レナ・マイヤー=ラントルート

レナ・マイヤー=ラントルート
Lena Meyer-Landrut
パフォーマンスするレナ(2019年)
基本情報
出生名 Lena Johanna Therese Meyer-Landrut
生誕 ドイツの旗 ドイツ連邦共和国ハノーファー
(1991-05-23) 1991年5月23日(32歳)
出身地 ドイツの旗 ドイツ
ジャンル ポップ
職業 女優歌手
活動期間 2010年 -
レーベル USFO、We Love Music、ユニバーサル・ドイツ
公式サイト lena-meyer-landrut.de

レナ・マイヤー=ラントルートドイツ語:Lena Meyer-Landrut1991年5月23日[1] - )は、ドイツハノーファー出身の女優歌手である。アーティスト名は「Lena[2]2010年5月にノルウェーオスロで開かれたユーロビジョン・ソング・コンテスト2010ドイツ代表として参加し、決勝戦では「Satellite」を歌って246得点を挙げて優勝を果たした[3]

大会に先立ってそのドイツ代表を選ぶ国内選考「Unser Star für Oslo」の当時、ドイツのヒット・チャートで史上初となる、デビュー3作が同時にトップ5に入るという快挙を成し遂げた[4]。2010年3月に発売された「Satellite」は最初から首位でチャート入りし、すぐにトリプル・ゴールドに認定された[5][6]。5月に発売された初のアルバム『My Cassette Player』は、ドイツのアルバム・チャートにて、最初から首位でチャート入りした[7]

来歴[編集]

生い立ち[編集]

1991年5月23日、ドイツ連邦共和国ハノーファー生まれ[8]。祖父はソビエト連邦併合前のエストニアタリンに生まれる、1980年から1983年および1987年から1989年までドイツ連邦共和国(西ドイツ)の駐ソビエト連邦大使を務めたアンドレアス・マイヤー=ラントルートAndreas Meyer-Landrut)である[9][10][11]一人っ子であり、兄弟姉妹はいない[8]。5歳でダンス・レッスンを受け始め、当初はバレエを習っていたが、後に多様な現代的ダンスの訓練も受け始め、ヒップホップ・ダンスジャズ・ダンスも習っている[12]。やがて歌唱への興味を高め、ドイツで数多くのテレビ・シリーズにエキストラとして出演した[8]。しかし、歌唱や演技に関して体系的な教育を受けたことはない[13]総合学校IGS Roderbruch Hannoverに通い[14]アビトゥーア試験を2010年4月に受けている[12]

Unser Star für Oslo[編集]

これまでプロの歌手としての経験はなかったが[13]ユーロビジョン・ソング・コンテスト2010ドイツ代表選考「Unser Star für Oslo」への参加を決めた。国内選考はドイツの公共放送であるドイツ公共放送連盟(ARD)と民間放送プロジーベン、芸能人で音楽プロデューサーのシュテファン・ラープStefan Raab)によって主催された。およそ4500の参加者のなかから選びぬかれた20人の中に入り、意気込みを聞かれた際には「自分を試してみたい。どう感じてもらえるか知りたい、見識のある人たちが私の音楽をどう評するか聞いてみたい。自分では全く自分自身を測れない」と述べている[10]

2010年3月、ドイツのハノーファーにて。

イギリスの歌手・アデルの楽曲「My Same」を披露したところ、多くの審査員から好評を得て、すぐに優勝候補と目されるようになった[13]。翌週、アデルの「My Same」はドイツのヒット・チャートで61位に入った[15]。「Unser Star für Oslo」の決勝では、ザ・バード・アンド・ザ・ビーThe Bird and the Bee)、ケイト・ナッシュKate Nash)、パオロ・ヌティーニリーザ・ミッチェルLisa Mitchell)などの、やや知名度の低い国際的アーティストの楽曲を歌った。レナは全部で8曲のカバー曲を歌い、うち5曲の元曲がドイツのヒット・チャートに入り、うち4曲はそれぞれ最高順位を記録した[16][17][18][19]。3月12日の決勝では、大会のために作られた3つの新曲「Bee」、「Satellite」、「Love Me」を披露した。まず、視聴者による電話投票にて、アメリカ合衆国のソングライター・ジュリー・フロスト(Julie Frost)とデンマークのソングライター・ジョン・ゴードン(John Gordon)が制作した「Satellite」がレナの代表曲として選ばれた。続いて2つめの投票が行われ、レナとともに決勝まで勝ち残っていたジェニファー・ブラウンJennifer Braun)を下してユーロビジョン・ソング・コンテスト2010のドイツ代表に選出された[20]。「Satellite」のビデオ・クリップは決勝戦の夜に撮影され、4日後にテレビを通じて発表された[21]。国内選考の期間中から、既に多くの支持を集めており、インターネット上での各種投票で2位以下に大差をつけて最上位に選ばれることが多く見られた[22]

