紅箭門

紅箭門
朝鮮王陵のひとつ仁陵朝鮮語版に設けられた紅箭門
各種表記
ハングル 홍살문/홍전문
漢字 紅살門/紅箭門
RR式 hongsalmun/hongjeonmun
MR式 hongsalmun/hongjeonmun
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全州李氏李王家)の社の前に設けられた紅箭門。
世宗の陵墓である英陵朝鮮語版の紅箭門。
圃隠 鄭夢周先生墓の紅箭門。

紅箭門(こうぜんもん[1]、こうせんもん[2]朝鮮語: 홍살문、フンサルムン[3]、ホンサルムン[4])は、朝鮮において、聖なる場所の入り口にとして設ける建築[5][6]。垂直に立てられた2本の円柱と、その間に渡された2本の横木から構成される[5]。紅箭門には、屋根もなく、門の中央上部にはトリシューラ三叉槍)の象徴と太極の文様が置かれる[5]。紅箭門は、通例では朝鮮の儒教に関わる場所を表示するために建立され、英語版、あるいは郷校朝鮮語版書堂などの教育施設に設けられる[5]

紅箭門とは、文字通りには「赤い矢の門」という意味であり、上部に設けられた、先の尖ったを並べたような部分に言及した名称である。かつては直立する円柱の間の釘状のものはなかった。赤い色で塗られているのは、魔除けの意味があるとされる[7]

紅箭門は、インドトーラナや、中国牌坊日本鳥居と関係がある[8]

朝鮮王陵の紅箭門[編集]

朝鮮王陵の陵墓では、入口となる紅箭門から陵まで、150メートルから200メートルほどの距離がとられている[9]

朝鮮朝における孝誠の顕彰[編集]

朝鮮朝(李氏朝鮮時代)には、夫に殉じて命を絶った妻、孝行を尽くした子供など孝誠を顕彰するために、紅門とも呼ばれた紅箭門を建てることがあり、この門が建てられることは、一族や村にとっても光栄なこととされた[10]。紅箭門のほか、石碑や屋根付きの門が建てられることもあり、それぞれ「烈女碑」、「烈女門」などと呼ばれた[11]

脚注[編集]

  1. ^ 鳥居について”. 一般社団法人国際教養振興協会・ICPA. 2017年11月16日閲覧。
  2. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)『鳥居』 - コトバンク - 執筆者:三橋健
  3. ^ 首露王陵(スロワンヌン)”. 釜山ナビ. 2017年11月16日閲覧。
  4. ^ 懿陵(ウィルン) 駅から徒歩圏内!世界遺産にも登録のソウルの朝鮮王陵”. コネスト. 2017年11月16日閲覧。
  5. ^ a b c d An Illustrated Guide to Korean Culture - 233 traditional key words. Seoul: Hakgojae Publishing Co. (2002). pp. 186–187. ISBN 9788985846981 
  6. ^ (英語) A Trip to Royal Tombs of the Joseon Dynasty, visitkorea. Access date: June 12, 2010.
  7. ^ 김왕직 (2007). 알기 쉬운 한국건축 용어사전. "그리고 모두 붉은색 주칠 (朱漆) 을 하 는데, 그래서 홍살문(紅箭門)이라는 이름을 갖게 되었 다. 붉은색은 벽사(辟邪)의 의미가 있다."  Google books
  8. ^ A.H. Longhurst (1995). Story Of The Stupa. Asian Educational Services. pp. 17–. ISBN 978-81-206-0160-4. https://books.google.com/books?id=gs1sFlMGy2AC&pg=PA17 
  9. ^ チェ, ウォンソク「朝鮮王陵の歴史地理学的考察―風水的要素を中心に―」『陵墓からみた東アジア諸国の位相―朝鮮王陵とその周縁』3号、関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)〈周縁の文化交渉学シリーズ〉、2011年12月31日、3-13頁。  NAID 120005686506
  10. ^ 麻浦区紹介”. 麻浦区. 2017年11月30日閲覧。
  11. ^ 金多希「儒教社会を生きる女性たち」『宇都宮大学国際学部研究論集』第37号、2014年、12頁。  NAID 110009726076

関連項目[編集]