ヤエヤマカンアオイ

ヤエヤマカンアオイ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : モクレン類 Magnoliids
: コショウ目 Piperales
: ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
: カンアオイ属 Asarum
: ヤエヤマカンアオイ
A. yaeyamensis
学名
Asarum yaeyamense Hatus.1968[1][2][3]
シノニム

ヤエヤマカンアオイ(八重山寒葵、学名: Asarum yaeyamense)とは、ウマノスズクサ科カンアオイ属に属する常緑多年草の1種である。比較的大型の種であり、葉や葉柄は無毛、表面には光沢があり雲紋状に斑が入る。花の雄しべは12個、雌しべは6個。日本の西表島の限られた場所のみに分布し(台湾からも報告がある)、絶滅危惧IB類国内希少野生動植物種に指定されており、採集や取引が法律で禁止されている。

特徴[編集]

常緑性多年草[4][5]、沖縄産のカンアオイ属の種では最も大型[5]の葉身は卵心形、長さ10–20センチメートル (cm)、幅 8–13 cm、先端は尖頭[4][5]。葉の表面は緑色で光沢があり、無毛、雲紋状に斑が入る[4][5]。葉の裏面や葉柄には毛がない[4]

花期は3月ごろ[4]花弁を欠き、萼片は合着して長さ10–15ミリメートル (mm)、直径 10–13 mm 程度の萼筒を形成し、基部側が膨らみ、先端側がくびれ、外面は短毛でおおわれる[4]。萼筒開口部には口環が形成され狭くなり、さらに白色の小板状突起がある[4]。萼筒内壁には格子状隆起がある[4]。萼裂片は開出し、赤褐色から緑紫色、シワがあり、短毛が密生する[4]雄しべは12個[4][5]雌しべは子房半下位、花柱は6個、楕円形の柱頭がある[4][5]

染色体数は 2n = 24[4]

分布・生育環境[編集]

琉球諸島西表島のみに分布するとされるが[4][5]台湾にも産するとする報告がある[5][3]低地常緑広葉樹林の林床や渓流沿いの崖に生育する[4][5]

保全状況評価[編集]

西表島での自生地は2ヶ所のみ知られていたが、2016年の調査ではそのうち1ヶ所では確認されなかった[5]。また園芸用の採取も問題となっている[5]

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

ヤエヤマカンアオイは環境省および沖縄県では絶滅危惧IB類に指定されている[6][5]。また国内希少野生動植物種に指定されており、採集や譲渡などが法律で禁じられている[5][7]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 島袋敬一 (1997). “ヤエヤマカンアオイ”. 琉球列島維管束植物集覧【改訂版】. 九州大学出版会. pp. 197–198. ISBN 4-87378-522-7 
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ヤエヤマカンアオイ”. BG Plants 和名-学名インデックス(YList). 2023年1月28日閲覧。
  3. ^ a b Asarum yaeyamense”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2023年1月28日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n 菅原敬 (2015). “ヤエヤマカンアオイ”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. p. 64. ISBN 978-4582535310 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m 新城和治・新島義龍・横田昌嗣 (2018). “ヤエヤマカンアオイ”. 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-菌類編・植物編-. 沖縄県. pp. 170–171 
  6. ^ ヤエヤマカンアオイ”. 日本のレッドデータ 検索システム. 2023年1月28日閲覧。
  7. ^ 国内希少野生動植物種一覧”. 環境省. 2023年1月28日閲覧。

外部リンク[編集]