高原へいらっしゃい

高原へいらっしゃい』(こうげんへいらっしゃい)は、山田太一原作のTBS系で放送されたテレビドラマ1976年田宮二郎主演で放送され、2003年佐藤浩市主演でリメイク版が放送された。

概要[編集]

野辺山八ヶ岳高原に、何度も人手に渡り経営の難しいとされた1軒のホテルがあった。物語は冬が終わろうとする頃から始まり、夏の観光シーズンまでに限られた予算内でホテル運営を軌道に乗せるべく奮闘する面川マネージャーと、彼が集めたメンバーそれぞれの人間模様が描かれる。また「ホテルを絶対に成功させる」という面川の強い決意の裏には、面川自身の人生の再建を懸けた意味も込められていることが徐々に明らかになる。 1976年版、2003年のリメイク版ともにドラマの舞台となっている八ヶ岳高原ホテルは八ヶ岳高原ヒュッテ(旧尾張徳川邸)である[1]

1976年版[編集]

高原へいらっしゃい
ジャンル テレビドラマ
原作 山田太一
脚本 山田太一
横堀幸司
折戸伸弘
演出 高橋一郎
福田新一
田沢正稔
出演者 田宮二郎
製作
プロデューサー 高橋一郎
制作 TBS
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1976年3月25日 - 7月15日
放送時間木曜21:00 - 21:54
放送枠TBS木曜9時枠の連続ドラマ
放送分54分
回数17
テンプレートを表示

1976年3月25日から7月15日まで毎週木曜日21:00 - 21:54に放送された。主演は田宮二郎

キャスト[編集]

八ヶ岳高原ホテル[編集]

面川 清次
演 - 田宮二郎
本作の舞台となる八ヶ岳高原ホテルの支配人。かつては東京にある一流ホテルのフロントマネージャーだった。
自ら選び抜いたメンバーと共に潰れかけたホテルの再建に情熱を燃やす。
大貫 徹夫
演 - 前田吟
副支配人兼経理。専造の経営する大手鉄鋼会社の経理課長代理だったが、面川のお目付役としてホテルに出向してきた男。
堅物で口うるさい。
再建が成ったあと、専造から会社の経理課長のポストを用意していると告げられるが、断り、ホテルに残ると答えた。
鳥居 ミツ
演 - 池波志乃
ウェイトレス兼設備管理。ボイラーのエキスパートで蒲田の工場に勤めていた。
いくつもの資格を持つ優秀な技術者でありながら、自分の容姿にコンプレックスを抱いているため性格は閉鎖的。同年代の冬子にライバル意識を持つ。
北上 冬子
演 - 由美かおる
ウェイトレス。美人で気立てがよく、ホテルの看板娘でもある。大手デパートの食堂で働いていたノウハウを活かし、接客態度は良好。他のメンバーからの人気も高い。
ただ過去に恋愛で失敗しているせいか、その裏にはどこか暗い影を持つ。
高村 靖雄
演 - 潮哲也
ボーイ。長身の二枚目。赤坂のシティホテルでベルボーイをしていた。面川の部下では、唯一ホテルで働いた経験があり、面川の右腕的存在として活躍する。
人に騙された過去があることから、猜疑心が強くやや醒めた性格。冬子に好意を持つ。
小笠原 史朗
演 - 古今亭八朝
ボーイ兼バーテン。調子の良い三枚目。池袋のバーでバーテンをしていた。そのため、酒の知識と酒場での接客を身につけている。
人は悪くないが、見栄っ張りで小心者なためいつも不平や愚痴を口にする。
高間 麟二郎
演 - 益田喜頓
コック長。熟練コックで面川の良きアドバイザー。シンガポールの一流レストランでコック長を務めたのち、東京に戻っていたところを面川に引き抜かれる。
普段は穏和な性格だが、一度決めたらテコでも動かぬ職人気質も持っており、面川の頭を悩ませたことも。スカウトされて、一時、神戸に行っていた。
服部 亥太郎
演 - 徳川龍峰
コック助手。高間の弟子。寡黙で無愛想だが料理の腕は確か。師匠の高間を心から尊敬しており、彼の不在時には立派に代役を果たした。
自分に近い性格であるミツにほのかな恋心を抱く。
杉山 七郎
演 - 尾藤イサオ
運転手兼雑務。地元の青年でジープの持ち主。地元町長の推薦によってホテル再建に協力することに。
世間知らずで不器用なため到底ホテルマンには向かないが、素直で人懐っこい性格は誰からも好まれる。
有馬 フク江
演 - 北林谷栄
雑務。七郎と村田だけは「おばやん」とよぶ(他のメンバーからは「おばちゃん」)。地元の人間で、七郎と同じく町長の推薦によりホテルへ。
息子の嫁との折り合いが悪く、極端な人間嫌い。都会の人間には反感を持っていたが…。
村田 日出男
演 - 常田富士男
高間の推薦により材料の仕入れを任された地元卸売業者。むさ苦しい風貌で一見胡散臭い印象を与えるが、外見に反して良質な食材を見抜く確かな目を持つ。
ストーリー終盤では急場しのぎにホテルのフロントに立ったことも。
大場 専造
演 - 岡田英次
八ヶ岳高原ホテルのオーナー。大手鉄鋼会社の社長。祐子の父で、面川の義父。
ホテルを解雇され失意の日々を送っていた面川に自社所有のホテルの再建を任す。

