西宮北口駅

西宮北口駅
南西口
にしのみや きたぐち
Nishinomiya-kitaguchi
(阪急西宮ガーデンズ前)
地図
所在地 兵庫県西宮市高松町6番20号[1]
北緯34度44分45.3秒 東経135度21分23.9秒 / 北緯34.745917度 東経135.356639度 / 34.745917; 135.356639 (西宮北口駅)座標: 北緯34度44分45.3秒 東経135度21分23.9秒 / 北緯34.745917度 東経135.356639度 / 34.745917; 135.356639 (西宮北口駅)
駅番号 HK08
所属事業者 阪急電鉄
駅構造 地上駅(5号線のみ高架ホーム)[2]
ホーム (神戸本線)4面4線[2]
(今津北線)3面2線[2]
(今津南線)1面1線[2]
乗車人員
-統計年度-
(全日)57,674人/日(降車客含まず)
-2019年-
乗降人員
-統計年次-
(通年平均)[阪急 1]87,145人/日
-2022年-
開業年月日 1920年大正9年)7月16日[2]
乗入路線 2 路線
所属路線 神戸本線
キロ程 15.6 km(大阪梅田起点)
HK-07 武庫之荘 (3.3 km)
(2.7 km) 夙川 HK-09
所属路線 今津線
キロ程 7.7 km(宝塚起点)
HK-23 門戸厄神 (1.3 km)
(0.9 km) 阪神国道 HK-22
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西宮北口駅(にしのみやきたぐちえき)は、兵庫県西宮市高松町[注 1]にある、阪急電鉄[2]。副駅名は阪急西宮ガーデンズ。駅番号はHK-08

概要[編集]

西宮市の中心駅の一つで、市内では最大の乗降客数を誇る。

神戸本線今津線が接続する乗換駅[2]でもあり、今津線は当駅を境に宝塚駅方面は「今津北線」、今津駅方面は「今津南線」と呼ばれることがある。神戸本線の列車は、今津線と直通する列車を除いて車掌及び運転士は当駅で交代する。

神戸本線と今津北線の間を直通運転する準急直通特急臨時急行を除く(後記「のりば」参照)全営業列車が停車する。神戸本線の急行は当駅以西(通勤急行塚口駅以西)で各駅に停車する。

かつては国鉄東海道本線西ノ宮駅(現在のJR西日本西宮駅)や阪神本線西宮駅と区別するため、当駅周辺の住民を中心に「キタグチ(北口)」と称されることが多かったが、現在は若年層を中心に「ニシキタ(西北)」と称されることが多く[3]、西宮北口界隈を紹介するメディアや当駅周辺の分譲マンション広告などでも『ニシキタ』の呼称が一般的である[4]

大阪(大阪梅田駅)と神戸(神戸三宮駅)のほぼ中間に位置している。

歴史[編集]

西宮北口駅の構内(1957年)

阪急電鉄の前身である箕面有馬電気軌道が、灘循環電気軌道を買収して十三線の名称で阪神間の新線を計画した際は、この地域は今より北の門戸厄神付近を経由する、現在の山陽新幹線および国道171号のルートに相当するルートで申請されていた。これは十三線の敷設が主に伊丹一帯の開発を名目としていたためであり、また十三線の申請以前に宝塚 - 西宮香櫨園(現在の阪神本線香櫨園駅付近)間の免許を箕面有馬電気軌道が所有していたため、それと接続する形を取ったからでもあった。

しかし阪神間を高速で結ぶ目的を達するため、同社は伊丹へは支線の伊丹線を開業させることで代替とし、南の塚口を経由する短絡ルートへ変更した。それに伴い宝塚から南下する計画線との接続点も変更され、結果両線の接続および車庫の設置を目的とし、当地に駅が開設されることになった。

開業時、駅は西宮町(1925年に市制施行で西宮市となる)の市街地から大きく離れ、武庫郡瓦木村1942年に同市へ編入)に属する農村地帯に存在したが、当初より「瓦木」ではなく「西宮北口」を名乗った[注 2]。これは、宝塚からの支線(西宝線として1922年に開業)をさらに南下させ、西宮の市街地まで延伸させる計画があり、それとの接続点ともなる予定であったからだと言われている。しかし、この西宮市街地への延伸計画は実現せず未成線となり、代わりに阪神本線への接続を図る計画が立てられ、それを1926年に実施して現在の今津線となった。後述するダイヤモンドクロスはこのとき生じている。現在西宮市内にある阪急の駅の中では、最も後に西宮市に編入された駅でもある。

