筑前国続風土記

貝原益軒像

『筑前国続風土記』（ちくぜんのくにぞくふどき）は、福岡藩が編纂した地誌。

解題[編集]

『筑前国続風土記』は、福岡藩が元禄元年（1688年）に、福岡藩の儒学者・貝原益軒を著者とし、甥の貝原好古、高弟の竹田定直らが編纂した筑前国の地誌である。元禄16年（1703年）に編纂が完了し福岡藩4代藩主・黒田綱政に上程されたが、その後、改定が加えられ宝永6年（1709年）に完成する[1]。編纂にあたっては、筑前国内の村々を周り、実地調査や実証に基づいて行われている。のちに江戸幕府が諸藩に地誌の編纂を奨励するが、『筑前国続風土記』の和文の遣い方や本文の記載方法が手本になったとされる[2]。

『筑前国続風土記』は江戸期に様々な写本が流布しているが、竹田文庫（後述）の『筑前国続風土記』では、本編30巻に、拾遺（漏れ落ちている事柄・作品を拾い補うこと）として巻31が添えられている[3]。この竹田文庫の『筑前国続風土記』では、竹田定直校正の他にも校正跡がみられ、竹田定直が制作に関わっていたことがうかがえ、定直最後の校正本と考えられる。清書は福岡藩士・末永為順（虚舟）による[1]。

竹田文庫の『筑前国続風土記』による[1][4]
巻 表題 内　容
1 提要上 自序、筑前国の歴史的外観、各郡石高、戸数・人口などの統計資料、河川や山野などの地理的外観について
2 提要下
3 福岡 福岡城や城下について
4 博多 博多と各町および寺社の歴史や現状について
巻 表題 巻 表題 巻 表題 内　容
5 那珂郡上 10 夜須郡 14 遠賀郡上 20 早良郡上 各郡内にある村々の旧跡、景勝地、寺社を中心にその歴史や由緒について
6 那珂郡下 11 上座郡 15 遠賀郡下 21 早良郡下
席田郡 下座郡 16 宗像郡上 22 怡土郡
7 御笠郡上 12 嘉摩郡 17 宗像郡下 23 志摩郡
8 御笠郡中 穂波郡 18 表糟屋郡
9 御笠郡下 13 鞍手郡 19 裏糟屋郡
24 古城古戦場一 26 古城古戦場三 28 古城古戦場五 筑前国内の古城や古戦場について
25 古城古戦場二 27 古城古戦場四
29 土産考上 30 土産考下 土石類、製薬類、醸造類、禽鳥類、河魚類、海魚類、海藻類などの産地、採取方法や特質について
31 拾遺 漏れ落ちている事柄など

文化財[編集]

福岡県指定有形文化財[編集]

竹田家所蔵文書 - 指定年月日：1960年（昭和35年）4月12日[2]。巻子（巻物）8巻、附 筑前国続風土記、黒田家譜　各一揃。

  • 竹田家所蔵文書は、1971年（昭和46年）に竹田家より福岡県文化会館に寄託され、のちに福岡県立図書館が保管している。『筑前国続風土記』は、江戸期に様々な写本が流布しているが、『筑前国続風土記』編纂に関わった竹田定直を祖とし、福岡藩の藩儒を代々務めた竹田家に伝わる資料として竹田家所蔵文書があり、その中に「筑前国続風土記（竹田文庫）」がある[3]。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c “筑前国続風土記” (PDF). 福岡県立図書館. 2021年9月17日閲覧。
  2. ^ a b “県指定文化財”. 大野城市役所 教育部 ふるさと文化財課. 2021年9月17日閲覧。
  3. ^ a b “大野城市の文化財3（竹田家所蔵文書）” (PDF). 大野城市. 2021年9月17日閲覧。
  4. ^ “筑前国続風土記（竹田文庫）”. 福岡県立図書館. 2021年9月17日閲覧。

外部リンク[編集]

「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=筑前国続風土記&oldid=98240216」から取得