1982年の映画

1982年の映画(1982ねんのえいが)では、1982年(昭和57年)の映画分野の動向についてまとめる。

1981年の映画 - 1982年の映画 - 1983年の映画

出来事[編集]

世界[編集]

日本[編集]

周年[編集]

日本の映画興行[編集]

配給会社別年間配給収入
配給会社 配給本数 年間配給収入 概要
新作 再映 洋画 前年対比
松竹 17 70億5399万円 配給収入10億円の大台を突破したのは、『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』(12.9億円)、『男はつらいよ 寅次郎紙風船』(12.1億円)、『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』(10.4億円)の3番組。角川映画の『蒲田行進曲』/『この子の七つのお祝いに』(8.5億円[注 2])は健闘。ヤング層をターゲットにしたMIE主演の『コールガール』とパンジー主演の『夏の秘密』には集客力がなく、深作欣二監督の『道頓堀川』(4.2億円[43][注 3])は話題先行で実を結ばなかった。
15 1 1 114.8%
東宝 21 100億3563万円 前年から13.8%ダウンしたが、3年連続年間配給収入100億円突破を達成。『ハイティーン・ブギ』(18億円)がたのきんシリーズ最高を記録。『ドラえもん のび太の大魔境』(12.2億円)と『グッドラックLOVE』(10.5億円)も配給収入10億円の大台を突破した。
1982年2月から1983年1月までの1年間では、たのきんトリオの2番組3作品、『ハイティーン・ブギ』と『ウィーン物語 ジェミニ・YとS』など(11億円)の配給収入の合計が29億円となり、東宝全体の30.4%を占めた[43][注 4]。創立50周年記念作品の『南十字星』・『ひめゆりの塔』(9.8億円)・『幻の湖』(0.9億円[45])・『海峡』(9.6億円)の配給収入は合計しても約22億円にしかならなかった[43]
16 1 4 86.2%
東映 25 110億954万円 東映の年間配給収入が初めて100億円を突破した。偉業達成には、『セーラー服と機関銃』(23億円)、『大日本帝国』(14億円)、『鬼龍院花子の生涯』(11億円)の配給収入10億円の大台を突破した3番組の貢献が大きい。オールスターによる『制覇』(7.5億円)は地味な作風で失敗。『青春の門 自立編』、『化石の荒野』(2.6億円[46])は不振。
1982年2月から1983年1月までの1年間では、『ボーイズ & ガールズ』(7.2億円[43][注 5])・『龍の忍者』/『胸さわぎの放課後』(3.3億円)・『伊賀忍法帖』(16億円)などの4番組8作品で合計配給収入28.7億円となり、東映全体の27.4%をアイドル映画が占めた[43][注 6]
21 1 3 153.2%
にっかつ 67 39億895万円 既成の女優をロマンポルノに起用する戦略が結実した。五月みどり主演『マダム・スキャンダル 10秒死なせて』(4.6億円[43][注 7])が従来のロマンポルノ・ファンだけでなく、新規の中年男性観客を劇場に呼び込みヒット。高田美和主演『軽井沢夫人』/大信田礼子主演『ジェラシー・ゲーム』(4.2億円[43][注 8])は健闘。好調な成績を収めてきた畑中葉子主演シリーズがダウンするが、入れ替わるように新スターである美保純主演『ピンクのカーテン』・『ピンクのカーテン2』(3億円)が好調。
64 3 0 101.0%
出典:「1982年度日本映画・外国映画業界総決算 日本映画」『キネマ旬報1983年昭和58年)2月下旬号、キネマ旬報社、1983年、112 - 118頁。 

各国ランキング[編集]

日本配給収入ランキング[編集]