Unser Star für Oslo」で優勝を果たした翌日、決勝で歌った3つのオリジナル曲が、ドイツのITunes Storeでトップ3を独占し[23]、トップ3独占の初記録をつくった[24]。「Satellite」は初週で10万を超えるダウンロード販売があり、ドイツにおける楽曲のデジタル販売の最速記録を更新した[25]。デビュー3作はそれぞれ1位、2位、5位となり、同時にそろってドイツのシングル・チャートのトップ5入りした。これは、1959年にドイツでヒット・チャートが発表されるようになって以来、史上初めてのことである[4]。「Satellite」は初週にゴールド・シングルの売上を記録し、4週間後にはプラチナ・シングルの売上を記録した[25][26]。その後、この曲は連続5週間にわたってチャートの首位に留まった[27]。 It peaked at number two in both Austria and Switzerland.[28][29]

2010年5月、オスロ市庁舎で行われたユーロビジョン・ソング・コンテスト2010の歓迎パーティにて

Unser Star für Oslo」の期間中も学校には通い続けていた。同大会の決勝が開かれたのは、卒業試験の1箇月前のことであった[8]。4月のアビトゥーア試験の後、デビュー・アルバム『My Cassette Player』は2010年5月7日に発売された[30]。アルバムのプロデュースはシュテファン・ラープで、デビュー3作「Satellite」、「Love Me」、「Bee」に加えて2つのカバー曲、8曲の新曲を収録している。レナ・マイヤー=ラントルート本人は、5曲の共同作曲者としてクレジットされている[31]。アルバムはドイツのアルバム・チャートで首位となった他、オーストリアとスイスのアルバム・チャートでも3位、ビルボードのEuropean Top 100 Albumsでも5位となった[28][29][32]

ドイツでの成功の後、歌唱や演技の仕事を楽しんでいると話したが[10]、同時に「一生を歌で過ごすと決まったわけではない」とも説明している[33]。はじめは、学校を卒業したら演技を学ぶつもりでいたが、いまは今後どうなるか分からないとし、「もし時間が許すなら」と話している[33]。自身の音楽に影響を与えたアーティストとして、アデル、ケイト・ナッシュ、ヴァネッサ・カールトンクリューゾClueso)や、ドイツのポップ・ロック・バンド、ヴィア・ジント・ヘルデンWir sind Helden)の名をあげている[12]

ユーロビジョン・ソング・コンテスト[編集]

ユーロビジョン・ソング・コンテストの「Big 4」規定により、ドイツは準決勝への参加を免除されており、2010年5月29日にノルウェーオスロで行われた決勝から参加した。登場順を決める際にはドイツは自由に登場順を選べることとなり、ドイツ代表団は自らの意思によって決勝戦でのドイツの登場順を指定した。決勝に参加した25のアーティストのうち、レナ・マイヤー=ラントルートは22番目に登場して「Satellite」を披露し、ドイツ連邦共和国としては1982年大会以来、ドイツ再統一以降では初となる優勝をもたらした[34]

画像[編集]

Unser Star für Oslo」での楽曲[編集]

楽曲 原曲
1 "My Same" アデル
3 "Diamond Dave" ザ・バード・アンド・ザ・ビー
4 "Foundations" ケイト・ナッシュ
5 "New Shoes" パオロ・ヌティーニ
準々決勝(6) "Mouthwash"
"Neopolitan Dreams"
ケイト・ナッシュ
リーザ・ミッチェル
準決勝(7) "Mr. Curiosity"
"The Lovecats"
ジェイソン・ムラーズ
ザ・キュアー
Final
(8th show)
"Bee"
"Satellite"
"Love Me"
ジェニファー・ブラウン / レナ・マイヤー=ラントルート
ジェニファー・ブラウン / レナ・マイヤー=ラントルート
レナ・マイヤー=ラントルート
決勝戦では、ジェニファー・ブラウンとレナ・マイヤー=ラントルートはそれぞれ異なるバージョンの「Bee」と「Satellite」を歌った。

