村上陽一郎

村上 陽一郎
人物情報
生誕 (1936-09-09) 1936年9月9日
日本の旗 日本
出身校 東京大学
学問
研究分野 科学史(物理学史)・哲学
研究機関 上智大学東京大学東京大学先端科学技術研究センター
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村上 陽一郎(むらかみ よういちろう、1936年9月9日 - )は、日本科学史家科学哲学者。東京大学名誉教授国際基督教大学名誉教授。豊田工業大学次世代文明センター長。2015年瑞宝中綬章受章。

東大大学院で科学史・科学哲学を専攻。『近代科学と聖俗革命』(1976年)で、西欧の近代科学では18世紀に大きな不連続面が存在するとし、自然から神の存在を剥奪し、自然の原理を人間が把握した「聖俗革命」があったと提唱した。新しい科学史の方法からルネサンスを再評価するなど、科学の本質を明らかにし続けている。

経歴[編集]

東京都立日比谷高等学校卒業。1962年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。1968年東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化専攻博士課程単位取得満期退学

1965年上智大学理工学部助手1971年助教授。1973年より東京大学教養学部助教授、1986年教授1989年東京大学先端科学技術研究センター教授、1992年東京大学工学部教授兼任、1993年同先端科学技術研究センター長。国立ウィーン工科大学客員教授

1995年国際基督教大学教授、1997年東京大学名誉教授、2008年国際基督教大学退任、客員教授。2005年東京大学科学技術インタープリター養成プログラム特任教授、2009年東京理科大学教授、2010年東洋英和女学院大学学長、2014年同退任。2018年豊田工業大学次世代文明センター長。

研究内容・業績[編集]

人物[編集]

カトリック教徒。高校時代からチェロを演奏し、アマチュア・オーケストラでの在籍・演奏経験があるためクラシック音楽に関する造詣も深い。青木十良の門下生である。2008年3月、東京都千代田区にある紀尾井ホールで開催した国際基督教大学の退任記念コンサートでは、交流がある美智子上皇后も会場に訪れた。

受賞歴・受勲歴[編集]

著書[編集]

単著[編集]

共著[編集]

編著[編集]

  • 『医学思想と人間』(朝倉書店, 1979年)
  • 『生命思想の系譜』(朝倉書店, 1980年)
  • 『科学史の哲学』(朝倉書店, 1980年)
  • 『技術思想の変遷』(朝倉書店, 1981年)
  • 『時間と進化』(東京大学出版会, 1981年)
  • 『時間と人間』(東京大学出版会, 1981年)
  • 『運動力学と数学との出会い』(朝倉書店, 1982年)
  • 『現代科学論の名著』(中公新書, 1989年)
  • 『心のありか』(東京大学出版会, 1989年)
  • 『先端科学技術と私』(朝倉書店, 1991年)
  • 『日本の科学者101』(新書館, 2010年)
  • コロナ後の世界を生きる 私たちの提言』(岩波新書, 2020年)
  • 『「専門家」とは誰か』(晶文社, 2022年)

共編著[編集]

訳書[編集]

  • アーサー・ケストラー『偶然の本質』(蒼樹書房,1974年 / ちくま学芸文庫,2006年)
  • C・G・ユング/W・パウリ『自然現象と心の構造――非因果的連関の原理』(海鳴社, 1976年)
  • フリードリッヒ・ヘルネック『知られざるアインシュタイン――ベルリン1927-1933』(紀伊國屋書店, 1979年)
  • イアン・ヒンクフス『時間と空間の哲学』(紀伊國屋書店, 1979年)
  • エルヴィン・シャルガフ『ヘラクレイトスの火――自然科学者の回想的文明批判』(岩波書店, 1980年 / 岩波同時代ライブラリー, 1990年)
  • P・K・ファイヤアーベント『方法への挑戦――科学的創造と知のアナーキズム』(新曜社, 1981年)
  • P・K・ファイヤアーベント『自由人のための知――科学論の解体へ』(新曜社, 1982年)
  • ジョン・G・テイラー『現代科学の基礎知識――生命・人間・宇宙科学のルーツと行方』(学習研究社, 1982年)
  • A・ブラニガン『科学的発見の現象学』(紀伊國屋書店, 1984年)
  • スティーヴ・トーランス編『AIと哲学――英仏共同コロキウムの記録』(産業図書, 1985年)
  • コリン・ロナン『図説科学史』(東京書籍, 1985年)
  • ポール・M・チャーチランド『心の可塑性と実在論』(紀伊國屋書店, 1986年)
  • L・ローダン『科学は合理的に進歩する――脱パラダイム論へ向けて』(サイエンス社, 1986年)
  • イムレ・ラカトシュ『方法の擁護――科学的研究プログラムの方法論』(新曜社, 1986年)
  • N・R・ハンソン『科学的発見のパターン』(講談社学術文庫, 1986年)
  • M・ヘッセ『ヘッセ・知の革命と再構成』(サイエンス社, 1986年)
  • M・ドゥ・メイ『認知科学とパラダイム論』(産業図書, 1990年)
  • ルイス・S・フォイヤー『アインシュタインと科学革命――世代論的・社会心理学的アプローチ』(共訳、叢書ウニベルシタス・法政大学出版局, 1991年)
  • P・K・ファイヤアーベント『知とは何か――三つの対話』(新曜社, 1993年 / ちくま学芸文庫, 2007年)
  • ポール・ファイヤアーベント『哲学、女、唄、そして…――ファイヤアーベント自伝』(産業図書, 1997年)
  • アブラハム・パイス『アインシュタインここに生きる』(産業図書, 2001年)
  • ハリー・コリンズ/トレヴァー・ピンチ『迷路のなかのテクノロジー』(平川秀幸共訳、化学同人, 2001年)
    • 『解放されたゴーレム 科学技術の不確実性について』(ちくま学芸文庫, 2020年)
  • スティーヴ・フラー『知識人として生きる』(青土社, 2009年)

脚注[編集]

  1. ^ 岩波新書で刊行された修士論文である。
  2. ^ 平成27年春の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. p. 20 (2015年4月29日). 2023年3月9日閲覧。

外部リンク[編集]