トゥエンティ20

ローズ・クリケット・グラウンドで行われたパキスタンスリランカICC T20ワールドカップ決勝戦(2009年)

トゥエンティ20(トゥエンティトゥエンティ、: Twenty20、略称:T20)は、クリケットの試合形式の一つである。両チームともに1イニングのみ、20オーバー英語版(120球)限定のルールであり、試合は3時間程度で終了する[1]。国際大会で行う場合は、トゥエンティ20・インターナショナル(T20I)ともいう[2]

イングランド・ウェールズクリケット委員会(ECB)が2003年に国内大会で導入し、国際試合では2005年に初めて採用された[3]。T20形式の世界選手権であるICC T20ワールドカップは2007年に男子、2009年に女子の大会が開始された。2022年の男子大会では、ICCの動画配信プラットフォームにおいて65億8000万回の視聴回数を記録した[4]インディアン・プレミアリーグ(IPL)など世界の主要プロリーグはT20形式で行なっており、2028年ロサンゼルスオリンピックもT20形式で行われる予定である[5]オリンピックのクリケット競技も参照。

概要[編集]

国際公式試合はテスト・クリケットワン・デイ・インターナショナル(ODI)、トゥエンティ20(T20)の3形式がある[6]。これらの試合はICCによって承認された規則と規制に基づいて行われる[6]

T20形式は従来のクリケットと違い、短い時間で試合が終わるという利点がある。観客やテレビ中継の視聴者に魅力的になるよう配慮され、その点は成功している。ただし、ECBはT20形式が他のクリケット試合方式に取って代わるものではなく、引き続き競技されるものとしている。なお、外野の守備に配置できる人数に制限が設けられており(パワープレイ)、最初の6オーバー(P1)は2人まで、それ以降(P2)は5人までと決められている。

夜のプライムタイムに試合を開始することも可能になり、この形式のプロリーグが世界で急速に普及した。世界最大のプロリーグは2008年に発足したインドのインディアン・プレミアリーグ(IPL)であり、世界のトップクラスの選手の多くはこのリーグでプレーしている。IPLは2023年から5年間の放映権を総額4839億ルピー(約8470億円[7])で契約しており、1試合当たりの放映権料は世界のプロスポーツリーグでNFLに次いで2番目に高額である[8]。オーストラリアのビッグ・バッシュ・リーグや西インド諸島のカリビアン・プレミアリーグも高い人気がある。アメリカでは2023年にメジャーリーグクリケット(MLC)が開幕した。また、女子のT20形式のプロリーグも急速に発展しており、インドでは2023年に女子プレミアリーグ(WPL)が開幕した。WPLはバスケットボールのWNBAと並び、女子プロスポーツリーグとして世界屈指の経済規模がある[9]

世界初のT20の国際大会であるICC T20ワールドカップは2007年に南アフリカにて実施された。

2023年10月現在、T20の国際試合を行なっているのは男子ナショナルチームが87であり[10]、女子ナショナルチームが66である[11]。ICCがT20の世界ランキングを定期的に発表している。2023年10月現在、男子ナショナルチームで試合を行なった国と地域は以下の通り[10]

また、国内試合でT20形式を導入している国としては、イングランド、南アフリカ、ジンバブエ、インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランド、西インド諸島、カナダなどがある。日本でもジャパンカップ、学生選手権、2013年開始の日本プレミアリーグはT20形式で行われている。アジア競技大会では2010年より、T20形式でクリケット競技が新設された(アジア競技大会クリケット競技も参照)。

主要各国の大会[編集]

国・地域 リーグ
アイルランドの旗 アイルランド インター・プロヴィンシャル・トロフィー英語版
アフガニスタンの旗 アフガニスタン アフガニスタン・プレミアリーグ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ メジャーリーグクリケット
マイナーリーグクリケット英語版
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦 インターナショナルリーグT20英語版
イングランドの旗 イングランド
ウェールズの旗 ウェールズ
トゥエンティ20カップ
インドの旗 インド インディアン・プレミアリーグ
女子プレミアリーグ
オーストラリアの旗 オーストラリア ビッグ・バッシュ・リーグ
オランダの旗 オランダ ダッチトゥエンティ20カップ英語版
カナダの旗 カナダ グローバルT20カナダ英語版
スリランカの旗 スリランカ ランカン・プレミアリーグ英語版
西インド諸島の旗 西インド諸島 カリビアン・プレミアリーグ
ニュージーランドの旗 ニュージーランド スーパースマッシュ英語版
ネパールの旗 ネパール ネパールT20リーグ英語版
パキスタンの旗 パキスタン パキスタン・スーパーリーグ
バングラデシュの旗 バングラデシュ バングラデシュ・プレミアリーグ
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ ラムスラム・T20・チャレンジ英語版

T20世界ランキング(上位10チーム)[編集]

ICC男子T20Iチームランキング
順位 チーム 試合 ポイント レイティング
1  インド 59 15,589 264
2  イングランド 43 11,133 259
3  ニュージーランド 53 13,534 255
4  パキスタン 50 12,719 254
5  オーストラリア 32 7,984 250
6  南アフリカ共和国 35 8,679 248
7 西インド諸島の旗 西インド諸島 39 9,463 243
8  スリランカ 37 8,774 237
9  バングラデシュ 41 9,192 224
10  アフガニスタン 29 6,260 216
Reference: ICC Rankings, 2023年10月14日現在

脚注・出典[編集]

  1. ^ クリケットとは? ルールや試合形式を紹介 オリンピック競技大会 2023年10月14日閲覧。
  2. ^ Rules and Regulations 国際クリケット評議会 2023年10月30日閲覧。
  3. ^ First T20 International Match: Australia vs New Zealand Cricketnmore 2023年10月16日閲覧。
  4. ^ ICC Men’s T20 World Cup 2022 breaks digital engagement records and live streaming milestones 国際クリケット評議会 2023年10月17日閲覧。
  5. ^ Cricket to be part of 2028 Los Angeles Olympics in T20 format sportskeeda 2023年10月16日閲覧。
  6. ^ a b The Three Formats of Cricket 国際クリケット評議会 2023年10月8日閲覧。
  7. ^ 1ルピーを1.75円と換算した場合
  8. ^ IPL media rights sold for Rs 48,390 crore for a 5 year period: BCCI Secretary Jay ShahThe Economic Times 2023年8月19日閲覧。
  9. ^ “It’s life-changing”: How India’s WPL is setting a new commercial benchmark for women’s sport sportspromedia.com 2023年9月12日閲覧。
  10. ^ a b Men's T20I Team Rankings 国際クリケット評議会 2023年10月17日閲覧。
  11. ^ Women's T20I Rankings 国際クリケット評議会 2023年10月17日閲覧。

関連項目[編集]