リーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボル

リーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボル
競技野球
創立1925年 (99年前) (1925)
理事プリニオ・エスカランテ・ボリオ
参加チーム20
メキシコの旗 メキシコ
本部所在地メキシコシティ
大陸北アメリカ
前回優勝プエブラ・パロッツ (2023)
最多優勝メキシコシティ・レッドデビルズ (16回)
テレビ局テレビサ[1]
Multimedios Televisión
AYMスポーツ
ラテンアメリカンスポーツ
公式サイトmilb.com/mexican

リーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボルスペイン語: Liga Mexicana de Beisbol、略称: LMB)は、メキシコ合衆国で春から秋にかけて開催されるプロ野球リーグである。日本のメディアではメキシカンリーグと表記されることもある。

概要[編集]

リーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボルには、メキシコ国内の各都市を本拠地とする18チームが参加しており、4月から9月にかけてレギュラーシーズンが開催される。シーズンの最後に開催される優勝決定シリーズはセリエ・デル・レイ(Serie del Rey)と呼ばれる。

メジャーリーグベースボール(MLB)に所属する特定のMLB球団との提携関係はないが、1955年から1966年まではマイナーリーグのAA級、1967年から2020年まではAAA級のステータスが与えられていた。2021年のマイナーリーグ再編に伴いMLB機構から切り離され、現在では独立したプロ野球組織となっている。外国人枠の制限が存在し、多くの所属選手はMLBを目指してプレーしている。

MLBNPBKBOに次ぐレベルと言われており、平均観客動員や実力においてCPBLと同程度の評価を受けている[2][3]

歴史[編集]

リーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボルは1925年に創設され、日本キューバと同様に組織化された[4]

1946年、リーグ会長で富豪のホルヘ・パスケルがアメリカのメジャーリーグニグロリーグの選手を多額の年俸で引き抜いてメジャーリーグと張り合おうとした。MLB側は移籍した選手を永久追放すると決めたが、マックス・ラニアーなど約20人がリーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボルへ移った[4]。しかし選手らは貧弱な設備や生活環境の違いに音をあげて早々に帰国し[4]、結局財政難からこの目論見は挫折した。メジャー側が選手の引き抜きを恐れてマイナーのアソシエーションに組み込んだ。

しかし、この間に球団数は増え、その後1970年代までに16球団に拡張、2021年には18球団に拡張され、現在は南北の2リーグ制で実施されている。地区交流戦の試合数は現在の日本のプロ野球交流戦の割合より少なく、シリーズは地区優勝チームが対戦する。

2006年6月、WBCが行われたサンディエゴペトコパークにおいて、サンディエゴ・パドレスと業務提携を結んでいるティフアナ・コルツメキシコシティ・レッドデビルズの公式戦が行われた。それ以前にもヒューストンアストロドームで公式戦開催の前例もある。また米墨国境の都市であるヌエボ・ラレドを本拠地とするオウルズリオ・グランデ川の対岸にあるアメリカ側の町のラレドで公式戦の3分の1を開催していた。

試合方式[編集]

  • 2005年から一部試合方式が変更され、ホーム・アンド・アウェー55試合ずつの110試合が各チームに割り当てられる。
  • 下記の通り18チームを9チームずつ南北に分けているものの、全チームとの総当り形式となっている。
  • 前・後期とも各地区ごとに順位を決定し、順位に応じてポイント(勝ち点)が与えられる。前・後期のポイント合計の上位5チームと、それ以外の最高勝率チームの計6チームがプレーオフ(決勝ラウンド)に進出する。
  • プレーオフは6チームによるトーナメント(7戦4勝制)で争われる。
  • 2022年より、試合時間の短縮や接戦の試合を増やすことを目的として、一部の試合について7イニング制を導入した[5]

参加チーム[編集]

