整流子機の電機子反作用

整流子機の電機子反作用(せいりゅうしきのでんきしはんさよう)は、電機子巻線電流が流れることにより、磁束が発生する作用のことである。また、この磁束により界磁(主磁極)の磁束に与える影響の総称を言うこともある[1]

電機子反作用による現象[編集]

交差磁化作用(横軸作用)による電気的中性軸の移動[編集]

電機子電流による磁束と界磁の磁束が合成され、電気的中性軸が幾何学的中性軸の位置からずれる。電動機では、電機子の回転の反対方向に移動し、発電機では、電機子の回転の方向に移動する。

そのため、整流時に誘導起電力が残り、この時発生する火花により整流子を焼損する[2]

偏磁作用による界磁磁束の偏り[編集]

局部的に整流子片間の電圧が高くなる。

減磁作用による界磁磁束の減少[編集]

発電機では起電力が減少し、電動機ではトルクが減少する。

防止策[編集]

補極[編集]

電機子と直列に接続した巻線磁極を整流子付近に配置し、整流時の巻線の誘導起電力を小さくする。

それにより、整流時の火花を防止する。

補償巻線[編集]

電機子巻線と相対するように界磁表面に巻線を配置し、電機子電流と逆向きの電流を流し、磁束を打ち消す。

大型機に用いられる。

抵抗整流[編集]

ブラシの接触抵抗を大きくし、整流時の火花を小さくする。

参考図書[編集]

  • 中田高義ほか 著、中田高義・沖津泰 編『電気機器1』(初版)朝倉書店〈電気・電子・情報基礎シリーズ 6〉、1984年。ISBN 4-254-22596-2 

脚注[編集]

  1. ^ 「電験三種よくわかる機械」閲覧
  2. ^ 「電機機器入門」閲覧

関連項目[編集]