その他[編集]

面川 祐子
演 - 三田佳子
清次の妻、専造の娘。ブティック経営。酒に溺れた面川との生活に疲れ果て、離婚を決意するが…。
ナレーション
声 - 田中信夫

ゲスト[編集]

第1話
第2話
第4話
第5話
第6話
第7話
第8話
第9話
第14話
第15話
第16話

スタッフ[編集]

放送日程[編集]

各話 放送日 脚本 演出 出来事
第1話 1976年3月25日 山田太一 高橋一郎 面川が東京でスカウト、各自ホテルへ集結
第2話 4月01日
第3話 4月08日 おばやんが高間さんのオムレツを試食
第4話 4月15日 福田新一 おばやんがエプロンを作る
第5話 4月22日 高橋一郎 面川、宣伝を依頼に東京の出版社めぐり
第6話 4月29日 雑誌記者・柳田現る
第7話 5月06日 山田太一
横堀幸司
船員夫婦来館
第8話 5月13日 山田太一 福田新一 新婚カップル来館
大貫がセールスのため東京へ、祐子と面会
第9話 5月20日 田沢正稔 高間さんが引き抜かれる?
第10話 5月27日 折戸伸弘 高橋一郎
第11話 6月03日 福田新一 設備の要・ボイラーが故障
第12話 6月10日 田沢正稔 面川が東京の大場社長に増資を懇願
第13話 6月17日 高橋一郎 靖雄,史朗,七郎がホテルを去り東京へ
高間コック帰還
第14話 6月24日 福田新一 原田画伯来館
第15話 7月01日 田沢正稔 おばやん復帰、東京へ出た3人も出戻る
面川、冬子、靖雄、七郎が宣伝のため花ジープで東京へ
第16話 7月08日 高橋一郎 柳田記者再び現る
最終話 7月15日 山田太一 大場社長・祐子来館

2003年版[編集]

高原へいらっしゃい
ジャンル テレビドラマ
原作 山田太一
脚本 前川洋一
吉本昌弘
奥寺佐渡子
演出 今井和久(MMJ)
吉田健(TBS)
本多繁勝
出演者 佐藤浩市
西村雅彦
井川遥
堀内健
竹脇無我
菅原文太
エンディング 浜崎あゆみforgiveness
製作
プロデューサー 志村彰
次屋尚
制作 TBS
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2003年7月3日 - 9月4日
放送時間木曜22:00 - 22:54
放送枠TBS木曜10時枠の連続ドラマ
放送分54分
回数10
テンプレートを表示

2003年7月3日から9月4日まで毎週木曜日22:00 - 22:54に放送された。主演は佐藤浩市

BS-TBSの「奥さま劇場」枠で2013年6月10日から6月21日まで再放送された。

キャスト[編集]

八ヶ岳高原ホテル[編集]

面川 清次
演 - 佐藤浩市
主人公。八ヶ岳高原ホテル支配人。かつては高級ホテルの支配人だったが、倒産後一時酒びたりになる。温厚な性格。
過去の失敗を教訓に、経験よりも人柄重視で八ヶ岳高原ホテルのスタッフをスカウトする。そして彼らとともに成長していく。
最終回でユナイトホテルの沖から特例として総支配人で残れるように取り計ってもらったものの、従業員を取り替える方針に納得がいかず、従業員ともども退職。1年後八ヶ岳高原ホテルが買い戻された後八ヶ岳ホテルに支配人として再就職する。
若月 誠
演 - 西村雅彦
八ヶ岳高原ホテル副支配人。従業員の教育に厳しく従業員とのトラブルもしばしば。しかし、日が立つにつれ八ヶ岳高原ホテルに愛着がわいていく。
本間 さおり
演 - 井川遥/川本留美(少女時代)
接客係。本間哲郎の娘。父親をクビにした面川を調べるため、八ヶ岳高原ホテルに就職する。オープン当日、身勝手な団体客に言い掛りをつけられたこともある。
石塚 章一
演 - 堀内健
接客兼バーテン担当。客としてホテルを偶然訪れた元彼女榎本加奈子の結婚披露宴を従業員として演出したことを機に大きく成長する。そのあたりから親しくなっていった山村久美と、最終回で結婚した。
山村 久美
演 - 市川実和子
接客係。初めは仕事をサボッたり、タバコを吸ったりしていたため、若月副支配人や峰子に注意をされていた。プレオープンのとき、ホテル評論家神崎三千雄に星を見せるため外に連れ出し若月副支配人をヒヤッとさせるものの、神崎から星がきれいだったと絶賛された。
中原 友也
演 - 平山広行
接客係。オープン当日、身勝手な団体客に振り回され口論したこともある。
小池 雄一郎
演 - 菅原文太[注釈 1]
八ヶ岳高原ホテルのコック。かつて勤めていたシンガポールオリエントホテルが矢野に売却され失職した。八ヶ岳高原ホテルを守るため、八ヶ岳高原ホテルのコックになりたいと面川に志願した。若い頃酔っ払いに絡まれたとき、客を殴りクビになった過去がある。
ユナイトホテルの沖に総料理長として残れるようにしてもらったのにもかかわらず 面川同様従業員全員慰留がかなわないため退職し、八ヶ岳高原ホテルが買い戻された後、八ヶ岳ホテルに再就職した。
関 麻美
演 - 純名りさ
峰子の娘。小池雄一郎を手助けする。コック見習い。夫のリストラが原因で息子博幸を連れ実家に帰るものの就職にありつけなかったが、八ヶ岳高原ホテル再建をきっかけに母峰子と共に八ヶ岳高原ホテルに就職する。元夫と復縁するため、息子とともに東京へ。唯一の八ヶ岳高原ホテル中途退職者。
関 峰子
演 - 大山のぶ代
雑用係。仕事ぶりは真面目。娘の失敗をなじった若月にビンタを張ったこともある。

