安藤友香

安藤 友香 Portal:陸上競技
マラソングランドチャンピオンシップ
(2019年9月15日撮影)
選手情報
フルネーム あんどう ゆか
ラテン文字 Yuka ANDO
国籍 日本の旗 日本
種目 中距離走長距離走マラソン
所属 ワコール
生年月日 (1994-03-16) 1994年3月16日(30歳)[1]
出身地 岐阜県海津市[2]
身長 160cm[3]
体重 42kg[3]
自己ベスト
3000m 9分02秒73[1]
5000m 15分18秒66
10000m 31分18秒18[1]
ハーフマラソン 1時間09分47秒[1]
マラソン 2時間21分18秒
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安藤 友香(あんどう ゆか、1994年3月16日[1] - )は、日本の陸上選手(専門は中距離走長距離走マラソン)。ワコール京都府京都市)所属。

両手をダラリと下げて両腕を大きく振らず、上下動を少なくしてヒタヒタと走行する独特なフォームは忍者走りと称されている[4]

経歴・人物[編集]

高校卒業まで[編集]

岐阜県海津市出身[2]海津市立大江小学校海津市立日新中学校豊川高等学校卒業[2]

小学校時代は自宅から学校まで徒歩で片道30分であり、毎日往復1時間の徒歩通学を続けたという[2]。また、中学校に入学した際はハンドボールをやりたくてハンドボール部に入部したが、部員が多かったために陸上競技部へ転部した[2]。中学校時代は800mと1500mを中心に競技に取り組んでいた[2]。中学校時代に2度皇后盃全国都道府県対抗女子駅伝競走大会2008年2009年)に岐阜県代表として出場していずれも第3区を走っている[5]

2009年に陸上競技の名門である愛知県の豊川高等学校に進学、高校時代の全国高等学校総合体育大会成績は2010年沖縄県大会の女子3000mで第18位(9分37秒19)という記録が残る[6]。また全国高等学校駅伝競走大会女子の部では豊川高等学校のメンバーとして1年次(2009年・第21回)には2区を[7]、3年次には1区を走って[8] 総合優勝に貢献した。

社会人以降[編集]

スズキ浜松アスリートクラブ所属時まで[編集]

高等学校卒業後はスポーツ用品メーカー・ミズノが運営するチームミズノアスレティック入りするも、わずか2年で時之栖へ移籍する[9]。時之栖時代も長く続かず、2014年にスズキ浜松アスリートクラブへ移籍、そこでコーチの里内正幸の指導などもあり、ランニングフォームを改造するなどして躍進するようになる[10]

2016年、世界ハーフマラソン選手権大会カーディフ / イギリス)に日本代表として出場して日本人最高の10位と奮闘した[11][12]。同年のリオデジャネイロオリンピック出場を賭けた第100回日本陸上競技選手権大会では女子10000mで13位[13]、女子5000mで20位[14] と振るわなかったためにオリンピック出場はならなかった。

2017年3月12日、自身初のフルマラソンとなった名古屋ウィメンズマラソンに一般参加選手として出場、ユニスジェプキルイ・キルワバーレーン)に序盤からピタリと食いつくように並走、中盤から両者の一騎打ちの形になり終盤でキルワに突き放されるもペースを落とすことなく最後まで走り切り、2時間21分36秒のタイムで総合2位でゴールインした[15]。このタイムは日本歴代第4位にして、初マラソンにおける日本人最高記録であった[16][注 1]。また、同年8月開催予定の第16回世界陸上競技選手権大会ロンドン / イギリス)の女子マラソンの派遣設定記録である2時間22分30秒を突破[16]、日本代表選手に選出された(ほかスズキ浜松所属の清田真央も、名古屋ウィメンズマラソンで2時間23分47秒の好タイムで総合3位に入り、安藤と共に世界陸上ロンドン大会女子マラソン日本代表に選出された)[3]

2017年8月6日、2度目のフルとなる世界陸上ロンドン大会・女子マラソン本番に出場。しかしレース中盤の20km付近で、2位集団のペースアップについていけず、メダル争いから脱落。結局日本女子トップで16位の清田とは55秒遅れの総合17位に留まり、8位入賞も遠く及ばなかった[17][18][注 2]

