小島直記

小島 直記
誕生 (1919-05-01) 1919年5月1日
日本の旗 福岡県
死没 (2008-09-14) 2008年9月14日(89歳没)
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
主な受賞歴 安岡正篤賞(1990年)
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小島 直記(こじま なおき、1919年5月1日 - 2008年9月14日)は、福岡県八女郡福島町(現・八女市福島)の生まれの小説家。経済人などの伝記小説で知られる。本名は小嶋直記[1]。作家・小島英記は長男[2]

経歴[編集]

旧制福岡高等学校卒業[3]東京帝国大学経済学部商業学科を卒業後、海軍短期現役第10期生として海軍主計大尉で終戦[4]。戦後、私立八女津女子高等学校(現在の八女学院高等学校)や、母校でもある八女中学校(現在の福岡県立八女高等学校)で社会科の教師として教鞭を取り、詩人松永伍一を教えたこともある。経済調査官を経て、1949年ブリヂストンに入社[5]。社内報編集や社史編さんなどに従事[6]

学生時代から同人雑誌「こおろ」(のち「こをろ」と改称)に参加し[7]、1956年「人間勘定」で第34回芥川賞候補。1966年にブリヂストンを退社し、作家専業となる。1967年に『週刊現代』に連載した『小説三井物産』は、1981年に講談社文庫で企業情報小説シリーズとして刊行され、上下巻で20万部を売り上げるヒットとなった。

1975年の『選択』創刊号から連載したコラム「古典からのめっせいじ」が人気となり、『出世を急がぬ男たち』『回り道を選んだ男たち』など"男たち"シリーズとして単行本化。明治時代以降の人物の伝記として、松永安左エ門を描いた『まかり通る』や、『三井物産初代社長』『岡本喜太郎伝』『岡本豪夫伝』『斬人斬馬剣 古島一雄の青春』など、『小島直記伝記文学全集』全15巻がある。

1983年に、駿河銀行によって静岡県長泉町に小島伝記文学館が設立される。1984年から静岡県三島市に居住していた。逗子市で若い世代を中心にした勉強会「小島塾」を開講していた[8]。1990年、第2回安岡正篤賞を受賞。

著書[編集]