面川家[編集]

面川 祐子
演 - 余貴美子
面川の妻。矢野の娘。最終回で息子・大とともに高原ホテルを訪れる。
面川 大
演 - 染谷将太
面川夫妻の一人息子。父親が酒に溺れたことをきっかけに父親とは別居するが、八ヶ岳高原ホテルがユナイトホテルに売却された後、父親と一緒に暮らす。平成版のみ登場。昭和版では子供はいない設定だった。

その他[編集]

五十嵐 俊彦
演 - 高知東生
八ヶ岳に住む喫茶・軽食店の経営者。麻美の幼なじみ。当初から面川には好意的に接していた。ホテルの団体客を捌くために厨房を手伝ったことを契機に、小池から本格的に料理を学ぼうと決意し、準従業員となる。
貫井 明夫
演 - 入江雅人
八ヶ岳に住むペンションの経営者。予約の手違いでオーバーブッキングをした時、オーバー分の客を八ヶ岳高原ホテルに泊まらせてもらった恩がある。
本間 哲郎
演 - 平田満
さおりの父親。かつて面川が経営していた高級ホテルに勤めていた料理人。回想シーンのみの登場。
矢野 謙作
演 - 竹脇無我
八ヶ岳高原ホテルを高く売りつけるため、若月に高いノルマを課し、最後にユナイトホテル売却するものの、ユナイトホテルが経営後不調になり、1年後ユナイトホテルから買い戻す。
昭和版では八ヶ岳ホテルは売却していない。
水島 絹江
演 - 八千草薫
横浜にある老舗ホテルのオーナー。そのホテルの経営が難しくなり、旧知の仲である小池を引き抜く目的でホテルを訪れる。客として過ごす中、面川をはじめとするスタッフの、仕事に対する姿勢を目にし、引き抜きを思いとどまる。
神崎
演 - 杉浦直樹
ホテル評論家。かつては面川が経営していた高級ホテルを辛く評価したこともある。プレオープンの前日に八ヶ岳高原ホテルに来日し、このホテルは最低と言いつつも何回も行きたくなると絶賛している。
演 - 宅麻伸
平成版のみ登場。八ヶ岳ホテルを買い取るため外人と八ヶ岳高原ホテルに客としてやってきた。面川と小池の二人は特例として八ヶ岳高原ホテルに残れるように取り計らった。

スタッフ[編集]

放送日程[編集]

各話 放送日 サブタイトル 脚本 演出 視聴率
第1話 2003年7月03日 荒野の七人 前川洋一 今井和久 9.8%
第2話 7月10日 突然の敵 7.4%
第3話 7月17日 面川の涙 6.3%
第4話 7月24日 面川更迭 吉田健 7.7%
第5話 7月31日 こころのホテルって何ですか 吉本昌弘 今井和久 6.7%
第6話 8月07日 涙と感動のウエディングケーキ 前川洋一 6.7%
第7話 8月14日 ホテルを愛するそれぞれの思い 吉本昌弘 吉田健 7.5%
第8話 8月21日 心に秘めた30年間の約束 前川洋一
吉本昌弘
6.3%
第9話 8月28日 仲間を裏切る野望 奥寺佐渡子 本多繁勝 5.7%
最終話 9月04日 また会う日まで! それぞれの旅立ち 吉本昌弘 今井和久 8.0%
平均視聴率 7.2%(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 当初はいかりや長介が担当予定であったが、いかりやの入院に伴い交代[2][3]

出典[編集]

外部リンク[編集]

TBS 木曜21時枠連続ドラマ
前番組 番組名 次番組
君の歌が聞きたい
(1975.12.5 - 1976.3.18)
高原へいらっしゃい(1976年版)
(1976.3.25 - 1976.7.15)
グッドバイ・ママ
(1976.7.22 - 1976.9.30)
TBS系 木曜22時枠連続ドラマ
あなたの人生お運びします
(2003.4.10 - 2003.6.19)
高原へいらっしゃい(2003年版)
(2003.7.3 - 2003.9.4)
マンハッタンラブストーリー
(2003.10.9 - 2003.12.18)