チーム名(英語) 正式名称(スペイン語) 都市 スタジアム 収容 創設
北地区
モンクローバ・スティーラーズ
Monclova Steelers
アセレロス・デ・モンクローバ
Acereros de Monclova
コアウイラ州モンクローバ エスタディオ・モンクローバ 8,500人 1974
ラグナ・ユニオン・コットンファーマーズ
Laguna Union Cotton Farmers
アルゴドネロス・デ・ウニオン・ラグーナ
Algodoneros de Unión Laguna
コアウイラ州トレオン エスタディオ・レボルシオン 9,500人 1940
ハリスコ・ホースメン
Jalisco Horsemen
チャロス・デ・ハリスコ
Charros de Jalisco
ハリスコ州サポパン エスタディオ・チャロス・デ・ハリスコ 16,500人 1949
チワワ・ゴールデンズ
Chihuahua Goldens
ドラードス・デ・チワワ
Dorados de Chihuahua
チワワ州チワワ エスタディオ・チワワ 14,500人 1936
ドゥランゴ・ジェネラルズ
Durango Generales
ヘネラレス・デ・ドゥランゴ
Generales de Durango
ドゥランゴ州ドゥランゴ エスタディオ・フランシスコ・ビジャ 4,983人 2016
アグアスカリエンテス・レイルロードメン
Aguascalientes Railroaders
リエレロス・デ・アグアスカリエンテス
Rieleros de Aguascalientes
アグアスカリエンテス州アグアスカリエンテス パルケ・デ・ベイスボル・
アルベルト・ロモ・チャベス
6,494人 1975
サルティーヨ・サラペメーカーズ
Saltillo Sarape Makers
サラペロス・デ・サルティージョ
Saraperos de Saltillo
コアウイラ州サルティーヨ エスタディオ・フランシスコ・I・マデロ 16,000人 1970
モンテレイ・サルタンズ
Monterrey Sultans
スルタネス・デ・モンテレイ
Sultanes de Monterrey
ヌエボ・レオン州モンテレイ エスタディオ・デ・ベイスボル・モンテレイ 22,061人 1939
ドスラレドス・オウルズ
Dos Laredos Owls
テコロテス・デ・ロス・ドス・ラレードス
Tecolotes de los Dos Laredos
タマウリパス州ヌエボ・ラレド パルケ・デ・ベイスボル・ラ・フンタ 5,000人 1940
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国テキサス州ラレド ユニトレード・スタジアム 6,000人
ティフアナ・ブルズ
Tijuana Bulls
トロス・デ・ティフアナ
Toros de Tijuana
バハ・カリフォルニア州ティフアナ エスタディオ・チェブロン 17,000人 2004
南地区
レオン・ブラボーズ
Leon Bravos
ブラボス・デ・レオン
Bravos de León
グアナフアト州レオン エスタディオ・ドミンゴ・サンタナ 6,500人 1978
ケレタロ・コンスピレーターズ
Querétaro Conspirators
コンスピラドーレス・デ・ケレタロ
Conspiradores de Querétaro
ケレタロ州ウィミルパン エスタディオ・コンスピラドーレス 6,000人 2022
メキシコシティ・レッドデビルズ
Mexico City Red Devils
ディアブロス・ロホス・デル・メヒコ
Diablos Rojos del Mexico
メキシコシティ エスタディオ・アルフレド・ハルプ・ヘルー 20,576人 1940
ベラクルス・イーグルス
The Veracruz Eagle
エル・アギラ・デ・ベラクルス
El Águila de Veracruz
ベラクルス州ベラクルス パルケ・デポルティーボ・ウニベルシタリオ・ベト・アビラ 7,782人 1903
オアハカ・ウォーリアーズ
Oaxaca Warriors
ゲレーロス・デ・オアハカ
Guerreros de Oaxaca
オアハカ州オアハカ エスタディオ・エドゥアルド・バスコンセロス 7,200人 1996
ユカタン・ライオンズ
Yucatan Lions
レオネス・デ・ユカタン
Leones de Yucatan
ユカタン州メリダ パルケ・ククルカン・アラモ 14,917人 1954
タバスコ・オルメクス
Tabasco Olmecs
オルメカス・デ・タバスコ
Olmecas de Tabasco
タバスコ州ビヤエルモサ パルケ・センテナリオ・ベインティシエテ・デ・フェブレロ 8,500人 1975
プエブラ・パロッツ
Puebla Parrots
ペリコス・デ・プエブラ
Pericos de Puebla
プエブラ州プエブラ エスタディオ・エルマノス・セルダン 12,112人 1938
カンペチェ・パイレーツ
Campeche Pirates
ピラータス・デ・カンペチェ
Piratas de Campeche
カンペチェ州カンペチェ エスタディオ・ネルソン・バレーラ・ロメヨン 6,000人 1980
キンタナロー・タイガース
Quintana Roo Tigers
ティグレス・デ・キンタナ・ロー
Tigres de Quintana Roo
キンタナ・ロー州カンクン エスタディオ・ベト・アビラ 9,500人 1955