  • 人間の椅子 (鱒書房 1956年)
  • 夜の顔 (四季社 1957年)
  • 第三の死角 (小壷天書房 1958年)
  • 銭の壁 (小壷天書房 1959年)
  • 遠い女 (東都書房 1960年)
  • 隠れた顔 (東都書房 1961年)
  • 株式会社物語 (全3巻 河出書房新社 1962年19-63年)
  • 三井家の人びと 現代に生きる平家物語 (光文社(カッパ・ビジネス) 1963年)
  • Uターン (学習研究社 1963年)
  • サラリーマン先人訓 (日本経済新聞社 1965年 「ビジネスマン先人訓」集英社文庫
  • 日本を震撼させた経済事件 (至誠堂新書 1965年)
  • 大久保利通 (至誠堂新書 1965年)
  • 日本さらりーまん外史 (正続 日本経済新聞社 1966年-1967年)
  • 池田成彬 富と銃剣 (人物往来社(近代人物叢書) 1967年)
  • 岡野喜太郎伝 (フジ出版社 1967年)
  • 福沢山脈 (河出書房 1967年 のち河出文庫、致知出版社上下 1998年)
  • 鮎川義介伝 赤い夕陽の昭和史 (日本経営出版会 1967年)
  • 人材水脈 日本近代化の主役と裏方 (日本経済新聞社 1969年 のち中公文庫)
  • 小説三井物産講談社 1969年 のち文庫)
  • 風貌姿勢 伝記における人間像 (ダイヤモンド社 1970年)
  • 極道 (毎日新聞社 1971年 のち中公文庫
  • 青雲 小林一三の青年時代 (評論新社 1971年)
  • 先人群像 伝記とその周辺 (カルチャー出版社 1972年)
  • 桃介・独立のすすめ 福沢諭吉直伝サラリーマン立身術 (新評社 1972年)
  • 青春・都の西北 (新潮社 1973年)
  • まかり通る 電力の鬼・松永安左エ門 (毎日新聞社 1973年 のち新潮文庫東洋経済新報社 2003年)
  • 無冠の男 (新潮社 1975年 のち文庫)
  • 小泉三申 政友会策士の生涯 (中公新書 1976年)
  • 風の爪あと (毎日新聞社 1976年)
  • ヨーロッパ《碁苦楽》旅行 (毎日新聞社 1976年)
  • 硬派の男 経営リーダーとしての明治人 (実業之日本社・新書 1977年)
  • 洋上の点 森恪という存在 (中央公論社 1978年 のち中公文庫)
  • 異端の言説・石橋湛山新潮社 1978年 東洋経済新報社 2004年)
  • 大過渡期 大正を動かした男たち (新潮社 1979年)
  • 東京海上ロンドン支店 (新潮社 1980年 のち文庫)
  • 一期の夢 小説・福地桜痴実業之日本社 1980年 のち集英社文庫
  • ヨーロッパ旧婚旅行 (ダイヤモンド社 1980年 のち中公文庫
  • エンジン一代 山岡孫吉伝 (ダイヤモンド社 1980年 のち集英社文庫)
  • 松永安左エ門の生涯 (「松永安左エ門伝」刊行会 1980年)
  • 出世を急がぬ男たち (新潮社 1981年 のち文庫)
  • 三井物産初代社長 (中央公論社 1981年 のち文庫)
  • 福沢諭吉学習研究社(歴史小説シリーズ) 1981年)
  • マルクスライファイゼン (家の光協会 1982年)
  • 野村王国を築いた男 奥村綱雄のトコトン人生 (実業之日本社 1982年 のち集英社文庫
  • 剣客豹変 小説土居通夫伝 (PHP研究所 1982年)
  • 花よりワイン ヨーロッパ還暦旅行 (実業之日本社 1983年)
  • 疑獄 (潮出版社 1983年)
  • 私の『言志四録』 人生を読む旅 (実業之日本社 1983年 致知出版社 2006年)
  • 夕陽を知らぬ男たち 彼らはいかに生きたか (正続 旺文社文庫 1983年)
  • 鬼才縦横 評伝・小林一三 (PHP研究所 1983年 のち文庫全3巻)
  • 逆境を愛する男たち (新潮社 1984年 のち文庫)
  • 君子の交わり紳士の嗜み (新潮社 1985年)
  • 志に生きた先師たち (新潮社 1985年 のち文庫)
  • 創業者・石橋正二郎 ブリヂストン経営の原点 (新潮文庫 1986年) 
  • 経営者名言集 仕事の活力源 (有楽出版社 1986年)
  • 小島直記伝記文学全集 (全15巻 中央公論社 1986年-1987年)
  • 回り道を選んだ男たち (新潮社 1987年 のち文庫)
  • 斬人斬馬剣 古島一雄の青春 (中央公論社 1988年 のち中公文庫
  • 販売戦略の先駆者 鈴木三郎助の生涯 (中央公論社 1989年)
  • 伝記に学ぶ人間学 講話録 (竹井出版 1989年)
  • 日本策士伝 資本主義をつくった男たち (中央公論社 1989年 のち中公文庫)
  • 一以て之を貫く 創業者安田理雄と三光グループ 三光グループ社史編纂委員会 1989年)
  • 人生まだ七十の坂 (新潮社 1990年 のち新潮文庫)
  • 晩節の光景 松永安左ヱ門の生涯 (図書出版社 1990年)
  • 坂本繁二郎伝 (八女市 1991年)
  • 人間的強さの研究 (竹井出版 1991年)
  • スキな人キライな奴 (新潮社 1991年 のち新潮文庫)
  • 読書尚友のすすめ 良き友と出会い、良き書とめぐり会う喜び (致知出版社 1992年)
  • 鬼よ、笑え 「旅の夏」「ガンの夏」日記 (新潮社 1992年)
  • 老いに挫けぬ男たち (新潮社 1993年 のち新潮文庫)
  • 人間・出会いの研究 (新潮社 1994年 のち新潮文庫
  • 志 かつて日本にあったもの (新潮社 1995年)
  • 哲学を始める年齢 (実業之日本社 1995年)
  • 遠い母 1985年・秋・フランス (実業之日本社 1996年)
  • 「断章」仏蘭西紀行 (実業之日本社 1998年)
  • 人間の運命 (致知出版社 1999年)
  • 一燈を提げた男たち (新潮社 1999年 のち新潮文庫)

翻訳[編集]

  • ある愛欲の生涯 ドン・ジュアンとカサノヴァ (フェリシアン・マルソオ 大日本雄弁会講談社(ミリオン・ブックス) 1957年)
  • 青春の手紙 (サン・テクジュペリ 大日本雄弁会講談社 1957年)
  • 信念と腕力 限界を打破する企業家の精神 (ジョージ・ギルダー 新潮社 1986年)
  • リーダーシップの王道 (ウォーレン・ベニス、バート・ナナス 新潮社 1987年、ベストセラー)

脚注[編集]

  1. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
  2. ^ 12月の一冊 『第二の男』”. 玄葉光一郎事務所. 今月の一本 今月の一冊 (2009年12月31日). 2019年4月22日閲覧。
  3. ^ 読売人物データベース
  4. ^ 読売人物データベース
  5. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
  6. ^ 読売人物データベース
  7. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
  8. ^ 読売人物データベース