1946年(昭和21年)10月14日には、当駅のホームにおいて漫才師ミスワカナ(初代)が心臓発作のため急逝(享年36)するという出来事もあった。

年表[編集]

駅構造[編集]

神戸線ホームと今津(北)線ホームは橋上駅であるが、今津(南)線ホームにあたる5号線のみ高架駅となっている[2]改札口は、7号線ホーム横の北西口が廃止されて以降、長らく2階コンコースに南側1か所・北側1か所の計2か所であったが、5号線ホーム高架化完成に合わせて南側2か所・北側1か所、5号線ホーム南端1か所の計4か所に増設された[5]。阪急電鉄の駅で、改札が4ヶ所ある駅は珍しいケースである[5]

橋上駅舎の外周には、環状のペデストリアンデッキが設けられており、神戸線と今津線の2線によって分かれる4つの駅周辺地域を自由に行き来できるようになっている[5]。東半分は橋上駅舎化された際に開通していた[5]ものの、西半分は資材置き場などに使用されたまま20年以上放置されていたが、2005年11月下旬になってようやく開通した[5]

2010年12月に5号線が高架化されてからは、5号線ホームがペデストリアンデッキと同一階となり、南側のペデストリアンデッキが駅構内により分断されている[5]。このため、当駅の南東側と南西側の間を通行する場合には地平部に降りる必要がある[注 3]が、動線の機能補償として、地上階に自由通路と踏切(西宮北口南踏切)、コンコース階とつなぐ2基のエレベーター(各13人乗り)が設置されている[5]。南東側と南西側を行き来する場合でも、ペデストリアンデッキからエレベーターで地上に降り、自由通路と踏切を通過して行き来することができる[5]

以前は、南北に分断された今津線を高架化によって再度繋げる計画があり、その計画では今津線ホームが3階部分を通ることを想定していたために、橋上駅舎を支持する一部の柱はその計画に対応して太くなっている。しかし今津南線の5号線ホームは2階部に建設されたため、南北の線路が再び繋がる可能性は事実上無くなっている[18]

高架化される前の5号線ホーム北側(1号線降車ホーム南側)の連絡通路部には臨時改札口があった。この臨時改札口は、阪急西宮スタジアムでのイベント開催時(主にプロ野球阪急ブレーブス⇒オリックス・ブレーブス公式戦、西宮競輪やコンサートなど)に使用されたが、阪急西宮スタジアム閉鎖により使用される見込みがなくなったことから、後にシャッターの2/3は撤去され出入口の付いた壁となっていたが、5号線ホームの高架化に合わせて取り壊された。また、橋上駅舎化されてからも暫くは7号線降車ホーム横(現在の北西口出入口付近)に旧来の西改札口が残存していたため、その名残で7号線降車ホームとコンコースを連絡するエスカレーターは2基設置されている。

のりば[編集]