1982年日本配給収入トップ10
順位 題名 製作国 配給 配給収入
1 ミラクル・ワールド ブッシュマン 南アフリカの旗 東宝東和 23.6億円
2 セーラー服と機関銃
燃える勇者
日本の旗 東映 23.0億円
3 キャノンボール アメリカ合衆国の旗 東宝東和 21.0億円
4 ハイティーン・ブギ 日本の旗 東宝 18.0億円
5 ロッキー3 アメリカ合衆国の旗 ユナイテッド・アーティスツ 16.7億円
6 少林寺 香港の旗 中華人民共和国の旗 東宝東和 16.5億円
7 大日本帝国 日本の旗 東映 14.0億円
8 レイダース/失われたアーク《聖櫃》 アメリカ合衆国の旗 パラマウント映画/CIC 13.8億円
9 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇 日本の旗 松竹 12.9億円
10 ドラえもん のび太の大魔境
怪物くん デーモンの剣
忍者ハットリくん・ニンニン忍法絵日記の巻
日本の旗 東宝 12.2億円
出典:1982年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟

北米興行収入ランキング[編集]

1982年北米興行収入トップ10
順位 題名 スタジオ 興行収入
1. E.T. ユニバーサル $359,197,037
2. トッツィー コロムビア $177,200,000
3. 愛と青春の旅だち パラマウント $129,795,554
4. ロッキー3 ユナイテッド・アーティスツ $124,146,897
5. ポーキーズ 20世紀FOX $105,492,483
6. スタートレックII カーンの逆襲 パラマウント $78,912,963
7. 48時間 パラマウント $78,868,508
8. ポルターガイスト MGM $76,606,280
9. テキサス1の赤いバラ ユニバーサル $69,701,637
10. アニー コロムビア $57,059,003
出典: 1982 Domestic Yearly Box Office Results”. Box Office Mojo. 2015年12月23日閲覧。

日本公開映画[編集]

1982年の日本公開映画を参照。

受賞[編集]

誕生[編集]

死去[編集]

日付 名前 国籍 年齢 職業
1月 5日 ハンス・コンリード アメリカ合衆国の旗 64 俳優
18日 三益愛子 日本の旗 71 女優
2月 2日 エレノア・パウエル アメリカ合衆国の旗 69 女優
11日 志村喬 日本の旗 76 俳優
17日 リー・ストラスバーグ アメリカ合衆国の旗 80 俳優
26日 衣笠貞之助 日本の旗 86 俳優・映画監督
3月 5日 ジョン・ベルーシ アメリカ合衆国の旗 33 コメディアン・俳優
6日 アイン・ランド アメリカ合衆国の旗 77 作家・脚本家
16日 藤村有弘 日本の旗 48 俳優
19日 アラン・バデル イギリスの旗 58 俳優
4月 3日 ウォーレン・オーツ アメリカ合衆国の旗 53 俳優
5月 13日 レンツォ・ロッセリーニ イタリアの旗 74 作曲家
16日 伏見直江 日本の旗 73 女優
29日 ロミー・シュナイダー オーストリアの旗 43 女優
6月 10日 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 西ドイツの旗 36 映画監督
16日 パトリック・ドベール フランスの旗 35 俳優
18日 クルト・ユルゲンス 西ドイツの旗 66 俳優
29日 ヘンリー・キング アメリカ合衆国の旗 96 映画監督
7月 23日 ヴィック・モロー アメリカ合衆国の旗 50 俳優
8月 12日 ヘンリー・フォンダ アメリカ合衆国の旗 77 俳優
14日 パトリック・マギー 北アイルランドの旗 60 俳優
29日 イングリッド・バーグマン スウェーデンの旗 67 女優
9月 14日 グレース・ケリー アメリカ合衆国の旗 52 女優
22日 佐分利信 日本の旗 73 俳優
11月 1日 キング・ヴィダー アメリカ合衆国の旗 88 映画監督
4日 ドミニク・ダン アメリカ合衆国の旗 22 女優
5日 ジャック・タチ フランスの旗 75 映画監督・俳優
12月 8日 三波伸介 日本の旗 52 俳優・コメディアン
27日 ハーブ・テイラー アメリカ合衆国の旗 66 録音技師
28日 岸田森 日本の旗 43 俳優

