高砂市

たかさごし ウィキデータを編集
高砂市
高砂市旗 高砂市章
高砂市旗 高砂市章
1954年12月14日制定[1]
日本の旗 日本
地方 近畿地方
都道府県 兵庫県
市町村コード 28216-2
法人番号 1000020282162 ウィキデータを編集
面積 34.38km2
総人口 85,068[編集]
推計人口、2024年2月1日)
人口密度 2,474人/km2
隣接自治体 姫路市加古川市
市の木 マツ
市の花 キク
他のシンボル -
高砂市役所
市長 都倉達殊
所在地 676-8501
兵庫県高砂市荒井町千鳥1丁目1番1号
北緯34度45分57秒 東経134度47分26秒 / 北緯34.76594度 東経134.79064度 / 34.76594; 134.79064座標: 北緯34度45分57秒 東経134度47分26秒 / 北緯34.76594度 東経134.79064度 / 34.76594; 134.79064
地図
市庁舎位置

外部リンク 公式ウェブサイト

高砂市位置図

― 政令指定都市 / ― 市 / ― 町・村

ウィキプロジェクト

高砂市(たかさごし)は、兵庫県播磨南東部に位置するである。東播磨県民局管轄区域の1つ。1954年に市制を施行した。

漁業、採石業、海岸部の工業地帯における各種製造業が営まれている。

長い歴史を持ち、市内南部を中心に神社が多く、播州の秋祭りと総称される祭礼が知られる。

地理[編集]

上空から見た高砂市

高砂市は播磨灘に面している。かつての沿岸は比較的遠浅の砂浜海岸だったが、昭和時代にほぼ全域が埋立地として造成された(後述)。市域の大部分は加古川の河口部の西側に形成された沖積平野にあり[2]、地名の由来となっている(後述)。標高が比較的低い平坦な陸地が目立つ。

一方で、市域の北西部には「播磨アルプス」と呼称される山々がそびえ、隣接する加古川市との市境に位置する高御位山が高砂市内の最高峰である[3]。さらに、市域内に凝灰岩質の岩山が点在している。これらの岩山では、長年にわたって採石が続けられてきた結果、山肌が大きく削られた特徴的な景観が見られる。

高砂市の気候帯は瀬戸内海式気候の区分内にあり、年間を通して比較的温暖であり、平年の降水量は少ない[2]。空気の乾燥する時期の2011年1月24日には高砂市の北端部の鷹ノ巣山山火事が発生し、高御位山方面へと延焼し、1 km2を超える山林が消失した。このような気候下において農業用水を安定的に確保するため、歴史的に農業用水路ため池が整備され、特に後者は市内北西部・阿弥陀地区の農地やその跡地に数多く残存している。その反面、ひとたび台風などがもたらす記録的大雨が降ると、標高の低さが災いし、高潮洪水などの浸水被害に見舞われた(近年では1976年の台風17号1990年の台風19号2004年の台風23号2011年の台風12号などが該当する[4][5][6])。これを防ぐため、加古川の河道改修(後述)など、治水のための土木工事が中世から現代にかけて多く実施された。

歴史[編集]

高砂市の南西部・曽根地区の山麓には、縄文時代の貝塚遺跡である日笠山貝塚がある[7]。『播磨国風土記』にある説話の舞台・「南毘都麻島(なびつまのしま)」を現在の高砂近辺と比定する研究がある[8]

市内各所で複数の古墳が確認されており[9]、市内の山から切り出されたものと考えられる石棺も出土している[2]。同質の凝灰岩製石棺は畿内各地に流通したと考えられ、奈良県の見瀬丸山古墳や大阪府の墓山古墳でも出土した。

後の市名となる「たかさご」とは、砂が河口で堆積して盛り上がった状態を表す古語「たか-いさご」が転訛した[10]、地形を示す一般名詞であった。「高砂」が加古川近辺の寄港地を示す地名として確認できる最古の文献は827年天長4年)ごろに編纂された『経国集』13巻における、淡海福良満(おうみ の ふくらまろ)による、