号線 路線 方向 行先 備考
1・2 神戸本線 下り 神戸三宮新開地方面 回送列車は2号線に発着
3・4 上り 十三大阪梅田方面
5 今津線 南線 今津行き
6・7 北線 宝塚方面 6号線はラッシュ時のみ使用
神戸本線:1 - 4号線
待避設備を持つ4面4線(うち島式ホーム2面)となっており[2]、ホーム有効長はいずれも10両編成に対応している。1号線と4号線は両側をホームで挟む構成であり、外側のホームは降車専用となっている。3・4号線ホームは、降車ホームを若干削って拡幅された。また、1号線の大阪側と2号線の神戸側には折り返し線が隣接して設けられている。配線上では1号線と4号線が待避線、2号線と3号線が主本線であるが、混雑緩和と降車専用ホームの有効活用のため、2006年10月28日のダイヤ改正までは基本的に待避列車を主本線の2・3号線に入れ、速達列車を待避線の1・4号線に入れて追い越す形を基本としていた。現行ダイヤでは特急のスピードアップに合わせて、日中は基本的に特急が主本線の2・3号線、普通が待避線の1・4号線に入線している。4号線には通勤特急専用の乗車位置があり、朝ラッシュピーク時間帯の7:38発から8:26発まで使用される。
今津南線:5号線
単式ホーム1面1線で[2]、有効長は3両編成に対応している。このホームのみ高架構造となっており、コンコースと同じレベルで接続し、スムーズな乗り換えを可能としている。5号線は今津線の分断により当初は地上部に設けられ、ホーム真下には半地下構造の改札外通路が設置されていた[19]。なお、5号線のすぐ隣にあり、今津線車両の入出庫に使用されている8号線は高架化されず地平部に残されている。高架工事は駅近辺の線路高架化と共に実施されたが、駅部分については国土交通省の鉄道駅総合改善事業として行われたため、国や自治体から補助金の拠出を受けるため阪急グループの第三セクターである北大阪急行電鉄が工事に関係する施設を保有して事業主体となり阪急が受託する形で工事が実施された[20]。この5号線の高架化工事の際には、2009年1月17日から2010年12月5日まで、5号線を閉鎖した上で旅客列車は全て8号線に設置された仮設ホームに発着していたが、この仮設ホームも旅客案内上は「5号線ホーム」としていた。
今津北線:6・7号線
頭端式ホーム3面2線で[2]、有効長は6両編成に対応している。両端が降車専用、中央が乗車ホームとなっている。神戸本線4号線降車ホームとは壁一つ隔てて繋がっており、非常用の扉も設けられている。主に7号線を使用し、6号線は朝・夕方 - 夜間と臨時列車(主に阪神競馬開催日夕方の増発)の運転時に使用する。
6号線降車ホーム東側に神戸本線との渡り線(社内呼称9号線)があり、今津(北)線車両の入出庫と直通列車(直通特急・臨時急行・準急)が使用するが、ホームが存在しないことから上記直通列車は通過(運転停車)扱いとしている。渡り線のカーブ内側に沿った引き上げ線は西宮車庫の車両の入れ替えに使用されている。

配線図[編集]

西宮北口駅配線図
↑ 今津

大阪梅田
西宮北口駅配線図
神戸三宮
↓ 宝塚
凡例
出典:『鉄道ピクトリアル』2010年8月臨時増刊号 巻末付属の阪急電鉄線路配線略図による


店舗[編集]

改札内には多数の店舗があり、コンコース内だけでもブックファースト551蓬萊・喫茶店・雑貨店などが軒を連ねている。また、6・7号線ホーム宝塚方にはイートインベーカリー「フレッズカフェ」(当初はマクドナルドであった)や化粧雑貨店「カラーフィールド」、QB HOUSE、同ホーム階段側にはローソンHAや若菜そば(旧阪急そば 若菜)がそれぞれ営業している。

橋上駅舎化以前[編集]

1987年に橋上駅舎化される以前は、各ホームが離れた状態で設置されていた。駅開業当初は構内踏切で各ホームを連絡していたが、この構内踏切には遮断機はなく、係員が手動で柵をスライドさせていた[6]。ただ、危険が伴うので1960年12月に地下道が設けられ[6]、各ホームの連絡はこちらを使用するようになった。ただし、構内踏切も今津線分断化まではラッシュ時や阪急西宮球場(のちの阪急西宮スタジアム)での野球・競輪やイベント開催時には使用されていた。改札口は、神戸本線北側に地下の東改札口と地上の西改札口、元臨時改札口付近に設置された地上の南改札口の、計3か所あった。また、地下道上の明かり取り窓の上には花壇が設けられていた[6]。これらの地下道は、1984年の平面交差解消後も1年間使用され、1985年の橋上駅舎落成により閉鎖された。さらに、神戸本線と今津線の列車同士が衝突するのを避けるため、それぞれの平面交差手前に脱線転轍器(脱線ポイント)が設けられていた[6]

