降矢なな

降矢 奈々
ふりや なな
誕生 (1961-09-11) 1961年9月11日(62歳)
日本の旗 日本東京都
言語 日本語
民族 日本人
市民権 スロバキアの旗 スロバキア
教育 ドゥシャン・カーライより版画の指導。
最終学歴 ブラチスラヴァ美術大学スロバキア語版英語版ロシア語版
ジャンル 絵本
配偶者 ペテル・ウフナール(Peter Uchnar)
親族
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降矢 なな(ふりや なな、1961年 9月11日 - )は、日本出身の絵本作家

経歴[編集]

1961年9月11日、東京都文京区に生まれる[1]。国立市で育ち、東京都立府中高等学校を卒業する[1]。母が開く絵画教室を手伝うかたわら、福音館書店の編集者であった叔母の勧めで作品の持ち込みを行い、『こどものとも』1985年8月号[2]「めっきらもっきらどおんどん」(長谷川摂子作)の挿絵で、絵本作家としてデビューする[1]。同じ頃にユーリ・ノルシュテインのアニメーション映画「話の話」を見て以来、ロシアや東欧の短編アニメを見るようになる[1]

1992年からチェコスロバキアに渡りブラチスラヴァブラチスラバ美術大学ドゥシャン・カーライ教授に師事 し版画を学ぶ[3]。美術大学在学中にスロバキア人の画家ペテル・ウフナールロシア語版 (Peter Uchnár)と出会い1999年に結婚、スロバキアに暮らす[3]。2011年の東日本大震災を受けて、イラストレーターのグループ展「手から手へ展」を立ち上げ、2012年のイタリアのボローニャを皮切りに、ヨーロッパ、日本の巡回展示を行う[4][5]

降矢洋子と妹のアンヴィル奈宝子も画家[6]2022年、『ヴォドニークの水の館 チェコのむかしばなし』で第69回産経児童出版文化賞美術賞受賞。2024年、『クリスマスマーケット~ちいさなクロのおはなし~』で第55回講談社絵本賞受賞。

作風と作品[編集]

繊細な色遣いと、和洋両方の味を合わせもつ画風[7]

デビュー作の『めっきらもっきらどおんどん』では、長谷川摂子の文章に合うよう古い日本画を参考にラフを制作したところ、降矢の描いた狐をモチーフにしたお化けに合わせて、長谷川がテキストを変更している[8]。長谷川との作品には、コラージュの技法の絵を付けた『きょだいなきょだいな』(初出『こどものとも』1988年5月号)[8]や、『おっきょちゃんとかっぱ』(初出『こどものとも』1994年9月号)がある。

富安陽子のデビュー作[9]である児童文学作品『やまんば山のモッコたち』を1986年に単行本化する際に挿絵を描き、富安とともに絵本「やまんばのむすめまゆのおはなし」を、『まゆとおに』(初出『こどものとも』1999年4月号)以降シリーズで刊行している[10]

内田麟太郎との作品『ともだちや』(1998年)は、全14冊にわたる人気絵本シリーズとなった[11]

児童文学作品『あたまをつかった小さなおばあさん』(ホープ・ニューウェル作 松岡享子訳)は、1970年に山脇百合子の絵で日本語版を刊行しているが、2019年に続編2冊が刊行された際には、降矢が挿絵を担当した[10]。また、松岡が文を書き、降矢が絵を担当した『えんどうまめばあさんとそらまめじいさんのいそがしい毎日』(2022年)は松岡の遺作である[10]

他の作家の文章にイラストを付けた作品が多いが、『ちょろりんの素敵なセーター』(初出『こどものとも』1986年12月号)のとかげのちょろりんシリーズや、スロバキアの森を舞台に、娘をモデルにした[12]『ナミチカのきのこがり』(2010年)等、文章と絵を手掛けた作品もある。

主な作品[編集]

  • 長谷川摂子『めっきらもっきら どおんどん』福音館書店、1990年(初出1985年)
  • 降矢なな『ちょろりんのすてきなセーター』 福音館書店、1993年(初出1986年)
  • 長谷川摂子『きょだいな きょだいな』福音館書店、1994年(初出1988年)
  • 長谷川摂子『おっきょちゃんとかっぱ』福音館書店、1997年(初出1994年)
  • 内田麟太郎『ともだちや』偕成社、1998年(おれたちともだちシリーズ)
  • 降矢なな『ちょろりんと とっけー』福音館書店、1999年(初出1990年)
  • 谷川俊太郎『あいうえおうた』 福音館書店、1999年(初出1996年)
  • 安江リエ『ねえ どっちがすき?』福音館書店、2003年(初出1998年)
  • 富安陽子『まゆとおに―やまんばのむすめ まゆのおはなし』福音館書店、2004年(初出1999年)
  • 岩崎京子『赤いくつ―アンデルセン童話』女子パウロ会、2004年

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d MIMOseele 2023, p. 136
  2. ^ めっきらもっきら どおん どん”. 福音館書店. 2024年3月10日閲覧。
  3. ^ a b MIMOseele 2023, p. 137
  4. ^ MIMOseele 2023, pp. 138–139
  5. ^ 「手から手へ展」とは”. From Hand to Hand 手から手へ ― 絵本作家から子どもたちへ 3.11後のメッセージ ―. 2024年3月10日閲覧。
  6. ^ くにたちの図書館 191号” (2021年11月). 2024年3月10日閲覧。
  7. ^ 作家紹介2”. 平成を彩った絵本作家たち. 国立国会図書館国際子ども図書館. 2024年3月10日閲覧。
  8. ^ a b 降矢ななさんインタビュー【前編】無我夢中で描いたデビュー作”. ふくふく本棚. 福音館書店 (2022年11月21日). 2024年3月10日閲覧。
  9. ^ MIMOseele 2023, p. 70
  10. ^ a b c 降矢ななさんインタビュー【後編】「まゆ」シリーズのこと、スロバキアのこと”. ふくふく本棚. 福音館書店 (2022年11月21日). 2024年3月10日閲覧。
  11. ^ MIMOseele 2023, p. 100
  12. ^ MIMOseele 2023, p. 54

参考文献[編集]

  • 『この本読んで!』2006年冬号(通巻第21号) 出版文化産業振興財団
  • MIMOseele 編『絵本作家降矢なな』共同文化社、2023年6月。ISBN 9784877393861 

外部リンク[編集]