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 『The Hollywood Story』では、228.4 $MILLIONS となっている[1]
  2. ^ 〔引用者註〕1983年のアンコール上映分を含んでいない。アンコール上映分を加えると17.6億円。
  3. ^ 〔引用者註〕キネマ旬報1983年2月下旬号では『道頓堀川』の配給収入は5億円[44]、同じキネマ旬報1983年8月下旬号では4.2億円と異なった金額になっているが、より新しい資料である後者を採用した。
  4. ^ 1982年2月から1983年1月までの1年間の東宝の年間配給収入は95億2800万円[43]
  5. ^ 〔引用者註〕キネマ旬報1983年2月下旬号では『ボーイズ & ガールズ』の配給収入は7.3億円[44]、同じキネマ旬報1983年8月下旬号では7.2億円と異なった金額になっているが、より新しい資料である後者を採用した。
  6. ^ 1982年2月から1983年1月までの1年間の東映の年間配給収入は104億7200万円[43]
  7. ^ 〔引用者註〕キネマ旬報1983年2月下旬号では『マダム・スキャンダル 10秒死なせて』の配給収入は4.2億円[44]、同じキネマ旬報1983年8月下旬号では4.6億円と異なった金額になっているが、より新しい資料である後者を採用した。
  8. ^ 〔引用者註〕キネマ旬報1983年2月下旬号では『軽井沢夫人』の配給収入は4.6億円[44]、同じキネマ旬報1983年8月下旬号では4.2億円と異なった金額になっているが、より新しい資料である後者を採用した。

出典[編集]

