニング科学会が開催された[18]

株式会社賢島宝生苑は、旅館「賢島宝生苑」のほか、鵜方駅賢島駅の軽食堂「ラ・ペルル」を運営していた[19]

温泉[編集]

浴場は伊勢志摩温泉「朝なぎの湯」・「夕なぎの湯」であり、露天風呂を備える[6][7][8]。「朝なぎの湯」が男湯、「夕なぎの湯」が女湯である[8]。日帰り入浴は昼食利用を条件に受け入れている[8]

泉質はナトリウム・塩化物炭酸水素塩泉[7][8][20]、低張性、弱アルカリ性、高温泉[8]2006年(平成18年)12月16日に開湯した[20][21]。内湯は既存施設を改修、露天風呂は新設し[20]、開発費用は約6億円だった[20][22]。泉温は44、湧出量は173t/日[20][21]

歴史[編集]

運営会社は、1949年(昭和24年)10月5日三重県庁近畿日本鉄道三重交通の三者協議を経て志摩観光ホテル株式会社として設立された[23]。社名と同名の志摩観光ホテルのほか、旅館「賢島荘」・「新賢島荘」・「第三賢島荘」・「賢島別館」と阿児町からの受託で国民宿舎「賢島ロッジ」を経営していた[24]

1995年(平成7年)7月7日、賢島宝生苑が開業した[9]。新賢島荘と第三賢島荘[9] の2軒の旅館を増築により統合、「賢島宝生苑」として1軒の旅館とした[1]。増築工事は1993年(平成5年)11月から1995年(平成7年)6月に行われ[1]、増築棟は「華陽」と命名された[9]。このほか賢島別館(旧・新賢島ロッジ)を「賢島宝生苑賢島別館」に改名した[9]。これにより、225室889人収容の[9]伊勢志摩地域最大級の旅館となった[1]。しかし修学旅行生を主に受け入れていた賢島別館は稼働率が50%を切る状況が続いたため、1999年(平成11年)1月に閉鎖した[25]。同時に賢島ロッジを閉鎖している[9]。さらに志摩観光ホテル株式会社自体も経営環境が厳しく、同年4月1日に志摩観光ホテルを近鉄ホテルシステムズ(現・近鉄・都ホテルズ)に譲渡し賢島宝生苑の経営だけを行うことになったため、株式会社賢島宝生苑に改めた[25]

2000年(平成12年)2月18日には1億円をかけて結婚式用チャペル「シンフォニー」を整備した[26]2004年(平成16年)1月、近鉄は事業再編計画を発表、株式会社賢島宝生苑を同年3月31日付で近鉄レジャーサービスに吸収合併することに決定した[27]。この合併で旅館の所有者は近鉄レジャーサービスとなったが、同社が子会社として株式会社賢島宝生苑を再設置し運営を委託することになった[3]。合併問題が一段落した同年2月10日には、志摩郡5町(浜島町大王町志摩町・阿児町・磯部町⇒志摩市)の合併協定書の調印式が開かれた[28]

2005年(平成17年)10月、閉鎖した旧賢島別館を貸与し、同館は代々木高等学校の本校校舎に転用された[29]。同月に近鉄は「伊勢志摩事業計画」の一環として賢島宝生苑の温泉開発を開始し、2006年(平成18年)4月に旧賢島別館の地下1,800mで掘り当てた[21]。同地から約900mのパイプを宝生苑まで引き、同年12月26日に伊勢志摩温泉として営業を開始した[21]2007年(平成19年)10月21日には真円真珠発明100周年を記念した「伊勢志摩真円真珠誕生100周年記念フォーラム」を[30]2015年(平成27年)9月6日には第1回賢島映画祭を開催した[31]。 2016年(平成28年)5月に開かれた伊勢志摩サミットでは、各国首脳が志摩観光ホテルに宿泊する中、安倍晋三は賢島宝生苑10階の貴賓室「鳳凰」(ほうおう)に宿泊した[4]。またサミット終了後、中庭で安倍が議長国会見を開いた[5]2019年(令和元年)6月27日テレビ東京系列で放送された『太川蛭子の旅バラ』内の企画「ローカル鉄道寄り道旅」では、目標金額10万円を達成した太川陽介蛭子能収真野恵里菜の一行がここで豪華ディナーを堪能した[32]

