石狩データセンター

石狩データセンター(いしかりデータセンター)は北海道石狩市にある、さくらインターネット2011年11月15日に稼働を開始したデータセンターである[1]

1・2号棟の設計・施工は大成建設[2][3]、3号棟の設計・施工は鹿島建設[4]

設備[編集]

さくらインターネット 石狩データセンター 外観

ソーシャルゲームが急速に広まったため、2011年の時点でサーバ不足、とくにサーバの置き場不足が深刻化していた[1]。石狩データセンターの敷地面積は東京ドーム (単位)とほぼ同じ5万1000平方メートルで、さくらインターネット社長の田中はサーバーを「いくらでもすぐに増やせる」ことをメリットとして挙げている。1号棟の建設で着工から引き渡しまでにかかった期間は7ヶ月間である[5]。2015年10月の時点で1号棟と2号棟が稼働しており、2015年10月には新たに3号棟の建設に着工、2016年冬に竣工した。3号棟の最大収容ラック数は1900ラックで、1号棟と2号棟を合わせると最大3000ラックになる[6]

本来、石狩データセンターは自社向けで[7]、3年から4年ごとに一棟増設する考えだったが[5]東日本大震災によりDR(地方に設備を分散させて災害に備える)の需要が高まったため[6]、元々モジュール構造だった同センターではコロケーションでの利用が増えている。2013年の時点で総ラック数のうちの半数、250ラックがコロケーションで貸し出している。そのためさくらインターネットの社員ですら入れないサーバールームがあったり[8]、本来PUE値は1.11であるはずが[5]、貸し出しているサーバールームはPUEが1.53であり、効率が下がっている[7]。そもそも小さな単位で投資をするためにモジュール構造にしたのであり、このままコロケーションが急増し続ければ、大きい投資を最大公約数的にやった方が安くなってしまう、という課題がある[8][7]ため、田中と同社は今後コロケーションを極力使わない方向で検討している[8][7]

2015年8月には「さくらインターネット 石狩太陽光発電所」を建設し、直流のままデータセンターに送電している[9]。2021年6月からは環境性に優れていることを理由に、電力会社を液化天然ガス火力発電を主体とする会社に変更した[10][11]

石狩市に立てた理由[編集]

  • 土地が広い
  • 気温が低い
  • 地震・津波・液状化などの災害リスクが低い
  • 人口の多い札幌市に近いため、教育を受けた人材が探しやすい
  • 石狩市が誘致を行っていた
  • 石狩市には海底ケーブルの引き上げ局がある

などを、同社は理由として挙げている[1][5]。とくに気温の低さによるエネルギー効率の良さは石狩データセンターの特徴の一つであり、外気冷却がほぼ一年中できる[5]。2015年の時点で、石狩データセンターの消費電力は一般的な都市型データセンターよりも4割低い[6]

北海道胆振東部地震(2018年)[編集]

2018年9月6日午前3時7分ごろに発生した北海道胆振東部地震により、北海道電力から受けていた特別高圧送電が同日3時8分に停止[12][13]、データセンター内の全商業電力を喪失した。UPS設備の切り替えの際に一部サーバーで障害が発生したが[注釈 1]、非常用発電設備が稼働。備蓄している重油および燃料の追加手配等[12][注釈 2]により、9月8日の14時5分に復電するまで約60時間運用を継続させた。最終的には1週間近い連続稼働まで視野に入れる状態にあった[16]。さくらインターネットは2019年2月22日、北海道胆振東部地震による石狩データセンターへの影響も、従業員への人的被害もない、と発表した[17]

注釈[編集]

  1. ^ 同データセンターを使用していたメルカリのサービス等が同7時44分まで一時利用できなくなった[14]
  2. ^ 追加燃料手配は石狩市役所、経済産業省などが協力した[12][15]

出典[編集]

  1. ^ a b c さくらの石狩DC運用開始、北海道知事も式典に参加 @IT 2016年2月17日閲覧
  2. ^ 大成建設株式会社”. www.taisei.co.jp. 2018年9月24日閲覧。
  3. ^ さくらインターネット石狩データセンター│de'-TAISEI DESIGN”. www.taisei-design.jp. 2018年9月24日閲覧。
  4. ^ 鹿島:実績紹介:さくらインターネット 石狩データセンター3号棟(増築)”. www.kajima.co.jp. 2018年9月24日閲覧。
  5. ^ a b c d e 北の吹雪が祝福!さくらの石狩データセンター開所へ ascii tech 2016年2月17日閲覧
  6. ^ a b c さくらインターネット、間接外気冷房を採用した石狩データセンター3号棟を建設 クラウドwatch 2016年2月17日閲覧
  7. ^ a b c d さくらの石狩データセンターに見る、高効率データセンターの現在と未来 クラウドwatch 2016年2月17日閲覧
  8. ^ a b c 石狩データセンターにはさくらも入れないゾーンがあった! ascii tech 2016年2月17日閲覧
  9. ^ さくらインターネット、北海道石狩市に太陽光発電所を開所 - さくらインターネット 2021年10月24日閲覧
  10. ^ さくらインターネット、サステナブルなデータセンター運営を目指し、石狩データセンターが調達する主な電力を環境性に優れたLNG・ガス火力発電へ変更 - さくらインターネット
  11. ^ さくらインターネットが石狩データセンターの主要電力をLNG発電に変更、年間CO2排出量の約24%にあたる約4800トン削減TechCrunch Japan 2021年6月21日 by tetsuokanai 2021年10月24日閲覧
  12. ^ a b c 9月06日03時08分頃に発生した地震による弊社サービスへの影響について さくらインターネット 2018年9月7日閲覧
  13. ^ データセンターで一時サービス停止 地震の影響で障害 朝日新聞 2018年9月7日閲覧
  14. ^ 道内の工場や物流、各地でストップ 地震の影響大きく 朝日新聞 2018年9月7日閲覧
  15. ^ 石狩データセンターへの電力供給が回復 非常用電源装置で約60時間を無停止で乗り切る ASCII.jp 2018年9月10日閲覧
  16. ^ 約60時間を非常用電源設備で乗り切った石狩データセンターの奇跡 ASCII.jp 2018年9月10日閲覧
  17. ^ さくらの石狩データセンター、北海道地震の影響はなし 日経XTECH

外部リンク[編集]

座標: 北緯43度10分40秒 東経141度18分0秒 / 北緯43.17778度 東経141.30000度 / 43.17778; 141.30000