USエアウェイズ1549便不時着水事故

USエアウェイズ 1549便
(ハドソン川の奇跡)
着水後の1549便
出来事の概要
日付 2009年1月15日
概要 バードストライクによる両エンジン停止
現場 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタン区ハドソン川
乗客数 150
乗員数 5
負傷者数 5(重症)[1]
死者数 0
生存者数 155(全員)
機種 エアバスA320-214
運用者 アメリカ合衆国の旗 USエアウェイズ
機体記号 N106US
出発地 アメリカ合衆国の旗 ラガーディア空港
経由地 アメリカ合衆国の旗 シャーロット・ダグラス国際空港
目的地 アメリカ合衆国の旗 シアトル・タコマ国際空港
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USエアウェイズ1549便不時着水事故(USエアウェイズ1549びんふじちゃくすいじこ)は、2009年1月15日午後3時30分頃(東部標準時UTC-5))に、ニューヨーク発シャーロット経由シアトル行きのUSエアウェイズ(現:アメリカン航空)1549便が、ニューヨーク市マンハッタン区付近のハドソン川に不時着水した航空事故

離陸してから着水までわずか5分間での出来事であり、乗員・乗客全員が無事に生還したことから、当時ニューヨーク州知事であったデビッド・パターソンは、この件を34丁目の奇跡に因んで「ハドソン川の奇跡」(Miracle on the Hudson) と呼び称賛した[2][3]

事故当日のUSエアウェイズ1549便[編集]

2001年にラガーディア空港で撮影された事故機
事故時の塗装
サレンバーガー機長(左)とスカイルズ副操縦士(右)

事故の経過[編集]

飛行経路:同機は離陸後、北北西方向に向かい、その後反時計回りに旋回してハドソン川に沿って南下した。

離陸直後のエンジン停止[編集]

USエアウェイズ1549便は、午後3時26分にニューヨークのラガーディア空港を離陸直後、カナダガンの群れに遭遇した。両エンジンの同時バードストライクというレアケースによって両エンジンがフレームアウト(停止)し、飛行高度の維持が出来なくなった。
1549便はこの日シャーロットからの折り返し便として運行されており、操縦は副操縦士のジェフリー・スカイルズが担当していた。しかし、両エンジンの停止後、即座に機長のチェズレイ・サレンバーガー補助動力装置(APU)を起動させ、操縦を副操縦士から交代し、同時に空港管制に対し、状況の報告と非常事態を宣言した。副操縦士は以後事態を改善すべく、QRH(クイック・リファレンス・ハンドブック)によるエンジン再始動を着水直前まで実施した。

ハドソン川へ[編集]

当初、機長は空港への着陸を目指し、出発地のラガーディア空港か進行方向の延長上にあるテターボロ空港への着陸を目指していたが、高度と速度が低すぎるため空港への着陸は不可能と判断し、市街地への墜落を防ぐため、ハドソン川への緊急着水を宣言した。
低高度ではレーダーから消失してしまうため、空港管制は周囲の航空機へ1549便の目視チェックを要請し、観光ヘリ2機がこれに応じた。このヘリの乗客は、「映画の撮影かと思った。事故だと知らされて驚いた」と語っている[要出典]
その後ジョージ・ワシントン・ブリッジをギリギリで回避しながら高度を上げて減速し、着水間近に客室に対して「衝撃に備えて」とのみ伝えた。不時着まで数分の出来事のため、客室に詳細を伝える猶予はなかったが、アテンダントらは事情を察して客に最善の指示をした[5]

着水[編集]

トラブル発生から約3分後の午後3時31分頃、1549便はニューヨーク市マンハッタン区とニュージャージー州ホーボーケン市の間に流れるハドソン川へ、時速270km程で滑走路着陸時と同様の滑るような着水をした。
不時着水決定後に、高度を下げる経路を必要としたため旋回(進行方向反転)したが、偶然にも着水進入方向と川の流れが一致していた事で、ごく僅かであるが機体の衝撃は抑えられた。
また、機体の姿勢も水面に対し水平に近かったため、片側主翼着水による機体分解も避けられた[5]。スムーズな着水により機体損傷は尻餅による後部壁下部の一部だけで、乗客ら全員が迅速に機内から脱出シューター(着水時には救命いかだになる構造)及び両主翼に避難することが可能であった。

機体からの避難[編集]