神戸本線:1 - 4号線
南北に結ぶ今津線を挟んで、東側に神戸方面行きホーム(1・2号線)、西側に大阪方面行きホーム(3・4号線)が存在していた。1号線と4号線は現在と同様に両側をホームで挟む構成で、外側のホームが降車専用となっていた。ただし、当時は神戸側に折り返し線はなく、折り返しの車両はいったん神戸側に引き上げ、本線上で直接折り返しを行っていた。
既に宝塚本線京都本線で実施されていた10両編成運転を神戸本線でも実施するため、1984年に平面交差を解消。1985年に橋上駅舎化された際に、1・2号線ホームは現在の位置である3・4号線の南側に移動した。さらに地下道入口閉鎖工事とともにホームを延長して10両編成対応とした。また3・4号線も、大阪側にホームが延伸された。
今津線:5 - 7号線、旧8号線
上下線とも東西に結ぶ神戸本線を挟んで北側にあり、西側から7号線降車ホーム、7号線・6号線(宝塚方面)ホーム、5号線(今津方面)ホームとなっていた。7号線はかつて神戸方面と線路が繋がっていたが、1959年冬に分断され[6]、以降は当駅止まりの列車の発着に使用された。なお、宝塚方面からで当駅止まりの運行列車は基本的に7号線に入線していたが、すぐ隣の西宮車庫に入庫する列車は5号線で折り返していた。また、1977年に今津線6両編成化による駅改良工事を実施するまでは7号線の西側に旧8号線が存在しており(これも神戸方面と線路が繋がっていた。跡地には駅ビルが建っている)、ラッシュ時の折り返し用、および西宮車庫から、今津線に電車を入れる際に、使用されていた。
1984年の平面交差解消後に6号線の線路部分は埋められ、現在の6・7号線乗車用ホームとなった。また同様に旧5号線ホームは6号線降車ホームとなっている。なお、線路の位置自体は、6号線降車ホームを拡幅するため、後の工事で元の5号線よりも若干西側に移動している。
旧8号線は、かつては神戸本線上り線と線路が繋がっており、これらの線を使用して、週末には宝塚 - 神戸間直通普通列車が運行されていた。京都 - 宝塚間を神戸本線・今津線経由で直通する「歌劇特急」も、宝塚から京都へ向かう場合はこれらの線を経由していったん神戸本線に入線し、当駅での客扱いを行っていた。また、9号線と合わせてデルタ線(三角線)を形成していたことから、これを用いて京都線用の100形(P-6形)を方向転換したこともある。これらの神戸側の連絡線機能は、1968年の神戸高速鉄道乗り入れ開始に伴うダイヤ改正で、歌劇特急や宝塚 - 神戸間直通普通列車の運転中止に伴い廃止され、折り返し専用となった。

ダイヤモンドクロス[編集]

ダイヤモンドクロス 今津線宝塚行の列車が神戸線を横切る
「高松ひなた緑地」に保存されているダイヤモンドクロス

当駅のダイヤモンドクロスとは、かつて1・2号線ホームの西側、3・4号線ホームの東側、5 - 7号線ホームの南側に存在していた、神戸本線と今津線が直角に交わる平面交差を指す。

1926年の今津線延伸当時は立体交差が技術的に難しかったこともあり、平面交差を採用した。路面電車同士や路面電車と鉄道線の平面交差は珍しくはなかったが、高速走行を前提とする路線同士が平面交差するものとしては日本唯一のものであった[5]。なお、このダイヤモンドクロスを列車が横断する平均時間は72秒であった[6]

長らく神戸本線と今津線の運行ダイヤ作成上のネックであったが、神戸本線のラッシュ時の特急などの優等列車10両編成化に伴い、1984年にダイヤモンドクロスの阪神国道駅側に今津線の地平ホームを追加してダイヤモンドクロスを解消した[5]。以来今津線は当駅で2系統に分断され、今津北線と今津南線という通称にもなっている。

当時のレールの一部は、神戸市営地下鉄(開設時は北神急行電鉄谷上車庫に保存されており、実際に基地内で使用する機械の移動等に使用されており、基地見学会などの際には公開エリア次第では見学できることもある。その他、阪急西宮ガーデンズ内の「阪急西宮ギャラリー」には1982年 - 1984年ごろの当駅周辺を再現した150分の1のジオラマが置かれ、駅南東、阪急西宮ガーデンズ北側にある「高松ひなた緑地」にもレールの実物が埋められ展示されている。

当駅の南東に所在した西宮競輪場の開設記念競走「阪急ダイヤモンド賞」の名称はダイヤモンドクロスにちなんでおり、優勝選手には阪急電鉄より1カラットのダイヤモンドが副賞として贈られた。

西宮北口駅配線図(平面交差時代)
↑ 今津

梅田
西宮北口駅配線図(平面交差時代)
三宮
↓ 宝塚
凡例
出典:川島 P.57による。
平面交差時代(1984年以前)の配線図。点線の線路のうち、神戸本線と今津線との連絡線は1968年に、8号線となった残りの線路は1977年に廃止され、水色のホームは降車専用ホームとなった。