ディスコグラフィ[編集]

アルバム[編集]

楽曲 チャート最高順位 認定

[7]

[28]
SWI
[29]
EUR
[32]
2010 My Cassette Player 1 3 3 5
2011 Good News 1 8
2012 Stardust 2 14 31
2015 Crystal Sky  2  25  40
2019 Only Love, L  2  4  14

シングル[編集]

Song チャート最高順位 認定 アルバム

[5]

[28]
SWI
[29]
SWE
[35]
EUR
[36]
2010 "Satellite" 1 2 2 1 8 My Cassette Player
"Bee" 3 26 27  –  –
"Love Me" 4 28 39  –  –
"Touch a New Day" 13 26  –  –  –
2011 "Taken by a Stranger" 2 18 29  –  – Good News
"What a Man" 21  –  –  –  –
2012 "Stardust" 2 14 74  –  – Stardust
2013 "Neon(Lonely People"  –  –  –  –  –

「Satellite」、「Bee」、「Love Me」の3曲は同時にチャート入りしている。

脚注[編集]

  1. ^ Maier, Jens. Interview Lena Meyer-Landrut: "An Kampf zu denken, liegt mir nicht". Stern.de. 16 March 2010. Accessed 9 April 2010. (ドイツ語)
  2. ^ BIOGRAPHY - Lena - UNIVERSAL MUSIC JAPAN
  3. ^ Zeit Online. Eurovision Song Contest: Lena siegt in Oslo. Zeit.de. 30 May 2010. Acessed 30 May 2010. (ドイツ語)
  4. ^ a b Lena Meyer-Landrut schreibt Charts-Geschichte. Spiegel.de. 23 March 2010. Accessed 14 April 2010. (ドイツ語)
  5. ^ a b Positions for Lena Meyer-Landrut in the German singles chart”. musicline.de. 2010年3月30日閲覧。(ドイツ語)
  6. ^ a b c Bundesverband Musikindustrie. Gold/Platin-Datenbank Musikindustrie.de. Accessed 6 May 2010.(ドイツ語)
  7. ^ a b PhonoNet GmbH. Chartverfolgung / Lena / Longplay Musicline.de. Accessed March 23, 2010. (ドイツ語)
  8. ^ a b c d Deutscher Depeschendienst. Musik: Lena Meyer-Landrut: Zwischen Grand Prix und Schulbank. Ad-hoc-news.de. 12 March 2010. Accessed 24 March 2010. (ドイツ語)
  9. ^ Andreas Meyer-Landrut”. be.bra verlag. 2010年3月27日閲覧。(ドイツ語)
  10. ^ a b c Harders, Antje. "NACHGEFRAGT ... bei Nachwuchstalent Lena Meyer-Landrut". Bunte. 2010/7, p. 110. (ドイツ語)
  11. ^ Auswärtiges Amt. Germany – Speech on the 10th anniversary of the Deutsch-Russisches Forum. Auswaertiges-amt.de. 17 February 2003. Accessed 24 March 2010.
  12. ^ a b c Norddeutscher Rundfunk. Lena Meyer-Landrut Archived 2010年3月28日, at the Wayback Machine.. Eurovision.ndr.de. Accessed 24 March 2010. (ドイツ語)
  13. ^ a b c Fraczek, Jennifer. Kandidatin für Oslo: Wie aus Lena Meyer-Landrut plötzlich ein Star wird. Welt.de. 13 February 2010. Accessed 24 March 2010. (ドイツ語)
  14. ^ Öztürker, Güngör. USFO : Lena Meyer-Landrut auf dem Weg nach Oslo. Welt.de. 12 March 2010. Accessed 24 March 2010. (ドイツ語)
  15. ^ PhonoNet GmbH. Chartverfolgung / Adele / Single. Musicline.de. Accessed 24 March 2010 (ドイツ語)
  16. ^ PhonoNet GmbH. Chartverfolgung – Nash, Kate – Foundations. Musicline.de. Accessed 26 March 2010 (ドイツ語)
  17. ^ PhonoNet GmbH. Chartverfolgung – Nutini, Paolo – New Shoes. Musicline.de. Accessed 26 March 2010 (ドイツ語)
