ナタマメ

ナタマメ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae[1]
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: ナタマメ属 Canavalia
: ナタマメ C. gladiata
学名
Canavalia gladiata (Jacq.) DC. (1825)[2]
英名
sword bean
江戸時代の農業百科事典『成形図説』のイラスト(1804)

ナタマメ(鉈豆[3]学名: Canavalia gladiata)はマメ亜科の蔓性の一年草。原産地は熱帯アジアまたはアフリカ刀豆(トウズ、タチマメ、ナタマメ)、帯刀(タテハキ)ともよばれる。日本へは江戸時代に渡来。約25センチメートルほどの豆果を結ぶ[1]。以前から漢方薬として知られており、近年では健康食品、健康茶としても一般的に知られるようになった[3]

歴史

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アジアアフリカ熱帯原産とされ[1]、食用や薬用として栽培される。日本には江戸時代初頭にから伝わった。特に薩摩では江戸時代から栽培が盛んで[3]NHK大河ドラマ篤姫』のワンシーンでも長旅の無事を祈る餞別として送られていた。福神漬の材料にもなる[3][1]

生態

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ナタマメの花(2007.8.11撮影)

またはピンク色の形の花を咲かせる。その後、結実するが、は非常に大きく、大きなものでは30 - 50センチメートル (cm) で[3]、幅が5cmほどになる。は長い柄のある3出複葉で大型である。莢果は11月頃。別名の「タテワキ(帯刀)」は、この莢の形に由来する[1]

産地

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日本国内でも栽培されるが、ラテンアメリカ中華人民共和国からの輸入が多い。

利用

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なた豆茶として利用される有機栽培・無農薬のなた豆畑(丹波市こやま園)

熱帯アジアやアフリカで食用や薬用に用いられており[3]、日本でも福神漬・健康茶・民間薬・メッセージ缶(種子にレーザーで文字を彫ったもの)などに利用される。食用としては、若い莢を食べることが多く、炒め物煮物漬物にすることが一般的である[3]。福神漬に用いられる[4]。薬効を目的にした場合は、豆を利用することが多い。完熟した豆は、主にお茶として用いられる[3]

豆の栄養素は、たんぱく質ビタミンミネラルが豊富である[3]。ナタマメから作る茶の薬効としては、血行促進や免疫力の向上などのさまざまな効果があるほか、アレルギー性鼻炎口臭の緩和によいといわれている[3]。昔から排膿(膿を出す)の妙薬といわれており、腎臓に良く、蓄膿症歯周病や歯槽膿漏の改善、痔ろうなどにも効果がある。他の野菜の病害虫の防止用として周囲に植えられることもある。

コンカナバリンAはナタマメにしか存在しないレクチンであり、植物レクチンの代表例として知られる。生物工学の分野ではT細胞マイトジェンなどとして広く使われている。

毒性

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豆類全般にいえることだが、ナタマメにもがある。とくにタカナタマメタチナタマメには毒が多い。食用とするのはアカナタマメ(赤豆)・シロナタマメ(白豆)といわれる品種で、アカナタマメにはわずかな毒性があるが、焙煎加工されたものは副作用がない[3]。粗悪な健康茶などには注意が必要。また、メッセージ缶に用いられるものは食用に適さない品種が使われており、食べることはできない。サポニン青酸配糖体・有毒性アミノ酸コンカナバリンAカナバニンなどの毒素が含まれている。

カナバニンは、アルギニンに類似した構造を持ち、アルギニンの機能を阻害しアンモニアが蓄積する有害作用があり、多くの昆虫がナタマメを避けるので虫害が少ない[5]

種類

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日本で9月に収穫されたなた豆
タカナタマメCanavalia cathartica Thouars)
南西諸島台湾中国南部、インド東南アジアに分布。
蔓性多年草で大型。海岸近くに生育する。
タチナタマメ/ジャック・ビーン(Canavalia ensiformis (L.) DC., Jack-bean
立性の多年草で大型。
アカナタマメ/ソード・ビーン (Canavalia gladiata, Sword Bean)
シロナタマメ/ソード・ビーン (Canavalia gladiata (Jacq.) DC. f. alba (Makino) Ohashi, Sword Bean)
ハマナタマメ (Canavalia lineata (Thunb.) DC.)
本州千葉県山形県以西)/四国/九州、南西諸島/小笠原諸島に分布。
蔓性の多年草で小型。熱帯/亜熱帯の海岸近くに生育する。
ナガミハマナタマメ/ベイ・ビーン(Canavalia rosea (Sw.) DC., Bay Bean)
九州以南、亜熱帯、熱帯に分布。
汎熱帯海流散布植物(熱帯域で海流により地球一周規模の分布)。

脚註

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  1. ^ a b c d e Weblio三省堂大辞林「なた まめ [0] 【鉈▼豆・刀▽豆】」”. 2018年8月10日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Canavalia gladiata (Jacq.) DC. ナタマメ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月8日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 139.
  4. ^ 星川清親『新編 食用作物』訂正第5版、養賢堂、1985年5月10日、548頁。
  5. ^ 藤井義晴未利用植物の有効利用と調理科学への期待」、『日本調理科学会誌』Vol. 41 (2008) No. 3 pp. 204-209

参考文献

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  • 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、139頁。ISBN 978-4-415-30997-2 

関連項目

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外部リンク

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