ダイヤ[編集]

神戸線(神戸三宮方面、大阪梅田方面)[編集]

日中は上下とも特急・普通がそれぞれ毎時6本ずつ発車し、緩急接続を行う。平日夕方ラッシュの神戸方面では特急との緩急接続が通勤急行に変わる他、上下ともに当駅から大阪梅田駅までの区間運転の普通が運行される。

今津線(仁川・宝塚方面、今津方面)[編集]

日中は上下とも毎時6本が発車する。

利用状況[編集]

2022年の1日平均乗降人員は87,145人である。この値は、阪急電鉄全線において、大阪梅田駅、神戸三宮駅に次ぐ第3位である[阪急 1]。また、西宮市内の駅において最多の利用者数である。

各年次の1日平均利用状況の推移は下表の通り。

年次別1日平均乗降人員[統計 1]
年次 平日限定 通年平均 順位 出典
乗降人員 乗車人員 降車人員 乗降人員 乗車人員 降車人員
2012年(平成24年) 97,187 48,515 48,672 - 3位 [阪急 2]
2013年(平成25年) 98,323 49,084 49,239 3位 [阪急 3]
2014年(平成26年) 99,642 49,718 49,924 3位 [阪急 4]
2015年(平成27年) 99,925 49,871 50,054 3位 [阪急 5]
2016年(平成28年) - 99,441 49,630 49,811 3位 [阪急 6]
2017年(平成29年) 100,359 - 3位 [阪急 7]
2018年(平成30年) 100,207 3位 [阪急 8]
2019年(令和元年) 103,925 3位 [阪急 9]
2020年(令和02年) 75,419 2位 [阪急 10]
2021年(令和03年) 78,383 2位 [阪急 11]
2022年(令和04年) 87,145 3位 [阪急 12]

年間乗車人員[編集]

2021年の土日休日を含めた年間乗車人員は16,283,000人である。したがって、1日平均乗車人員は44,611人である。阪急西宮ガーデンズ開業直後にあたる2008年12月の乗降人員は1日平均約114,000人だった。

近年の1年間の累計乗車人員は以下の通り。

なお下表内の数値の単位は全て「千人」である。

年度別年間利用状況
年度 年間乗車人員 出典
総数 定期
2010年(平成22年) 17,532 8,008 [西宮市 1]
2011年(平成23年) 17,995 8,333 [西宮市 1]
2012年(平成24年) 18,425 8,719 [西宮市 1]
2013年(平成25年) 19,429 9,206 [西宮市 1]
2014年(平成26年) 19,499 9,606 [西宮市 1]
2015年(平成27年) 19,936 9,955 [西宮市 1]
2016年(平成28年) 20,128 10,000 [西宮市 2]
2017年(平成29年) 20,349 10,134 [西宮市 3]
2018年(平成30年) 20,322 10,160 [西宮市 4]
2019年(令和元年) 21,051 10,508 [西宮市 5]
2020年(令和02年) 16,242 8,934 [西宮市 6]
2021年(令和03年) 16,283 8,705 [西宮市 7]

駅周辺[編集]

昔からの地元住民や、阪神間で「キタグチ(北口)」といえば西宮北口を指すが、2000年代以降は「ニシキタ(西北)」と呼ばれることの方が多い。西宮市は西宮神社門前町として長い歴史を持ち[21]、もともとの中心市街地は西宮神社に近い阪神電車の西宮駅周辺であった。そのため開業当時は当駅周辺は周囲に何もない駅だったとされているが、大阪や神戸への交通の利便性から戦後は急速に市街化が進み、西宮市内で最も利用者数が多い駅へと発展した。

駅の北西エリア、甲風園や北昭和町・南昭和町(昭和園)の一帯は西宮七園を構成するお屋敷街・高級住宅街として、谷崎潤一郎の作品世界の雰囲気を伝えている。また多くの児童・生徒が通学に当駅を利用することから、大手から中小まで学習塾予備校が立地する近畿地方有数の塾激戦区ともなっている。

駅南東側には阪急ブレーブス → オリックス・ブレーブスの本拠地球場だった阪急西宮球場があった(本拠地球場でなくなってから阪急西宮スタジアムと改称)。このため当駅にはその当時(「阪急西宮球場前」→)「阪急西宮スタジアム前」の副駅名が付けられていた。阪急西宮スタジアムは2002年をもって閉鎖され、2004年から2005年にかけ解体された。この跡地の再開発により誕生したのが阪急西宮ガーデンズである。

