名古屋市交通局5050形電車

名古屋市営地下鉄5050形電車
5050形5167編成(2022年8月6日)
基本情報
運用者 名古屋市交通局
製造所 日本車輌製造
製造年 1992年 - 2000年
製造数 27編成162両
運用開始 1992年5月17日[1]
投入先 東山線
主要諸元
編成 6両編成
軌間 1,435 mm(標準軌
電気方式 直流600 V(第三軌条方式
最高運転速度 65 km/h
設計最高速度 80 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
車両定員 先頭車96人(32席)
中間車107人(40席)
自重 先頭車21.4 t
中間車25.2 t
長さ 15,580 mm
2,546 mm
高さ 3,440 mm
車体 ステンレス鋼
台車 ボルスタレス式空気ばね台車
日車製ND716A・ND716AT
主電動機 かご形三相誘導電動機
東芝製 SEA-319
三菱製 MB-5027-A
日立製 HS-34529-03RB
主電動機出力 75 kW × 4(台/両)
駆動方式 WNドライブ
歯車比 103:16
編成出力 300 kW × 4 = 1200 kW
制御方式 VVVFインバータ制御
更新前:GTO素子
更新後:IGBT素子
制御装置 更新前:滑り周波数制御→ベクトル制御、応荷重演算制御機能付き
東芝製 INV048-A0(1992年の5151編成、1995年、1998年製造の編成)
三菱製 MAP-088-60V19(1992年の5152・5153編成、1994年、1997年、2000年製造の編成)
日立製 VF-LR100(1993年、1996年、1999年製造の編成)
更新後:SiCパワー半導体モジュール適用インバータ制御[2]
三菱製 MAP-088-60V254 (1992年製造の5151編成〜1995年製造の5158編成まで)
制動装置 NSC遅れ込め制御付きATC連動電気指令式電空併用ブレーキ
応荷重式、回生ブレーキ付き
保安装置 打子式ATS(改造前)
車内信号ATC(改造後)
ATO
備考 電気機器更新後の制御装置の型番・素子については議論がある
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名古屋市交通局5050形電車(なごやしこうつうきょく5050がたでんしゃ)は、1992年平成4年)に登場した名古屋市交通局名古屋市営地下鉄東山線用の通勤形電車である[3]

概要

一部が日立製作所で製造されている名城線の2000形とは異なり、こちらは、全ての車両が日本車輌製造で製造されている。東山線の冷房化推進と300形250形の置き換えとして、1992年平成4年)から2000年(平成12年)にかけて6両編成27本(162両)が導入された[4]。基本設計は1989年(平成元年)に登場した名城線名港線2000形と共通化してコストダウンを図っている。

保安装置は運用開始当時は打子式ATSだったが[4]、現在はCS-ATCに更新されており、車内信号式ATCによる運転[4]2015年(平成27年)9月1日以降はATOによる自動運転[5]2017年(平成29年)6月30日までは車掌が乗務していたが、7月1日以降はワンマン運転を実施している。

車両概説

車体

先述の通り、車両の構体製作・艤装は全編成日本車輌製造で行われている。オールステンレス車体を採用し、黄帯と白帯のラインカラーは腰部に入っている。側面は名城線・名港線2000形と同じ形状だが、前面は5000形に近い形状となっている[4]

2021年3月から2022年12月にかけて前照灯LED化が行われた。

車内・内装

天井・壁面は白系化粧板で仕上げられており、座席は赤橙モケットバケットシートとなっている。材質は5155編成までポリウレタンで、5156編成以降はポリエステルに変更され、座面形状と厚さが変化している。

荷物棚は全座席上部に設置されており、端部は5153編成まで丸パイプにコの字型カバーを被せた形状で、5154編成以降は名城線・名港線2000形に似た形状に変更され、見栄えが向上している。

LED式(一部編成はLCD式に更新)車内案内表示器は車端部妻面貫通路上部、車椅子スペースは両先頭車に設置されている[4]

5158編成以降は路線図式車内案内表示器を客用ドア上部に千鳥配置で1両あたり3台、ドアチャイムを乗降口に設置しているが、列車進行方向を表す矢印の表示色は5160編成まで緑色で、5161編成以降は橙色に変更されている(現在は全て橙色に統一)。

