人間の條件 (映画)

人間の條件
『人間の條件 第1部 純愛篇/第2部 激怒篇』のポスター
監督 小林正樹
脚本 松山善三
小林正樹
稲垣公一
原作 五味川純平
製作 小林正樹
若槻繁
出演者 仲代達矢
音楽 木下忠司
撮影 宮島義勇
配給 松竹
公開 日本の旗 1959年1月15日(1/2部)
日本の旗 1959年11月20日(3/4部)
日本の旗 1961年1月28日(5/6部)
上映時間 9時間31分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
中国語
ロシア語
配給収入 3億404万円(1/2部)[1]
2億3479万円(3/4部)[2]
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人間の條件』(にんげんのじょうけん)は、日本映画。原作小説の全6部を3本の映画作品としたトリロジー構成で、1959年から1961年にかけて公開された。五味川純平の同名小説の映画化作品である。

概要[編集]

梶(仲代達矢)と妻の美千子(新珠三千代

主人公の梶を通して戦争における人間性を描いた作品。当時の多くのスター俳優や女優をキャスティングした大作であり、特に主演の仲代達矢は監督・小林正樹も感服する演技を見せ、本作以降はさまざまな名監督たちと組んで活動することになる。

全6部構成で上映時間9時間31分と紹介される事もあるが、全6部構成とは原作の小説の構成であって、映画はまず原作の1部2部のみを作品化して公開され、続いて3部4部で一本、さらに5部6部で一本というふうに、「映画」としては3作品で構成されている。当然ながらこれらの3本の封切りは作品の完成ごとに個別に行われた。従って厳密に見れば、この作品はそれぞれ3時間強の映画3本によるトリロジーと見なされるべきである。後述のように3作品のいわゆる一挙上映が行われた際は、この3作品をもって「総集編」という呼称が使われているが、実際には上記の3作品が休憩を挟んで上映されるだけで、特に「総集編」と呼ばれるべき一本9時間半の映画が存在するわけではない。

それでも9時間31分に及ぶ総上映時間は、製作当時の商業用映画としては最長の長さであり、ギネスブックにも掲載されていた(邦訳版では1980年版まで)。また、本作の全3作を一挙に上映したことが、日本の映画館でのオールナイト興行の走りといわれている。テレビでは、1979年1月2日東京12チャンネル(現・テレビ東京)が開局15年記念事業として全3作を12時間ノーカット(途中ミニ番組による中断をはさむ)で一挙に放送した。これが12時間超ワイドドラマ開始(1981年)の嚆矢にもなった。

撮影[編集]

満州帝国を舞台としているが、当時の国際情勢と日中間の国交が無いゆえに、本来の舞台である中華人民共和国でのロケは不可能だったため、主に北海道サロベツ原野周辺で撮影が行われている[3]

戦闘シーンは陸上自衛隊の協力を受け、北海道内の自衛隊演習地内で撮影された。劇中に登場する九九式短小銃には、分解清掃や戦闘の場面では同自衛隊から貸し出された実銃が使用され、射撃の場面では空包を使用している。第4部の戦闘シーンでは同じく自衛隊の協力でブローニングM1919重機関銃が登場する。ソ連軍との戦闘シーンでは、草で擬装されて輪郭を隠したM4中戦車がソ連軍戦車として登場している。ソ連兵が装備するPPSh-41小道具が登場するが、第4部では弾倉が逆に付いている。第5部の射撃シーンでは実物に近い形の物が登場するが、寸法は大きい。

スタッフ[編集]

基本情報に含まれないスタッフは以下の通り。

キャスト[編集]

『第一部 純愛篇/第二部 激怒篇』(1959年)のスタッフとキャスト
第一部 純愛篇/第二部 激怒篇 1959.01.15
『第3部 望郷篇/第4部 戦雲篇』のポスター
『第3部 望郷篇/第4部 戦雲篇』(1959年)
第三部 望郷篇/第四部 戦雲篇 1959.11.20
第三部
第四部
『第5部・第6部 完結篇』(1961年)のポスター
第五部 死の脱出篇/第六部 曠野の彷徨篇 1961.01.28   

受賞・表彰[編集]

参考資料[編集]

  • 劇場用パンフレット(総集編-リバイバル上映版)

脚注[編集]

  1. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)148頁
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)158頁
  3. ^ 後に、同じ五味川純平の小説を山本薩夫が監督して製作された『戦争と人間』ではソ連のモスフィルムの協力を得て、ノモンハン事件のソ連ロケ(ソ連軍の実物の戦車が登場し、ソ連軍兵士がエキストラとして大挙参加している)が実現している。

外部リンク[編集]