東急東横線

東急電鉄 東横線
シンボルマーク
東横線で運用される5050系 (菊名駅 - 妙蓮寺駅間 2019年8月)
東横線で運用される5050系
(菊名駅 - 妙蓮寺駅間 2019年8月)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 東京都神奈川県
起点 渋谷駅
終点 横浜駅
駅数 21駅
路線記号 TY
路線色 赤色
開業 1926年2月14日
所有者 東急電鉄
運営者 東急電鉄
車両基地 元住吉検車区(自社・横浜高速鉄道車)
和光検車区(東京メトロ車)
森林公園検修区(東武車)
小手指車両基地(西武車)
武蔵丘車両基地(西武車)
かしわ台車両センター(相鉄車)
使用車両 使用車両の節を参照
路線諸元
路線距離 24.2 km
軌間 1,067 mm
線路数 複々線(田園調布 - 日吉間)[注釈 1]複線(左記以外)
電化方式 直流1,500 V
架空電車線方式
閉塞方式 車内信号式
保安装置 ATC-P
最高速度 110 km/h
路線図
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東急東横線路線図

西武:池袋線
↑東京地下鉄:副都心線
玉川線 渋谷停留所
田園都市線 東京地下鉄:半蔵門線
0.0
TY01 渋谷駅
東京地下鉄:銀座線
(旧)0.0
渋谷駅
-2013 渋谷駅前停留所[1]-1969
都電都電:青山線[1]
(旧)0.6
並木橋駅
-1946 並木橋停留所
旧線-2013
1.5
TY02 代官山駅
東京地下鉄:日比谷線
中目黒線(→都電都電:中目黒線
2.2
TY03 中目黒駅
中目黒停留所
3.2
TY04 祐天寺駅
4.2
TY05 学芸大学駅
東京都道:環状七号線
5.6
TY06 都立大学駅
7.0
TY07 自由が丘駅
東京都道:環状八号線
8.2
TY08 田園調布駅
9.0
TY09 多摩川駅
10.3
TY10 新丸子駅
JR東:南武線
10.8
TY11 武蔵小杉駅
JR東:武蔵野線(貨物線)
11.1
工業都市駅
-1953
12.1
TY12 元住吉駅
元住吉検車区
13.6
TY13 日吉駅
15.6
TY14 綱島駅
旧線-1940頃[2]
17.5
TY15 大倉山駅
JR東海:東海道新幹線
18.8
TY16 菊名駅
JR東:横浜線
20.2
TY17 妙蓮寺駅
21.4
TY18 白楽駅
22.1
TY19 東白楽駅
市電:東白楽停留所
旧線-2004
22.7
新太田町駅
1946
23.3
TY20 反町駅
市電:反町停留所
JR東:
横須賀線,湘南新宿ライン,
東海道線,京浜東北線
23.8
神奈川駅
-1950
市電:青木橋停留所
市電:横浜駅西口停留所
東横線
24.2
TY21 横浜駅
市電:横浜駅前停留所
JR東:東海道線,横須賀線
京急:本線
JR東:根岸線
25.0
高島町駅
-2004
←↓横浜市電横浜市電:高島町停留所
JR貨:東海道本線貨物線(高島線
26.3
桜木町駅
-2004 市電:桜木駅前停留所
市営:ブルーライン

東横線(とうよこせん)は、東京都渋谷区渋谷駅神奈川県横浜市西区横浜駅を結ぶ東急電鉄鉄道路線である。路線図駅ナンバリングで使用される路線カラーは赤色、路線記号はTY