「夕次高砂浦 時風暴且寒」
――ゆうべ(=夜)にやどる高砂の浦 時つ風あらつ寒し

で始まる、「夕宿播州高砂(ゆうべにばんしゅうたかさごにやどる)」という題の律詩である[11]。少なくとも平安時代までには「高砂泊[12]」と呼ばれる漁業や物流の拠点がこの地域に成立したと考えられている。ただし、この「高砂泊」は現在の高砂町にあたる地域とは異なり、加古川をはさんだ対岸の、現在の加古川市尾上町にあった[注釈 4]

鎌倉時代には塩田による食塩の生産が始まった[注釈 5](これより以前、現在の荒井町にあたる地域で行基による製塩指導が行われたという伝説がある[10])。室町時代より梶原氏が代々城主を務めた高砂城は、戦国時代三木合戦の際に別所氏側の兵糧供給拠点として機能したが、羽柴秀吉によって落城させられた(高砂城の戦い)。なお室町時代前期には現在の米田の周辺に局地的ながら甚大な被害を出した地震が起きたと伝えられている[13]

姫路藩成立後、加古川流域の開発事業として現在の高砂町に当たる地域への港の移設[注釈 4]と区画造成が開始された[注釈 6]。その後、江戸時代を通じて高砂は加古川の舟運をベースにした物資の集散地として、また播磨灘の海運の要衝として、さらに御用蔵を設けた藩の拠点都市として繁栄していった。江戸時代には、同町出身の工楽松右衛門が高砂を拠点に海運業や港湾改修などを広く手掛けた。工楽家旧宅は現存し、一般開放されている。

これらの名残として高砂町には江戸時代から大正昭和時代初期にかけて建てられた・蔵跡、木造洋館レンガ造りの倉庫などの関連建物が長く残り、町内は特有の景観を形成している。また、細かい町割りからなる当時の町名が現代に至るまで残され(後述)、各町には町名を紹介する看板が立てられている[14]

河川水を容易に得られる土地であり、かつ海岸付近が埋め立てに適した遠浅の地形であったため、明治維新後、工場の立地が相次いだ。第二次世界大戦の頃までは軍需産業が盛んだった。戦後においては市制施行直後の1955年に、市の「工場誘致条例」が施行され、軍需工場の払い下げ地に重化学工業および食品製造業分野の工場が多く進出した[15]。海岸は1961年から1974年にかけて、県の事業によって計約280万平方メートルにわたって埋め立てられ[15]播磨臨海工業地帯の中核のひとつとして財政的発展をとげるに至った。しかし同時に、底質汚染などの公害問題がもたらされ[16]、長期の行政課題となったほか、「入浜権運動」に代表される、かつての海を取り戻すための市民運動も起きた[17]

和歌と能に登場する高砂[編集]

高砂郵便局前のポスト上に設置された「尉と姥」像。

松(クロマツ)は日本列島の海岸、とりわけ砂地に多く植えられてきた。また先史時代より、本州各地で防波・防潮のために植林・造林が行われてきた形跡がある。松林と砂浜との取り合わせは美観とされてきた経緯があり、万葉集が編纂された時代には「たかさご」は「まつ(松、待つ)」「をのへ(おのえ。山の頂上の意。)[注釈 7]」という語を修飾する枕詞として定着するに至った。

