我孫子武丸

我孫子 武丸あびこ たけまる
誕生 鈴木 哲すずき あきら
(1962-10-07) 1962年10月7日(61歳)
兵庫県西宮市
職業 推理作家
国籍 日本の旗 日本
活動期間 1989年 -
ジャンル 推理小説
代表作 『殺戮にいたる病』
デビュー作8の殺人
公式サイト 我孫子飯店
ウィキポータル 文学
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(あびこ たけまる、1962年10月7日 -)は日本小説家推理作家。本名は(すずき あきら)。ペンネームは島田荘司の命名[1]

兵庫県西宮市生まれ。京都大学文学部哲学科中退。大学在学中は京都大学推理小説研究会に所属。

概要[編集]

1989年、『8の殺人』で小説家デビュー。速水三兄妹・人形シリーズなどのコミカルタッチや女性視点の作品から、腐蝕シリーズ、『殺戮にいたる病』などの重いタッチの作品まで、幅広く手がける。また、漫画作品『半熟探偵団』(絵:河内実加)の原作も手がける。推理小説以外にも『凛の弦音』のような学校を舞台にした青春小説もある。

1994年に発売されたサウンドノベルゲームソフト、『かまいたちの夜』のシナリオを担当し、ゲーム業界において高い名声を得る。本作はいくつかの選択肢があるものの、基本的に小説を読み進めるだけのゲームであるが、内容はこれまでにない本格ミステリーであり、プレイヤーに推理させ文字入力により回答させることが受け、大ヒットとなった。ゲームに詳しい我孫子は、ゲームシステム面でのアドバイスを行っている。

日本テレビの番組、『マジカル頭脳パワー!!』の「マジカルミステリー劇場」に原案ブレーンとして、またTBSで1994・1995年に放送された『超難解推理クイズ 頭脳警察(パート1・2)』にも、問題作成ブレーンとして参加したことがある。

作中で活躍する探偵役としては、速水三兄妹鞠小路鞠夫が主なシリーズ探偵であるが、近年ではノンシリーズでの執筆が主である。2004年から2007年にかけては作家直送オンライン販売サイトe-novelsの運営を手がけ、また宮崎あおいの昔からのファンとしての一面もある[2]

2015年から2017年まで、本格ミステリ作家クラブの監事をつとめる。

ミステリー・ランキング[編集]

このミステリーがすごい![3][編集]

  • 1989年 - 『8の殺人』18位
  • 1992年 - 『探偵映画』16位
  • 1993年 - 『殺戮にいたる病』16位
  • 2006年 第4回 - 『弥勒の掌』19位

日本推理作家協会賞[編集]

  • 1997年5月 第50回 『猟奇小説家』候補[4]

本格ミステリー・ベスト10[5][編集]

  • 2006年 - 『弥勒の掌』3位
  • 2007年 - 『気分は名探偵』26位

啓文堂大賞[編集]

  • 2009年 第3回 『弥勒の掌』 おすすめ文庫大賞

本屋大賞[編集]

  • 2011年 第8回『さよならのためだけに』 第154位
  • 2018年 第15回『7人の名探偵――新本格30周年記念アンソロジー』第229位
  • 2019年 第16回『凜の弦音』第225位
  • 2020年 第17回『監禁探偵』第115位
  • 2021年 第18回『修羅の家』第264位

酒飲み書店員大賞[編集]

  • 2016年 第12回『さよならのためだけに』候補

作品リスト[編集]

単行本[編集]

速水三兄妹シリーズ[編集]

  • 8の殺人(1989年3月 講談社ノベルス / 1992年3月 講談社文庫 / 2008年4月 講談社文庫【新装版】)
  • 0の殺人(1989年8月 講談社ノベルス / 1992年9月 講談社文庫)
  • メビウスの殺人(1990年2月 講談社ノベルス / 1993年5月 講談社文庫)

人形シリーズ[編集]

