ホテル・カリフォルニア (曲)

イーグルス > イーグルスの作品 > ホテル・カリフォルニア (曲)
ホテル・カリフォルニア
イーグルスシングル
初出アルバム『ホテル・カリフォルニア
A面 ホテル・カリフォルニア
B面 お前を夢見て
リリース
規格 7インチ・シングル
録音 1976年
ジャンル ロック
時間
レーベル アサイラム・レコード
作詞・作曲 ドン・フェルダー, グレン・フライ, ドン・ヘンリー
プロデュース ビル・シムジク
ゴールドディスク
ゴールドディスク(アメリカ合衆国の旗RIAACDシングル)
プラチナディスク(アメリカ合衆国の旗RIAAダウンロード)
チャート最高順位
イーグルス シングル 年表
ニュー・キッド・イン・タウン
(1976年12月)
ホテル・カリフォルニア
(1977年2月)
駆け足の人生
(1977年5月)
ミュージックビデオ
「Hotel California (Live 1977)」 - YouTube
テンプレートを表示

ホテル・カリフォルニア」 (Hotel California) は、イーグルスのアルバム『ホテル・カリフォルニア』のタイトル曲。架空のホテルを舞台としている(アルバム記事も参照)。

概要[編集]

1976年作品。作詞作曲は、ドン・フェルダードン・ヘンリーグレン・フライとなっている[注釈 1]が、イントロのギター、「メロディー」、後半のツインギター・ソロ、サウンドも含めて、作曲はドン・フェルダーが担当した[3][4][注釈 2]。詞作はドン・ヘンリーである。グレン・フライはこの曲の詞曲への貢献はほとんどないが、詞のアイデアを出したとされる。

北米市場においては、「ニュー・キッド・イン・タウン」に次いでシングル・カットされ、ビルボード誌全米チャート第1位となった。イーグルスの楽曲が同チャートで1位を獲得したのは「我が愛の至上」「呪われた夜」「ニュー・キッド・イン・タウン」につづいて4作品目であり、これより後には79年の「ハートエイク・トゥナイト」があるのみである。

その印象的な旋律、暗喩に富んだ歌詞から広く愛聴され、現在では全世界的にロックスタンダードとして定着しており、数々のロックミュージシャンにとどまらず、ポップスラップラテンレゲエなど、ジャンルを超えたカバー・バージョンがある。

ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500(2010年版)において49位にランクイン[5]

ギターワールド誌が選ぶ「偉大なる12弦ギターソング」で、1位に選ばれている[6]

メロディー、コード、アレンジ[編集]

テーマメロはBm、F#7、A、E、G、D、Em、F#7のコード進行で、サビではG、D、F#7、Bm、G、D、Em、F#7となっている。基本的なコード進行を考えたのはドン・フェルダーで、元々キーはEmで作曲され歌以外のトラックはレコーディングもされたが、ドン・ヘンリーが歌のレコーディングをする際にキーが高かったためDm、Cm、と少しずつキーを下げていった結果、Bmとなった。それに伴い、全てのトラックが録り直され、完成したバージョンがアルバムに収録された。

テーマメロのコード進行はイギリスのロック・バンド、ジェスロ・タルが1969年に発表し全英アルバム・チャート1位、全米アルバム・チャート20位になったアルバム"Stand Up"に含まれる曲"We used to know"に酷似しており、ジェスロ・タルのメンバーからも指摘されているが歌詞とコーラス・パートは異なる。

イントロや曲内の一部に用いられる13本ものギターを重ねた巧みなアルペジオ・ワーク、ドン・ヘンリーのハスキーボイス、ドン・フェルダーならびにジョー・ウォルシュによるギターリフの巧みさなどとあいまって、極めて印象的なサウンドを展開する。ギターソロは、ドン・フェルダー、ジョー・ウォルシュの順で演奏され、フェルダーはギブソン・レスポール、ウォルシュはフェンダー・テレキャスターを使用した。ロック史上屈指のギターソロのほとんどのラインはフェルダーが作ったと言われ、彼のこの曲での貢献度は大きいものがある。

歌詞[編集]

舞台は、コリタス(サボテンの一種だがメキシコでマリファナ隠語でもある)の香りたつ、カリフォルニアの砂漠エリアのハイウェイ。主人公は、長時間の運転に疲れて、休むために立ち寄った小綺麗なホテルに幾日か滞在し、快適な日々を送っていた。しかし、堕落して快楽主義的な過ごし方を続ける滞在客たちに嫌気が差して、以前の自分の日常生活に戻るため、ホテルを去ろうとしたものの、離れようにも離れられなくなった…というミニストーリーである。

ドン・ヘンリーは2007年9月11日の英デイリー・メール紙にてそれらについて「幾つかのこの曲の歌詞の拡大解釈には大変驚かされ続けている。この歌詞の内容はアメリカ文化の度を越した不品行と、私達の知り合いだった女の子達についてだった。しかし芸術と商業主義との危ういバランスについてでもあった。」と述べている。

spirit の解釈[編集]

ドン・ヘンリーは2007年のJon Soederとのインタビューでの『(歌詞にある)ワインはスピリット(蒸留酒)ではないのでは?』との指摘に対し、自分はワインと蒸留酒の製法と分類の仕方を正しく知ってる程度には十分酒をたしなんでいると皮肉を言うとともに「貴方が最初でも無いが、完全に歌詞の解釈を間違って比喩を見落としている。…歌詞のその部分は酒とは全く関係ない。社会政治的なメッセージである。」と述べている[7]

ラストの解釈[編集]

歌詞の最後は、こんな環境に居続けると自分がダメになると気づいた主人公が、出口を求めてホテル館内を走り回っていた際に警備員にたしなめられ、

We are programmed to receive. You can checkout any time you like, but you can never leave!
(我々は客を受け入れるように仕向けられているんだ。好きなときにチェックアウトはできるが、決して立ち去ることはできないんだ!)