紀貫之は『古今和歌集仮名序』で和歌に織り込まれるテーマを多く列挙して、感興と癒しの効能を説いており、その1つとして「相生の松」が登場する。

「古(いにしへ)の世々のみかど…(中略)…高砂・住江の松も相生(あひおひ)のやうにおぼえ…(中略)…歌をいひてぞなぐさめける」

畿内では松や海をモチーフとした伝承が古くから広く知られていたと考えられている。世阿弥はこの伝承に取材し、能『高砂』を作った。阿蘇の神官・友成が、上京途上に高砂の浦で出会った尉と姥(じょう-と-うば または じょう-と-んば=老夫婦)に、高砂と海を隔てた住吉(すみのえ)に生えた「相生(相老い)の松」の伝説を聞き、尉と姥が「われわれこそ、その松の精である」と明かし、姿を消すという筋である。「高砂や。この浦舟に帆を上げて……」という一節がよく知られ、現在では日本式の結婚披露の場などで謡われることが多い(ウィキクォート世阿弥の項も参照)。

その後、工業用地の造成などにより、市内の松林と砂浜の多くが失われた。しかし向島公園、あらい浜風公園を始めとする海浜公園の整備など、往時の景観をしのぶ努力が払われるようになった。

また高砂神社の相生の松(松ぼっくり)をモチーフとして2009年に、市のマスコットキャラクター「ぼっくりん」が誕生した[18]

行政区域の変遷[編集]

環境保全[編集]

  • 1954年4月 - 鐘淵化学工業高砂工場でカネクロールPCB)を製造開始[19]。後に、各地のPCB製造事業所所在自治体同様、底質土壌への流出・浸透が判明した(底質汚染参照)。
  • 1974年6月 - 環境庁水質保全局長通知「底質の処理・処分等に関する暫定指針」に基づき、高砂市PCB対策本部の監視のもと、鐘淵化学および三菱製紙が事業主体となって、高砂西港の土壌の浚渫と固化処理を開始[16]
  • 1976年8月 - 高砂西港底質土砂の固化工事が完了[16]
  • 2006年6月 - PCB特措法に基づき、「高砂西港盛立地のPCB汚染土に係る技術検討専門委員会」が設立され、PCB含有土壌の恒久的な処理方法の検討が開始された[16]

地域[編集]

地域区分[編集]

おおよその地域区分は以下の通りである。ただし小・中学校区やゴミ収集などの単位は、必ずしも以下に準じない。

高砂地区
  • 高砂町相生町
  • 高砂町藍屋町
  • 高砂町朝日町1〜3丁目
  • 高砂町今津町
  • 高砂町魚町
  • 高砂町戎町
  • 高砂町沖浜町
  • 高砂町鍵町
  • 高砂町鍛冶屋町
  • 高砂町狩網町
  • 高砂町木曽町
  • 高砂町北渡海町
  • 高砂町北本町
  • 高砂町細工町
  • 高砂町栄町
  • 高砂町材木町
  • 高砂町清水町
  • 高砂町次郎助町
  • 高砂町船頭町
  • 高砂町高瀬町
  • 高砂町田町
  • 高砂町大工町
  • 高砂町釣船町
  • 高砂町西宮町
  • 高砂町農人町
  • 高砂町浜田町
  • 高砂町浜田町1〜2丁目
  • 高砂町東農人町
  • 高砂町東浜町
  • 高砂町東宮町
  • 高砂町松波町
  • 高砂町南材木町
  • 高砂町南渡海町
  • 高砂町南浜町
  • 高砂町南本町
  • 高砂町宮前町
  • 高砂町向島町
  • 高砂町横町
  • 高砂町猟師町
  • 西畑1〜4丁目
荒井地区
  • 荒井町扇町
  • 荒井町御旅1〜2丁目
  • 荒井町紙町
  • 荒井町小松原1〜5丁目
  • 荒井町新浜1〜2丁目
  • 荒井町千鳥1〜3丁目
  • 荒井町中新町
  • 荒井町中町
  • 荒井町蓮池1〜3丁目
  • 荒井町東本町
  • 荒井町日之出町
  • 荒井町南栄町
  • 荒井町若宮町
  • 末広町
伊保地区
  • 伊保1〜4丁目
  • 伊保崎1〜6丁目
  • 伊保崎南
  • 伊保町伊保崎
  • 伊保町梅井
  • 伊保東1〜2丁目
  • 伊保港町1〜2丁目
  • 今市1〜2丁目
  • 梅井1〜6丁目
  • 高須
  • 竜山1〜2丁目
  • 中島1〜3丁目
  • 緑丘1〜2丁目
  • 美保里
  • 百合丘
中筋地区
  • 伊保町中筋
  • 春日野町
  • 時光寺町
  • 中筋1〜5丁目
曽根地区
  • 松陽1〜4丁目
  • 曽根町[注釈 8]
    • 東之町
    • 西之町
    • 南之町
    • 北之町
米田地区
  • 神爪1〜6丁目
  • 米田団地
  • 米田町古新
  • 米田町塩市
  • 米田町島
  • 米田町米田
  • 米田町米田新
阿弥陀地区
  • 阿弥陀1丁目
  • 阿弥陀町阿弥陀
  • 阿弥陀町魚橋
  • 阿弥陀町生石
  • 阿弥陀町北池
  • 阿弥陀町北山
  • 阿弥陀町地徳
  • 阿弥陀町長尾
  • 阿弥陀町南池
  • 金ケ田町
北浜地区
  • 北浜町牛谷
  • 北浜町北脇
  • 北浜町西浜