概要

田園都市線と並ぶ東急電鉄の基幹路線であり、東急電鉄の前身の一つである東京横浜電鉄が開業させた[注釈 2]通勤路線であると同時に、路線名が表すようにという2つの都市を結ぶ都市間鉄道路線(インターアーバン)でもある点が特筆される。沿線には渋谷代官山中目黒自由が丘田園調布武蔵小杉といった街を抱える。 途中経路はやや異なるものの、渋谷駅 - 武蔵小杉駅 - 横浜駅間は東日本旅客鉄道(JR東日本)の湘南新宿ラインと競合関係にある。2001年平成13年)開業の湘南新宿ラインに対抗するために、前年の2000年(平成12年)から特別料金不要の特急東横特急)を運行しており、速達化を図っている。

もともとは横浜駅から先の桜木町駅が終点であったが、2004年(平成16年)2月1日横浜高速鉄道みなとみらい線(横浜駅 - 元町・中華街駅間)が開業して当路線との相互直通運転を開始するのに伴い、横浜駅 - 桜木町駅間は途中駅の高島町駅とともに同年1月30日限りで廃止された[4][5]

田園調布駅 - 日吉駅間は複々線であり、うち2線の線路を使用して東横線のバイパス機能を果たしている目黒線目黒駅 - 日吉駅間)が並走する。2023年(令和5年)3月18日から一部の列車は東急新横浜線(日吉駅 - 新横浜駅間)に直通し、新横浜駅から相模鉄道(相鉄)の各路線(相鉄新横浜線本線いずみ野線)との相互直通運転も行っている。

渋谷駅からは東京地下鉄(東京メトロ)副都心線を介して埼玉県東武鉄道(東武)東上線小川町駅及び西武鉄道(西武)池袋線飯能駅まで、また、横浜駅からは横浜高速鉄道みなとみらい線元町・中華街駅まで相互直通運転を行っている。さらに土休日に運行される有料座席指定列車S-TRAINは西武池袋線・東京メトロ副都心線および当路線を経由して西武秩父線西武秩父駅 - みなとみらい線元町・中華街駅間で直通運転を行っている。また、小川町駅 - 元町・中華街駅(東武線系統)および飯能駅 - 元町・中華街駅(西武線系統)のそれぞれについて、日中の時間帯に各線内を特別料金不要で最速達で運行される列車(東横線内は特急運転)については「Fライナー」の愛称がつく。

2013年(平成25年)3月15日までは中目黒駅から東京メトロ日比谷線北千住駅まで直通運転を行っていたが、3月16日に副都心線直通開始とともに取りやめになった。詳しくは「直通運転」の節を参照。

路線データ

沿線風景・地理

渋谷 - 中目黒

明治通り都道305号)の直下、渋谷スクランブルスクエア渋谷ヒカリエの間の地下5階に設けられた2面4線の渋谷を出発すると、しばらくは明治通りの直下を南下し、渋谷川の真下をくぐって、渋谷清掃工場付近で南西方向にカーブし、山手線埼京線湘南新宿ライン山手貨物線)などのJR線群をくぐりながら地上に向かって最大35 の急勾配を上る[6]。しばらくすると相対式ホーム2面2線の地上駅代官山に到着する。1986年昭和61年)3月までホームが渋谷2号踏切とトンネル(渋谷隧道)に挟まれていた関係で有効長が18 m車6両分しかなかったため、20 m車6両編成では中目黒寄り1両、18 m車8両編成と20 m車7両編成では中目黒寄り2両のドアカットを行っていた。その後渋谷2号踏切を閉鎖し、ホームの半分をトンネル内まで延ばすことでドアカットを解消した。

なお、渋谷駅は2013年(平成25年)3月15日の副都心線との相互直通運転開始までは山手線渋谷駅と明治通りに挟まれた位置にあった頭端式ホーム4面4線の高架駅で、渋谷川の右岸を高架で進んでいた(跡地は渋谷スクランブルスクエア渋谷ストリーム国道246号横断デッキ渋谷リバーストリート渋谷ブリッジLOG ROAD DAIKANYAMAになっている)。途中では南に東京都交通局渋谷営業所バス群を見下しながらJR線群を跨ぎ、渋谷1号踏切を越えて代官山駅に進入していた。