それでも、事故当時は真冬であり、今季でも最低に近い気温-6℃・水温2℃という状況であった。無事着水して乗客が安堵したのもつかの間、損傷した後部から浸水が始まり、客室内にも浸水が始まった。乗客は機体沈没の恐怖に苛まれつつ、着水の衝撃で停電[要出典]し真っ暗の中を緊急脱出して、身を切るような寒さに晒されることとなった。
その中で、機長とアテンダントらは決められた手順に沿い行動した。機体後方のドアを使用せず機体前方へ誘導し、機内の毛布や救命胴衣を回収しつつ乗客へ配布し、逃げ遅れを防ぐべく機内を確認するなど不時着水という非常事態に冷静に対処した。特に機内の確認については機長が既に浸水が始まっていた機体後方まで機内に残っている乗客が居ないか2度確認に向かい、乗員乗客全員が脱出したのを確認してから機長も脱出した[6]

水没[編集]

事故機は着水から約1時間後に水没した。機体は17日深夜に引き上げられたが、第2エンジンが不時着後に脱落してしまったため、この捜索だけで3日間も掛かった[7]。機体は引き上げられてからしばらくはマンハッタン南部のバッテリー・パークに置かれた[8]

救助活動[編集]

ハドソン川に浮かぶ機体。機体前部と尾翼部分が見える。アメリカ沿岸警備隊FDNYNYPD、フェリーに取り囲まれている。
3:31:02 pmの不時着水と救助:沿岸警備隊のビデオ。(長さ 8:07)
不時着水から20分後のビデオ。何隻もの船舶が救助に集まっている。

当該機の着水地点は機長の判断通りに水上タクシー観光船マンハッタン島とニュージャージーを結ぶ水上バスのマンハッタン側の発着場に近く、またニューヨーク市消防局アメリカ沿岸警備隊の警戒船や消防艇が停泊する港に近かった。

偶然付近を航行中の通勤フェリーを操舵していたヴィンセント=ロンバーティが着水4分20秒後に現場に到着して即座に救助にあたり、後を追うように水上タクシーと沿岸警備隊や消防の船が救助活動にあたった。機内の捜索のための潜水要員も警察からヘリコプターで向かい、空気ボンベを外して6mの高さからダイブしている。乗客に向けてライフジャケットを投げる様子も見られた[9]

また、ニュージャージー側からも救助の船が駆けつけた。ニューヨークの中心部であるマンハッタン島に近く、迅速に活動できる船舶が多かったことも、機体が沈んでしまう前に全乗員乗客の避難を完了させることにつながった。在ニューヨーク日本国総領事館は、当日中に搭乗していた邦人2人の生存を確認している[10]

事故調査[編集]

当初は航空機を狙ったテロだと考えられていたが、アメリカ合衆国国土安全保障省によってそれは否定された[11]

事故の原因は、エンジンに複数のカナダガンが吸い込まれたことである。このカナダガンは成長した大型(最低でも4kg)のものだった。これによりエンジン内部のコンプレッサー部分が致命的なダメージを受けたため、エンジンを再起動できなかった。ただし、回収されたフライト・データ・レコーダーの解析では、右エンジンはフレーム・アウトしたが左エンジンは完全にはフレーム・アウトせず、このため飛行速度が低かったもののウィンドミル状態[注釈 2]に近く、付随するオルタネーターが操縦等に必要な電力を賄える程度の回転数は保たれていた事が確認された[注釈 3]

エンジン停止後、機長は当時のチェックリスト内では優先度が低かったAPUの起動を即座に行った。次に操縦を交代し、副操縦士はQRH(クイック・リファレンス・ハンドブック)を開き、エンジン停止時の対処を始めたが、このチェックリストは機体が高度2万フィート以上にいる場合の想定で作られていたため、とても長く、全項目を完了させるには時間が足りなかった。また、パイロット達は、エンジンが再始動不可能なまでに致命的に損傷していたことを把握できていなかった。

緊急着水の項目は最後のページに書かれていたため、同機に搭載されていた浸水を防ぐための与圧用リリーフバルブを強制的に閉じるスイッチが押されることはなかった。一方、APUの起動が早かったことが功を奏し、飛行制御コンピューターへの電力は失われずに済んだ。これがパイロットの操作を補助したことにより失速を回避し、搭乗者の生存率を上げていた。