  1. ^ Finler, Joel Waldo (2003) (英語). The Hollywood Story. Wallflower Press. p. 360. ISBN 978-1-903364-66-6. https://openlibrary.org/books/OL8767837M/The_Hollywood_Story 2024年2月12日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 石原良太 1986, p. 144.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 東宝 2010b, p. 232.
  4. ^ a b c d e f g h 谷川 1993, p. 180.
  5. ^ 映画用カラーネガフィルム“A250”の開発”. 富士フイルムのあゆみ. 富士フイルム. 2019年12月9日閲覧。 “映画用カラーネガフィルムについても、高感度化にチャレンジし、1980年(昭和55年)9月、“フジカラーネガティブフィルムA250”を発売する。“A250”は、当時の映画用カラーネガフィルムとしては世界最高感度で、国内外の作品に数多く使用され、1982年(昭和57年)3月、映画界最高の栄誉である米国アカデミー科学技術賞の受賞に輝く。”
  6. ^ a b c d e f g h i 松竹 1985, p. 695.
  7. ^ a b c 東宝 1982b, p. 145.
  8. ^ 久保田明. “夭折の天才喜劇人ジョン・ベルーシを追った『BELUSHI ベルーシ』、貴重なプライベートの記録から浮かび上がる「栄光」と「苦悩」とは【先取りシネマ 第18回】”. ステレオサウンド. 2024年3月26日閲覧。
  9. ^ THE 54TH ACADEMY AWARDS | 1982” (英語). アカデミー賞公式サイト. 映画芸術科学アカデミー. 2024年4月12日閲覧。 “FOREIGN LANGUAGE FILM MUDDY RIVER Japan”
  10. ^ a b c d e f g h i j k 東映 1992, p. 72.
  11. ^ ウォーレン・オーツ(Warren Oates)について”. allcinema. スティングレー. 2024年3月27日閲覧。
  12. ^ 撮影は愛息の事故死の直後、美しく哀しい遺作 「サン・スーシの女」(1982年)”. zakzak. 夕刊フジ. 2024年3月26日閲覧。
  13. ^ ライナー・ベルナー・ファスビンダー:プロフィール・作品情報・最新ニュース”. 映画.com. 2024年3月27日閲覧。
  14. ^ E.T. the Extra-Terrestrial (1982) Release Info”. IMDb. Amazon.com. 2019年11月30日閲覧。
  15. ^ “【写真特集】グレース・ケリー没後30年、ハリウッド女優からモナコ公妃へ”. AFPBB News. (2012年9月14日). https://www.afpbb.com/articles/-/2900673 2024年3月24日閲覧。 
  16. ^ 2 遠野市の国際交流活動 姉妹都市イタリアサレルノ市”. 遠野市社会科副読本WEB版 - ふるさと遠野 -. 遠野市教育委員会. 2019年12月9日閲覧。 “遠野市とサレルノ市を結びつけたのは、村野鐵太郎監督の映画「遠野物語」。同映画が第35回イタリアのサレルノ国際映画祭でグランプリを受賞。”
  17. ^ 東宝 1982b, p. 144.
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  19. ^ 江利 チエミ(エリ チエミ)とは”. コトバンク. 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治 - 平成」(2010年刊). 朝日新聞社. 2019年12月10日閲覧。
  20. ^ 衣笠貞之助(きぬがさていのすけ)とは”. コトバンク. 日本大百科全書(ニッポニカ)日本. 朝日新聞社. 2019年12月10日閲覧。
  21. ^ 斎藤寅次郎(サイトウトラジロウ)とは”. コトバンク. 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). 朝日新聞社. 2019年12月10日閲覧。
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  24. ^ a b 東宝 1982b, p. 146.
  25. ^ a b 東映 1992, pp. 72–73.
  26. ^ 日活 2014, p. 156.
  27. ^ 未完の対局”. キネノート. キネマ旬報社. 2019年12月10日閲覧。
  28. ^ 佐分利 信(サブリ シン)とは”. コトバンク. 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治 - 平成」(2010年刊). 朝日新聞社. 2019年12月10日閲覧。
  29. ^ "トリプル・エクラン". 世界大百科事典(旧版). コトバンクより2024年4月11日閲覧
  30. ^ 映画 ナポレオン (1926)”. allcinema. スティングレー. 2024年4月11日閲覧。
  31. ^ 1900年 - 作品情報・映画レビュー”. KINENOTE. キネマ旬報社. 2024年4月12日閲覧。
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  33. ^ 「1982年度日本映画・外国映画業界総決算 日本映画」『キネマ旬報1983年昭和58年)2月下旬号、キネマ旬報社、1983年、116頁。 
  34. ^ 竹入栄二郎「アイドル映画 データ分析」『キネマ旬報1983年昭和58年)8月下旬号、キネマ旬報社、1983年、40頁。 
  35. ^ 「(広告)ATG創立20周年記念新作2本立て特別上映」『キネマ旬報1982年昭和57年)5月上旬号、キネマ旬報社、1982年、3 - 4頁。 
  36. ^ 斉藤 2009, p. 97.
  37. ^ 第28作 男はつらいよ 寅次郎紙風船”. 『男はつらいよ』公式サイト. 松竹映画. 2016年12月28日閲覧。
  38. ^ 第29作 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋”. 『男はつらいよ』公式サイト. 松竹映画. 2016年8月5日閲覧。
  39. ^ 小売物価統計調査(動向編) 調査結果”. 統計局. 2016年8月3日閲覧。
  40. ^ 主要品目の東京都区部小売価格:昭和25年(1950年)〜平成22年(2010年)” (Excel). 統計局. 2016年8月3日閲覧。
  41. ^ a b 過去データ一覧”. 一般社団法人日本映画製作者連盟. 2016年8月2日閲覧。
  42. ^ 主要耐久消費財等の普及率(全世帯)(平成16年3月末現在)” (XLS). 内閣府公式サイト. 統計表一覧:消費動向調査. 内閣府 (2004年3月31日). 2022年5月3日閲覧。
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  44. ^ a b c d 「1982年邦画4社<封切配収ベスト作品>」『キネマ旬報1983年昭和58年)2月下旬号、キネマ旬報社、1983年、118頁。 
  45. ^ 竹入栄二郎「アイドル映画 データ分析」『キネマ旬報1983年昭和58年)8月下旬号、キネマ旬報社、1983年、39頁。 
  46. ^ 中川右介「資料編 角川映画作品データ 1976-1993」『角川映画 1976‐1986 日本を変えた10年』角川マガジンズ、2014年、282頁。ISBN 4-047-31905-8 

参考文献[編集]

外部リンク[編集]