人口[編集]

高砂市中心部周辺の空中写真。1985年撮影の12枚を合成して作成。写真の右端が加古川の河口部、写真の左端が法華山谷川の河口部、写真の下側が播磨灘である。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。
高砂市と全国の年齢別人口分布(2005年) 高砂市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 高砂市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性

高砂市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より


保育・教育[編集]

幼稚園保育所認定こども園は概ね小学校区に対応するように配置されているが、認定こども園については区域外からの入園も可能である[20]。法華山谷川右岸の一部区域では加入する自治会によって通学する小・中学校が変わる[21]

兵庫県立高砂南高校(2012年9月27日撮影)
市立幼稚園・認可保育所・認定こども園 市立小学校 市立中学校
高砂市立高砂こども園 高砂市立高砂小学校 高砂市立高砂中学校
高砂市立荒井幼稚園
高砂市立荒井保育園
高砂市立荒井小学校 高砂市立荒井中学校
高砂市立伊保こども園
高砂市立中筋こども園
高砂市立曽根こども園
高砂市立伊保小学校 [注釈 9]
高砂市立中筋小学校 高砂市立竜山中学校
高砂市立伊保南小学校 高砂市立松陽中学校
高砂市立曽根小学校
高砂市立米田こども園 高砂市立米田小学校 高砂市立宝殿中学校
高砂市立米田西小学校
高砂市立阿弥陀こども園 高砂市立阿弥陀小学校 高砂市立鹿島中学校
高砂市立北浜こども園 高砂市立北浜小学校
私立認可保育所
  • 白兎愛育園
  • 米田西保育園
私立認定こども園
  • 子供の園保育園
  • さいしゅうじこども園
  • 正蓮寺こども園
  • 真浄寺きくなみ保育園
  • 認定こども園真浄寺保育園
  • 聖パウロこども園
  • 中筋保育園
  • みどり丘こども園
  • 美保里こども園

医療・衛生[編集]

病院
ごみ処理施設

警察・消防[編集]

司法[編集]

裁判所・検察庁は市内に設置されていない。裁判は神戸地方裁判所姫路支部(簡易裁判所は加古川簡易裁判所)、検察事務は神戸地方検察庁姫路支部(簡裁に対応する事務は加古川区検察庁)の管轄である。

運輸・通信[編集]

郵便
高砂郵便局

高砂郵便局(北浜町を除く全域)および姫路南郵便局(北浜町のみ)が集配を担当している。郵便番号はそれぞれの局の項目を参照。

この他の市内に所在する集配業務を行わない郵便局は、以下の通り。

自動車登録

姫路市の神戸運輸監理部姫路自動車検査登録事務所の管内であり、ナンバープレートの表記は「姫路」である。

電話

市外局番は市内全域が「079」である。しかし単位料金区域(MA)は北浜町(姫路MA)とそれ以外の地域(加古川MA)で分割されている[22]