渋谷隧道を抜けると目黒区に入り、上下線間に日比谷線が顔を出す。高架線で目黒川を渡ると間もなく島式ホーム2面4線の高架駅中目黒である。ホーム下には山手通り(都道317号)が通る。当駅の祐天寺寄りには日比谷線用の3本の引き上げ線があり、日比谷線の列車はすべてここで折り返す。2013年(平成25年)3月15日までは日比谷線との相互直通運転が行われており、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)から日比谷線への直通、および日比谷線内のみの運用列車がここで折り返し、日比谷線直通列車が当駅で相互に乗り入れていた。また、伊勢崎線における日比谷線直通専用車両である東武2000系東武20000系列も東横線には乗り入れることができなかったため、東横線には直通せず、必ずここで折り返していた。なお、東横線における日比谷線直通専用車両であった東急1000系には、東横線には乗り入れない北千住駅方面発の中目黒駅行の運用があったため、その際はここで折り返していた。中目黒駅の配線構造や車両規格の違いなどにより、東横線の列車はここで折り返すことは不可能である。

中目黒 - 自由が丘

中目黒を出ると、目黒区を縦断する形で南南西へ進む。次の特急停車駅・自由が丘までは直線区間が続く。この辺りは特急がスピードを最も上げる区間でもある。

中央に通過線を有する2面3線の高架駅祐天寺の由来となった祐天寺は、駅から徒歩約5分である。

次の学芸大学都立大学と大学名を取った駅名が2つ続くが、東京学芸大学1964年小金井市に、東京都立大学1991年多摩ニュータウン八王子市)に移転した。付属高校も現存しているのは学芸大附属高のみであり、都立大附属高2011年都立桜修館中等教育学校に改組した。移転後に両駅の駅名変更の是非を問う住民投票が行われ、「駅名変更を可とする方」に学芸大学駅は37%、都立大学駅は過半数となる59%の票を集めたが、東急側は両駅とも、可とする方の比率が3分の2に達しなかったため駅名変更は行わないとして、現在もそのままになっている。

都立大学を過ぎると、高架線から地上に降りるため、踏切が点在する。自由通りの踏切を過ぎると、島式ホーム2面4線の高架駅自由が丘である。大井町線との接続駅であり、周辺は沿線有数の商業地で、大手進学塾も多い。また、東横線の中枢を担う駅の一つであり、ほぼ終日緩急接続が行われる。

自由が丘 - 武蔵小杉

自由が丘を過ぎると、すぐ電車は世田谷区に入るが、世田谷区内には駅はない。

環状八号線(都道311号)を潜るとすぐ大田区に入って地下線へと下り、目黒線と合流して島式ホーム2面4線の地下駅田園調布に到着する。周辺には、東急の始祖にあたる田園都市株式会社が開発した高級住宅街が広がっている[7]。ここから南は複々線区間となり、方向別2面4線方式のホームが目黒線の終点である日吉駅まで6駅連続している(ただし元住吉駅は東横線の通過線を含めて2面6線)。田園調布の次、多摩川では東急多摩川線と接続。元々は目黒 - 蒲田間で1路線(目蒲線)であったが、2000年8月6日に路線が目黒線と東急多摩川線の2つに分割された。

多摩川を渡ると川崎市中原区に入り、新丸子を過ぎると間もなく南武線横須賀線との接続駅武蔵小杉である。武蔵小杉は再開発され、50階を超える高層マンションが林立している。新丸子 - 武蔵小杉間が、東横線で一番駅間距離が短い区間である(約500m)。

武蔵小杉は、目黒線開業時から長らく始発・終着駅として機能していたが、2008年6月22日に同線が2つ先の日吉まで延伸開業した。現在でも、元住吉車庫への出入庫を兼ねた東横線・目黒線ともに当駅止まりおよび当駅始発の運用が存在する。

