ニウエ

ニウエ
  • Niuē(ニウエ語)
  • Niue(英語)
ニウエの国旗 ニウエの紋章
国旗 国章
国の標語:Atua, Niue Tukulagi(ニウエ語)
God, Niue Eternally(英語)
神よ、ニウエよ永遠に[1]
国歌Ko e Iki he Lagi
ニウエの位置
公用語 ニウエ語英語
首都 アロフィ
最大の都市 アロフィ
政府
国王英語版 チャールズ3世
総督 シンディ・キロ
首相ダルトン・タンゲランギ[2]
面積
総計 260km2215位[3]
水面積率 0% [3]
人口
総計(2022年 1,681人(232位[4]
人口密度 6.5人/km2
GDP(自国通貨表示)
合計(2021年 3805万9000ニュージーランド・ドル[5]
GDP(MER
合計(2003年1001万ドル(???位[3]
1人あたり xxxドル
GDP(PPP
合計(2021年1870万ドル(228位[3]
1人あたり 11,100ドル
自由連合
ニュージーランド1974年10月19日
通貨 ニュージーランド・ドルNZD
時間帯 UTC-11 (DST:なし)
ISO 3166-1 NU / NIU
ccTLD .nu
国際電話番号 683
ニウエ島の地図

ニウエニウエ語: Niuē英語: Niue)は、オセアニア東部にある立憲君主制国家ニュージーランドの北東、トンガの東、サモアの南東の南太平洋上にあるニウエ島領土とする島国。面積は269平方キロメートル[3]首都アロフィ[2]

ニュージーランド王国の構成国であると同時に、自由連合関係をとっている。人口は1,681人(2022年時点[4])で、バチカン市国に次いで世界で2番目に少ない[2]

概観[編集]

ニュージーランド国王たる連合王国国王元首とする立憲君主制であり、総督ニュージーランド総督が兼任している[6]1974年ニウエ憲法制定法(Niue Constitution Act of 1974)による自治権の獲得[2]で内政面では独立し、ニュージーランドとの自由連合により防衛と外交は同国に委任している[7]。ただし、ニュージーランドはニウエ政府の求めによってのみ外交上の助言を行うものとされており[8]1988年には、ニュージーランドが以後締結する国際協定はニウエに及ばないものと宣言されている[9]国際連合は、ニウエを正式加盟国とはしていないものの[10]、独立国家として一定の認知を与えており[注釈 1]、1994年には国連事務局は、ニウエの完全な条約締結能力を認めている[9]。1993年に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)に加盟した[11]

1997年にアメリカ合衆国と同国準州であるアメリカ領サモアとの間の領海確定協定を締結[12]。2007年には中華人民共和国[13]、2012年にはインド[14]それぞれ外交関係を樹立した。そして2015年には日本閣議決定でニウエを国家承認するとし[15]、当分の間在ニュージーランド日本大使館が兼轄することとなった。2016年9月時点で、20か国と1つの地域 (欧州連合) と外交関係があり、34の国際機関に加盟している。

ニウエの国民は、自由連合の取り決めに伴い、自動的にニュージーランド市民権を有する[16]。1970年にニウエ国際空港が開港した当時は約5000人いた住民はニュージーランドへ渡航するなどして1990年代に2000人を割り込んだが、ニウエ国内の10倍以上のニウエ人が国外で暮らしているとみられるほか、日本人を含め移住してくる人もいる[2]

歴史[編集]

ニウエに人類がいつ到達したのかは分かっていないが、考古学の研究から類推すると、紀元前10世紀ごろにサモアトンガラピタ人が到達するのと相前後して植民されたか、あるいは1世紀から5世紀ごろマルケサス諸島ソシエテ諸島ポリネシア人が拡散する過程で植民されたかのどちらかである。

言語学上の研究から推測して、13世紀から16世紀にかけてトンガ海上帝国Tongan Maritime Empire)が栄えた時期にはこの勢力圏下に入っていたと思われる。ヨーロッパ人がポリネシアに現れて以降の歴史は以下のとおり。

政治・行政[編集]

議会は一院制で、定員は20名(14の村の代表と島全体の6名)で、3年に1度改選される[2]

2020年まで12年間首相を務めたトケ・タランギは、自らの内閣で外相などを兼任しており、他の閣僚は3名しかいなかった。同年に成立したダルトン・タンゲランギ内閣においても、ダルトン・タンゲランギ首相が外相などを兼務し、他の閣僚は3名である。