事故調査の過程で米国家運輸安全委員会が行ったフライトシミュレーションでは、エンジン停止後にすぐに空港へ引き返していた場合は、緊急着陸は可能だったことが判明している。しかし、「シミュレーション中にパイロットが行った即時の旋回は、鳥の衝突を認識して一連の行動を決定するために必要な時間遅延などの現実世界の考慮事項を反映または考慮していなかった。」とし、シミュレーションは非現実的なものとした。実際には、事故機のパイロットたちは訓練通りQRHを実施し、また管制官の指示を受けて空港への引き返しを始めた時にはエンジンが停止してから既に30〜40秒ほど経過していた。そこで、35秒の遅延時間を挿入し再度シミュレーションを実施したところ、これに参加したパイロットたち全員が空港到着前に機体を墜落させる結果となった。中には市街地に墜落したパターンもあり、地上の被害も出ていた可能性も示唆された。

以上のことから、委員会は最終的に、機長が正しい決定を行ったと判断した[12]

その後[編集]

カロライナス航空博物館で2011年6月11日に開かれた、元乗員・元乗客ほか数百人を招待した移送完了パーティーでのサレンバーガー元[注釈 4]機長(中央で手前を向く白髪の人物)。
パーティーでのスカイルズ副操縦士(左)とサレンバーガー元機長(右)。

サレンバーガー機長は様々な表彰を受け、事故の5日後に行われたオバマ大統領の就任式にも招待された。

  • 2009年10月1日、サレンバーガー機長は事故を起こした1549便と同じ路線で操縦士として復帰した。機長の復帰フライトでは事故当日と同じスカイルズが副操縦士を務め、事故機の乗客のうち4名が搭乗した。サレンバーガー機長が機内アナウンスで自己紹介を行うと、客室内では拍手と歓声がわき起こった。機体は事故の1年後にオークションにかけられた。
  • 2010年3月3日、サレンバーガー機長は30年間にわたる現役パイロットとしての乗務を終えた。ラストフライトも1549便と同じスカイルズ副操縦士とともに行った[13]
  • 2012年1月15日、元乗客に対して博物館で展示されている飛行機の機内が公開され、元乗客が自らが座っていた座席の今を確認することが出来た。なお、機体は今も一般公開されているが、機内については一般公開されていない。
  • 当時、アメリカは金融危機により重苦しい雰囲気が漂っていたが、この事故をうけ国民に希望をともした様子も見られた[4]
  • また、この事故から間もない2009年1月17日、羽田空港への着陸態勢に入った北九州空港発羽田行きスターフライヤー84便(同型機)が着陸進入中にバードストライクを受け左翼高揚力装置が破損する事故が発生している。当該機も定刻通りに着陸し、乗客乗員全員が無事であった[16]

CVRの記録[編集]

【】内は英語の原文で、#は不明瞭な発言を示す。交信などで便名が間違っているものもあるが、そのまま示してある。また、一部省略した部分もある[17]。日本語のサイトではカクタスをサボテンと表記するものもある[18]。なお、これらの記録は連邦航空局が2009年2月5日に発表したものがある[19]