2018年1月28日、フル3度目の大阪国際女子マラソンに出走。序盤から5km毎に17分05秒前後で走るペースメーカーについたが、20km手前で給水ミスを犯した。その後、25km過ぎに前田穂南(2位・天満屋)の飛び出しに反応出来ず、さらに28km地点では、今回初マラソンだった松田瑞生(優勝・ダイハツ)のロングスパートにも突き離されて、優勝争いから脱落。それでも安藤は3位の位置をキープしたまま、2時間27分台でフィニッシュし、マラソングランドチャンピオンシップ2020年東京オリンピック女子マラソン選考会)への出場権を獲得した[19]。なお、ゴール後の安藤は「(中間点過ぎで)誰かが動くと予想していたが、前田選手が出てくるとは。気持ちで引いてしまった」と悔しがるも、給水地点でスペシャルドリンクを撮り損ねた後、優勝した松田からドリンクを受け取ったシーンで「改めてマラソンの魅力だと感じた。松田選手の人間性は見習いたい」と感謝していた[20]

ワコールへ移籍後[編集]

所属先だったスズキ浜松アスリートクラブの指導陣が、2018年末に一斉に退任したことを受けて、2019年2月1日付でワコールへ移籍した[21]

2019年4月28日、ワコールのチームメイトである一山麻緒とともにロンドンマラソンに出走し、2時間26分47秒、総合13位となった[22]

2019年9月15日、MGC・女子マラソン本番に出場。スタート直後からハイペースで飛ばす一山・福士加代子を含むワコール勢の先頭集団へ積極的についていったが、18Km付近で優勝争いから脱落。以降は大きくスローダウンし、数人の女子選手に追い抜かれていき、2時間36分台の8位に終わった[23]

2020年3月8日、MGCファイナルチャレンジ第3弾の名古屋ウィメンズマラソンへ出走。降雨の中、レース序盤から高速ペースで進む先頭集団についていったが、30Km手前でロングスパートを仕掛けた、同僚の一山麻緒から徐々に離される。一時は一般エリート参加の佐藤早也伽積水化学)にも遅れを取ったが、レース終盤で佐藤を逆転。結果、優勝し東京五輪女子マラソン日本代表に決定した一山に続いて、2時間22分台の総合2位・日本女子2位に入った[24][25][26]

2021年8月7日、2020年東京オリンピックの陸上競技女子10000m決勝に出場し32分40秒77で22位となった[27]

主な戦歴(マラソン以外)[編集]

マラソン全成績[編集]

年月 大会 順位 記録 備考
2017年3月 名古屋ウィメンズマラソン 2位 2時間21分36秒 初マラソン日本最高・世界陸上ロンドン大会選考レース
2017年8月 世界陸上ロンドン大会女子マラソン 17位 2時間31分31秒 日本女子では清田真央に次ぎ2着
2018年1月 大阪国際女子マラソン 3位 2時間27分37秒 MGCシリーズ第3弾(2020年東京オリンピック選考会)
2019年4月 ロンドンマラソン 13位 2時間26分47秒 日本人女子トップ
2019年9月 マラソングランドチャンピオンシップ 8位 2時間36分29秒 2020年東京オリンピック・女子マラソン日本代表選考会
2020年3月 名古屋ウィメンズマラソン 2位 2時間22分41秒 MGCファイナルチャレンジ第3弾
2024年3月 名古屋ウィメンズマラソン 優勝 2時間21分18秒 MGCファイナルチャレンジ第2弾・自己記録

