アメリカ合衆国の国境

本項目ではアメリカ合衆国国境(アメリカがっしゅうこくのこっきょう)について述べる。

陸上国境[編集]

アメリカ合衆国本土の陸上国境は、カナダメキシコの2か国との間にしかない。カナダとの国境は、アメリカ合衆国本土の北側と、アラスカ州の東側にある。メキシコとの国境は、アメリカ合衆国本土の南側にある。

この他、グァンタナモ米軍基地キューバから租借しており、基地の境界線はキューバとの陸上国境とみなすことができる。

海上国境[編集]

その他、海上国境のみで接している国もある。

ロシアとの海上国境はベーリング海ベーリング海峡北極海に設定されているが、それを規定する1990年の米ソ海洋境界画定協定をソ連・ロシアが批准していないため未発効である。国際日付変更線が実質的に両国の事実上の国境として機能している。アメリカは協定の署名後すぐに批准したが、ソ連は国家崩壊前に批准することができず、その後継国家であるロシアも未だに批准していない。両国の国境はダイオミード諸島ラトマノフ島リトルダイオミード島の間に引かれているが、冬季には2つの島の間の海が結氷し、歩いて渡ることが物理的には可能である。ただし、合法ではない[1]

アメリカ合衆国本土はキューババハマとの間に海上国境を有する。プエルトリコイスパニョーラ島の間のモナ海峡は、アメリカ合衆国とドミニカ共和国との海上国境となっている。ヴァージン諸島には、アメリカ領ヴァージン諸島イギリス領ヴァージン諸島の間に海上国境がある。第三国境構想英語版(Third Border Initiative, TBI)とは、特にジョージ・W・ブッシュ大統領の政権下で唱えられた、アメリカ合衆国とカリブ海地域の国境についての外交政策である。

アメリカ領サモアサモアとの間に海上国境を有する。

国境に関わる組織[編集]

アメリカ合衆国税関・国境警備局は、国境を取り締まり、入国者や輸入品を検査する役割を担っている。

アメリカ沿岸警備隊は、アメリカ合衆国の広範囲にわたる海上国境を積極的にパトロールしている。

また、状況によっては、アメリカ軍や州警察、地方警察が国境警備に関与することもある。

国境を接する国と地域の一覧[編集]

以下の表における島嶼地域英語版とは、50州およびワシントンD.C.を除くアメリカ合衆国の領土であり、そのほとんどが未編入領域である。

国または地域
陸上国境を接する国の数[2] 海上国境を接する国の数[2] 国境を接する国の数[2] 国境を接する国または地域
※:属領[3]
(L):陸上国境のみ
(M):海上国境のみ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
(島嶼地域を除く)
2 5 5 バハマの旗 バハマ (M)
カナダの旗 カナダ
キューバの旗 キューバ (M)
メキシコの旗 メキシコ
ロシアの旗 ロシア (M)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
(以下に挙げる島嶼地域を含む)
アメリカ領サモアの旗 アメリカ領サモア
ベーカー島
グアムの旗 グアム
ハウランド島
ジャービス島
ジョンストン環礁
グァンタナモ米軍基地
キングマン・リーフ
ミッドウェー島
ナヴァッサ島
北マリアナ諸島の旗 北マリアナ諸島
パルミラ環礁
プエルトリコの旗 プエルトリコ
アメリカ領ヴァージン諸島の旗 アメリカ領ヴァージン諸島
ウェーク島
3 18 (21) 18 (21) バハマの旗 バハマ (M)
カナダの旗 カナダ
キューバの旗 キューバ
ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国 (M)
ハイチの旗 ハイチ (M)
ジャマイカの旗 ジャマイカ (M)
日本の旗 日本 (M)
キリバスの旗 キリバス (M)
マーシャル諸島の旗 マーシャル諸島 (M)
メキシコの旗 メキシコ
ミクロネシア連邦の旗 ミクロネシア連邦 (M)
オランダの旗 オランダ (M)
ロシアの旗 ロシア (M)
サモアの旗 サモア (M)
トンガの旗 トンガ (M)
ベネズエラの旗 ベネズエラ (M)
アンギラの旗 アンギラ[4]イギリス領) (M)
イギリス領ヴァージン諸島の旗 イギリス領ヴァージン諸島[4]イギリス領) (M)
クック諸島の旗 クック諸島[5]ニュージーランド領) (M)
ニウエの旗 ニウエ[5]ニュージーランド領) (M)
トケラウの旗 トケラウ[6]ニュージーランド領) (M)

脚注[編集]

  1. ^ http://www.amusingplanet.com/2014/02/diomede-islands-two-islands-split-by-us.html
  2. ^ a b c 括弧内の数字は、国境を接する国と地域の数
  3. ^ 国家主権の概念はやや不明確であり、ある特定の領土が主権を持つかどうかについては意見が分かれている。現在、一般的に「完全に」国家主権を有すると考えられている国は195か国ある。これは、国連加盟国193か国と、国連にオブザーバーとして参加しているバチカン市国パレスチナ国である。これらの国の中には、明らかに国家主権を有しない地理的領域である領土、従属国、または集合体を管轄下に置いている国もある。これらの領土は一般的に、統治国の包括的な主権の中に含まれていると考えられている。例えば、ジブラルタルイギリスの一部ではないと考えられているが、イギリスはジブラルタルの領土に主権を持っている。世界には、他国の主権の下に明確に主権があるわけでもなく、明確に他国の主権の下に含まれているわけでもない領土がいくつかある。多くの場合、これらの地域は自ら主権者であることを宣言しているが、そのように広く認識されていないか、主権国家として必要な条件のいくつかを欠いているかのいずれかである。このような場合、一覧中でその領土がどのように扱われているかが脚注に示されている。
  4. ^ a b イギリスの海外領土
  5. ^ a b クック諸島ニウエは、それぞれニュージーランド自由連合を結んだ自治国家である。クック諸島とニウエは、国境の設定と規制を含む、独自の外交を行う権限を有している。しかし、クック諸島とニウエは国連加盟国ではなく、ニュージーランド王国の一部であり、クック諸島とニウエの人々はニュージーランドの市民でもある。この一覧では、クック諸島、ニュージーランド、ニウエ、トケラウは、一つの主権国家の構成部分として扱っている。
  6. ^ トケラウは、ニュージーランド王国の非自治地域である。

外部リンク[編集]