という言い切りの言葉で終わり、直後に続くフェルダーとウォルシュによるツイン・ギター・リフと そのフェイドアウト効果により、聴き手に余韻を与える構成となっている。 また、checkout (チェックアウト)は、北米口語でしばしば「自殺する」の婉曲表現に用いられる。

シングル収録曲[編集]

  1. ホテル・カリフォルニア - Hotel California
    (作詞・作曲: ドン・フェルダー, グレン・フライ, ドン・ヘンリー
  2. お前を夢見て - Pretty Maids All in a Row
    (作詞・作曲: ジョー・ヴァイターレ, ジョー・ウォルシュ
表題曲、B面曲ともにアルバム『ホテル・カリフォルニア』に収録。

日本では何度かシングルCDで再発されている。

カバー[編集]

前述の通り、幅広いジャンルのミュージシャンにカバーされている曲であるが、ここでは日本語によるカバーに限定して記載する。なお、以下の各楽曲は歌詞はすべて異なる。

タンポポ版の歌詞の内容はイーグルス版(原曲)とはかなり異なっており、共通点は「ホテル・カリフォルニア」を舞台としていること、サビ部分冒頭の「Welcome to the Hotel California」のフレーズくらいである。
  • 狩人 – 1978年、セカンドアルバム『メモリアル 狩人SECOND』に収録。
タンポポ版同様、こちらも歌詞の内容はイーグルス版(原曲)とはかなり異なっているが、タンポポ版が享楽的な歌詞であるのに対して、内省的・えん世的な歌詞となっている。2015年9月に発売されたCD9枚組『ロイヤル・ボックス』で聞くことができる。
  • 135 - 1998年、アルバム『COVERS SPECIAL』に収録。後述も含め最も原曲版に忠実な日本語詞である。

ライブでは、キャンディーズが1978年に披露している。また、「直訳ロック」で知られるギタリストの王様はライブにおいてこの曲を「旅館カリフォルニア」として詩の朗読のスタイルで披露することがある。[8][9]

ホテル・カリフォルニア問題[編集]

1990年代から米Appleが、洗練された外観デザインを持つパーソナルコンピュータ Macintoshないし周辺機器iPodなどのハードウェアを相次いで発売したのを受け、ユーザーが増加した。ところが、Macユーザーとなった者がWindows環境に移行したくなっても、データ全体をWindows環境に移すことは非常に煩雑で困難を極めることが知られるようになった。何万、何十万のファイルについて手作業で行う必要が生じる。このため、この現象を表現するにあたって、「一度入ったら、好きな時にチェックアウトは出来ても、根本的に逃れることは決してできない」という、ホテル・カリフォルニアの歌詞になぞらえて「ホテル・カリフォルニア問題」(The Hotel California Factor)という自嘲気味な表現がMacユーザーの間で用いられた。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーヴァー」では、クレジットが、ヘンリー、フライ、フェルダーの順になっているが、これは正しくない。
  2. ^ その後、ドン・フェルダーはイーグルスの後年のツアーではドン・ヘンリー、グレン・フライから安いギャラを提示された事を著書で告発している

出典[編集]

  1. ^ 45cat - Eagles - Hotel California / Pretty Maids All In A Row - Asylum - USA - E-45386
  2. ^ Rewinding The Charts: Eagles' 'Hotel California' Checks In At No. 1 | Billboard
  3. ^ Runtah, Jordan. “The Eagles' 'Hotel California': 10 Things You Didn't Know”. Rolling Stone Magazine. 2021年11月20日閲覧。
  4. ^ Eagles' Hotel California: the real story”. Louder Sound. 2021年11月20日閲覧。
  5. ^ 500 Greatest Songs of All Time: Eagles, 'Hotel Carifornia' | Rolling Stone
  6. ^ The greatest 12-string guitar songs of all time” (英語). www.guitarworld.com (2020年5月20日). 2021年12月26日閲覧。
  7. ^ "Thanks for the tutorial and no, you’re not the first to bring this to my attention—and you’re not the first to completely misinterpret the lyric and miss the metaphor. Believe me, I’ve consumed enough alcoholic beverages in my time to know how they are made and what the proper nomenclature is. But that line in the song has little or nothing to do with alcoholic beverages. It’s a sociopolitical statement. My only regret would be having to explain it in detail to you, which would defeat the purpose of using literary devices in songwriting and lower the discussion to some silly and irrelevant argument about chemical processes."
  8. ^ Forever Young シリーズ:70年代アメリカの象徴、イーグルスを紹介 | Eagles | BARKS音楽ニュース
  9. ^ 王様のROCK'N'ROLL TOWN - 「銭湯ライヴ ~夏の陣・Vol.1~」レポート

関連項目[編集]

先代
グレン・キャンベル
サザン・ナイツ
Billboard Hot 100 ナンバーワン・シングル
1977年5月7日(1週)
次代
レオ・セイヤー
「はるかなる想い」