2012年3月には優先席前のつり革交換を実施した。

東山線の車両では初めて車椅子スペースが設置された[1]

機器類

冷房装置は2台/両を搭載している。

制御装置は GTO-VVVFインバータ制御を採用している。装置は3号車と4号車に搭載され、1台のインバータ装置で8台のモーターを制御する1C8M方式の装置が搭載されている。

補助電源装置は三菱電機製静止形三相インバータ90 kVAを採用している。

台車は日車製ND716A形ボルスタレス式空気ばね台車を採用し、集電靴はM1車のみ2個/両で、それ以外の車両は4個/両となっている。

2015年(平成27年)からは本系列が運行している東山線に可動式ホーム柵を導入する関係で、可動式ホーム柵車上制御装置を搭載する改造が実施されている[6]。また、同時にATOを導入する改造が実施されている。なお、本系列に搭載されているATOの制御方式は、6000形[7]や6050形[8]の車上パターン式予見ファジー制御とは異なり、2000形[9]やN1000形[10]と同様の車上パターン式比例制御となっている[6]

2016年(平成28年)からは、経年劣化した電気機器装置を順次更新しており[6]、一部編成では制御装置が交換されている。

編成

藤が丘方面先頭から4両目に当たる5450形は平日の始発から終電まで女性専用車両となる。

← 藤が丘
高畑 →
形式 5150 5250 5350 5450 5550 5650
区分 Tc1 M2 M1 M1' M2' Tc2
車両番号 5151 5251 5351 5451 5551 5651
5177 5277 5377 5477 5577 5677

ラッピング車両

2002年7月からはコカ・コーラなどのラッピング広告を施した車両も走っている。

2010年10月31日からは5166編成が「子育て応援の日(はぐみんデー)」PRのためのラッピング車両として運行されていた[11]

2022年8月1日から2023年1月22日まで、名古屋市交通局設立100周年事業の一環として5177編成が「黄電メモリアルトレイン」として運行されていた[12][13][14]

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b 市営交通100年祭(名古屋市)のツイート(2022年5月17日)”. 名古屋市交通局. 名古屋市. 2022年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月28日閲覧。
  2. ^ https://www.jase-w.eccj.or.jp/technologies-j/pdf/construction_transport/C-16.pdf
  3. ^ “新型車両が営業運転開始 名古屋市営地下鉄”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1992年5月20日) 
  4. ^ a b c d e 東山線車両 5050形の概要・主要諸元”. 名古屋市交通局. 名古屋市. 2022年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月28日閲覧。
  5. ^ 名古屋市交東山線の一部区間でワンマン運転開始|鉄道ニュース|2016年7月2日掲載|鉄道ファン・railf.jp”. 鉄道ファン・railf.jp. 2023年6月8日閲覧。
  6. ^ a b c 東山線車両 5050形の概要・主要諸元|名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年6月8日閲覧。
  7. ^ 桜通線車両 6000形の概要 ・主要諸元|名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年6月8日閲覧。
  8. ^ 桜通線車両 6050形の概要 ・主要諸元|名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年6月8日閲覧。
  9. ^ 名城線・名港線車両 2000形の概要 |名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年6月8日閲覧。
  10. ^ 東山線車両 N1000形の概要・主要諸元|名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年6月8日閲覧。
  11. ^ 東山線・名城線で「はぐみんデー」ラッピング車両を運転”. 鉄道ファン・railf.jp (2010年11月5日). 2020年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月5日閲覧。
  12. ^ 市営交通100年祭 令和4年8月1日、いよいよ市営交通100周年を迎えます! ~黄電の運行や記念ドニチエコきっぷ・グッズの発売、お誕生日会を実施~” (PDF). 名古屋市交通局. 名古屋市. p. 3 (2022年7月19日). 2022年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月5日閲覧。
  13. ^ 「きいでん」復活、出発進行 名古屋市交通局開業100周年”. 毎日新聞 (mainichi.jp). 毎日新聞社 (2022年8月1日). 2022年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月5日閲覧。
  14. ^ 東山線で「黄電メモリアルトレイン」運転”. 鉄道ファン・railf.jp (2022年8月4日). 2022年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月5日閲覧。

関連項目

外部リンク