社会事業

社会事業(しゃかいじぎょう)は、社会貢献をする活動事業の総称。

概要[編集]

1950年の国際社会事業大会に提出された定義では「社会事業とは、正常な一般生活の水準より脱落、背離し、またはそのおそれのある不特定の個人または家族に対し、その回復、保全を目的として、国家地方公共団体あるいは私人が社会保険公衆衛生教育などの社会福祉増進のための一般対策と並んで、またそれを補い、あるいはそれに代って個別的、集団的に保護、助長あるいは処置を行う社会的な組織的活動である」と規定されている[1]

民間等の手で宗教道徳動機に基づき孤児や病人貧民などの社会的弱者救済のために行われるフィランソロピー・慈善事業のほか、行政団体による福祉事業救済事業などがあり、日本の社会福祉法では、社会福祉事業が定められている。今日の福祉という言葉が普及するまでは、社会政策や社会事業などの用語が使われていたことが知られている。

社会事業を歴史として研究する社会事業史という分野もあり、日本では研究団体として社会事業史学会(日本学術会議協力学術研究団体)がある。

各国の社会事業[編集]

英語ではen:Social workとあらわされ、アメリカのen:White House Social Servicesホワイトハウス社会事業室、en:White House Social Secretaryは、ホワイトハウス社会事業担当官などと訳される。なお、日本ではカタカナでソーシャルワークとあらわすのは社会福祉援助技術と訳されて、ソーシャルワークに従事する者をソーシャルワーカーとしている。社会事業を行う社会事業家はフィランソロピスト・篤志家と呼ばれる。

少年審理手続 (スコットランド)の制度は、もともとは同国での1968年社会事業法 (スコットランド)によって導入されている。

日本の社会事業[編集]

日本では、1938年(昭和13年)に社会福祉事業法・社会福祉法の前身となる社会事業法が制定されており[1]、これにより療養所などが多く設立されている。診療所として社会事業の一施設として開設された病院も多く、現在でも内部組織名称として医療社会事業係、医療社会事業部などがあり、医療に関連した事業を医療社会事業とも呼ばれる。

参考文献[編集]

  • 『社会問題研究』7ノ1、大阪社会事業短期大学、昭和32年
  • 酒井利男「土幕から見た朝鮮人住宅問題」(『社会事業研究』第17巻第1号・第2号、1929年)
  • 「水野錬太郎の神社観と神祇行政官僚の系譜」『神道と社会事業の近代史』弘文堂、2009年、所収
  • 竹内愛二『科学的社会事業入門 - 若き社会事業者のために』黎明書房1955年、ASIN B000JB18TM
  • 唐代仏教における社会事業 ―慧沼とその弟子による架橋―
  • 竹内愛二『専門社会事業研究』弘文堂関西学院大学研究叢書第9篇〉
  • 磯村英一『厚生運動概説 社会事業叢書 第13巻』 常磐書房 1939
  • 社会福祉法人京都社会事業財団
  • 藤本頼生「近代における都市行政官僚と神社」『神道と社会事業の近代史』弘文堂、平成21年(2009年)所収
  • 藤本頼生「内務官僚井上友一の神社観」『神道と社会事業の近代史』弘文堂、平成21年(2009年)所収
  • 藤本頼生「内務官僚吉田茂の神社観」『神道と社会事業の近代史』弘文堂、平成21年(2009年)所収
  • 橋川正『日本仏教と社会事業』丙午出版社、1925年

脚注[編集]

  1. ^ a b 社会事業(しゃかいじぎょう)とは”. コトバンク. 2019年12月25日閲覧。

関連項目[編集]

社会事業家とされる人物[編集]