時間 発言者 発言内容
15時24分54秒 飛行場管制 カクタス1549、滑走路4からの離陸を許可【Cactus fifteen forty nine runway four clear for takeoff.】
15時24分56秒 交信(機長) カクタス1549、離陸許可【Cactus fifteen forty nine clear for takeoff.】
15時25分09秒 副操縦士 TO/GA【TO/GA.】
15時25分10秒 機長 TO/GAに設定【TO/GA set.】
15時25分20秒 機長 80ノット【eighty.】
15時25分21秒 副操縦士 確認【checked.】
15時25分33秒 機長 V1、ローテート【V one, rotate.】
15時25分38秒 機長 ポジティブ・レート【positive rate.】
15時25分39秒 副操縦士 ギア・アップ【gear up please.】
15時25分39秒 機長 ギア・アップ【gear up.】
15時25分45秒 飛行場管制 カクタス1549、ニューヨーク出発管制と交信を、さよなら【Cactus fifteen forty nine contact New York departure, good day.】
15時25分48秒 交信(機長) さよなら【good day.】
15時25分49秒 副操縦士 ヘディング・セレクトに設定【heading select please.】
15時25分51秒 交信(機長) カクタス1549、高度700フィートから5,000フィートへ上昇中【Cactus fifteen forty nine, seven hundred, climbing five thousand.】
15時26分00秒 出発管制 カクタス1549、ニューヨーク出発管制です、レーダー識別しました、15,000フィートまで上昇せよ【Cactus fifteen forty nine New York departure radar contact, climb and maintain one five thousand.】
15時26分03秒 交信(機長) 15,000フィート、カクタス1549【maintain one five thousand Cactus fifteen forty nine.】
15時26分07秒 機長 15,000フィートへ【fifteen.】
15時26分08秒 副操縦士 15,000フィートへ上昇【fifteen. climb.】
15時26分10秒 機長 上昇高度セット【climb set.】
15時26分16秒 副操縦士 フラップを1へ【and flaps one please.】
15時26分17秒 機長 フラップ1【flaps one.】
15時26分37秒 機長 今日のハドソン川は綺麗だ【uh what a view of the Hudson today.】
15時26分42秒 副操縦士 ええ【yeah.】
15時26分52秒 副操縦士 フラップ格納、離陸後チェックリスト【flaps up please, after takeoff checklist.】
15時26分54秒 機長 フラップ格納【flaps up.】
15時27分07秒 機長 離陸後チェックリスト完了【after takeoff checklist complete.】
15時27分10秒 機長 鳥だ【birds.】
15時27分11秒 副操縦士 うわっ【whoa.】
15時27分11秒 《鳥と衝突》
15時27分12秒 副操縦士 ああ、くそ【oh #.】
15時27分13秒 機長 ああ、参ったな【oh yeah.】
15時27分14秒 副操縦士 まずいぞ【uh oh.】
15時27分15秒 機長 1基の推力-両方の推力が低下している【we got one rol- both of 'em rolling back.】
15時27分18秒 機長 イグニッション、スタート【ignition, start.】
15時27分21秒 機長 APUを起動【I'm starting the APU.】
15時27分23秒 機長 操縦を代わる 【my aircraft.】
15時27分24秒 副操縦士 交代します【your aircraft.】
15時27分28秒 機長 QRHの...両エンジンの喪失を【get the QRH... loss of thrust on both engines.】
15時27分32秒 交信(機長) メーデー、メーデー、メーデー。カクタス1539、バードストライクにより両エンジンの全推力を喪失した、ラガーディアに戻りたい【mayday mayday mayday. uh this is uh Cactus fifteen thirty nine hit birds, we've lost thrust (in/on) both engines we're turning back towards LaGuardia.】
15時27分42秒 出発管制 OK、あー、ラガーディアへ引き返す必要があるのですね?左旋回方位220【ok uh, you need to return to LaGuardia? turn left heading of uh two two zero.】
15時27分46秒 交信(機長) 220【two two zero.】
15時27分50秒 副操縦士 燃料が残っている場合、エンジン・モード・セレクターをイグニッションへ、#イグニッション【if fuel remaining, engine mode selector, ignition. #ignition.】
15時27分54秒 機長 イグニッション【ignition】
15時27分55秒 副操縦士 スラストレバーをアイドルへ【thrust levers confirm idle.】
15時27分58秒 機長 アイドル【idle.】
15時28分02秒 副操縦士 再始動に適切な対気速度 - 300ノット。足りません【airspeed optimum relight. three hundred knots. we don't have that.】
15時28分05秒 機長 ダメだな【we don't.】
15時28分05秒 出発管制 カクタス1529、滑走路13に着陸出来ますか?【Cactus fifteen twenty nine, if we can get it for you do you want to try to land runway one three?】
15時28分05秒 副操縦士 もし390なら…【if three nineteen-】
15時28分10秒 交信(機長) 無理だ、ハドソン川に降りるかもしれない【we're unable. we may end up in the Hudson.】
15時28分14秒 副操縦士 緊急電力... 緊急発電機、作動しません【emergency electrical power... emergency generator not online.】
15時28分19秒 機長 作動した【online.】
15時28分21秒 副操縦士 管制官に通報、スコーク7700【ATC notify. squawk seventy seven hundred】
15時28分28秒 機長 ああ、左が少し戻った【yeah. the left one's coming back up a little bit.】
15時28分30秒 副操縦士 遭難信号は送信済み 【distress message, transmit. we did.】
15時28分31秒 管制官 了解、カクタス1549、左に旋回して滑走路31ならどうですか【arright Cactus fifteen forty nine its gonna be left traffic for runway three one.】
15時28分35秒 交信(機長) 無理だ【unable】
15時28分36秒 出発管制 OK、どこに降りたい?【okay, what do you need to land?】
15時28分37秒 副操縦士 滑走路13に降りてほしいようです 【(he wants us) to come in and land on one three...for whatever.】
15時28分45秒 副操縦士 FAC1をオフにして、オンにする 【FAC one off, then on.】
15時28分46秒 出発管制 カクタス1529、左に旋回して滑走路4なら【Cactus fifteen (twenty) nine runway four's available if you wanna make left traffic to runway four.】
15時28分49秒 交信(機長) どの滑走路にも降りられない。右にあるのはニュージャージーのテターボロか?【I'm not sure we can make any runway. uh what's over to our right anything in New Jersey maybe Teterboro?】
15時28分55秒 出発管制

