甘味

ショートケーキなど、甘味のある食品はおやつデザートとして食べられる。

甘味(かんみ、あまみ)とは味覚の一つ。菓子果物などの甘い食べ物を食べたとき感じる味のこと。甘い食べ物そのものを示すこともあり、その場合はかんみと呼ぶ。

サトウキビなどから精製された砂糖や、果物に含まれる果糖などが甘味の主なものだが、近年は甘味料を使い、人工的に甘味を付けていることも多い。甘味の強さを甘味度といい、スクロース(砂糖)の何倍甘いかを数値で表わす。

糖の甘味[編集]

糖と甘味料の相対的な甘さ

フルクトース(果糖)が商業的に食品や飲料に使われる主な理由は、そのコストの低さと相対的に強い甘さである。フルクトースは天然に存在する糖の中では最も甘く、スクロース(砂糖)の1.73倍甘いとされている[1][2]。その甘さはピラノース型のものであり、フラノース型のものは砂糖と同程度の甘さである。フルクトースは暖めるとフラノース型が形成される[3]。フルクトースは高温ではスクロース(砂糖)の 60% の甘味度しかなく、40 ℃ 以下でないと砂糖よりも甘くならないので、フルクトースの甘さは温度によって大きく左右される[4]。フルクトースを含む果物転化糖は冷やすと甘味が強くなる。フルクトースの甘さはスクロースやデキストロースよりも早く知覚され、味の感覚は、スクロースに比べより早く、より強いピークに達し、早く減衰する。フルクトースは他の風味を強めることもできる[1]。このフルクトースの甘味の強さを利用して転化糖異性化糖が利用されている。特に異性化糖は、成分に応じてブドウ糖果糖液糖や果糖ブドウ糖液糖とも呼ばれ、その甘味の割にコストが安く、清涼飲料水に多く使われている[4]

ノンカロリーシュガー[編集]

カロリーの制限が必要な糖尿病の患者や、ダイエットが目的の人のために、

など、カロリーが低いが甘みは強いという成分を使用したノンカロリーシュガーと呼ばれる人工甘味料があり、ダイエット飲料などに利用されている。

甘味料以外の甘みを持つ物質[編集]

無機化合物では、塩化ベリリウム酢酸鉛が甘みをもつ物質として知られているが、両者とも毒性が強い。自動車NOSなどに使われる亜酸化窒素は、吸引すると香気と甘味を感じる物質である。

有機化合物では、100種以上の化合物が甘みを持つことが知られている。特にクロロホルムニトロベンゼンエチレングリコールグリセリングリシングリコーゲンなどが有名だが、クロロホルム、ニトロベンゼン、エチレングリコールなどは毒性が強いことで知られる。グリシンはホッコクアカエビ(甘海老)、ナミクダヒゲエビユムシなどの主な甘味成分で、ホタテガイ類の貝柱はグリコーゲンによる甘味を持つ。

世界でもっとも甘い化合物はラグドゥネームで、砂糖の22万から30万倍の甘みを持つとされる。

脚注[編集]

  1. ^ a b Hanover, LM; White, JS (1993). “Manufacturing, composition, and application of fructose”. Journal of Clinical Nutrition 58: 724s-732. 
  2. ^ Oregon State University. "Sugar Sweetness". Last accessed May 5, 2008. http://food.oregonstate.edu/sugar/sweet.html アーカイブ 2008年5月16日 - ウェイバックマシン
  3. ^ Fructose in our diet: http://www.medbio.info/Horn/Time%201-2/carbohydrate_metabolism.htm last visited 2008-12-28
  4. ^ a b 異性化糖

参考文献[編集]

  • 『砂糖の文化誌 : 日本人と砂糖』伊藤汎監修、八坂書房、2008年。ISBN 978-4-89694-922-3 

関連項目[編集]