阿部良雄

阿部 良雄(あべ よしお、1932年5月23日 - 2007年1月17日)は、日本のフランス文学者翻訳家東京大学名誉教授

人物[編集]

東京に生まれる。東京大学文学部仏文科卒業、同大学院修了。フランス政府招聘留学生として高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリユール)に学び、パリのCNRS(国立科学研究センター)研究員、東洋語学校講師として長くパリに滞在。その間、中央大学助教授の職も経験。1970年より東京大学教養学部助教授、1976年教授。1993年定年退官後は上智大学教授。同大学定年退官後は、帝京平成大学文化情報学科教授。

ボードレール研究の第一人者で、『ボードレール全集』の個人完訳を刊行、『シャルル・ボードレール 現代性の成立』で博士号取得、和辻哲郎文化賞、日仏翻訳文学賞受賞。

父は英米文学者・作家の阿部知二。妻はフランス文学・美術研究者・詩人の與謝野文子与謝野晶子の孫)、弟に美術評論家の阿部信雄。娘は美術史研究者の阿部真弓(イタリア政府給費留学生、日本学術振興会特別研究員、独立行政法人国立美術館・国立新美術館勤務を経て、国立西洋美術館リサーチフェロー)。義兄弟に与謝野馨、与謝野達(BNPパリバ(本部フランス)日本支店勤務のバンカー)。

2007年1月17日11時30分、急性心筋梗塞のため東京都世田谷区の自宅で死去[1]、74歳没。

没後『水声通信No.18  特集阿部良雄の仕事』(2007年6月号、水声社)が追悼出版。 

著作[編集]

  • 『若いヨーロッパ - パリ留学記』(河出書房新社) 1962。中公文庫 1979、復刊1991
  • 『夢の展開』(私家版) 1965
  • 『西欧との対話 - 思考の原点を求めて』(河出書房新社) 1972。第三文明社 レグルス文庫 1991
  • 『群衆の中の芸術家 - ボードレールと十九世紀フランス絵画』(中央公論社) 1975。中公文庫 1991。ちくま学芸文庫 1999。各・改訂版
  • 『悪魔と反復 - ボードレール試解』(牧神社) 1975
  • 『絵画が偉大であった時代』(小沢書店) 1980
  • 『ひとでなしの詩学』(小沢書店) 1982
  • 『イメージの魅惑』(小沢書店) 1990
  • 『モデルニテの軌跡 - 近代美術史再構築のために』(岩波書店) 1993
  • 『シャルル・ボードレール - 現代性の成立』(河出書房新社) 1995

共著[編集]

編著[編集]

翻訳[編集]

シャルル・ボードレール[編集]

  • 『ボードレール全集』全4巻(ボードレール、福永武彦編、人文書院) 1963 - 1964 - 訳者の一員
  • 「ボードレール全集」全6巻(ボードレール、筑摩書房) 1983 - 1993
    『ボードレール全集I 悪の華』
    『ボードレール全集II 文芸批評』
    『ボードレール全集III 美術批評 上』
    『ボードレール全集IV 散文詩 / 美術批評 下 / 音楽批評 / 哀れなベルギー』
    『ボードレール全集V 人工天国 / 小説 / 演劇 / ジャーナリズム』
    『ボードレール全集VI 内面の日記 / 書簡 / 年譜・書誌・索引』
  • 「ボードレール全詩集」全2巻(ボードレール、ちくま文庫) 1998
    『ボードレール全詩集1 悪の華、漂着物、新・悪の華』
    『ボードレール全詩集2 小散文詩 パリの憂鬱・人工天国他』
  • 「ボードレール批評」全4巻(ボードレール、ちくま学芸文庫) 1999
    『ボードレール批評1 美術批評』
    『ボードレール批評2 美術批評2 / 音楽批評』
    『ボードレール批評3 文芸批評』
    『ボードレール批評4 アフォリズム / 書簡』

脚注[編集]

  1. ^ 阿部良雄 日本美術年鑑所載物故者記事”. 東京文化財研究所. 2021年10月8日閲覧。
  2. ^ 清水徹種村季弘豊崎光一中原佑介と編集委員