  • 人形はこたつで推理する(1990年8月 カドカワノベルズ / 1995年6月 講談社文庫)
    • 収録作品:人形はこたつで推理する / 人形はテントで推理する / 人形は劇場で推理する / 人形をなくした腹話術師
  • 人形は遠足で推理する(1991年4月 カドカワノベルズ / 1995年7月 講談社文庫)
  • 人形は眠れない(1991年9月 カドカワノベルズ / 1996年4月 講談社文庫)
  • 人形はライブハウスで推理する(2001年8月 講談社ノベルス / 2004年8月 講談社文庫)
    • 収録作品:人形はライブハウスで推理する / ママは空に消える / ゲーム好きの死体 / 人形は楽屋で推理する / 腹話術志願 / 夏の記憶

ぼくの推理研究シリーズ[編集]

  • ぼくの推理研究(1993年8月 集英社
    • 収録作品:ぼくの推理研究 / 凍てついた季節
  • 死神になった少年(1997年4月 集英社)
    • 収録作品:死神になった少年 / 少女たちの戦争
  • 少年たちの四季(2003年2月 集英社文庫) - 上記2作品を合本

腐触の街シリーズ[編集]

  • 腐触の街(1995年11月 双葉社 / 1999年2月 双葉文庫
  • 屍蝋の街(1999年9月 双葉社 / 2002年10月 双葉文庫)

京都探偵シリーズ[編集]

  • ディプロトドンティア・マクロプス(1997年7月 講談社ノベルス / 2000年6月 講談社文庫)
  • 狩人は都を駆ける(2007年12月 文藝春秋 / 2010年6月 文春文庫
    • 収録作品:狩人は都を駆ける / 野良猫嫌い / 狙われたヴィスコンティ / 失踪 / 黒い毛皮の女

警視庁特捜班ドットジェイピーシリーズ[編集]

  • 警視庁特捜班ドットジェイピー(2008年6月 光文社 / 2011年6月 光文社文庫
  • 特捜班危機一髪 警視庁特捜班ドットジェイピー(2014年9月 光文社)

凛の弦音シリーズ[編集]

  • 凛の弦音(2018年10月 光文社 / 2022年7月 光文社文庫)
  • 残心 凛の弦音(2022年5月 光文社)

その他[編集]

  • 探偵映画(1990年12月 講談社ノベルス / 1994年7月 講談社文庫 / 2009年12月 文春文庫)
  • 殺戮にいたる病(1992年9月 講談社 / 1994年8月 講談社ノベルス / 1996年11月 講談社文庫 / 2017年10月 講談社文庫【新装版】)
  • 小説たけまる増刊号(1997年11月 集英社)- 短編・コラム・グラビア・インタビューなど、小説誌の体裁をまるまるパロディ化した個人短編集
    • 収録作品:裏庭の死体 / バベルの塔の犯罪 / 座右のめろでい / 患者 / 猟奇小説家 / JDC振興会潜入記 / 猫恐怖症 / 日本まちまち巡り / 春爛漫 / 卓上の空論 / 芋羊羹 / 再会 / 責任者出てこい! / 青い花嫁 / 嫉妬 / 二重生活 / ぼくはおまえが嫌いだ! / 叙述トリック試論 / ぽてへの詫び状 / 花嫁は涙を流さない / Everybody kills somebody / 夜のヒッチハイカー / 書評・今日の一冊 / 青い鳥を探せ / 小さな悪魔 / 車中の出来事
  • たけまる文庫 怪の巻(2000年5月 集英社文庫)
    • 収録作品:猫恐怖症 / 春爛漫 / 芋羊羹 / 再会 / 青い花嫁 / 嫉妬 / 二重生活 / 患者 / 猟奇小説家
  • たけまる文庫 謎の巻(2000年7月 集英社文庫)
    • 収録作品:裏庭の死体 / バベルの塔の犯罪 / 花嫁は涙を流さない / Everybody kills somebody / 夜のヒッチハイカー / 青い鳥を探せ / 小さな悪魔 / 車中の出来事
  • まほろ市の殺人 夏――夏に散る花(2002年6月 祥伝社文庫
  • 弥勒の掌(2005年4月 文藝春秋 / 2008年3月 文春文庫)
  • さよならのためだけに(2010年3月 徳間書店 / 2012年5月 徳間文庫 / 2021年11月 徳間文庫【新装版】)
  • 眠り姫とバンパイア(2011年3月 講談社 ミステリーランド / 2014年3月 講談社文庫)
  • 狼と兎のゲーム(2013年7月 講談社 / 2015年10月 講談社文庫)
  • 裁く眼(2016年8月 文藝春秋 / 2019年6月 文春文庫)
  • 怪盗不思議紳士(2018年3月 角川書店 / 2020年8月 角川文庫
  • 監禁探偵 (2019年10月 実業之日本社 / 2022年10月 実業之日本社文庫)
  • 修羅の家(2020年4月 講談社 / 2023年8月 講談社文庫)

