モチモチの木

モチモチの木』(モチモチのき)は、斎藤隆介作、滝平二郎絵の絵本1971年11月岩崎書店発行。小学校教科書にも長く広く採用されており、2020年度の全ての小学校3年生の教科書に掲載されている。

あらすじ[編集]

峠の猟師小屋に祖父と住む豆太は小心者で、夜は祖父を起こしてついて来てもらわないと別棟の便所に行けないほど。家の前にある豆太が「モチモチの木」と名づけたトチの木が怖いのであった。ただし昼は全く怖がらない。

そんなある晩、祖父は腹痛で苦しみだす。祖父を助けるには暗闇の中、モチモチの木の前を通り、半(約2km)も離れた麓(ふもと)の村まで医者を呼びに行かなければならない。豆太は勇気を振り絞り医者を呼びに行き、祖父は助かる。なんとその時、モチモチの木は月を背にして輝いていた。祖父の話していた、亡き父も見たという“霜月二十日丑三つ時にある、勇気のある者だけが見る事の出来る「山の神の祭り」”とはこのことだったのだと意味を知る。祖父は豆太からこの事を聞かされ「自分で自分を弱虫だなんて思うな。人間、優しささえあれば、やらなきゃならねぇ事は、きっとやるもんだ。それを見て他人が驚くわけさ」と述べる。しかし、祖父の病気が治ると豆太はまた元の小心者に戻り、祖父を起こさないと便所に行けないのであった。

内容の改訂[編集]

初版では23ページと29ページに三日月が描かれているが出版から数年後に「丑三つ時に三日月が上るのはおかしい」と小学校教師から批判され、1977年の改訂版でを二十日の月に描き換えられた。この改訂は滝平にとって不本意なものであり、立腹して三日月の原画を捨てようとしたがに止められたため、初版の原画が現存している[1]

書誌情報[編集]

  • 斉藤隆介、滝平二郎『モチモチの木(創作絵本)』岩崎書店、1971年11月21日。ISBN 978-4-265909-06-3 

英語版[編集]

映像・声劇作品[編集]

関連商品[編集]

バンダイが2019年に、滝平による挿絵の1つをあしらったTシャツを期間限定で販売したところ、担当者の予想を超える売れ行きを見せ、2023年までに4度にわたって限定販売されている[2]。開発担当者によると企画の発端は「より多くの人に着てもらえる」デザインを求めた際に「小学校の教科書」に着目し、その中で印象に残った作品として本作が選ばれたという[2]。主な購買層は30代後半から40代後半の男性(ただし女性も少なくないとする)で、SNSでの拡散も人気を後押ししていると開発担当者は説明している[2]

出典[編集]

  1. ^ 朝日新聞 2013年4月24日朝刊 35面「幻のきりえ見つかる 「モチモチの木」原画」
  2. ^ a b c “絵本「モチモチの木」Tシャツが売れ行き絶好調 バンダイ担当者「予想していなかった」と驚き、ヒットの要因は?”. J-CASTニュース. (2023年3月4日). https://www.j-cast.com/2023/03/04457207.html?p=all 2023年3月4日閲覧。 

外部リンク[編集]