天草陶磁器

天草陶磁器(あまくさとうじき)は熊本県天草地方で焼かれる陶磁器類の総称で、国の伝統的工芸品に指定された際に、新たに名付けられることになった呼び名である。内田皿山焼(うちださらやま)、高浜焼水の平焼(みずのだいら-)、丸尾焼の四つが主な産地であり、良質の陶石が採れたことから焼き物作りが盛んになった。

産地の紹介[編集]

内田皿山焼
九州最古の磁器産地で、17世紀まで遡るといわれる。周辺には窯跡が多く、無数の陶器片が出土。その後は廃絶するが、昭和45年に復興。昭和56年には熊本県の伝統工芸品となった。青磁や白磁、染付などを焼く。
高浜焼
1762年の開窯で、地元高浜の庄屋、上田伝右衛門が肥前国から陶工を招いて、磁器を焼かせたのが始まり。質が良かったため、長崎奉行に目を留められ、オランダ向けの輸出品を中心に焼いた。その頃の代表作が絢爛な染錦手である。明治中期に廃窯、昭和27年に陶石販売を行っていた上田陶石合資会社が復興に漕ぎ着けた。白い器肌に呉須で彩られた意匠が特徴。キリシタン文化を意識したハイカラなデザインで知られる。
丸尾焼
江戸末期の開窯。生活にとけ込んだ民芸品を焼いた。今日では形に囚われない様々な陶器を焼いている。
水の平焼
明和2年の開窯。青黒い器肌が特色の海鼠釉を用いる陶器産地で、その元祖ともいわれる古窯。赤海鼠は代表的な釉薬である。