阪神大震災と駅前再開発[編集]

1995年1月17日早朝に発生した阪神・淡路大震災では、当駅周辺も大きな被害を受けた。特に、古い木造建築が密集した駅の北東地区は壊滅的な被害を受けた[5]。また、阪急神戸本線の西宮北口以西が不通になっていた時期には、阪急西宮スタジアム前(現在の阪急西宮ガーデンズ北西駐輪場付近)が代替バスの発着場所となっており、毎日長蛇の列ができた。

阪神・淡路大震災前は、駅を基準に、概ね、以下のような特徴を有していた。

  • 北東地区:駅前は北口本通り商店街や北口市場・新北口市場で、多数の個人商店が連ねていた。少し離れると閑静な住宅街で、古い木造建築が密集した商住混在地であった[5]
  • 北西地区:駅前は銀行や証券会社などの金融機関、学習塾、飲食店やスーパーマーケットコープ)など。少し離れると閑静な住宅街(甲風園・昭和園)。
  • 南東地区:バスターミナル、阪急西宮スタジアムを中心としたスポーツ施設、飲食店、個人商店、住宅街。
  • 南西地区:幼稚園や公団住宅[22]、社宅、公民館、スーパーマーケット(ニチイ → 西宮サティ)・スポーツクラブ(ピープル → コナミスポーツクラブ)、ショップ。

駅周辺は幅員の狭い道が非常に多かったことから(2000年代以降でもいくつか残されている)、戦後は路線バストラックなど大型車両の通行が困難を極めるようになり、周辺道路にも影響をおよぼすなど街の発展を阻害する状況に陥っていた[5]。そのため土地区画整理事業により現在の姿へと再開発することが震災前から計画されていたものの、周辺住民の猛反対により頓挫していた。だが、震災からの復興を機に駅周辺一帯が西宮市の土地区画整理事業の推進地区となり、併せて周辺住民の理解も得られたことから再開発が急速に進展した。

  • 北東地区:北東震災復興再開発事業が行われ、市場や商店街の跡地に地上18階建ての再開発ビル「アクタ西宮」が建設された[5]。また、駅東側を南北に結ぶアンダーパスが拡充整備され、周辺道路の交通事情が大幅に改善された[5]
  • 北西地区:被害が少なかったこともあり、震災前と大きくは変わらない。甲風園や昭和園などの閑静な住宅街も残っている[5]
  • 南東地区:阪急西宮スタジアムなどのスポーツ施設が閉鎖・解体され、その跡地には西日本最大級のショッピングセンターである「阪急西宮ガーデンズ」が2008年11月26日に開業し、同時に駅直結のペデストリアンデッキが新設された[5]。さらに、阪急西宮ガーデンズ西側の隣接地に、甲南大学が新キャンパス「Konan CUBE 西宮」(マネジメント創造学部)を2009年4月に開設した[5][注 4]
  • 南西地区:新たに出口とロータリーが設けられ、シェルター型のバスターミナルが整備された[5]。駅に隣接した老朽化した公団住宅は取り壊され、その跡地に阪急不動産などによる高層分譲マンション、「ジオタワー西宮北口」(26階建て・194戸)が竣工した[5]。バスターミナル南側には南東側にあったマンションなどの立ち退きに伴う再開発ビル「プレラにしのみや」・兵庫県立芸術文化センター2005年10月開館)、芸術文化センターと駅を直結するペデストリアンデッキ、さらにその間のバスターミナル横には商業ビルとスポーツクラブ、高層タワーマンションが建設された[5]。スーパー(SATY)・スポーツクラブ(コナミスポーツクラブ)は2005年1月に閉店し、その跡地は現在住宅展示場となっている。

バス路線[編集]

駅の南北にバスロータリーがある。

南側[編集]

阪急バスと阪神バスが乗り入れる。停留所名はいずれも「西宮北口」。

阪急バス[編集]

