伊奈輝三

いな てるぞう

伊奈 輝三
生誕 (1937-10-15) 1937年10月15日(86歳)
愛知県知多郡常滑町
(現・常滑市
国籍 日本の旗 日本
教育 東京工業大学(のちの東京科学大学
職業 実業家
著名な実績 INAX代表取締役社長・会長
伊奈長三郎
親戚 伊奈啓一郎
豊田佐助
受賞 日本建築仕上学会賞(功績賞)
栄誉 旭日中綬章
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伊奈 輝三(いな てるぞう、1937年10月15日 - )は、日本実業家INAX代表取締役社長・会長。タイルメーカーから総合住宅設備メーカーに転換させ、同社の「中興の祖」とされる。その後トステムとの経営統合を実現し、LIXILグループ設立の立役者となった。愛知県知多郡常滑町(現・常滑市)出身。

経歴[編集]

1937年(昭和12年)10月15日、愛知県知多郡常滑町(現・常滑市)で伊奈製陶(現LIXIL)創業者である伊奈長三郎の三男として生まれた。学業成績は優秀だったが、父が常滑町長をしていたことから地元の愛知県立常滑高等学校に通った。高校卒業後は経営者の子弟が多く通う慶應義塾大学への進学も考えたが、結局父と同じ東京工業大学(のちの東京科学大学)の経営工学科に進学した [1][2]。1960年(昭和35年)3月に東京工業大学を卒業し、4月に父が社長を務めていた伊奈製陶に入社した[3]。1963年(昭和38年)12月に取締役となり、1967年(昭和42年)12月に常務取締役、1971年(昭和46年)12月に代表取締役専務、1978年(昭和53年)1月に代表取締役副社長となった[4]

1980年(昭和55年)1月には伊奈製陶の第5代代表取締役社長に就任した。温水洗浄便座のヒットなどで、総合住宅用建材・設備機器メーカーへ脱皮を実現し、伊奈製陶の中興の祖とされる[5][2][3]。会社は伊奈家のものではないという思いから、1985年(昭和60年)には「伊奈」の名を社名から外したINAXへの商号変更を行った。この際同じ森村グループ倉田隆文ノリタケカンパニーリミテド社長に「ちょっと変わってるでしょ」と挨拶に行ったところ、「うちほどは変わってないかな」と返されたという[5][6]。1992年(平成4年)には全国タイル業協会の会長に就任した[7]

1996年(平成8年)には後任の代表取締役社長に水谷千加古が就任し、自身は代表取締役会長に退いた[1]。2000年(平成12年)にはトステム創業者の潮田健次郎経営統合を提案し、2001年(平成13年)にはINAXトステム・ホールディングス(現LIXILグループ)が設立された[8]。タイルの製造及び施工技術の開発によって業界の発展に寄与した功績が評価され、2001年(平成13年)には日本建築仕上学会学会賞の功績賞を受賞した[7]。2002年(平成14年)には日本セラミックス協会会長に就任した[9]。2005年(平成17年)からは中部国際空港で案内ボランティアを務めており、2007年(平成19年)には常滑商工会議所会頭など30近くあった全公職から退いてボランティアに専念した[10]。2018年(平成30年)秋の叙勲で旭日中綬章を受章した[11]

親族[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 引退後、経営に口挟まず 伊奈輝三(19)『朝日新聞』2013年10月4日
  2. ^ a b 山登り禁止、大事に育つ 伊奈輝三(2)『朝日新聞』2013年9月11日
  3. ^ a b 伊奈輝三 コトバンク
  4. ^ 住生活グループ第64期有価証券報告書 株式会社住生活グループ
  5. ^ a b 「ロングインタビュー「この会社はすでに一族のものではない」」 alterna、2010年6月8日
  6. ^ もっとトイレに光を 伊奈輝三(1)『朝日新聞』2013年9月10日
  7. ^ a b 「タイルの製造および施工技術の開発により業界の発展に寄与した功績(日本建築仕上学会学会賞受賞者紹介)」『Finex』日本建築仕上学会、2001年、76号、pp. 16-17
  8. ^ 経営統合、強者と強者で 伊奈輝三(16)『朝日新聞』2013年10月1日
  9. ^ 歴代代表者 日本セラミックス協会
  10. ^ 「中部空港でボランティアを3年続けるINAX名誉会長伊奈輝三さん(70)」『朝日新聞』2008年2月17日
  11. ^ 協会ニュース『陶説』平成30年12月号より 日本陶磁協会、2020年7月26日
  12. ^ 伊奈初之丞 コトバンク
  13. ^ 秋場大輔『決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL死闘の8カ月』文藝春秋(2022/06)
  14. ^ 「第二部 豊田家(7)」『読売新聞』2001年7月2日
先代
大岩和雄
INAX社長
1980年 - 1996年
次代
水谷千加古
先代
平井敏雄
日本セラミックス協会会長
2002年 - 2003年
次代
平野眞一