国民の4分の1にあたる約400人が公務員で、国家予算の3分の1はニュージーランドの援助で賄われているが、小国に見合わないインフラ投資などのための外国からの借り入れは避けている[2]。警察署、病院、郵便ポストはそれぞれ1か所だけ[2]で、1948年より独自の郵便切手を発行している[21]万国郵便連合(UPU)にはニュージーランドの一部として加盟している[22]

国際関係[編集]

  ニウエ
  ニウエと外交関係を維持している国

日本国との関係[編集]

日本とは2015年8月、外交関係開設[23]。それ以前からも援助や貿易は行われていた。2013年度では技術協力で0.09億円をニウエに援助し、財務省「貿易統計」によれば総貿易額は6.8億円(輸出は6.7億円、輸入は0.1億円)である。

地理[編集]

ニウエ島

ニウエ島に最も近いのはほぼ真西に420キロメートル東京 - 大阪間程度)離れたヴァヴァウ諸島トンガ)である。ニュージーランドは南南西へ2300キロメートル(東京 - 台湾島南部)も離れている。

ニウエは世界最大のサンゴ礁の島[2]で、海面上約60メートルにわたって石灰岩の断崖がそそり立ち、その地形がほぼ島全体を縁取っている。つまり台地状であり、山岳や湖などは存在しない。島の形状は基本的に楕円形であるが、首都アロフィと、南部のアヴァテレは湾状の地形となっている。人口の多くはアロフィを中心とする北西から西の海岸地帯に集中している。

気候はサバンナ性で、11月から翌年の3月が雨季に当たる。

ニュージーランド本土が日付変更線の西にあるのに対してニウエは日付変更線の東にあるため、時差はニュージーランド本土と23時間(実質的には1時間)あり、本土が夏時間採用時は24時間(丸1日)である。

行政区画[編集]

ニウエの第1級行政区画は村であり、14の村に分かれる。

交通[編集]

ニウエ国際空港が首都アロフィにある。

自動車の通行区分は、ニュージーランド本土と同じ左側通行である。

経済[編集]

首都アロフィの街並み

主産業は農業パッション・フルーツライムバナナコプラなど)である。しかし農地不足・水不足に加えサイクロンの常襲地帯であり、農業に頼った経済発展は望めなかった。自由連合の構成国であり、住民がニュージーランド国籍を有することから、島を脱出してニュージーランドへ移住する住民が増加した。その結果、移民からの送金が国家収入の大きな比率を占めるに至った。

ニウエ経済の起爆剤として注目されたのが観光業であり、1990年代からニュージーランドの援助により空港拡張、リゾートホテルの建設が進められた。しかし、魅力的な観光資源に恵まれず、定期便の撤退が相次ぎ、2001年には最後に残ったトンガ航空が撤退している。その後、国営航空会社の設置なども検討されたが、財政破綻を招くとして野党が反発し、さらに2004年1月にはサイクロン・ヘタ英語版により国営ホテルが壊滅する被害を受けたこともあり、計画は頓挫している。現在はニュージーランド航空が定期便を運行しているが、本数が限定されていることから、観光業の発展は極めて限定的なものとなっている。新型コロナ禍により、週2便飛んでいたニュージーランドとの定期空路は隔週1便に減便された[2]

その他の産業としては、郵便切手の販売やnuドメイン販売などでの外貨獲得を行っている。

農業[編集]

農業はニウエ人の生活と経済にとって非常に重要であり、おおよそ204平方キロメートルの土地が農業に使用できる[24]。自給農業がニウエの農業の大部分を占めており、ほとんど全ての家庭がタロイモのプランテーションを行っている[25]

キャッサバタピオカ)、ヤムイモサツマイモ[26]、様々なバナナが主要な産品である。1970年代は、コプラパッションフルーツライムが主要な輸出品目であったが、2008年には、バニラ、ノニ(ヤエヤマアオキ)、タロイモが主な輸出作物になった。

ウガ(ヤシガニ)も食物連鎖を構成しており、森や浜辺に生息している[27]。最新の農業国勢調査は1989年に実施された[28]

住民[編集]

住民はサモア人の血を引く、ポリネシア系ニウエ人がほとんど(90 %)である。

宗教はキリスト教教会が各村にあり[2]キリスト教徒が90 %であるが、モルモン教なども進出している。

メディア[編集]