のりば 路線名 系統・行先 備考
1 西宮市内線 24系統:朝凪町/誠成公倫会館 一部便は誠成公倫会館止まり。同会館休館日は一部便が運休
39系統:JR甲子園口 朝の3本のみ
50系統:JR甲子園口・西宮中央病院前方面 14時台まで
51系統:JR甲子園口 西宮中央病院前経由
52系統:JR甲子園口・大屋町方面 16時台以降
2 11系統:甲東園 中村・上ヶ原六番町経由。平日23時台の2本は深夜バス(運賃倍額)
12系統:甲東園 1日3本のみ。能登町・上ヶ原六番町経由
16系統:甲東園 1日4本のみ。能登町・愛宕山経由
19系統:甲東園 朝夕のみ。中村・愛宕山経由
24系統:甲東園 1日4本のみ。能登町・神戸女学院西門前経由
3 1系統:西宮甲山高校前 平日朝の1本のみ
2系統:甲山墓園前 1日2本のみ
26系統:阪神西宮 阪神バス西宮北口線との共同運行(阪急バス便は1日3本のみ)
西宮山口線 さくらやまなみバス:山口営業所前/名来 西宮市コミュニティバス

阪神バス[編集]

3番のりばを阪急バスと共用する形で乗り入れている。

のりば 路線 行先 備考
3 西宮北口線 阪神西宮 阪急バス26系統との共同運行(阪神バス便は土休日1本のみ)
マリナパーク線 マリナパーク

北側[編集]

以下の空港リムジンバスが乗り入れる。

作品における描写[編集]

隣の駅[編集]

阪急電鉄
神戸本線
特急
十三駅 (HK-03) - 西宮北口駅 (HK-08) - 夙川駅 (HK-09)
通勤特急・準特急・急行(急行は当駅 - 神戸三宮駅間の各駅に停車)
塚口駅 (HK-06) - 西宮北口駅 (HK-08) - 夙川駅 (HK-09)
準急(今津北線から直通)
通過(神戸本線と今津北線との渡り線(連絡線)を通り、客扱いはしない)
通勤急行・普通
武庫之荘駅 (HK-07) - 西宮北口駅 (HK-08) - 夙川駅 (HK-09)
今津線(今津北線)
準急(神戸本線へ直通)
通過(神戸本線と今津北線との渡り線(連絡線)を通り、客扱いはしない)
普通
門戸厄神駅 (HK-23) - 西宮北口駅 (HK-08)
今津線(今津南線)
西宮北口駅 (HK-08) - 阪神国道駅 (HK-22)
  • 2019年秋まで、春・秋の行楽シーズンに限り、当駅と嵐山駅との間で「直通特急」が運行された。停車駅等の詳細は阪急嵐山線を参照のこと。
  • 今津北線と神戸本線を直通する列車は、準急に限らずすべて当駅には停車しない。
  • 戦前には西宮神社の最寄り駅として、西宮戎駅が隣の夙川駅との間に設けられていたことがあった[1]

脚注[編集]

記事本文[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 駅北東に「北口町」があるが、当駅は高松町の区域である。駅名は町名にちなんだものではなく、町名が駅名にちなんだもの。
  2. ^ 阪急神戸線の開業後の1934年昭和9年)7月20日東海道本線JR神戸線)において同じ瓦木村へ設置された駅も「瓦木」ではなく、阪神電気鉄道が開発した甲子園にちなんで「甲子園口」を名乗っている。
  3. ^ 駅の東側、北側、西側のペデストリアンデッキ(自由通路)は5号線ホームの高架化以前と同様に同一階でつながっているので、地平部に下りずに南東側、北東側、北西側、南西側と迂回することも可能である。
  4. ^ 当初は2008年4月に開設を予定していたが、現地の遺跡調査により奈良時代井戸木簡などが発掘されたため延期された。

出典[編集]

