仕事率

仕事率
power
量記号 P
次元 L 2 M T −3
種類 スカラー
SI単位 ワット (W)
CGS単位 エルグ毎秒 (erg/s)
FPS単位 フィート・パウンダル毎秒 (ft·pdl/s)
MKS重力単位 重量キログラムメートル毎秒 (kgf·m/s)
FPS重力単位 フィート重量ポンド毎秒 (ft·lbf/s)
プランク単位 プランク仕事率
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時間・距離・速度に関わる次元

仕事率(しごとりつ、: Power )とは、工率(こうりつ)やパワー: power)とも呼び、単位時間内にどれだけのエネルギーが使われている(仕事が行われている)かを表す物理量である。「動力性能」という語があるが、その場合これを指すことが多い。

定義[編集]

仕事率Pは、仕事をW、時間をt としたとき、次式で表される。

重力で考えると、重力に逆らう力の大きさは重力と同じであり、距離が同じであれば重力のする仕事と等しい。ただ、重力は等加速度運動、逆らう仕事は等速直線運動であり、同じ距離を動かすのに時間が異なる。そのため、重力とそれに逆らう力は仕事は等しいが仕事率は異なる。

仕事率と同等の概念として電力がある。電力は、以下のように電流電圧の積で表すことができる。

このことからもわかるように、電気回路において電動機などで電力が消費されると、それと同等の仕事率で別のエネルギーが生成される(仕事が行われる)。これは、電力量位置エネルギー運動エネルギーの総量は変化しないというエネルギー保存の法則によるものである。

仕事率と同等の概念として放射束もある。スペクトル密度波動放射されたときの各周波数成分における放射束を指す。電力スペクトル密度は「power spectrum density」の訳として使われている。しかし、この「power」は仕事率のことであり電気と関係ない場合でも用いられるが、歴史的経緯からこう呼ばれる。

単位[編集]

国際単位系(SI)における仕事率の単位ワット(W) である。1ワットは、1当たり1ジュール(J)の仕事率(J/sジュール毎秒)と定義されている。逆にワットに時間の単位をかけたものはエネルギーの単位となる。なお、キロワット時(kW·h)は主に電力会社電気使用量の単位として用いられる、エネルギーの単位であり、1 kW·h = 3.6 MJ である。

CGS単位系では固有の名称を持つ仕事率の単位はなく、エルグ毎秒(erg/s)で表される。

馬力(PS、ps、HP、hp)もよく使用される。馬力にはヤード・ポンド法による英馬力メートル法による仏馬力とがある。仏馬力735.49875 W(日本の計量法では、正確に735.5 W)である。大型空調設備レシプロエンジンの出力表示に利用されることが多い。

他に以下のような単位がある。

仕事率の単位
W kgf·m/s PS kcal/h HP(BHP)
1 ワット(W) = 1 = 0.102 = 0.00136 ≈ 0.860 ≈ 0.00134
1 重量キログラムメートル毎秒(kgf·m/s) = 9.80665 = 1 ≈ 0.01333 ≈ 8.4322 ≈ 0.01315
1 仏馬力(PS) = 735.49875 = 75 = 1 ≈ 632.415 ≈ 0.9863
1 キロカロリー毎時(kcal/h) = 1.163 ≈ 0.1186 ≈ 0.00158 = 1 ≈ 0.00155
1 英馬力(HP(BHP)) = 745 ≈ 76.040 = 1.013 = 641 = 1


powerとforce[編集]

: force」や「: power」や「力」という語は、日常の用語ではいずれもどれかに関連するような意味に対して曖昧に使われる(抽象的な、たとえば「軍事力」というような意味にも使われる)。一方、力学の専門用語としては「power」は「仕事率」、「force」は「」で、まったく別である。次元も異なり、仕事率の次元は M1L2T3 であり、力の次元は M1L1T2 である。

脚注[編集]


関連項目[編集]

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