補足[編集]

  • メキシコではチーム名が都市名とセットで固定になっていることが多い。球団が移転すると資本的な系譜と関係なく、その都市に以前あったチームのニックネームをつけることが多い。例えば、アグアスカリエンテスはリエレロス(レイルロードメン)、コルドバはカフェテロス(コーヒーグローワズ)という愛称が固定して、他の都市にあったチームがこちらの都市に移転すると前のニックネームを捨て、リエレロスやカフェテロスを名乗る。
  • かつてのトレオン(コットンピッカーズ → カウボーイズ、現在はラグナ・カウボーイズに)やティフアナ(ブルス → コルツ)、プエブラ(パロッツ → エンジェルス → 現在はまたパロッツに)などのようにフランチャイズはそのままでニックネームだけを変える例がある一方で、タイガースのように本拠地を移転(メキシコシティプエブラカンクン)しても愛称はそのままといったケースもある。

チーム別優勝回数[編集]

チーム 優勝 準優勝 優勝年 準優勝年
レッドデビルズ 16 17 1956, 1964, 1968, 1973, 1974, 1976, 1981, 1985, 1987, 1988, 1994, 1999, 2002, 2003, 2008, 2014 1940, 1941, 1946, 1947, 1957, 1958, 1963, 1966, 1970, 1977, 1991, 1995, 1996, 1997, 2000, 2001, 2011
タイガース 12 6 1955, 1960, 1965, 1966, 1992, 1997, 2000, 2001, 2005, 2011, 2013, 2015 1956, 1982, 1999, 2002, 2003, 2009
サルタンズ 10 11 1943, 1947, 1948, 1949, 1962, 1991, 1995, 1996, 2007, 2018(2nd) 1942, 1944, 1953, 1969, 1986, 1994, 2006, 2008, 2013, 2018(1st), 2022
レッドイーグルス 6 4 1937, 1938, 1952, 1961, 1970, 2012 1939, 1960, 1962, 1968
パロッツ 5 7 1963, 1979, 1986, 2016, 2023 1948, 1961, 1964, 1965, 2010, 2014, 2017
ライオンズ 5 5 1957, 1984, 2006, 2018(1st), 2022 1954, 1989, 2007, 2019, 2021
サラペメーカーズ 3 6 1980, 2009, 2010 1971, 1972, 1973, 1988, 2004, 2005
パイレーツ 2 0 1983, 2004
ブルズ 2 1 2017, 2021 2016
ブロンコス 1 2 1969 1967, 1981
スティーラーズ 1 2 2019 1998, 2015
レイルローダーズ 1 1 1978 2012
ウォーリアーズ 1 1 1998 2018(2nd)
オルメクス 1 0 1993

脚注[編集]

  1. ^ includes SKY México and TDN
  2. ^ takeshi (2022年7月24日). “メキシコの野球レベルは?強さ・歴史・有名選手を紹介して解説”. SIKETA WORK. 2023年1月29日閲覧。
  3. ^ 韓国は「4A」、台湾、メキシコは、「2A相当」―2022年全世界プロ野球観客動員データから―(阿佐智) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2023年1月29日閲覧。
  4. ^ a b c アメリカ野球雑学概論『週刊ベースボール』2012年4月23日号、伊藤茂樹、ベースボール・マガジン社、2012年、雑誌20444-4/23, 80頁。
  5. ^ Comunicado oficial: La LMB agilizará los juegos y tendrá enfrentamientos altamente competitivos” (スペイン語). Liga Mexicana de Beisbol (2022年4月6日). 2022年4月17日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]