OK、ええ、右側にあるのはテターボロ空港【ok yeah, off your right side is Teterboro airport.】

15時29分00秒 副操縦士 30秒経過、再始動しません、エンジン・マスター1と2を確認 【no relight after thirty seconds, engine master one and two confirm-】
15時29分02秒 出発管制 テターボロへ向かいますか?【you wanna try and go to Teterboro?】
15時29分03秒 交信(機長) はい【yes.】
15時29分07秒 副操縦士 ...オフに【...off.】
15時29分07秒 機長 オフ【off.】
15時29分10秒 副操縦士 30秒待機【wait thirty seconds.】
15時29分11秒 機内放送 機長です、衝撃に備えてください【this is the Captain brace for impact.】
15時29分16秒 副操縦士 エンジン・マスター2を再始動位置に【engine master two, back on.】
15時29分18秒 機長 再始動位置【back on.】
15時29分19秒 副操縦士 再始動【on.】
15時29分21秒 出発管制 カクタス1529、右旋回方位280、テターボロの滑走路1へ着陸できる【Cactus fifteen twenty nine turn right two eight zero, you can land runway one at Teterboro.】
15時29分21秒 副操縦士 これで全部ですか?1番を再始動しますか?【is that all the power you got? * (wanna) number one? or we got power on number one.】
15時29分25秒 交信(機長) 無理だ【we can't do it.】
15時29分26秒 機長 ああ、1番を試せ【go ahead, try number one.】
15時29分27秒 出発管制 OK、テターボロのどの滑走路に着陸したい?【kay which runway would you like at Teterboro?】
15時29分28秒 交信(機長) ハドソン川に降りる 【we're gonna be in the Hudson】
15時29分33秒 出発管制 カクタス、もう一度お願いします【I'm sorry say again Cactus?】
15時29分36秒 副操縦士 再始動します【I put it back on.】
15時29分37秒 機長 OK、再始動...再始動しろ【ok put it back on... put it back on.】
15時29分44秒 副操縦士 反応なし【no relight.】
15時29分45秒 機長 OK、フラップを、フラップを出せ【ok lets go put the flaps out, put the flaps out.】
15時29分48秒 副操縦士 フラップ出しますか?【flaps out?】
15時29分53秒 出発管制 カクタス1549、レーダーから消失、2時の方向7マイル先にニューアーク空港がある【Cactus fifteen forty nine radar contact is lost you also got Newark airport off your two o'clock in about seven miles.】
15時30分01秒 副操縦士 フラップ展開【got flaps out.】
15時30分03秒 副操縦士 250フィート【two hundred fifty feet in the air.】
15時30分06秒 副操縦士 170ノット【hundred and seventy knots.】
15時30分09秒 副操縦士 どちらの推力もない、別の方を試しますか?【got no power on either one? try the other one】
15時30分11秒 機長 別のを試せ【try the other one】
15時30分14秒 出発管制 カクタス1529、聞こえますか?【Cactus fifteen twenty nine uh, you still on?】
15時30分16秒 副操縦士 150ノット【hundred and fifty knots.】
15時30分17秒 副操縦士 フラップ2、もっと出しますか?【got flaps two, you want more?】
15時30分19秒 機長 いや、2のままでいい【no lets stay at two.】
15時30分21秒 機長 他に方法は?【got any ideas?】
15時30分22秒 出発管制 カクタス1529、できるならあー....2時の方向7マイル先のニューアーク滑走路2に着陸できる【Cactus fifteen twenty nine if you can uh....you got uh runway uh two nine available at Newark it'll be two o'clock and seven miles.】
15時30分23秒 副操縦士 ありません【actually not.】
15時30分38秒 機長 衝撃に備えろ【we're gonna brace.】
15時30分43秒 《録音終了》

