シュワー

母音
前舌 前舌め 中舌 後舌め 後舌
i • y
ɨ • ʉ
ɯ • u
ɪ • ʏ
ɪ̈ • ʊ̈
ɯ̽ • ʊ
e • ø
ɘ • ɵ
ɤ • o
 • ø̞
ə • ɵ̞
ɤ̞ • 
ɛ • œ
ɜ • ɞ
ʌ • ɔ
æ • 
ɐ • ɞ̞
a • ɶ
ɑ • ɒ
広めの狭
半狭
中央
半広
狭めの広
記号が二つ並んでいるものは、左が非円唇、右が円唇
国際音声記号 - 母音
中舌中央母音
ə
IPA 番号 322
IPA 表記 [ə]
IPA 画像
Unicode U+0259
文字参照 ə
JIS X 0213 1-11-16
X-SAMPA @
Kirshenbaum @
音声サンプル

シュワー: Schwaシュワ)とは母音の一つ。記号 ə で表される。西洋諸語における曖昧母音の音素/ə/、または、音声の一つである中舌中央母音[ə]を指す。

中舌中央母音

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中舌中央母音(なかじた・ちゅうおうぼいん)または中段中舌母音(ちゅうだん・なかじたぼいん)とは、中舌の中央母音を指す。舌の位置も口の開き具合も中間的な母音である。国際音声記号[ə] と表される。

曖昧母音

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曖昧母音(あいまいぼいん)としてのシュワーは、英語、ドイツ語、フランス語などの西洋語における、はっきりとした特徴のない中性的な母音をいう。音素表記では /ə/ と書かれるが、中舌中央母音 [ə] 以外の音声で発音されることも多い。例えば英語では[ɘ][ə][ɜ] などの音で、フランス語では[ø]に近い音などでも発音される。

外国語における曖昧母音音素/ə/の発音を日本語で表記する場合、原則としてイ段以外の仮名を用いる。ただし、animationアニメーション」の最初の i など、イに近い音で発音される場合があるものは例外である(英語綴りのうち強勢のない "i" には、[ɪ][ə] のいずれで発音してもよいものがあり、音素記号では /ɨ/ または /ə/ と表記される)。

由来

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シュワーという名称は、ヘブライ語の文法用語における שוא‎ (shva, sheva)に由来する。これは、ヘブライ語における軟母音(最短母音)をあらわす用語である。19世紀後半、ドイツのエドゥアルト・ジーファースが、このヘブライ語を元に„Schwa“というドイツ語の名前を、中性的母音(the neutral vowel)として初めて用いた[1][2]

ə の記号は、ヨハン・アンドレアス・シュメラーが1821年に初めて短母音の意味で用いた[1]

言語例

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中舌中央母音としては以下のような例がある。

曖昧母音としては以下のような例がある。

英語におけるアクセントとの関係

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英語において、単語の弱音節にある母音はしばしば曖昧化しシュワーとなる。 例えばバナナ(banana)の発音は[bə.ˈnæ.nə][3]

脚注

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  1. ^ a b Laufer, Asher. "The origin of the IPA schwa." Proceedings of the 19th International Congress of Phonetic Sciences, Melbourne, Australia. Vol. 1911. 1908.
  2. ^ 神山孝夫『印欧祖語の母音組織―研究史要説と試論―』大学教育出版、2006年、96頁。ISBN 9784887307186 
  3. ^ 英単語の強調はストレスアクセントの位置・音節・曖昧母音(シュワ)の発音が要!”. 『伝わる!』英語発音 (2023年5月30日). 2024年6月8日閲覧。