武蔵小杉 - 日吉

武蔵小杉を出ると、東横線はそのまま高架線を進み、目黒線はその直下の地上線を進む。用地の問題などからそのまま高架複々線化させるのが難しかったため、元住吉駅手前までの区間はこのような上下2段構造である。かつて、この目黒線の線路は東横線の本線だったが、現在は前述した通り目黒線のほかにも元住吉検車区の出入庫列車が走行している。

元住吉2006年9月にリニューアルされ、島式ホーム2面4線の地上駅から、東横線では唯一の通過線2本を持つ島式ホーム2面6線の高架駅となった(後述)。

元住吉を過ぎ、矢上川を渡ると横浜市港北区に入り、地下駅の日吉に到着する。周辺には慶應義塾大学日吉・矢上両キャンパス[注釈 3]のほか、日本大学中学校・高等学校もある文教地区である。また、港北ニュータウン経由で横浜線中山駅とを結ぶ横浜市営地下鉄グリーンライン2008年3月30日に開業した。ここで複々線区間(目黒線との並走)は終了である。2023年3月18日に開業した東急新横浜線がここで分岐し、東横線・目黒線の一部の列車が新横浜および相鉄線方面との直通運転を行う。

日吉 - 菊名

日吉を出ると、高架線を次の綱島までほぼ直線で進む。東横線で一番駅間距離が長い区間である(約2.2km)。東横線の中で最も表定速度の速い区間の一つで、各駅停車でも時折110km/hほどのスピードが出ることがある。

かつて「東京の奥座敷」と呼ばれた綱島温泉郷を有する温泉街だった綱島だが、現在は港北ニュータウンや鶴見地区方面からの路線バスが発着するバスターミナルを持つハブ駅となっている。そのため、乗り換え駅では無いが綱島を利用する客は多い。

綱島を出ると、すぐに鶴見川を渡る。次の大倉山を過ぎると、東海道新幹線環状2号線を潜り、島式ホーム2面4線の地上駅菊名に到着する。JR横浜線との接続駅であり、東海道新幹線の新横浜駅までは横浜線で1駅。自由が丘と同様ほぼ終日にわたり緩急接続が行われており、副都心線との相互直通運転が始まるまでは、日比谷線(からの)直通電車が折り返していた。周辺には古くからの閑静な住宅地が広がっている。

菊名 - 横浜

この区間は、横浜市北部の住宅地の間を縫うように線路が続いている。

相対式ホーム2面2線の妙蓮寺は、かつて改札口が上りホームにしか無く、下りホームへは地下通路を通るという東横線内の駅としては珍しいタイプの駅だったが、2000年代に入ると下りホームにも改札口が新設され、その後さらに待合室とトイレ(上りホームのみ)も設置された。

次の白楽の手前で横浜市神奈川区に入る。神奈川大学横浜キャンパスまでの間には六角橋商店街があり、大学生で溢れ返っている。白楽は相対式ホーム2面2線の橋上駅であり、ホームの真上のみに改札口があったが、2002年になると上りホーム側に西口改札が新設された。

横浜上麻生道路の上にある相対式ホーム2面2線の高架駅東白楽を過ぎると、電車は地下に入り、次の反町に滑り込む。地下駅化以前は東白楽駅から続いていた高架線が国道1号を跨ぎ終わった直後の箇所に相対式2面2線方式のホームがあり、横浜駅寄りに高島山トンネルが存在していた。

反町を過ぎ、横浜の手前で横浜市西区に入る。横浜は島式ホーム1面2線の地下駅であり、ここからは直通運転先の横浜高速鉄道みなとみらい線に入る。

高架駅時代は横浜を出ると、東海道線などを跨いだあと根岸線の高架と並行し、高島町を経て桜木町に至っていたが、みなとみらい線の開業に伴い2004年にこの区間は廃止された。

歴史

かつての桜木町駅(2004年1月)