アンソロジー[編集]

「」内が我孫子武丸の作品

  • 奇想の復活 ミステリーの愉しみ5(1992年8月 立風書房)「バベルの塔の犯罪」
  • 白昼夢(1995年8月 集英社文庫)「猫恐怖症」
  • 推理小説代表作選集 1997年版(1997年6月 講談社)「猟奇小説家」
    • 【分冊・改題】殺人哀モード ミステリー傑作選37(2000年4月 講談社文庫)
  • 異形コレクション4 悪魔の発明 23人のマッド・サイエンティスト(1998年5月 廣済堂文庫)「レタッチ」
  • 異形コレクション14 世紀末サーカス(1999年12月 廣済堂文庫)「理想のペット」
  • 十二宮12幻想(2000年1月 エニックス / 2002年5月 講談社文庫)「ビデオレター」
  • エロティシズム12幻想(2000年2月 スクウェア・エニックス / 2002年3月 講談社文庫)「ドールハウスの情景」
  • 三日月島奇譚 かまいたちの夜2 オリジナルノベルズ(2002年7月 チュンソフト)「底蟲村異聞」
  • エロチカ(2004年3月 講談社)「危険な遊び」
  • 黄昏ホテル(2004年11月 小学館)「オールド・ボーイ」
  • 気分は名探偵 犯人当てアンソロジー(2006年5月 徳間書店 / 2008年9月 徳間文庫)「漂流者」
  • ハナシをノベル!! 花見の巻(2007年11月 講談社)「貧乏花見殺人事件」
  • まほろ市の殺人(2009年3月 祥伝社 ノン・ノベル / 2013年2月 祥伝社文庫)「夏に散る花」
  • 逆想コンチェルト 奏の2(2010年8月 徳間書店)「記憶の欠片」
  • 探偵Xからの挑戦状! season2(2011年2月 小学館文庫)「記憶のアリバイ」
  • Mystery Seller(2012年1月 新潮社)「夏に消えた少女」
  • 0番目の事件簿(2012年11月 講談社)「フィギュア・フォー」
  • 近藤史恵リクエスト! ペットのアンソロジー(2013年1月 光文社 / 2014年7月 光文社文庫)「里親面接」
  • 辻村深月選 スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎008(2013年10月 講談社文庫)「猟奇小説家」
  • 推理作家謎友録 日本推理作家協会70周年記念エッセイ(2017年8月 角川文庫)※エッセイアンソロジー
  • 落語推理迷宮亭 ミステリー名演集(2017年1月 光文社文庫)「貧乏花見殺人事件」
  • 7人の名探偵 新本格30周年記念アンソロジー(2017年9月 講談社ノベルス / 2020年8月 公団さ文庫)「プロジェクト:シャーロック」
  • プロジェクト:シャーロック 年刊日本SF傑作選(2018年6月 創元SF文庫)「プロジェクト:シャーロック」
  • 推理の時間です(2024年1月 講談社)「幼すぎる目撃者」

共著[編集]

単著本未収録作品[編集]