放送

市内に放送局・中継局はなく、テレビとFMラジオの電波は、ほとんどの世帯が姫路市の姫路テレビ・FM中継局の受信圏内である。また、加古川市のケーブルテレビ局・BAN-BANテレビのサービスエリア内、コミュニティFM局・BAN-BANラジオの受信圏内である。

文化・体育施設[編集]

公園[編集]

高砂海浜公園内の人工砂浜から見た日没。写真で目立つ樹木は、クロマツである。
  • あらい浜風公園 - 夜間は閉鎖される。開園時間帯は季節により異なる。
  • 市ノ池公園 - 高砂市公園墓地と隣接する。
  • 鹿島・扇平自然公園 - 高砂市の北端で、市ノ池公園と隣接している。2011年1月24日に発生した山火事では、公園内の山林が被害を受けた。
  • 兵庫県立高砂海浜公園 - 高砂港と加古川河口の間で、江戸時代には高砂向島砲台が設置された場所である。クロマツなどが植えられており、人工の砂浜に降りられる。また沖合いの高砂島と呼ばれる人工島へは橋で渡れる。向島公園と隣接している。
  • 高砂市立向島公園 - 園内に高砂市青年の家も建つ。
  • 高砂河川公園 - 加古川の右岸の一部。テニスコートを備えている。
  • 高砂みなとの丘公園 - 高砂西港に面した公園で、三菱重工専用埠頭広場も公園に含まれる。開園時間は8時から17時の間のみ。

市政[編集]

市長[編集]

氏名 就任年月日 退任年月日
1-2,4-6 中須義男 1954年7月30日 1959年10月27日
1963年10月26日 1975年10月26日
3 菱川兵次郎 1959年10月27日 1963年10月26日
7-11 足立正夫 1975年10月26日 1994年10月26日
12 大内秀雄 1994年10月26日 1998年10月26日
13-14 田村広一 1998年10月26日 2006年10月26日
15 岡 恒雄 2006年10月26日 2008年2月22日
16-18 登 幸人 2008年4月13日 2020年4月12日
19 都倉達殊 2020年4月13日 現職

議会[編集]

市議会議員の定数は19名[23]

姉妹都市・提携都市[編集]

日本
国外

県政・国政[編集]

県政[編集]

兵庫県議会において、市内全域で定数1の高砂市選挙区をなす。

衆議院[編集]

選挙区 議員名 党派名 当選回数 備考
兵庫県第10区(高砂市、加古川市稲美町播磨町 渡海紀三朗 自由民主党 10 選挙区

経済[編集]

産業人口[編集]

2010年国勢調査によれば、産業別就業者のうち第三次産業従事者の割合が60.4%を占める[25]第二次産業従事者はそれに次ぐ36.6%で、うち27.9%が製造業従事者である[25]

2010年時点で、加古川市への通勤率は15.1%、姫路市への通勤率は14.2%である[26]

主な産業・企業[編集]

漁業
  • 漁港:高砂港、伊保港、曽根港。底引き網漁・船引き網による[27]貝類、甲殻類等の水揚げ[28]が盛ん。
  • 高砂町および荒井町の沖合に、ノリおよびワカメの養殖場がある[27][29]
農業
  • 高砂市付近は瀬戸内式気候で少雨のために溜め池が多く作られてきた地域だが、その溜め池ではレンコンが収穫できる[30]。このためレンコンの栽培が盛んである。
採石業
  • 竜山石(たつやまいし) - 高砂市の一部地域で産出する石材で、古墳時代から採石が続けられてきた。このため高砂市内では採石を行った跡が見られ、例えば、伊保山や竜山では石切り場が見られる。また1842年には竜山の中腹に鉱山の神とされる「火明神(ほのあかりのみこと)」を祠を建てて祀り、石工達が採石の安全祈願を行うようになった。竜山での石材の採掘は、昭和時代の中期が最盛期であった。その後は石材の需要が減少し、竜山中腹の祠も荒廃したため、2004年6月に、この祠は山の麓に移転した[31]。竜山石は凝灰岩の一種とされていたが、近年の調査によりハイアロクラスタイト(水冷破砕溶岩)だと判明した[32]。青、黄、赤系の色合いがあり、古くは石棺など、現代では著名建築にも使用されている。
製造業
エネルギー事業
金融機関(新たな形態の銀行を除く)