ギャラリー[編集]

関連作品[編集]

テレビ番組[編集]

映画[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ エアバス機での飛行経験が浅い。
  2. ^ 相当の飛行速度を要する
  3. ^ ただし、EICASがその際に誤った値をレコーダーへ記録したため、実際にエンジンが発見されて調査されるまでは、事故調査官たちは左エンジンが動いていたと考えていた
  4. ^ 撮影当時、既に退役済み

出典[編集]

  1. ^ NTSBによる 事故調査報告書, http://www.ntsb.gov/ntsb/brief.asp?ev_id=20090115X73226 
  2. ^ 朝日新聞 2009.01.16付 夕刊1面
  3. ^ “【NY旅客機事故】「ハドソン川の奇跡」 全員救助を導いた機長に称賛の声”. MSN産経ニュース. (2009年1月16日). オリジナルの2009年2月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090210210557/http://sankei.jp.msn.com/world/america/090116/amr0901161031010-n1.htm 2022年9月3日閲覧。 
  4. ^ a b “【NY旅客機事故】「奇跡」が米国民の心に希望を点す”. MSN産経ニュース. (2009年1月16日). オリジナルの2009年2月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090215015822/http://sankei.jp.msn.com/world/america/090116/amr0901162028025-n1.htm 2022年9月3日閲覧。 
  5. ^ a b 日本テレビ「世界一受けたい授業」2013/10/19放送 機長が出演し証言、着水時映像あり
  6. ^ “【NY旅客機事故】「プロの仕事」英雄機長に喝采”. MSN産経ニュース. (2009年1月17日). オリジナルの2009年2月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090212102541/http://sankei.jp.msn.com/world/america/090117/amr0901170134001-n1.htm 2022年9月3日閲覧。 
  7. ^ メーデー!:航空機事故の真実と真相』シーズン9第1話「ハドソン川の奇跡」における調査官の証言より
  8. ^ “【NY旅客機事故】「ハドソン川のヒーロー」 改めて称賛 NY市長 ”. MSN産経ニュース. (2009年1月17日). オリジナルの2009年2月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090218222020/http://sankei.jp.msn.com/world/america/090117/amr0901171025009-n1.htm 2022年9月3日閲覧。 
  9. ^ “NYハドソン川に旅客機墜落、乗客・乗員約150人以上 全員無事か”. MSN産経ニュース. (2009年1月16日). オリジナルの2009年1月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090121182610/http://sankei.jp.msn.com/world/america/090116/amr0901160650004-n1.htm 2022年9月3日閲覧。 
  10. ^ “【NY旅客機事故】乗員・乗客全員救助、邦人2人も無事 テロと無関係と米政府”. MSN産経ニュース. (2009年1月16日). オリジナルの2009年2月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090217030028/http://sankei.jp.msn.com/world/america/090116/amr0901160936009-n1.htm 2022年9月3日閲覧。 
  11. ^ “【NY旅客機事故】「テロとの関連性ない」米国土安全保障省”. MSN産経ニュース. (2009年1月16日). オリジナルの2009年3月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090301094407/http://sankei.jp.msn.com/world/america/090116/amr0901160704005-n1.htm 2022年9月3日閲覧。 
  12. ^ Dodd, Johnny (September 19, 2016). “After the Miracle”. People: 87–88. 
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  14. ^ 「ハドソン川の奇跡」の不時着機、博物館へ移送cnn.co.jp、2011年6月6日閲覧
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  19. ^ “「ハドソン川に着水する」 ハドソンの奇跡交信記録公表”. MSN産経ニュース. (2009年2月6日). オリジナルの2009年2月9日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090209084543/http://sankei.jp.msn.com/world/america/090206/amr0902061011012-n1.htm 2022年9月3日閲覧。 
  20. ^ “C・イーストウッド「ハドソン川の奇跡」9月公開、乗客を救った機長役はT・ハンクス”. 映画ナタリー. (2016年3月17日). https://natalie.mu/eiga/news/180121 2016年3月18日閲覧。 

関連項目[編集]

他の不時着水事故
バードストライクによる主な事故

外部リンク[編集]