屏風ヶ浦

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屏風ヶ浦
屏風ヶ浦遊歩道
屏風ヶ浦の位置を示した地図
屏風ヶ浦の位置を示した地図
場所 日本の旗 日本
千葉県銚子市旭市
座標 北緯35度42分27.0秒 東経140度47分24.0秒 / 北緯35.707500度 東経140.790000度 / 35.707500; 140.790000座標: 北緯35度42分27.0秒 東経140度47分24.0秒 / 北緯35.707500度 東経140.790000度 / 35.707500; 140.790000
標高 40 - 50 m
全長 約10km
地質 犬吠層群に属する名洗層、飯岡層、香取層、関東ローム層
年代 新第三紀鮮新世から第四紀更新世

屏風ヶ浦(びょうぶがうら)は、千葉県銚子市から旭市までの太平洋海岸線に連なる海食崖景勝地である。水郷筑波国定公園に属する[1]2016年3月に国の名勝及び天然記念物に指定された[2]房総の魅力500選に選定されている。

ドーバー海峡にあるホワイト・クリフに似ていることから東洋のドーバーとも称される[3]

概要[編集]

歌川広重画『六十余州名所図会 下総銚子の濱外浦』

下総台地を削る海食崖で、断崖の高さは40メートルから50メートル、長さは千葉県銚子市名洗町から旭市上永井の刑部岬まで、新第三紀鮮新世以降の地層から成る露岩の崖が約10キロメートルにわたって分布する。

江戸時代後期以降、その特徴的な地形が形作る景観が名所記や名所図会などの出版物に取り上げられるようになり、歌川広重の『六十余州名所図会 下総銚子の濱外浦』にも描かれた。明治以降は交通網が発達し、訪れる人々も増加した。また海食崖や高神愛宕山からの景観は、絵葉書やパンフレットなどの題材になるとともに様々な文学作品にも描かれてきた[4]

海岸線付近は断崖絶壁であり、波に直接打ち付けられるなど、遭難の危険を伴うことや一部私有地が含まれているため、立入禁止となっている箇所がほとんどである[5]銚子マリーナ付近には遊歩道が整備されており、近くで実際に観察できる場所となっている。また、地球の丸く見える丘展望館からも見渡すことが可能である。

迫力ある風景はサスペンスドラマのラストシーンのほか、CM・映画・プロモーションビデオなどのロケ地としても好まれている。

歴史[編集]

一億年以上前の硬い岩石を基盤として新第三紀鮮新世から第四紀更新世(約300万年前 - 40万年前)の海洋性の環境で堆積した犬吠層群に属する名洗層、飯岡層と、その上に不整合面で接する内湾的な環境で堆積した香取層、関東ローム層をみることができる[6]。犬吠層群の岩石(ノジュール泥岩)は飯岡石と称される[7]

屛風ヶ浦が岸壁となる後方の台地は、かつては海底であった層(砂岩質の岩の部分)が隆起し、その後、この上に富士山等の噴火によって堆積した関東ローム層の赤土火山灰が積もって鉄分が赤く酸化したもの)によって形成されたものである。海底であった層から崩落した岩を見ると、貝殻などの化石や、かつてそこで生息していた生物の痕跡を確認できる。砂岩質の土壌で崩落しやすいことと、打ち寄せる波の強さもあって、有史以来数キロに渡って岸壁は削られており、東国古戦記等によると、刑部岬付近には鎌倉時代片岡常春の居城であった佐貫城があったとされているが、遺構があった場所は既にはるか沖合である[8]

崩落した石や土は、潮流に乗って南西方へ流されて海岸に堆積し、長さ約66キロメートルに及ぶ九十九里浜の砂となっていた。打ち寄せる波による侵食の進行を緩和させるため、海岸数メートル沖合に消波ブロックが設置され、設置後、陸地の後退は思惑通り緩やかになったが、代わりに砂の供給元を絶たれた九十九里浜の侵食が問題となっている。銚子市との境界付近にはかつて通蓮洞(風蓮洞、との記述もある)と呼ばれる海岸侵食によるものと思われる洞窟も存在していたとされている。

周辺施設[編集]

ギャラリー[編集]

交通[編集]

公共交通機関[編集]

自動車[編集]

作品[編集]

これらの作品は私有地にて撮影されているケースが殆どであり、一般人が観光目的で立ち入ることは不可能である[10]。ドラマやミュージックビデオ(MV)などのロケーション目的で撮影する際は土地の管理会社に事前相談の上で料金を支払う場合もある[5][11]

ドラマ
ミュージックビデオ

脚注[編集]

  1. ^ 千葉県. “千葉県の自然公園一覧表”. 千葉県. 2019年8月1日閲覧。
  2. ^ 平成28年3月1日文部科学省告示第28号
  3. ^ 屏風ケ浦 まるごとe! ちば 千葉県公式観光物産サイト
  4. ^ 千葉県. “屏風ケ浦”. 千葉県. 2019年8月1日閲覧。
  5. ^ a b 屏風ケ浦”. 銚子市観光協会 (2020年3月19日). 2021年12月15日閲覧。
  6. ^ 銚子電気鉄道株式会社”. www.choshi-dentetsu.jp. 2019年8月1日閲覧。
  7. ^ 犬吠層群の岩石 - 飯岡石”. www.chiba-muse.or.jp. 2019年8月1日閲覧。
  8. ^ 佐貫城(海上郡飯岡町上永井字佐貫)
  9. ^ 有限会社 銚子海洋研究所”. 楽 City!. 有限会社千葉メディア. 2023年8月16日閲覧。
  10. ^ 屏風ケ浦”. ANA SKY WEB (2020年3月). 2021年12月15日閲覧。
  11. ^ 【日本沈没】ラストシーンは2時間ドラマ“聖地”か ネット民歓喜「千葉沈んでないやん!」”. ENCOUNT (2021年12月13日). 2021年12月15日閲覧。
  12. ^ 千葉県銚子市 ロケ地情報”. loca.ash.jp. 2019年8月1日閲覧。
  13. ^ 特集アーカイブ | ま~るい半島めぐり 銚子観光”. www.choshikanko.com. 2019年8月1日閲覧。
  14. ^ 下町ロケット現場レポート”. TBS. 2019年8月1日閲覧。
  15. ^ The Floor、新曲MVで若者たちが障害物競争”. 音楽ナタリー. 2021年8月19日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]