ニウエにはニウエ放送協会によって管理・運営されているテレビニウエ(Television Niue)とラジオ・サンシャイン(Radio Sunshine)という2つの放送局と、週刊新聞『ニウエ・スター』がある[29]。その他、talanet.okakoa.comのようなオンデマンドのニュースサービスも存在する[30]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 黄緑色表示は Non-Member States of the United Nations を意味する。THE WORLD TODAYMap No. 4136 Rev. 10 UNITED NATIONS December 2011(2012年9月4日閲覧)

出典[編集]

  1. ^ Niue's Very Own Public Seal – Palātaue ha Niue” (pdf). 2023年12月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 【小国に生きる】ニウエ 世界で2番目に小さい国 朝日新聞グローブ第261号(『朝日新聞』朝刊2022年8月21日G1面)2022年9月3日閲覧
  3. ^ a b c d e “Niue”. 中央情報局. (2023年11月14日). https://www.cia.gov/the-world-factbook/countries/niue/ 2023年12月2日閲覧。 
  4. ^ a b Niue Census of Population and Housing, 2022”. ニウエ統計局 (2023年8月30日). 2023年12月2日閲覧。
  5. ^ National Accounts Estimates of Niue 2021”. ニウエ統計局 (2023年4月13日). 2023年12月2日閲覧。
  6. ^ Section 1 Executive authority vested in the Crown, The Constitution of Niue
  7. ^ Section 6 External affairs and defence, the Niue Constitution Act 1974
  8. ^ Government: Dependency status: NIUE, THE WORLD FACT BOOK, CIA(2012年9月4日閲覧)
  9. ^ a b Repertory of Practice of United Nations Organs Supplement No. 8 Archived 2012年4月3日, at the Wayback Machine.10ページ(2012年9月4日閲覧)
  10. ^ Member States of the United Nations(2012年9月4日閲覧)
  11. ^ a b UNESCO » Worldwide » Asia and the Pacific » Niue(2012年9月4日閲覧)
  12. ^ Treaty between the Government of the United States of America and the Government of Niue on the delimitation of a maritime boundary, 13 May 1997(2012年9月4日閲覧)
  13. ^ Full text of joint communique on the establishment of diplomatic relations between China and Niue 新華社通信(2012年9月4日閲覧)
  14. ^ a b India establishes Diplomatic Relations with Niue Ministry of External Affaairs of India (2012年9月4日閲覧)
  15. ^ a b 平成27年5月15日(金)定例閣議案件(首相官邸HP[リンク切れ]
  16. ^ Section 5 External affairs and defence, the Niue Constitution Act 1974
  17. ^ a b c d e f "ニウエ". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2021年12月18日閲覧
  18. ^ 中国和纽埃签署建交联合公报
  19. ^ 2015年(平成27年)5月25日外務省告示第164号「ニウエの承認の件」
  20. ^ ニウエ、ツバルも日本対象に出入国の制限措置…菅長官”. 読売新聞 (2020年2月6日). 2020年2月5日閲覧。
  21. ^ スコットカタログ2009年版vol.6. Scott Publishing Co.. (2008). p. 546. ISBN 0894874225 
  22. ^ UPU - Member countries” (英語). 万国郵便連合. 2020年8月24日閲覧。
  23. ^ ニウエ(Niue)基礎データ 日本国外務省
  24. ^ Country Pasture/Forage Resource Profiles: Niue, United Nations Food and Agriculture Organization, January 2009.
  25. ^ Pollock, Nancy J. (1979). “Work, wages, and shifting cultivation on Niue”. Journal of Pacific Studies (Pacific Institute) 2 (2): 132–143. 
  26. ^ Agriculture Products, CIA World Factbook, Central Intelligence Agency.
  27. ^ Eagles, Jim (2010年9月23日). “Niue: Hunting the uga”. The New Zealand Herald. http://www.nzherald.co.nz/travel/news/article.cfm?c_id=7&objectid=10675036 2011年10月30日閲覧。 
  28. ^ Niue Agricultural Census 1989 – Main Results, United Nations Food and Agriculture Organization, 1989.
  29. ^ "Le Programme international pour le développement de la communication de l'UNESCO soutient le journal de Niue", UNESCO, 16 July 2002
  30. ^ http://talanet.okakoa.com

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 南緯19度04分 西経169度52分 / 南緯19.067度 西経169.867度 / -19.067; -169.867