安濃川

安濃川
塔世橋から上流向きに撮影
水系 二級水系 安濃川
種別 二級河川
延長 28.9 km
平均流量 -- m³/s
流域面積 110.7 km²
水源 錫杖岳(三重県)
水源の標高 677 m
河口・合流先 伊勢湾(三重県)
流域 日本の旗 日本 三重県津市
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安濃川(あのうがわ)は、三重県津市を流れ伊勢湾に注ぐ河川二級水系の本流である[1]。平成の大合併以前の津市内では塔世川(とうせがわ)とも呼ばれる[1]

地理[編集]

三重県津市芸濃町河内の錫杖ヶ岳付近に発し、津市安濃町、津市の中心部を流れ伊勢湾へ注ぐ[1]津城(津市。内堀と再建された櫓が残る)は、安濃川と岩田川を外堀のように利用していた。

支流として穴倉川、美濃屋川がある[1]。中流域において分かれる美濃屋川は周辺地域の灌漑用に利用されているが、下流にて再び安濃川に合流している。

勢陽五鈴遺響』によると、河川名の「安濃」とは、「あ」(=美しい)+「の」(=野)に由来するという[1]

歴史[編集]

安濃川の流域は伊勢平野農村地帯で、伊勢神宮の所領であったところが多く、神宮にを納めた名残が神納町や納所町といった地名に残る[2]。『勢陽五鈴遺響』によると、雲林院では「美濃夜川」、萩野では「はいの川」、安濃では「あの川」または「県川」と古代には地域によってさまざまな名で呼ばれていた[1]

安濃川のデルタ地帯に作られた津の町は、洪水被害をたびたび受けていた。江戸初期に津藩の藩主となった藤堂高虎は、津の城下町を守るため安濃川の築堤工事を進めるとともに、河口から約4km上流の右岸側を越流堤として意図的に低くし、洪水が出たときには安濃川の水が三泗川を経由して岩田川へと流れるようにした。これは、さらに古い時代の安濃川がこの地点で分派して現在の岩田川に流れていたことを踏まえているとも言われる。この治水計画は現代にも受け継がれている。

主な支流[編集]

二級河川と準用河川を下流側から順に記載する[3][4]

河川 よみ 次数 種別 管理者 主な経過地 河川延長
(km)
備考
安濃川 あのうがわ 本川 二級河川 三重県 津市 28.9
美濃屋川 みのやがわ 1次支川 二級河川
準用河川
三重県
津市
穴谷川 あなたにがわ 2次支川 準用河川 津市
倉谷川 くらたにがわ 2次支川 準用河川 津市
穴倉川 あなくらがわ 1次支川 二級河川
準用河川
三重県
津市
木羽佐間川 きはざまがわ 2次支川 準用河川 津市
織戸川 おりとがわ 2次支川 準用河川 津市
北大谷川 きたおおたにがわ 2次支川 二級河川 三重県
生水川 しょうずがわ 3次支川 準用河川 津市
入山川 いりやまがわ 4次支川 準用河川 津市
小川 おがわ 4次支川 準用河川 津市
分部川 わけべがわ 3次支川 準用河川 津市
小谷川 こたにがわ 3次支川 準用河川 津市
浄土川 じょうどがわ 3次支川 準用河川 津市
大谷川 おおたにがわ 2次支川 準用河川 津市
竜合川 りゅうごがわ 2次支川 準用河川 津市
高座原川
芦谷川
こうざはらがわ
あしだにがわ
2次支川 準用河川 津市
船山川 ふなやまがわ 3次支川 準用河川 津市
北高座原川 きたこうざわらがわ 3次支川 準用河川 津市
滝谷川 たきたにがわ 3次支川 準用河川 津市
宝行川 ほうぎょうがわ 3次支川 準用河川 津市
久保川 くぼがわ 2次支川 二級河川
準用河川
三重県
津市
野田川 のだがわ 3次支川 準用河川 津市
野田興川 のだおきがわ 4次支川 準用河川 津市
四條川 しじょうがわ 2次支川 準用河川 津市
浄土寺川 じょうどじがわ 1次支川 準用河川 津市
北浦川 きたうらがわ 2次支川 準用河川 津市
朝日新川 あさひしんかわ 1次支川 準用河川 津市
五除川 ごじょがわ 1次支川 準用河川 津市
笹子川 ささこがわ 1次支川 二級河川 三重県

河川施設[編集]

安濃ダム(錫杖湖)
  • 安濃ダム(1990年、上流部に建設)

主な橋梁[編集]

このほかに、近畿日本鉄道JR東海の鉄橋が架けられている。塔世橋の下流には伊勢電気鉄道により架けられた鉄橋の橋脚が長い間放置されていたが、撤去された。

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編 編『角川日本地名大辞典 24三重県』角川書店、1983年6月8日、1643頁。 全国書誌番号:83035644

関連項目[編集]