  1. ^ a b 『阪急ステーション』阪急電鉄株式会社コミュニケーション事業部〈阪急ワールド全集 4〉、2001年、56-58頁。ISBN 4-89485-051-6 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 『兵庫の鉄道全駅 私鉄・公営鉄道』神戸新聞総合出版センター、2012年12月10日、76頁。ISBN 9784343006745 
  3. ^ 『西宮北口駅』のことなんて言う?の結果発表~”. 西宮つーしん (2021年7月15日). 2021年7月16日閲覧。
  4. ^ レ・ジェイド西宮北口 樋ノ口町/ロケーション”. 日本エスコン. 2021年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月16日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 阪急電鉄の"駅とまち" (PDF) - 日本民営鉄道協会
  6. ^ a b c d e f g h 阪急西宮北口駅ダイヤモンドクロス 姿を消す(昭和59年3月25日)”. 西宮市 (2016年8月5日). 2020年10月19日閲覧。
  7. ^ 「15日からはまず四駅」『交通新聞』交通協力会、1973年9月12日、1面。
  8. ^ 100年のあゆみ 「部門史」 p373
  9. ^ a b c d 鉄道ジャーナル』第21巻第10号、鉄道ジャーナル社、1987年8月、142頁。 
  10. ^ “大規模な改装終る シンボル時計除幕式 阪急電鉄の西宮北口駅”. 交通新聞 (交通協力会): p. 1. (1987年4月7日) 
  11. ^ a b c “阪神間の鉄道分断状態”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1995年1月19日) 
  12. ^ 「阪神大震災から1年」『鉄道ジャーナル』第30巻第4号、鉄道ジャーナル社、1996年4月、86-88頁。 
  13. ^ 完全復旧は1998年(平成10年)の伊丹駅再建を待たねばならなかった。
  14. ^ 阪急今津線仮ホームに切替!(平成21年1月17日)(兵庫県)
  15. ^ a b 阪急今津線高架橋の完成にともない 西宮北口駅 今津方面ゆき 新高架ホームを12月5日(日)より供用開始します ~同時に 今津線(南線)のダイヤ変更を実施〜』(PDF)(プレスリリース)阪急電鉄、2010年11月2日。 オリジナルの2020年12月10日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20201210124221/https://www.hankyu-hanshin.co.jp/legacy_data/ir/data/ER201011025N1.pdf2020年12月10日閲覧 
  16. ^ 〜すべてのお客様に、よりわかりやすく〜「西山天王山」駅開業にあわせて、「三宮」「服部」「中山」「松尾」4駅の駅名を変更し、全駅で駅ナンバリングを導入します』(PDF)(プレスリリース)阪急電鉄、2013年4月30日。 オリジナルの2020年9月24日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20200924053318/https://www.hankyu-hanshin.co.jp/legacy_data/ir/data/ER201304306N1.pdf2020年12月10日閲覧 
  17. ^ “阪急電鉄:21日から駅名変更 宝塚線、中山駅→中山観音駅 神戸線、三宮駅→神戸三宮駅 京都線新駅開業に合わせ”. 毎日新聞(朝刊) (毎日新聞社): p. (地方版/兵庫)p.24. (2013年12月19日) 
  18. ^ 「南北再接続 夢にーー阪急今津線・西宮北口駅高架化」『朝日新聞』2010年11月27日朝刊、第13版、第29面。ウェブ版は「阪急今津線、幻の南北直通 高架化でも西宮北口駅が分断」
  19. ^ 震災前は駅南側のバスターミナルが狭かったこともあり、5号線ホーム南側に阪急バスおりば(のち誠成公倫会館ゆき直行便のりばも兼用)があった。
  20. ^ 西宮市・阪急今津線立体交差化事業 (PDF) - 駅改良事業の施行者が「北大阪急行電鉄株式会社(第3セクター)」と記されている。
  21. ^ 西宮小史|西宮市ホームページ”. www.nishi.or.jp. 2022年7月13日閲覧。
  22. ^ 住宅地としての開発・西宮北口”. 西宮流 (2023年4月24日). 2023年5月22日閲覧。

利用状況[編集]

  1. ^ 駅別乗降人員 - 阪急電鉄
阪急電鉄
  1. ^ a b 阪急電鉄. “駅別乗降人員(2022年 通年平均)”. 2023年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月23日閲覧。
  2. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員 2012年平均(平日)〔1月~12月〕”. 2014年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
  3. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員 2013年平均(平日)〔1月~12月〕”. 2014年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
  4. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員 2014年平均(平日)〔1月~12月〕”. 2015年9月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
  5. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員 2015年平均(平日)〔1月~12月〕”. 2016年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
  6. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員 2016年平均(通年平均)〔1月~12月〕”. 2017年9月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
  7. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員(2017年 通年平均)”. 2018年9月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
  8. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員(2018年 通年平均)”. 2020年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
  9. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員(2019年 通年平均)”. 2020年10月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
  10. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員(2020年 通年平均)”. 2021年9月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
  11. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員(2021年 通年平均)”. 2022年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
  12. ^ 阪急電鉄. “駅別乗降人員(2022年 通年平均)”. 2023年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月22日閲覧。
西宮市統計書

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]