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ それまで従来の記録は、2003年1月の大阪国際女子マラソンで3位に入った坂本直子の2時間21分51秒で、安藤は坂本の記録を14年振りに15秒更新した。
  2. ^ そのほか、日本選手では三番手で重友梨佐天満屋)が完走するも、27位に終わった。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 選手プロフィール”. 2019年2月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e f “安藤、“忍者走り”で初マラソン日本女子最高記録!「実感ありません」”. サンケイスポーツ. 産業経済新聞社: p. 1-4. (2017年3月13日). https://www.sanspo.com/article/20170313-55JZPX66PNP2PBWOH6RQVK7VQY/ 2017年3月13日閲覧。 
  3. ^ a b c 第16回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン)マラソン日本代表選手』(PDF)(プレスリリース)日本陸上競技連盟、2017年3月16日http://www.jaaf.or.jp/taikai/1508/1508_file_1.pdf2017年3月18日閲覧 
  4. ^ 女子マラソン安藤友香と清田真央。世界に通じる“忍者走り”の秘密。 Number Web 2017年4月17日
  5. ^ 都道府県対抗駅伝の歴代記録 女子(第21回~第30回)”. スポーツ立県ぎふ. 2017年3月12日閲覧。
  6. ^ 平成22年度 全国高等学校総合体育大会陸上競技大会 女子3000m決勝”. 陸上競技インフォーメーションセンター (2010年8月2日). 2017年3月12日閲覧。
  7. ^ 2009(平成21)年 第21回女子大会記録”. 全国高校駅伝事務局. 2017年3月12日閲覧。
  8. ^ 2011(平成23)年 第23回女子大会記録”. 全国高校駅伝事務局. 2017年3月12日閲覧。
  9. ^ チームミズノアスレティック 安藤友香選手に関する報告』(PDF)(プレスリリース)ミズノ、2013年3月25日http://media.mizuno.com/~/media/Files/com/newsrelease/jp/2013/130325.pdf?v=39083cc5-cabe-449c-a5a6-5c4c1863001b2017年3月12日閲覧 
  10. ^ “理にかなった? 乙女走りでリオ五輪へ”. デイリースポーツ. 神戸新聞社. (2016年5月6日). https://www.daily.co.jp/general/2016/05/06/0009053538.shtml 2017年3月12日閲覧。 
  11. ^ a b Half Marathon Result | IAAF/Cardiff University World Half Marathon Championships Cardiff 2016”. 2016年6月20日閲覧。
  12. ^ “安藤友香10位、清水美穂14位 ハーフマラソン”. ニッカンスポーツ・コム. 日刊スポーツ新聞社. (2016年3月27日). https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/1622456.html 2017年3月12日閲覧。 
  13. ^ 女子 10000m 決勝”. 日本陸上競技連盟 (2016年6月24日). 2017年3月12日閲覧。
  14. ^ 女子 5000m 決勝”. 日本陸上競技連盟 (2016年6月26日). 2017年3月12日閲覧。
  15. ^ 名古屋ウィメンズマラソン2017 兼 第16回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン)代表選手選考競技会』(PDF)(プレスリリース)日本陸上競技連盟、2017年3月12日http://www.jaaf.or.jp/taikai/1394/result.pdf2017年3月12日閲覧 
  16. ^ a b “安藤友香、初マラソンで日本人最高2位 日本歴代4位で世陸代表内定”. Sponichi ANNEX. スポーツニッポン新聞社. (2017年3月12日). https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2017/03/12/kiji/20170312s00057000188000c.html 2017年3月12日閲覧。 
  17. ^ 世界陸上ロンドン大会:女子マラソン実況(スポーツナビ・2017年8月7日記事)
  18. ^ 【世界陸上】やはり飲まれたマラソン女子、海外のペース変化「ついていくのにいっぱいいっぱい」「おじけづいた」…(産経WEST・2017年8月7日記事)
  19. ^ 陸上:第37回大阪国際女子マラソン 松田が初マラソンで初優勝!MGCの出場権を獲得(スポーツナビ・2018年1月28日記事)
  20. ^ 【大阪国際女子マラソン】 安藤友香、レース中、ドリンク渡された松田に感謝「人間性見習うべき」 MGC出場資格獲得するも「正直、悔しい」(産経WEST・2018年1月28日記事)
  21. ^ 安藤友香がワコールに 陸上:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2019年3月10日閲覧。
  22. ^ 15位の一山麻緒がMGC出場権 ロンドン・マラソン”. 日刊スポーツ. 2019年5月1日閲覧。
  23. ^ マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)女子マラソン速報(スポーツナビ・2019年9月15日記事)
  24. ^ 名古屋ウィメンズマラソン2020・結果順位表 スポーツナビ 2020年3月8日付
  25. ^ 安藤友香「忍者走り」2位 五輪届かずも復活の兆し(日刊スポーツ・2020年3月8日記事)
  26. ^ 安藤友香 “忍者走り”復活の2位に涙「沿道の人が『安藤、安藤』って言ってくれ…」(スポニチ・2020年3月8日記事)
  27. ^ “女子1万mで広中璃梨佳7位…日本勢の入賞は25年ぶり”. 読売新聞. https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20210807-OYT1T50422/ 2021年8月8日閲覧。 
  28. ^ U20 Race Result | 38th IAAF World Cross Country Championships &#124 iaaf.org”. 国際陸上競技連盟. 2017年3月18日閲覧。
  29. ^ 歴代各区間優勝者”. 皇后盃全国都道府県対抗女子駅伝事務局. 2018年9月15日閲覧。
  30. ^ 歴代各区間優勝者”. 皇后盃全国都道府県対抗女子駅伝事務局. 2018年9月15日閲覧。
  31. ^ 歴代各区間優勝者”. 皇后盃全国都道府県対抗女子駅伝事務局. 2017年3月12日閲覧。
  32. ^ 女子ハーフマラソン決勝 陸上競技インフォーメーションセンター
  33. ^ 第49回全日本実業団ハーフマラソン総合記録集”. 一般社団法人 日本実業団陸上競技連合. 2021年2月15日閲覧。

外部リンク[編集]