王冠 (栓)

栓としての王冠
裏面の形状
使用している例

王冠(おうかん)とは、を密封するための栓()の一種。形状が単純で安価に大量生産でき、内容物の高い圧力にも耐えるため瓶飲料に広く使用されている[1]コレクションの対象物となることもある。名称は西洋の王冠に形状が似ていることによる[2][1]

歴史[編集]

1892年アメリカウィリアム・ペインター英語版が特許を取得[1]。クラウンコルクアンドシール社(the Crown Cork and Seal Company)の開発した自動瓶詰め装置がボトリング業者に採用されて普及した。

日本での歴史は、1900年東京麦酒(前身は桜田麦酒で、後に大日本麦酒に吸収される)が利用したのが最初であるといわれている。 1915年(大正4年)頃には、サイダー、酒、ビールなどの瓶のコルク栓がブリキ製王冠に代わった[3]

規格[編集]

王冠の寸法は、内径により、18mm、21mm、24mm、27mm、29mm、30mm、36mm、39mm、42mm、45mm、51mm、54mmなどがある[1]。このうち最も利用されているのは27mm内径のものである[1]。その側面の溝は全世界共通で21本刻まれている。また、27mm内径の王冠は高さにより、スタンダード王冠またはロングスカート王冠と呼ばれる約6.5mmのものと、インターメディエイト王冠またはショートスカート王冠と呼ばれる約5.9mmのものがある[1]。一般には内径27mmで、王冠の高さは5.97mmである。

王冠の外形を形作る金属部分をシェルという[1]。また、王冠の内側にある裏張りをライナーという[1]。ライナーには、コルクシート、PVC樹脂など様々な素材が利用されるが、ほとんどの物がポリエチレン樹脂を用いている。

性能[編集]

王冠を打栓する瓶の内容物がビールなど炭酸ガスを含む内容物の場合には内圧がかかる[1]。また、ジュースなど加熱殺菌する内容物である場合には内部は減圧状態となる[1]。王冠はこれらの圧力の影響を受けることなく密封機能を発揮するものでなければならず、漏水試験、持続耐減圧試験、瞬間耐圧試験、持続耐圧試験が行われる[1]

なお、日本では王冠を開ける際に通常栓抜きを必要とするが、海外ではツイストオフキャップになっているものが多く、手で簡単に開けられるようになっている。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k 山下真人「王冠のできるまで」『日本釀造協會雜誌』第66巻第11号、日本醸造協会、1971年、1050-1053頁、2020年5月12日閲覧 
  2. ^ コトバンク - デジタル大辞泉(小学館)、大辞林(三省堂)の項を参照。
  3. ^ 下川耿史 家庭総合研究会 編『明治・大正家庭史年表:1868-1925』河出書房新社、2000年、404頁。ISBN 4-309-22361-3 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]