ブティックホテル

メンフィスにある110部屋の Madison Hotel
Morgan House はインドカリンポン英語版にある植民地時代の邸宅がブティックホテルに改装されたものである

ブティックホテル: boutique hotel)とは、客室数が10~100室程度と比較的、規模が小さいながらも、独創性が溢れる独特なデザインやサービス等を売りにしているテーマ性のあるホテルのこと。

概要[編集]

独創的で店舗ごとに異なるコンセプトと高いクリエイティビティをセールスポイントに持ち、そのカテゴリーが提起された当初は10室から100室ほどの客室を有するホテルを称していた[1]。ブティックホテルは、独立系のオーナーによる経営スタイルが多く、一貫したコンセプト、細部に至るまで徹底したクリエイティブのこだわりが見られ、高品質・高価格帯である。また、運営をマニュアルで縛ることなくチェーン展開されている。近年、大自然の中に位置する「アドベンチャーブティック」や、「ブティックリゾート」と呼ばれる大型リゾートなど、ブティックホテルは多くのカテゴリーに細分化し、その規模や客室数による明確な分類はされなくなってきた。ブティックホテルのカテゴリーは今後さらにユニークな広がりを見せることが予想され、世界のホテル業界を牽引するホテルカテゴリーとして期待されている[2]

歴史[編集]

拡大するコト消費の需要拡大に伴い、ホテルマーケットも変化した。その中で生まれたのが、1980年頃に登場した新たなホテルカテゴリー「ブティックホテル」である。パリロンドンニューヨークサンフランシスコなどの日本国外の主要都市では、1980年代にブティックホテルが登場した。最初のブティックホテルは、1984年イアン・シュレーガー英語版スティーブ・ルベル英語版が創設したモーガンズホテル英語版であり、ブティックホテルという言葉は、「ブティック」になぞらえてルベルによって造られた[3]。近年では、国際的なホテルチェーンが豪華なブティックホテルをサブブランドに持ち、この市場の成長を促進する動きが注目されている[4]

特徴[編集]

多くのブティックホテルは、テーマ性のあるスタイリッシュでこだわりのあるインテリアが特徴[5]。ブティックホテル人気に対して、マーケットシェアの拡大を狙う外資系ホテル企業も影響を受けている[5]アメリカではマンハッタンを中心としたニューヨーク市内にたくさんのブティックホテルが集まる[6]。ブティックホテルはロンドンニューヨークマイアミロサンゼルスに多く、世界中に広がりつつある[7]。それ以外ではリゾート地にもスパ、ヨガや絵画教室や、その土地でしか体験できないアクティビティを売りにしたブティックホテルなどがある[8]

日本[編集]

日本で「ブティックホテル」は、ラブホテルの婉曲表現としてラブホテルや偽装ラブホテルなど[9]を意味する場合も多い。近年は、2017年に渋谷区でテイクアンドギヴ・ニーズの子会社が「トランクホテル」[10]2020年6月に京都市エースホテル[11]がそれぞれ開業した。

脚注[編集]

  1. ^ Karen Tina Harrison (2002年9月18日). “What Are Boutique Hotels”. TripSavvy. 2013年11月24日閲覧。
  2. ^ Boutique & Lifestyle Leaders Association. “Categories - BLLA”. Boutique & Lifestyle Leaders Association. 2021年10月29日閲覧。
  3. ^ Cheryl Rosner (2015年1月22日). “What is a boutique hotel?”. blog.stayful.com/. Stayful. 2017年6月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月5日閲覧。
  4. ^ “History of Boutique Hotels” (英語). USA Today (ガネット社). (2017年7月19日). http://traveltips.usatoday.com/history-boutique-hotels-21480.html 2017年3月8日閲覧。 
  5. ^ a b The Boutique Hotel: Fad or Phenomenon” (PDF). Locumconsulting.com. 2007年4月24日閲覧。
  6. ^ Levenson, Eugenia (2008年2月25日). “Road Warrior: Michelin Guide's Jean-Luc Naret”. CNN. http://money.cnn.com/magazines/fortune/fortune_archive/2007/11/12/100954549/index.htm?postversion=2007111215 2008年1月15日閲覧。 
  7. ^ No-frills chic hits the hospitality industry” (2007年10月11日). 2010年6月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月5日閲覧。
  8. ^ Lucienne Anhar (2001年12月13日). “The Definition of Boutique Hotels”. HVS International. 2014年4月3日閲覧。
  9. ^ ラブホテル初心者ガイド ラブホテル全般の疑問 ラブホテル、カップルズホテル、レジャーホテルなどの名称に違いはあるの?”. アルメックス. 2019年8月19日閲覧。
  10. ^ 三上 直行 (2018年6月27日). “T&Gはブティックホテルを全国展開できるか”. 東洋経済オンライン (東洋経済新報社). https://toyokeizai.net/articles/-/226939 2018年7月5日閲覧。 
  11. ^ 狙いは日本人の認知度アップ アジア初、エースホテル京都が開業”. 日経クロストレンド. 2020年7月23日閲覧。