本社・本店を置く主な企業[編集]

主な商業施設[編集]

  • アスパ高砂(緑丘2丁目:イオン高砂店および専門店街)
  • イオン・アイモール高砂ショッピングセンター(米田町島:マックスバリュ宝殿店および専門店)
  • イオンタウン高砂(梅井5丁目:マックスバリュ梅井店・DCMダイキ高砂店および専門店)
  • サンモール高砂(高砂町栄町)
  • 本町商店街、高砂銀座商店街、高砂センター街、農人町商店街(高砂町)

その他[編集]

交通[編集]

鉄道路線[編集]

高砂市には最も内陸側にJRの山陽本線が、海岸側に山陽電気鉄道本線が、その間にJRの山陽新幹線が通っている。この他、1914年から1984年にかけては、加古川駅から高砂町に至る国鉄高砂線が運行されていた。

JTB時刻表には、高砂駅が市の代表駅として記載されているが、市役所の最寄り駅は山陽電鉄伊保駅、乗降客数の最も多い駅はJR宝殿駅である。また山陽電気鉄道本線は、山陽曽根駅以西の姫路市内に所在する大塩駅的形駅を結ぶ約150 mの区間で再度市内(北浜町西浜)を通過する。北浜町の一部はこれらの駅が最も近隣である。

JR三ノ宮駅へは宝殿駅から普通列車に乗り、隣の加古川駅新快速に乗り換えて最速34分。阪神電気鉄道神戸三宮駅へは高砂駅から直通特急で最速43分。山陽新幹線の駅は市内になく、姫路駅西明石駅を利用する。

バス[編集]

じょうとんバス

高砂市コミュニティバス(通称じょうとんバス)が市内を走るほか、市内のJR各駅発着で神姫バスが運行されている。発着地や系統についてはそれぞれの当該項目を参照。

船舶[編集]

高砂市には東から順に、高砂港、高砂西港、伊保港、曽根港などがあるものの、旅客船の運行はない。しかし臨海工業地域の各工場には業務用の岸壁がある(東播磨港の伊保地区、荒井地区、高砂地区[33])ほか、ヨットハーバーが点在する。

道路[編集]

観光・文化・特産品[編集]

旧朝日町浄水場配水塔
石の宝殿
曽根天満宮の竹割神事

史跡[編集]

神社・寺院[編集]

民間のイベント[編集]

  • カネカ夏まつり - 8月。高砂工業所敷地内の旧ラグビー部グラウンドで開催。従業員による模擬店のほか、特設のステージにミュージシャンやお笑いタレントが多数出演する。
  • たかさご万灯祭 - 9月の最終土曜日・日曜日。高砂町の景観形成地区がライトアップされるほか、市内各所でジャズが演奏される[34][35]

秋季例大祭(秋祭り)[編集]

多くの神社でヤッサ(太鼓台)の練り出しが行われる。

  • 荒井神社 - 体育の日の前々日・前日。仁輪加太鼓
  • 生石神社 - 10月の第3土曜日・日曜日。赤囃子(あかはやし)神事。
  • 小松原三社大神社 - 体育の日の前々日・前日。仁輪加太鼓
  • 曽根天満宮 - 10月13日14日。竹割神事・一ツ物神事。
  • 高砂神社 - 10月10日11日。3年に1度の船渡御神事。
  • 米田天神社 - 体育の日の前々日・前日。