  • ポルノグラフィック(集英社『小説すばる』1999年12月号)
  • 第三営業課長・川本の最後の接待(集英社『小説すばる』2001年11月号)
  • トリニティ(光文社『小説宝石』2001年12月号)
  • 秘宝館で逢いましょう(集英社『小説すばる』2002年6月号)
  • 危険な遊び(講談社『小説現代』2003年10月号)
  • 薮の中(集英社『小説すばる』2004年4月号)
  • 二人乗りで行こう(祥伝社『小説NON』2004年11月号)
  • ザッピング・ゲーム(集英社『小説すばる』2005年8月号)
  • 禁忌の街(双葉社『小説推理』2006年2月号 - 2008年7月号、連載終了)
  • フィギュア・フォー(講談社『メフィスト』2008年1月号)
  • 夏に消えた少女(新潮社『小説新潮』2010年9月号)
  • 里親面接(光文社『小説宝石』2012年10月号)
  • ジャック・ジ・エイリアン(光文社『ジャーロ』2014年秋冬号)
  • 幼すぎる目撃者(講談社『メフィスト』VOL.7 2023 SPRING)

その他の活動[編集]

ゲームシナリオ[編集]

漫画シナリオ[編集]

監修[編集]

脚本[編集]

  • 消えた理事長(撮影・編集:京極夏彦TBS、王様のブランチにて放送)元は「作家と遊ぼう!ミステリーカレッジ」のイベントのため作られた。

映像化作品[編集]

対談[編集]

  • スペシャル対談(人形はこたつで推理する 1996年9月)
  • 法月綸太郎の特別連続対談「隠れミステリアンを探せ!」(『メフィスト』1996年12月号)
  • ニューウエイヴ・ミステリ読本(原書房、1997年 3月)
  • ゲーム『YAKATA』は『館』の外伝です!(『メフィスト』1998年05月号)
  • やっぱりミステリ作家は猫好きが多いのかなぁ(『推理力』アート・サプライ編)
  • かまいたちの夜2 クリエイターインタビュー(『かまいたちの夜2 ~監獄島のわらべ唄~公式ファンブック』)
  • 作家 対談・プロフィール(『かまいたちの夜2 オリジナルノベルズ 三日月島奇譚』)
  • 対談 我孫子武丸×いっこく堂(『人形はライブハウスで推理する』)
  • 我孫子武丸×落合信也×伊東幸一郎 座談会(『かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相 完全攻略本』)
  • ひぐらしのなく頃に 公式ファンブック (テレビアニメ)
  • メフィスト合評バトンタッチ対談 「メフィスト評論の怪・快・解」(『メフィスト』2008年09月号)
  • トリックロジック (「ダ・ヴィンチ』2010年 8月号)
  • 合評・メフィストの読書会 「本格のメソッド」とは?(『メフィスト』2011 VOL.1)
  • 対談+《ミステリ大喜利》(『ジャーロ』2011 NO.42)
  • 本 よみうり堂 関西館(『読売新聞』2013年8月29日)

グラビア[編集]

日本国外での刊行[編集]

台湾[編集]

  • 漫画シナリオ
    • 半熟探偵團(全3巻) (2002年3月 - 2004年4月、東立) - 半熟探偵団
    • 超能之手(全1巻) (2006年4月、東立) - スライハンド
    • 迷彩都市(1巻のみ刊行) (2007年9月、台湾東販) - 迷彩都市
    • 偵探守則893(全3巻) (2009年1月-3月、東立) - 探偵になるための893の方法
  • 小説

中国[編集]

  • 小説
    • 杀戮之病 (2010年1月、新星出版社、ISBN 9787802257825) - 殺戮にいたる病

韓国[編集]

  • 小説
  • 漫画シナリオ
    • 초보 탐정단(全3巻) (2000年4月 - 6月、大元 C.I.) - 半熟探偵団
    • 탐정이 되는 893가지 방법(全3巻) (2009年2月 - 6月、ソウル文化社) - 探偵になるための893の方法

脚注[編集]

  1. ^ 我孫子武丸「あとがき」『8の殺人』(第17刷)講談社〈講談社文庫〉、275頁。ISBN 978-4-06-185100-9 
  2. ^ ハナシをノベル!!花見の巻 著者紹介より
  3. ^ 『このミステリーがすごい!』ランクイン作品一覧”. www5a.biglobe.ne.jp. 2024年3月24日閲覧。
  4. ^ 1997年 第50回 日本推理作家協会賞|日本推理作家協会”. 日本推理作家協会. 2024年3月24日閲覧。
  5. ^ 本格ミステリ・ベスト10(国内編)”. mysterybeginners.web.fc2.com. 2024年3月24日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]