原稿

原稿(げんこう。: manuscript)とは出版するために出版社編集者印刷会社に渡される著作物のこと。かつては文字通り、原稿用紙に著者の直筆で書かれた物を指していたが、ワードプロセッサの普及以後は電子化されたデータを指す事が多い。

欧米出版業界の場合、"manuscript"の語には次のような特別な用例もある:

  • 定式化されたフォーマットである「short story manuscript
  • 受理原稿(AM Accepted Manuscript)のこと。査読前のプレプリントのPDFファイルを指す場合もある[1]。査読は済んだが出版に必要な編集・組版作業が行われてない段階のものを指すこともある[2]

原稿フォーマット[編集]

原稿用紙の存在しない欧米の出版社でも、ある程度定められた原稿の形式が存在していた。DTPの普及によって、物理的な活字を並べる本来の意味での組版作業は不要となり、著者が自分で最終的な出版物と同形式の原稿を作ることも可能となったが、依然として多くの出版社が、旧来のガイドラインに沿ったフォーマットでの原稿を求めている。原稿のフォーマットは、作品の種類や出版社によっても違っており、著者はそれに従うことになっている。

出版社のガイドラインは著者にとって最も重要なフォーマットの指標である[3]スタイルガイドも、「事実上、すべてのプロの編集者は、(多数存在するスタイルガイドの)うちの一つを原稿を出版するための編集作業において用いている」ため重要である[4]。 しかしながら、個別の出版社ごとに存在する基準の方が、常にスタイルガイドに優先して適用される[5]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ アカデミック・スキルガイド” (PDF). 北海道大学附属図書館 (2015年11月13日). 2023年4月11日閲覧。
  2. ^ 新たな調査により、研究者が選好する論文のバージョンに関する知見を得る | Nature Portfolio”. www.natureasia.com. 2023年4月11日閲覧。
  3. ^ Sambuchino, Chuck; The Editors of Writer's Digest Books (2009). Formatting and Submitting your Manuscript (3rd ed.). Cincinnati, OH: Writer's Digest Books. pp. 5, 10. ISBN 978-1-58297-571-9. https://archive.org/details/formattingsubmit00samb/page/5 
  4. ^ Stevenson, Jay「A Note on Style and the Modern Language Association (MLA)」『The Pocket Idiot's Guide to Grammar and Punctuation: A Handy Reference to Resolve All Your Grammatical Problems』Alpha Books、2005年、viii頁。ISBN 978-1-59257-393-6https://books.google.co.jp/books?id=L7R3EAAAQBAJ&newbks=1&newbks_redir=0&lpg=PP1&hl=ja&pg=PT6#v=onepage&q&f=false2023年4月15日閲覧 
  5. ^ Sambuchino, Chuck; The Editors of Writer's Digest Books (2009). Formatting and Submitting your Manuscript (3rd ed.). Cincinnati, OH: Writer's Digest Books. pp. 10–11. ISBN 978-1-58297-571-9. https://archive.org/details/formattingsubmit00samb/page/10