  18. ^ PhonoNet GmbH. Chartverfolgung – Mitchell, Lisa – Neopolitan Dreams. Musicline.de. Accessed 26 March 2010 (ドイツ語)
  19. ^ PhonoNet GmbH. Chartverfolgung – Mraz, Jason – Mr. Curiosity. Musicline.de. Accessed 26 March 2010 (ドイツ語)
  20. ^ Klier, Marcus. Germany sends Lena Meyer-Landrut to the Eurovision Song Contest. ESCToday.com. 12 March 2010. Accessed 24 March 2010.
  21. ^ Mantel, Uwe. Lenas "Satellite" feiert Premiere auf fünf Sendern. DWDL.de. 24 March 2010. Accessed 24 March 2010. (ドイツ語)
  22. ^ Norddeutscher Rundfunk. "Es ist ein Rausch" Archived 2010年7月27日, at the Wayback Machine.. Eurovision.ndr.de. 12 March 2010. Accessed 24 March 2010. (ドイツ語)
  23. ^ Klier, Marcus. Lena Meyer-Landrut at number 1, 2 and 3 of German itunes charts . ESCToday.com. 13 March 2010. Accessed 24 March 2010.
  24. ^ Lena Meyer-Landrut: größter Download Hit der deutschen Geschichte. oljo.de. 13 March 2010. Accessed 30 March 2010. (ドイツ語)
  25. ^ a b Klier, Marcus. Germany: Satellite to be certified gold. ESCToday.com. 22 March 2010. Accessed 24 March 2010.
  26. ^ Maier, Jens. Lena Meyer-Landrut: Satellite wird mit Platin ausgezeichnet. Stern.de. 14 April 2010. Accessed 14 April 2010. (ドイツ語)
  27. ^ Charts KW 16: Unheilig zurück auf dem Thron. MusikWoche. 13 April 2010. Accessed 14 April 2010. (ドイツ語)
  28. ^ a b c d Hung Medien. Discographie Lena Meyer-Landrut. Austriancharts.at. Accessed 25 April 2010. (ドイツ語)
  29. ^ a b c d Hung Medien. Discography Lena Meyer-Landrut. Swisscharts.com. Accessed 25 April 2010.
  30. ^ ProSieben Television GmbH. TV total Oslo spezial. Presseportal.de. 13 April 2010. Accessed 14 April 2010. (ドイツ語)
  31. ^ My Cassette Player (CD booklet and case back cover). Lena. USFO for Universal Deutschland. 2010.
  32. ^ a b Billboard Magazine. European Top 100 Albums: Week of May 22, 2010. Billboard.com. Accessed 21 May 2010.
  33. ^ a b Friedman, Deborah. Germany sends Eurovision star Lena into orbit (Interview). Deutsche Welle. 13 April 2010. Accessed 14 April 2010.
  34. ^ Klier, Marcus (2010年3月23日). “Eurovision Song Contest Oslo 2010”. ESCToday. 2010年3月23日閲覧。
  35. ^ Lena Meyer-Landrut's positions for Sweden”. Hung Medien. 2010年5月28日閲覧。
  36. ^ Billboard Magazine. European Hot 100 Singles: Week of April 17, 2010. Billboard.com. Accessed 25 April 2010.

関連文献[編集]

英語
ドイツ語

外部リンク[編集]

先代
アリャクサンドル・ルィバーク
ユーロビジョン・ソング・コンテスト優勝者
2010
次代
エルダル・ガスモフ & ニガル・ジャマル
先代
Alex Christensen and Oscar Loya
ユーロビジョン・ソング・コンテスト・ドイツ代表
2010
次代
レナ・マイヤー=ラントルート
先代
レナ・マイヤー=ラントルート
ユーロビジョン・ソング・コンテスト・ドイツ代表
2011
次代
ローマン・ロープドイツ語版