スポーツ[編集]

チーム[編集]

かつて存在したチーム[編集]

大会[編集]

ご当地グルメ[編集]

  • 焼き穴子
  • 高砂にくてん - お好み焼きの元になった料理とも言われるにくてんの1つだが、高砂市の場合は甘く味付けして煮込んだジャガイモを具材として加える点が特徴である[36]
  • かつめし
  • 柏餅 - 鹿嶋神社参道で販売されている。丸い焼き餅が包まれている点が一般と異なる。

伝統工芸品[編集]

  • 高砂染 - 2種類の異なった型を使用して布を染色していた。ただし廃れた工芸品であり、復元の試みが見られる程度である。
  • 松右衛門帆

著名な出身者[編集]

スポーツ[編集]

芸能・アート[編集]

学術[編集]

その他諸分野[編集]

ゆかりの人物[編集]

かつて市内に本拠があった社会人野球チーム・鐘淵化学硬式野球部(鐘化カネカロン、鐘紡高砂)でプレーした経験がある人物については、当該項目参照。

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 加古川市との行政境界であり、高砂市に属するのは河口部の左岸側のみである。
  2. ^ 高砂市に属しているのは阿弥陀町魚橋よりも下流部。それより上流部は加古川市などに属している。
  3. ^ 北浜地区で姫路市との行政境界となる区間があり、この区間で高砂市に属しているのは右岸側のみである。
  4. ^ a b 『播州名所巡覧図絵』三[1]「尾上松」の項に尾上神社の社記を引用する形での記述がある。「高砂と号(なづ)く所東は池田(注:現在の尾上町池田か)より北は此所に続き人家多くて船の往来(ゆきき)も程近く漁猟のたよりもよろしきに世変(かは)り年を積みて泊りの波も遠浅となり船の出入もよろしからずとて又数年を経て今の高砂といへる所へ家どもを移し同所ながら高砂尾上と相別(わか)ちて隔つ事八丁(=約873メートル)斗(ばかり)也」
  5. ^ 製塩事業は、後に国策として大規模な整理が行われ、1971年に全廃された。日本における塩の専売を参照。
  6. ^ この開発が行われるまでは、加古川を流れてくる水のほとんどは現在の宝殿中学校の辺りから西南西へ流れ、法華山谷川へ合流していた(旧洗川)。加古川本流の河口を拡張し、河道を直線状にして新設の港と一体化することで物流拠点としての機能強化を図った。また、一国一城令に伴う高砂廃城後の藩主本多忠政の時代には、高砂町の道路を碁盤目状に再配置する大規模な造成がなされ、現在の道路や町割りもほぼそれに沿っている。
  7. ^ 尾上町にも同様の松の逸話がある。
  8. ^ 現在の住所表記上は番地のみで郵便物が届く地域であるが、屋台町ごとに自治会があり、市の統計[2][リンク切れ]などでは4つに区分される。
  9. ^ 法華山谷川を境に、左岸は荒井中、右岸は竜山中に分かれる。
  10. ^ 記載順は、ユーレット経審 市区町村別企業ランキング 兵庫県高砂市建設業情報管理センター経営事項審査データに基づく)に準じる。

出典[編集]

  1. ^ 図典 日本の市町村章 p160
  2. ^ a b c 高砂市歴史文化基本構想 2.高砂市のあゆみ 高砂市役所
  3. ^ 堀寿伸・松原了太「山夜景をはじめて楽しむ人のための関西ナイトハイキング」創元社(2017年10月)ISBN 978-4-422-25081-6、112ページ
  4. ^ 新松村川水門・排水機場工事だより 第2号 高砂市役所治水対策室治水計画課 2020年1月8日 - p.2に平成16年台風第23号における高砂地区の被害写真。
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外部リンク[編集]