日本国憲法第44条

(にほんこく(にっぽんこく)けんぽうだい44じょう)は、日本国憲法第4章にある条文であり、議員及び選挙人の資格を規定した条文である。

条文[編集]

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第四十四条
両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

解説[編集]

法律公職選挙法


・公職選挙法第9条大日本帝国憲法時代は当初制限選挙であり、

満25歳以上のの男子で直接国税を15円以上納めている人だけに認められた。

1900年には10円以上、1919年には3円以上と徐々に引き下げられた。

普通選挙(改正衆議院選挙法)が導入されてからも終戦まですべての25歳以上の男子のみの普通選挙であった。

終戦直後の昭和20年(1945)10月23日に、GHQの支持を受けて幣原内閣の堀切善次郎内務大臣は婦人に初めて選挙権及び被選挙権を認める「衆議院議員選挙制度改正要網」を閣議に提出、衆議院議員選挙法案として帝国議会に提出した。同年12月15日に可決され男女普通選挙となったものを憲法上確定させた規定である。

それに基づいて翌年4月10日第22回衆議院選挙が行われた。

そして昭和25年(1950)衆参両選挙法を統合した現在の原形となった公職選挙法ができた。


・公職選挙法第9条

第1項 日本国民で年齢満18歳以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。

公職選挙法第10条

第1項 日本国民は、左の各号の区分に従い、それぞれ当該議員または長の被選挙権を有する。

 1号 衆議院議員については年齢満25年以上の者

 2号 参議院議員については年齢満30年以上の者

 

両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律で定めると規定されている。これは、国民の代表である議員及び選挙人の資格を、法律で明確に定めることで、国民の意思を反映した政治が行われることを保障するものである。

人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならないと規定している。この規定は議員及び選挙人の資格を人種、信条、性別、社会的身分、教育、財産または収入、門地により差別をしてはならないことを明確にしものである。


沿革[編集]

大日本帝国憲法[編集]

なし

GHQ草案[編集]

「GHQ草案」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。

日本語[編集]

第四十二条
選挙人及国会議員候補者ノ資格ハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ而シテ右資格ヲ定ムルニ当リテハ性別、人種、信条、皮膚色又ハ社会上ノ身分ニ因リ何等ノ差別ヲ為スヲ得ス

英語[編集]

Article XLII.
The qualifications of electors and of candidates for election to the Diet shall be determined by law, and in determining such qualifications there shall be no discrimination because of sex, race, creed, color or social status.

憲法改正草案要綱[編集]

「憲法改正草案要綱」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。

第三十九
両議院ノ議員及其ノ選挙人タルノ資格ハ法律ヲ以テ之ヲ定ムルコト但シ性別、人種、信条又ハ社会的地位ニ依リテ差別ヲ附スルコトヲ得ザルコト

憲法改正草案[編集]

「憲法改正草案」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。

第四十条
両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分又は門地によつて差別してはならない。

帝国憲法改正案[編集]

「帝国憲法改正案」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。

第四十条
両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、又は門地によつて差別してはならない。

関連条文[編集]

判例[編集]

関連項目[編集]

  • 普通選挙
  • 世襲政治家(引退する国会議員が子供に選挙区を継がせることを法律で禁止できない根拠が、憲法14条およびこの条文であるとされる)