交通[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 久保田・近藤(1996):81ページ
  2. ^ a b スポット情報 賢島宝生苑”. 近畿日本鉄道. 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月16日閲覧。
  3. ^ a b "「これまで通りサービス提供」 高級旅館「賢島宝生苑」合併"朝日新聞2004年1月24日付朝刊、三重版24ページ
  4. ^ a b 「サミット」志摩観光ホテル、オランド・オバマ両大統領の宿泊部屋など公開”. 伊勢志摩経済新聞 (2016年6月6日). 2016年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月16日閲覧。
  5. ^ a b 伊勢志摩サミット2016 閉幕(その1) 三重ブランド発信”. 毎日新聞 (2016年5月28日). 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月16日閲覧。
  6. ^ a b c d e f 賢島宝生苑の宿泊施設・温泉情報”. 観光三重. 三重県観光連盟. 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月16日閲覧。
  7. ^ a b c d e 賢島宝生苑(温泉)”. 志摩市観光協会. 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月16日閲覧。
  8. ^ a b c d e f 環境省_国立公園へ出かけよう!_志摩_施設紹介_賢島宝生苑”. 環境省. 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月16日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h 近畿日本鉄道株式会社(2010):450ページ
  10. ^ 「伊勢志摩、グループで集客 リゾート施設 連携強化 大型投資推進」日本経済新聞2007年10月12日付朝刊、地方経済面 中部7ページ
  11. ^ 「囲碁棋聖戦、山下が王手」日本経済新聞2009年2月27日付朝刊、38ページ
  12. ^ 「囲碁天元戦、柳が先勝」日本経済新聞2001年11月3日付朝刊、34ページ
  13. ^ 「井山名人 防衛 囲碁」朝日新聞2015年10月7日付朝刊、総合面1ページ
  14. ^ 「広瀬王位が先勝」日本経済新聞2004年8月6日付朝刊、38ページ
  15. ^ 「女子部員2人 将棋 第33回全国高校総合文化祭」朝日新聞2009年6月21日付朝刊、三重版35ページ
  16. ^ 真珠貝の御霊を供養「真珠祭」-ミス伊勢志摩、10万個の真珠海に投げるはずが…”. 伊勢志摩経済新聞 (2013年10月22日). 2019年12月7日閲覧。
  17. ^ アコヤガイに感謝、供養 志摩「真珠祭」 貝大量死「原因究明必要」”. 伊勢新聞 (2019年10月23日). 2019年12月7日閲覧。
  18. ^ 「ジュニア選手育成 様々な角度で分析 12、13日に志摩で学会」朝日新聞2005年11月10日付朝刊、三重版22ページ
  19. ^ 会社概要”. 株式会社賢島宝生苑. 2019年10月30日閲覧。 “Internet Archiveによる2016年7月16日時点のアーカイブページ。”
  20. ^ a b c d e 「朝日・夕日の眺望抜群 賢島に温泉施設オープン」朝日新聞2006年12月16日付朝刊、三重版32ページ
  21. ^ a b c d 賢島宝生苑に新たな天然温泉「朝なぎの湯・夕なぎの湯」”. 伊勢志摩経済新聞 (2006年12月26日). 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月16日閲覧。
  22. ^ 「6億円投じ温泉施設 ■近鉄レジャーサービス」日本経済新聞2006年12月15日付朝刊、地方経済面 中部7ページ
  23. ^ 阿児町史編纂委員会 編(2000):302ページ
  24. ^ 近畿日本鉄道株式会社(2010):250, 317, 450ページ
  25. ^ a b 「厳しいご時世 志摩観光ホテル再起 近鉄系の会社に譲渡」朝日新聞1998年4月1日付朝刊、名古屋版社会面29ページ
  26. ^ 「英虞湾を一望 チャペル完成 賢島宝生苑」日本経済新聞2000年2月17日付朝刊、地方経済面 中部7ページ
  27. ^ 「レジャー事業を再編 近鉄、あやめ池遊園地閉鎖」日経MJ2004年1月27日付、2ページ
  28. ^ "合併「志摩市」へ調印式、10月誕生 5町長、礼装で出席"朝日新聞2004年2月11日付朝刊、三重版24ページ
  29. ^ 「10月、志摩に開校 ネット高校、本校施設を設置」朝日新聞2005年3月6日付朝刊、三重版29ページ
  30. ^ 養殖〜小売りまで真珠関連業界が一堂に―真円真珠誕生百周年で”. 伊勢志摩経済新聞 (2007年10月22日). 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月16日閲覧。
  31. ^ 第1回「賢島映画祭」、GPは「けの汁」 主演女優賞は伊勢出身の桐島ココさん”. 伊勢志摩経済新聞 (2015年9月7日). 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月16日閲覧。
  32. ^ [太川蛭子の旅バラ ローカル鉄道寄り道旅 【日本の原風景へ松阪〜伊勢〜鳥羽】]の番組概要ページ”. gooテレビ番組(関東版). 2019年7月4日閲覧。

参考文献[編集]

  • 阿児町史編纂委員会 編『新版 阿児町史』阿児町、平成12年3月15日、931p.
  • 近畿日本鉄道株式会社 『近畿日本鉄道 100年のあゆみ』 近畿日本鉄道、2010年12月、895p. 全国書誌番号:21906373
  • 久保田憲彦・近藤名保彦(1996)"志摩観光ホテルグループ 賢島宝生苑(増築)"建築と社会(日本建築協会).77(3):80-81.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]